SSブログ

■乳がん患者の遺伝子特定で手術不要タイプを選別 がん研究センターが4年後実用化へ [健康ダイジェスト]

 乳がん患者のうち、外科手術をせずに治療できるタイプの人を選別できる遺伝子のマーカーが判明したことが9日、明らかになりました。研究を進めてきたのは、国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)の向井博文医師らのチームです。
 乳がん患者に対する臨床試験が、9月内にも開始されます。初期の乳がんは手術でがん細胞を摘出することが標準治療として奨励されており、タイプによって摘出手術が回避できる治療法が確立すれば、世界初の事例となります。
 乳がんは、がん細胞の特徴などから「ルミナルA型」「ルミナルB型」「HER2型」「基底細胞様型」の4つのタイプに分けられます。このうち向井医師らが着目したのは、がん細胞にみられるタンパク質「HER2」が陽性で、かつホルモンが陰性のタイプのがん。このタイプの乳がん患者は、患者全体の10~15%を占めます。
 向井医師らは、別の臨床試験で同タイプの患者に対し、HER2陽性に効くとされる分子標的薬と抗がん剤などの投与を実施。手術で細胞を調べたところ、半数の患者でがんが完全に消失していました。がんが消えた理由を科学的に立証する過程で、人間が持つ全遺伝子約2万3000から関連する遺伝子「HSD17B4」を特定。この遺伝子が活性化していない人はがんが消失したことも、突き止めました。
 臨床試験では、特定した遺伝子HSD17B4をマーカーとして用い、手術が不要になるタイプの患者を選別します。9月から東病院など全国の医療機関30~40カ所でステージ1~3の乳がん患者200人を登録し、遺伝子検査を実施。分子標的薬などを3~6カ月投与し、1カ月間の放射線治療を行います。その後、がんが消えた人について、遺伝子HSD17Bが活性化していたかどうかを調べ、マーカーによる選別の有効性を検証します。
 詳細は、9月28日から横浜市で開かれる日本癌学会学術総会で発表されます。
 日本では毎年、約7万人が新たに乳がんと診断されています。データ通りならば、10~15%の年間3000~5000人は手術不要になるとみられ、がん細胞の摘出手術をためらっていた女性患者には朗報になります。
 向井医師は4年後の実用化を目指しており、「手法を応用すればほかのタイプの乳がんや別の部位のがんにも拡大していくことが可能になる」と話しています。

 2017年9月10日(日)

nice!(14)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

■RSウイルス感染症、東京都で患者が過去最多に 最新の1週間の新規患者は820人 [健康ダイジェスト]

 乳幼児に重い肺炎などを引き起こす一因になる「RSウイルス感染症」の定点医療機関当たりの患者報告数が、東京都で過去最多の3・18人に到達したことが10日、東京都の集計で明らかになりました。
 この時期としては異例の流行が続いており、国立感染症研究所なども「乳幼児はもちろん、高齢者もマスクの着用や手洗いなどの対策を徹底してほしい」と呼び掛けています。
 東京都感染症情報センターによると、8月28日から9月3日までの最新の1週間の患者報告数は820人。都内に264ある小児科定点医療機関当たりの患者報告数は前週比27%増の3・18人に上り、調査を開始した2003年以降では最も多くなりました。例年9月ごろから増加する患者数が今年は7月10日から増えており、依然として増加傾向にあります。
 保健所別では、荒川区が9・50人で最も多く、八王子市8・73人、台東7・00人、墨田区5・80人、多摩小平4・73人、南多摩4・67人、池袋4・50人、新宿区4・43人、世田谷4・25人、目黒区4・00人、江東区3・63人、中野区3・50人、大田区3・33人と続いています。最少は葛飾区の0・88人。
 国立感染症研究所によると、8月21日から27日までの1週間の全国の患者報告数は昨年同時期の1632人の約4倍に当たる6601人で、この時期としてはこの10年間で最も多くなっています。
 都道府県の小児科定点医療機関当たりの報告数では、徳島県の4・61人や山形県の4・27人、新潟県の4・25人が特に多くなっています。
 例年は9月ごろ九州地方から流行が始まり、南・西日本から東日本に推移するのが、今年は7月上旬から全国同時に流行期に入ったといいます。
 RSウイルス感染症は、発熱やせきなど風邪に似た呼吸器症状を起こす病気で、通常は秋から冬にかけて乳幼児を中心に流行し、初めての感染では肺炎や気管支炎を引き起こし重症化することがあります。RSウイルスの付いた物を触ったり、せき、くしゃみなどの飛まつを吸い込んだりして移ります。治療薬などがなく、予防が中心。

 2017年9月10日(日)

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

■用語 徐脈頻脈症候群 [用語(さ行)]

[バー]頻脈と徐脈が交互にみられ、動悸やめまいなどの症状が出る疾患
 徐脈頻脈症候群とは、脈が速くなったり、脈が遅くなったりを繰り返し、それに応じて動悸(どうき)やめまいなどの症状が出る疾患。洞不全(どうふぜん)症候群の一つのタイプです。
 右心房の上部にあって、心臓が鼓動するリズムを作っている洞結節と右心房の機能低下に加え、心房細動や心房粗動、発作性上室性頻拍などの脈が速くなる頻脈性不整脈が出現し、右心房が自発的に興奮して、その刺激が洞結節に進入することで、洞結節の自発的興奮を一時的に強く抑えてしまうため、頻脈が自然停止した直後に、洞結節が高度の洞停止を生じ、脈が遅くなる徐脈を起こします。
 出現する頻脈性不整脈の90%以上は、心房細動が占めます。洞不全症候群では、心房自体の機能低下もあるため、心房性頻脈が発生しやすくなります。そのほかの頻脈性不整脈としては、心房粗動、発作性上室性頻拍があります。いずれにしろ、頻脈性不整脈が自然停止した後に、洞停止が続いてしまいます。
 典型的には、まず先行する動悸が生じ、それが止まったと思ったら、続いてめまい、意識障害、眼前暗黒感、顔面蒼白(そうはく)、けいれんなどの脳の虚血症状を自覚します。洞停止が長引けば、心停止または徐脈に伴って脳への血液の供給が急激に減少したり停止して、失神、呼吸困難、呼吸停止が起こります。
 夜間睡眠中に脳虚血症状が現れる場合は無症状で経過することもありますが、日中に現れる脳虚血症状により転倒した場合には時に、重大な頭部外傷をもたらす危険もあり、心停止から拍動が回復しない場合は突然死することもあります。
 徐脈頻脈症候群の原因として最も多いのは、加齢による洞結節または周辺の右心房筋の線維化による伝導障害です。そのほかに、心筋梗塞(こうそく)や冠状動脈硬化などの虚血性心疾患、高血圧症、先天性心疾患、心筋症、心筋炎などが原因になりますが、慢性腎機能障害による電解質異常や甲状腺(こうじょうせん)疾患によって起こることもあります。
 また、洞結節の刺激の発生数を低下させる迷走神経の緊張高進、高カリウム血症のほか、高血圧治療薬や虚血性心疾患治療薬、抗不整脈薬、精神疾患治療薬などの薬剤投与によって引き起こされる場合もあります。
 脳虚血症状などが長引く場合、繰り返すような場合には、循環器専門医の診察を受けてください。
[バー]徐脈頻脈症候群の検査と診断と治療
 循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、24時間ホルター心電図による検査を行います。心房細動などの頻脈性不整脈が先行し、それが停止した時に洞停止が記録でき、その時に脳の虚血症状があれば診断が確定されます。
 循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科の医師による治療では、頻脈の発生を予防する薬剤の投与により、洞停止時間が以前にも増して延長する可能性があります。一方、徐脈の治療のための脈拍を速くする薬剤の投与により、頻脈時の脈拍数が以前より増加する可能性があります。
 このジレンマのため、薬剤による治療はうまくいかないことが多いので、症状が強ければ徐脈治療のために恒久型ペースメーカーを植え込んだ後で、頻脈治療を行います。
 恒久型ペースメーカーは、徐脈が現れた時のみ電気刺激を出して心臓を刺激することにより心拍数を正常にし、高度な徐脈、心停止による失神などを予防します。手術で、ライターほどの大きさの恒久型ペースメーカーを鎖骨の下に植え込み、脈の状態は心臓の中に留置したリード線を通して察知します。
 一般的な徐脈頻脈症候群の予防には、高血圧や心筋虚血も原因になり得るので、日ごろから血圧、コレステロール、血糖値の管理をしっかり行い、喫煙や過度の飲酒を控えることが大切です。規則正しい生活とバランスのとれた食事を心掛け、ストレスの低減、睡眠不足を避けることも大切です。
 また、加齢による洞結節や右心房筋の機能低下も原因の一つとして考えられているため、定期的な健康診断を受診し、疾患の早期発見、治療を行うことが大切です。

nice!(14)  コメント(0) 
共通テーマ:健康