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■アスベストによる中皮腫死者、初めて1500人を超す 2015年人口動態統計 [健康ダイジェスト]

 アスベスト(石綿)被害を示す指標になる重篤ながんである中皮腫(ちゅうひしゅ)の年間死者が2015年に初めて、1500人を超えていたことが、厚生労働省の人口動態統計でわかりました。10年前の約1・6倍に増加しました。
 一方、労災認定はほとんど増えていません。専門家は、「労災として救われない被害者が拡大している」とみています。
 中皮腫は、ほとんどがアスベストを吸ったことが原因とされるがん。年間死者は1995年に500人、2005年に911人と推移し、2015年は前年よりも128人多い1504人でした。ところが、中皮腫患者の労災認定者は2008年度559人、2014年度529人などほぼ横ばいで、2015年度は539人。増加する死者との差が広がりつつあります。
 患者団体などでつくる石綿対策全国連絡会議(東京都江東区)によると、アスベストによる肺がん死者の統計はないものの、国際専門家会議が中皮腫の2倍発症すると考えていることから、年間約3000人と推定。アスベストによる中皮腫と肺がんによる死者は、計約4500人とみています。
 一方で、アスベストによる肺がんの労災認定者は減る傾向で、2008年度503人、2014年度が391人でしたが、2015年度が360人にとどまるなど、中皮腫よりも「救われない被害者」が急増しているとみられます。厚労省がアスベストによる肺がんの労災認定基準を厳しくしていることが一因と指摘されています。
 国内では、アスベストの製造販売は2012年3月に全面禁止されました。しかし、中皮腫の潜伏期間が20〜60年とされ、石綿輸入のピークが1974年と1988年ごろだったことと併せ、患者はさらに増えると考えられています。
 石綿対策全国連絡会議の古谷杉郎事務局長は、「身の回りの建物などに残された石綿を安全に除去処分し、アスベストのない社会を作ることが不可欠だ。肺がん患者を救えていないことに政府は危機感を持ち、厳しすぎる認定基準を見直すべきだ」と話しています。
 アスベスト(石綿)は、蛇紋石などの繊維性鉱物を綿状にほぐしたもので髪の毛の5000分の1程度と極めて細く、耐火、保温、防音性があり、安価だったことから「奇跡の鉱物」「夢の素材」と珍重され、建材、保温材、煙突、輸送機器などに使われました。
 飛散したものを吸い込むと、息切れ、胸痛、咳などの初期症状があり、吸い込んでから長い潜伏期間をへて、呼吸困難になる石綿肺、i石綿肺がん、悪性中皮腫を発症する恐れがあります。2005年に石綿製品工場周辺の住民被害が発覚し、社会的関心を呼びました。現在も古い建物に残り、解体、改装で飛散する事故が相次いでいます。

 2016年10月9日(日)




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