SSブログ

■ブタの心臓を人体に移植、アメリカで世界初の成功 [健康ダイジェスト]

 アメリカのメリーランド大学医学部は10日、人体が拒絶反応を起こさないよう遺伝子操作された豚の心臓をアメリカ人男性に移植する手術を成功させたと発表しました。豚の心臓を人間に移植するのは世界で初めて。アメリカでは臓器の不足が深刻な問題となっており、豚の臓器の移植に期待が高まっています。
 発表によると、男性はメリーランド州に住み重い心臓病を患う57歳のデービッド・ベネットさんで、約1カ月半前に不整脈で入院し、人工心肺装置が使われていました。患者の命に危険が迫る中、ほかの手段がない場合の特別な措置として、アメリカ食品医薬品局(FDA)が昨年12月末、今回の移植を緊急許可しました。
 ブタは臓器の大きさや機能が人間と近いものの、そのまま移植すれば免疫による強い拒絶反応が起きます。医療チームは拒絶反応や、人間の体内での過剰な増殖を抑えるため、関連する遺伝子を計10カ所改変したブタの心臓を使いました。
 移植は今月7日に行われ、手術は約8時間に及んだといいます。
 移植を受けた男性はメリーランド大学を通じ、「死ぬか移植をするかのどちらかしかなかったが、私は生きたい。(ブタの心臓移植は)最後の選択肢だった」とコメントしました。
 現在のところ、男性の健康状態に問題はないといいます。手術を行ったバートリー・グリフィス医師は、「手術は成功し見た目も正常だが、明日どうなっているかはわからない」と述べ、今後数週間にわたって慎重に経緯を観察していくと説明しています。
 東京慈恵会医科大学の小林英司特任教授(移植・再生医学)は、「画期的な出来事だ。心臓のような生命維持に直接かかわる臓器を豚から移植し、少なくとも数日間生存できていることの医学的な意義は非常に大きい」と指摘しています。
 アメリカでは、ドナー(死後に臓器を提供したいという人)が慢性的に不足しています。アメリカ保健資源事業局によると、現在約11万人のアメリカ人レシピエント(臓器の移植を希望する人)が臓器移植を待っており、毎年6000人以上が移植を受ける前に命を落としています。人間と似ている臓器を持つ豚の心臓や腎臓などの移植研究が進んでいました。
 小林特任教授は、「今後は患者の容体を注視する必要がある。短期的には拒絶反応が起きないよう制御できるかが重要だ。長期的には、豚の臓器を移植することによって新たな感染症にかかるリスクがあるのか、そして何より患者の生活の質がどのくらい改善するのか確認しなければならない。人工心臓による治療などと比べる必要があるだろう。臓器移植を待つ患者の選択肢が増えることを期待したい」と話しています。

 2022年1月11日(火)




nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。