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■腎性貧血、iPS細胞由来の細胞で改善 京大と香川大がマウス実験で成功 [健康ダイジェスト]

 赤血球が増えるのを助ける細胞を人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製し、移植することで腎臓機能の低下によって起きる腎性貧血を改善することに、京都大学iPS細胞研究所と香川大学の研究チームがマウスの実験で成功しました。
 細胞移植による新たな治療法の開発につながる可能性があります。28日、アメリカの科学誌「サイエンス・トランスレーショナル・メディシン」に発表しました。
 京都大iPS細胞研究所の長船健二教授(腎臓内科、再生医学)らの研究チームは、人の皮膚の細胞から作ったiPS細胞に、さまざまな薬剤などを加えて3週間培養し、「エリスロポエチン」(赤血球生成促進因子)というホルモンを作る細胞を作製。このエリスロポエチンは、腎臓で分泌されて骨髄に赤血球を作るよう促します。慢性の腎臓病などで腎臓の働きが下がると、エリスロポエチンが分泌されず貧血状態になります。
 腎性貧血を起こしたマウス6匹に、約1000万個ずつエリスロポエチンを作る細胞を注射で移植すると、4週間後には赤血球が正常値まで改善し、7カ月間にわたって治療効果が続きました。がん化や、赤血球が異常に増える副作用が起きないことも、確認しました。
 国内には約1300万人の慢性腎臓病の患者がいるとされるほか、腎性貧血の患者も約30万人いるとみられ、人工のホルモン剤を定期的に注射する治療を受けていますが、血液中の濃度を一定に保つことが難しく、心筋梗塞(こうそく)などを起こす恐れもあります。治療は高額で、年間1000億円ほどの医療費がかかっているといいます。
 人での研究はまだ先の段階ですが、長船教授は「1回の細胞移植で赤血球の量を一定に制御、心筋梗塞などのリスクを減らせると期待できる。腎臓病患者にこの細胞を移植する再生医療の実現を目指したい」と話しています。   
 熊本大の西中村隆一教授(腎臓発生学)は、「動物で長期間の治療効果が出ており、評価できる。人に使うには、細胞から分泌されるホルモンの量が十分なのかなどを検証する必要がある」と話しています。

 2017年9月28日(木)

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■世界最小の10円玉大で、カプセル型のペースメーカーを発売 日本メドトロニック [健康ダイジェスト]

 アイルランドの医療機器大手メドトロニックの日本法人、日本メドトロニック(東京都港区)が9月から、不整脈を監視し制御するペースメーカーの世界最小サイズ製品の販売を始めました。
 体積わずか1立方センチメートルの10円玉サイズで、重さ1・75グラム、水泳やゴルフなどのスポーツを楽しむ場合に煩わしいリード(導線)もありません。患者の生活の質(QOL)の向上に寄与しそうです。
 発売した「マイクラ経カテーテルぺーシングシステム」は、カプセル型で、従来モデルに比べ体積を9割小さくしました。足の付け根からカテーテルを使って直接心臓の右心室に送り込み、小さなフックで心壁に引っ掛けます。心臓内にカプセルをとどまらせるための新たな固定方法の開発や、バッテリーや省電力回路の開発により、製品化にこぎ着けました。
 現在の一般的なペースメーカーは、外科手術で鎖骨下などの皮下に埋め込み、静脈を通じて心臓とリードでつなぐタイプ。日本でリードのないペースメーカーが販売されるのは、初めてだといいます。今回の製品は主に脈の遅い心房細動向けで、心臓を24時間監視しながら必要に応じて微弱な電気刺激を送り、心臓の働きを助けます。
 同製品は2015年4月に欧州で、2016年4月に米国で薬事承認を取得しており、全世界で7000人超の患者に使われています。日本でも2月に薬事承認を取得し保険適用できる準備が整ったため、今回の発売となりました。
 国内では36例の治験がすんでいます。国際共同治験の運営委員会のメンバーで、杏林大学医学部付属病院・循環器内科の副島京子臨床教授は、「当院を含む治験施設での植込み経験により,安全性と有効性が確認された。従来4週間は手を肩より上に上げないでと患者にいっていたが、それが必要なくなり喜ばれている」と話しています。
 電池の予測寿命は約12・5年。手術時間は1~2時間程度。日本メドトロニックでは、ペースメーカーを初めて使う患者を中心に対象者が年間6000人程度になるとみています。

 2017年9月28日(木)

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■用語 高血糖 [用語(か行)]

[レストラン]血液に含まれる糖が必要以上に増えすぎた状態
 高血糖とは、余った糖が血液中に停滞し、必要以上に糖の量が多くなった状態。
 血液に含まれる糖(ブドウ糖)は、生きるために欠かせないエネルギー源。糖尿病でない人の血液に含まれる糖の量、すなわち血糖値は約70mg/dLから140mg/dLの間に維持されています。食後、食物に由来するブドウ糖やアミノ酸が体に吸収されると、膵(すい)臓からホルモンのインシュリンが分泌され、その働きにより食物から吸収されて血液に入ったブドウ糖が筋肉組織などへ取り込まれ、血糖値が一定値以上に上昇しないようになっています。
 しかし、糖尿病の人では、インシュリン作用の低下のため、この糖の量を一定に維持することができません。食事から取り入れたブドウ糖を体や脳のエネルギーとして消費するという需要と供給のバランスが崩れ、血液中の糖が増えすぎると高血糖、逆に糖尿病の薬が効きすぎるなどして血液中の糖が少なくなりすぎると低血糖になります。
 「食べすぎることがよくある」「菓子やジュースがやめられない」「これといった運動はしていない」「最近太り気味」といった項目に思い当たる人は、余った糖が血液中に停滞し、必要以上に糖の濃度が高まった高血糖になっている可能性があります。
 遺伝的な素因や心理的ストレスの影響も大きく、さらには、ただ年を取るだけでも、高血糖のリスクは高まります。
 健康診断で「血糖値は正常」といわれた人も、安心できません。空腹時の血糖値が高くなってくるよりも前に、食事の後にだけ血糖値が急上昇する食後高血糖を起こしている可能性があるからです。食後高血糖を繰り返すうちに空腹時の血糖値も上がり、ついには糖尿病を発症します。
 2016年の国民健康・栄養調査によると、糖尿病が強く疑われる成人と糖尿病の可能性が否定できない予備群とされる成人の合計は約2000万人。成人の4~5人に1人が該当します。その人数は増え続けており、もはや国民病という域に達しています。
 高血糖が引き起こすトラブルは、糖尿病だけではありません。血糖値上昇に伴う酸化ストレスや炎症、余った糖と体内の蛋白(たんぱく)質が結び付く糖化、そして高血圧や脂質異常、肥満などの影響が複雑に絡み合い、全身のさまざまな部位に悪影響を及ぼします。
 大きな血管では動脈硬化が進行し、心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞のリスクが高まります。空腹時血糖値が正常でも、食後高血糖がある人では死亡リスクが約1・5〜3倍に跳ね上がることが大規模な疫学研究で明らかになっています。
 高血糖に引き続いて起こる糖尿病が進行すると、失明の原因となる網膜症や、腎不全に発展して人工透析が必要になることもある腎症といった、生活の質を著しく損なう疾患になることもあり、神経障害により足先が腐って切断を余儀なくされることもあります。
 このほか、血液の流れが悪くなり、神経も傷み、免疫力も低下するといったことが連鎖的に起こることで、歯周病や皮膚炎、感染症、勃起不全(ED)と いった疾患にかかりやすくなり、高血糖が認知症や骨の弱化、がんと関連していることも、数々の研究報告から明らかになってきました。
 さらに、血糖値が著しく上昇して500mg/dl以上になると、糖尿病性昏睡(こんすい)という状態に陥って意識を失い、命にかかわる危険な状態になる恐れがあります。
 糖尿病性昏睡に陥る切っ掛けは、糖尿病の治療を放置した状態にある人に感染が加わったり、ストレスや疲労、暴飲暴食によって血糖値が上昇したり、インシュリンの注射を中止したり、インシュリンの注射の量が適切でなかったりと、いろいろなケースがあります。
 病態によって、主に糖尿病性ケトアシドーシス(ケトン性糖尿病性昏睡、ケトン性昏睡)と、高血糖性高浸透圧状態(非ケトン性高浸透圧性昏睡)に分類されます。
 糖尿病性ケトアシドーシスは、インシュリンの絶対的不足に伴って細胞内の糖が欠乏し、慌てて脂肪酸からエネルギーを取り出そうとするために、副産物として生じる弱酸性のケトン体が全身性の代謝性ケトアシドーシスを引き起こし、血液が酸性に傾いて起こります。
 口の渇き、低体温、多尿、脱力感に続いて、腹痛、嘔吐(おうと)が2〜3日あり、次第に意識が消失していきます。統計的には、1型糖尿病(インシュリン依存型糖尿病)の患者に多くみられます。
 一方、高血糖性高浸透圧状態は、高血糖に脱水が加わって起こります。尿中の糖が多くなると、糖の濃度を薄める方向に血液中から水が流れ込みます。その結果として、細胞内脱水が起こります。
 意識障害が主症状で、高齢者はそもそも脱水状態になりやすいので、この病態にもなりやすい傾向があります。統計的には、高齢の2型糖尿病(インシュリン非依存型糖尿病)の患者に多くみられます。
 上記2つの高血糖による意識障害のほか、糖尿病患者は治療薬の副作用によって低血糖による意識障害や、乳酸アシドーシスを示す場合もあります。
 糖尿病性昏睡は早く治療を開始しないと死亡するため、糖尿病の悪化症状がある時は、すぐに医師に連絡をとる必要があります。
 内科、内分泌代謝内科などの医師による高血糖の治療では、原因となる基礎疾患を除去することが必要になります。例えば糖尿病が原因であれば、糖尿病の治療ということになります。糖尿病性昏睡は多くの場合、血液中の糖分を低下させるホルモンのインシュリンを静脈に注射し、血糖値を下げることによって治療が可能です。

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