■用語 高トリグリセライド血症 [用語(た行)]
血液中に含まれる脂質成分である中性脂肪が多く存在するタイプの脂質異常症
高トリグリセライド血症とは、血液中のトリグリセライド(中性脂肪)が高いタイプの脂質異常症。高中性脂肪血症とも呼ばれます。
血液中に含まれる脂質成分であるトリグリセライド(中性脂肪)が高いと、動脈硬化が進みやすくなると考えられ、極端に高くなると急性膵(すい)炎を引き起こす危険性もあります。
健康な人のトリグリセライド(中性脂肪)は、50~149mg/dlですが、150mg/dl以上と多く存在する状態になると、高トリグリセライド血症と診断されます。500mg/dl以上になると急性膵炎のリスクが上がり始め、1000mg/dl以上になるとかなりリスクは高くなるとされています。
脂質異常症は、血液の中を流れる脂質成分である総コレステロール、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)、トリグリセライド(中性脂肪)が高く、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が低い状態が継続する疾患。2007年以前は、高脂血症と呼ばれていました。
脂質異常症は、動脈硬化症などの危険因子の一つです。動脈硬化は血管壁が分厚くなり、血管の柔軟性が失われた状態で、血管が損傷したり、血液の流れが滞ったりして、最後には脳卒中や心筋梗塞(こうそく)など、命にかかわる重大な病気を引き起こす可能性があります。
悪者と思われがちなトリグリセライド(中性脂肪)は、実は体にとって重要なものです。中性脂肪はエネルギーの貯蔵庫であり、中性脂肪を蓄えた脂肪細胞には、衝撃から内臓を守るクッション役、寒さや暑さから身を守る断熱材などの役割があります。
しかし、不適切な食生活や運動不足などによって、体内の中性脂肪が過剰になると、血管の健康が損なわれます。必要なものであっても、多すぎれば問題を起こすので、適量を保つことが大切。
コレステロール値と同様に、中性脂肪も数値が高い場合では健康に影響を及ぼし、さまざまな疾患を引き起こします。
トリグリセライド(中性脂肪)自体は、動脈硬化の原因にはなりません。ただし、中性脂肪が多い状態では、余剰なLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を除去するHDLコレステロール(善玉コレステロール)が減少するため、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が増えやすくなります。そのため、トリグリセライド(中性脂肪)自体が動脈硬化の原因にならなくても、数値が高い状態であることが動脈硬化へとつながるといえます。
高トリグリセライド血症では、高血圧や肥満、糖尿病、高尿酸血症などさまざまな疾患を合併する危険性があります。トリグリセライド(中性脂肪)の数値が高いことにより、エネルギーに変換されない中性脂肪がたまっていきます。LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が増えやすいこの状況では、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の中でも小型の粒子である小型LDLコレステロール(超悪玉コレステロール)が増え、動脈硬化の進行を早めます。
このような状態では、血液の粘度が高まり、スムーズに流れにくくなります。血液を流すために強い圧力がかかるために、血管に傷が付いたり、その傷が原因となって動脈硬化が進行し、血液を循環させるために、より大きな力が必要となります。この状態が、高血圧です。
また、高トリグリセリド血症では、ブドウ糖をエネルギーに変換するインスリンの効きが悪くなることから、血糖値が下がりにくくなり、糖尿病につながることもあります。糖尿病は体のさまざまな器官に影響を及ぼし、多くの合併症を引き起こします。
そのほかにも、心筋梗塞や脳梗塞など、生命にかかわるさまざまな疾患を引き起こす可能性があります。
高トリグリセリド血症や動脈硬化の段階では、痛いや、息切れなど異常を感じることは少ないものの、年齢が高くなるにつれて脳梗塞などの発症で初めて、危険な状態と認識するというパターンが多いようです。
血液検査で初めて高トリグリセライド血症とわかった場合は、動脈硬化を予防する正しい治療が必要なので、自己判断せずに医療機関に相談して下さい。内科、ないし内分泌・代謝科が、担当の診療科です。
高トリグリセライド血症の検査と診断と治療
内科、内分泌・代謝科の医師による診断では、血液検査で血中のコレステロール、トリグリセライド(中性脂肪)、HDLコレステロール(善玉コレステロール)の値を測定します。朝食前の空腹時に採血します。LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の値は、これらから計算することもできますが、直接、測定する方法もあります。
脂質異常症の診断基準では、トリグリセライド(中性脂肪)が150mg/dl以上を高トリグリセライド血症(高中性脂肪血症)とし、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が140mg/dl以上を高LDLコレステロール血症、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が120〜139mg/dl以上を境界域高LDLコレステロール血症、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が40mg/dl以下を低HDLコレステロール血症とします。
内科、内分泌・代謝科の医師による治療では、食餌(しょくじ)療法、運動療法、薬物療法を行ない、トリグリセライド(中性脂肪)値を下げます。
食餌療法では、欧米風の高カロリー食品やコレステロール値の高い食品、脂分の多いファーストフードの過剰な摂取を制限します。そして、野菜や果物、魚といった低カロリー食や低脂肪食、低炭水化物食を中心とした食生活に切り替えます。
運動療法では、積極的にウォーキングや水中歩行などの適度な有酸素運動を行ないます。適切な体重の維持につながるばかりか、適度な運動を行なうことで基礎代謝の向上効果が期待できます。
また、喫煙、ストレス、過労、飲酒、睡眠不足など生活習慣全般の見直しも、高トリグリセライド血症の改善法、予防法として効果的です。
薬物療法では、フィブラート系薬剤(中性脂肪合成阻害薬)のベザフィブラートやフェノフィブラート、ニコチン酸誘導体を使います。EPA(エイコサペント酸エチル)を使うと、血管に直接働いて抗動脈硬化作用を示すともいわれています。
このほか、高コレステロール血症を伴う場合は、トリグリセライド(中性脂肪)の低下作用もあるスタチン系薬剤(コレステロール合成阻害薬)を使うこともあります。ただし、フィブラート系薬剤とスタチン系薬剤との併用は、原則禁忌になっているので、これら2薬剤の飲み合わせには注意が必要です。
高トリグリセライド血症とは、血液中のトリグリセライド(中性脂肪)が高いタイプの脂質異常症。高中性脂肪血症とも呼ばれます。
血液中に含まれる脂質成分であるトリグリセライド(中性脂肪)が高いと、動脈硬化が進みやすくなると考えられ、極端に高くなると急性膵(すい)炎を引き起こす危険性もあります。
健康な人のトリグリセライド(中性脂肪)は、50~149mg/dlですが、150mg/dl以上と多く存在する状態になると、高トリグリセライド血症と診断されます。500mg/dl以上になると急性膵炎のリスクが上がり始め、1000mg/dl以上になるとかなりリスクは高くなるとされています。
脂質異常症は、血液の中を流れる脂質成分である総コレステロール、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)、トリグリセライド(中性脂肪)が高く、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が低い状態が継続する疾患。2007年以前は、高脂血症と呼ばれていました。
脂質異常症は、動脈硬化症などの危険因子の一つです。動脈硬化は血管壁が分厚くなり、血管の柔軟性が失われた状態で、血管が損傷したり、血液の流れが滞ったりして、最後には脳卒中や心筋梗塞(こうそく)など、命にかかわる重大な病気を引き起こす可能性があります。
悪者と思われがちなトリグリセライド(中性脂肪)は、実は体にとって重要なものです。中性脂肪はエネルギーの貯蔵庫であり、中性脂肪を蓄えた脂肪細胞には、衝撃から内臓を守るクッション役、寒さや暑さから身を守る断熱材などの役割があります。
しかし、不適切な食生活や運動不足などによって、体内の中性脂肪が過剰になると、血管の健康が損なわれます。必要なものであっても、多すぎれば問題を起こすので、適量を保つことが大切。
コレステロール値と同様に、中性脂肪も数値が高い場合では健康に影響を及ぼし、さまざまな疾患を引き起こします。
トリグリセライド(中性脂肪)自体は、動脈硬化の原因にはなりません。ただし、中性脂肪が多い状態では、余剰なLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を除去するHDLコレステロール(善玉コレステロール)が減少するため、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が増えやすくなります。そのため、トリグリセライド(中性脂肪)自体が動脈硬化の原因にならなくても、数値が高い状態であることが動脈硬化へとつながるといえます。
高トリグリセライド血症では、高血圧や肥満、糖尿病、高尿酸血症などさまざまな疾患を合併する危険性があります。トリグリセライド(中性脂肪)の数値が高いことにより、エネルギーに変換されない中性脂肪がたまっていきます。LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が増えやすいこの状況では、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の中でも小型の粒子である小型LDLコレステロール(超悪玉コレステロール)が増え、動脈硬化の進行を早めます。
このような状態では、血液の粘度が高まり、スムーズに流れにくくなります。血液を流すために強い圧力がかかるために、血管に傷が付いたり、その傷が原因となって動脈硬化が進行し、血液を循環させるために、より大きな力が必要となります。この状態が、高血圧です。
また、高トリグリセリド血症では、ブドウ糖をエネルギーに変換するインスリンの効きが悪くなることから、血糖値が下がりにくくなり、糖尿病につながることもあります。糖尿病は体のさまざまな器官に影響を及ぼし、多くの合併症を引き起こします。
そのほかにも、心筋梗塞や脳梗塞など、生命にかかわるさまざまな疾患を引き起こす可能性があります。
高トリグリセリド血症や動脈硬化の段階では、痛いや、息切れなど異常を感じることは少ないものの、年齢が高くなるにつれて脳梗塞などの発症で初めて、危険な状態と認識するというパターンが多いようです。
血液検査で初めて高トリグリセライド血症とわかった場合は、動脈硬化を予防する正しい治療が必要なので、自己判断せずに医療機関に相談して下さい。内科、ないし内分泌・代謝科が、担当の診療科です。
高トリグリセライド血症の検査と診断と治療
内科、内分泌・代謝科の医師による診断では、血液検査で血中のコレステロール、トリグリセライド(中性脂肪)、HDLコレステロール(善玉コレステロール)の値を測定します。朝食前の空腹時に採血します。LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の値は、これらから計算することもできますが、直接、測定する方法もあります。
脂質異常症の診断基準では、トリグリセライド(中性脂肪)が150mg/dl以上を高トリグリセライド血症(高中性脂肪血症)とし、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が140mg/dl以上を高LDLコレステロール血症、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が120〜139mg/dl以上を境界域高LDLコレステロール血症、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が40mg/dl以下を低HDLコレステロール血症とします。
内科、内分泌・代謝科の医師による治療では、食餌(しょくじ)療法、運動療法、薬物療法を行ない、トリグリセライド(中性脂肪)値を下げます。
食餌療法では、欧米風の高カロリー食品やコレステロール値の高い食品、脂分の多いファーストフードの過剰な摂取を制限します。そして、野菜や果物、魚といった低カロリー食や低脂肪食、低炭水化物食を中心とした食生活に切り替えます。
運動療法では、積極的にウォーキングや水中歩行などの適度な有酸素運動を行ないます。適切な体重の維持につながるばかりか、適度な運動を行なうことで基礎代謝の向上効果が期待できます。
また、喫煙、ストレス、過労、飲酒、睡眠不足など生活習慣全般の見直しも、高トリグリセライド血症の改善法、予防法として効果的です。
薬物療法では、フィブラート系薬剤(中性脂肪合成阻害薬)のベザフィブラートやフェノフィブラート、ニコチン酸誘導体を使います。EPA(エイコサペント酸エチル)を使うと、血管に直接働いて抗動脈硬化作用を示すともいわれています。
このほか、高コレステロール血症を伴う場合は、トリグリセライド(中性脂肪)の低下作用もあるスタチン系薬剤(コレステロール合成阻害薬)を使うこともあります。ただし、フィブラート系薬剤とスタチン系薬剤との併用は、原則禁忌になっているので、これら2薬剤の飲み合わせには注意が必要です。
タグ:Ⅲ型高リポ蛋白血症 家族性低βリポ蛋白血症 MTP欠損症 家族性脂質異常症 無βリポ蛋白血症 低βリポ蛋白血症 バッセン・コルンツヴァイク症候群 低LDLコレステロール血症 低脂血症 家族性複合型高脂血症 高トリグリセライド血症 用語 用語(か行) 用語(こ) 健康創造塾 Ⅱa型高リポ蛋白血症 低中性脂肪血症 アンダーソン病 家族性無βリポ蛋白血症 Ⅱb高リポ蛋白血症 カイロミクロン停滞病 異所性脂肪 脂質異常症 高尿酸血症 動脈硬化 高脂血症 二次性脂質異常症 高カイロミクロン血症 ブロードβ病 家族性Ⅲ型高脂血症 高LDLコレステロール血症 低HDLコレステロール血症 腱黄色腫 眼瞼黄色腫 黄色腫症 家族性高コレステロール血症 NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患) 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH) NASH(非アルコール性脂肪性肝炎) 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD) 脂肪肝 肥満 脳梗塞 多発性脳梗塞 ラクナ梗塞 穿通枝梗塞 無症候性脳梗塞 隠れ脳梗塞 微小脳梗塞 血管脂肪腫 多発性血管脂肪腫
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