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■コーヒーを多く飲む人、欧州でも死亡リスク低下を確認 45万人を調査 [健康ダイジェスト]

 コーヒーは世界で最も多く飲まれている飲料の1つで、さまざまな成分を含んでいます。これまでにも、コーヒーの摂取は健康によい影響を及ぼすという報告は複数ありましたが、それらは主にアメリカ人を対象に行われた研究の結果でした。
 そこで、フランスに本部を置く国際がん研究機関(IARC)は、コーヒー摂取と死亡の関係がほかの地域に住む人々にもみられるのかどうか、そして、コーヒーの摂取が特定の死因による死亡リスクを減らしたり高めたりするのかどうかを明らかにしようと考え、欧州10カ国の市民を対象に研究を行いました。
 研究対象にしたのは、デンマーク、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、イギリスの一般市民で、主に35歳以上の45万1743人(男性13万662人と女性32万1081人)。
 コーヒーの摂取量は食物摂取頻度調査の中で尋ね、ライフスタイル質問票を用いて、学歴、喫煙、飲酒習慣、運動量などに関する情報も収集しました。
 当初のコーヒーの摂取量に基づいて、国ごとに対象者を分類。まず、全く飲まないグループを参照群として設定し、残りの人々を摂取量が最も少ないグループから最も多いグループまで4等分しました。主に比較したのは、参照群と、最もコーヒーの摂取量が多いグループで、このグループの1日当たり摂取量の中央値は男性が855ミリリットル、女性が684ミリリットル。
 コーヒーの摂取量調査から平均16・4年追跡したところ、4万1693人(男性1万8302人、女性2万3391人)が死亡していました。うち1万8003人ががん、9106人が循環器疾患、2380人が脳血管疾患(脳梗塞、脳出血など)、3536人が虚血性心疾患(心筋梗塞など)、1213人が消化器疾患、1589人が呼吸器疾患で死亡しており、1571人が外傷性の死亡、418人は自殺による死亡でした。
 これらの死亡とコーヒーの摂取量との関係を分析したところ、コーヒーを全く飲まないグループに比べ、コーヒーを最も多く飲むグループのあらゆる原因による死亡(総死亡)のリスクは、男性で12%、女性では7%低下していました。これらの差は、統計学的に意味のあるレベルでした。
 また、コーヒーを飲む量が多い人ほど総死亡リスクが低いことも、示唆されました。コーヒー1杯を237ミリリットとすると、1日の摂取量が1杯増加するごとに、総死亡リスクは男性が3%、女性は1%低下していました。
 欧州では国ごとに、好まれるコーヒーの抽出方法が違っています。しかし、各国のコーヒーの摂取量と死亡との関係に差はなく、抽出方法にかかわらず、より多く飲む人の死亡リスクが低い現象が一貫して認められました。
 コーヒーの摂取は、消化器疾患による死亡リスクの低減とも関係していました。1日の摂取量が1杯増加するごとのリスク低下は、男性が23%、女性は14%でした。
 消化器疾患による死亡の3分の1強は、肝臓の病気による死亡でした。男女合わせて分析したところ、コーヒーを全く飲まないグループと比較して、最も多く飲むグループの肝臓病による死亡リスクは80%低いことが明らかになりました。肝硬変による死亡リスは79%低く、肝臓がんによる死亡リスクは40%前後低くなっていました。一方で、肝臓病以外の消化器疾患による死亡リスクは、統計学的に意味のある低下を示しませんでした。
 男女に差がみられた項目もありました。循環器疾患による死亡と脳血管疾患による死亡では、女性においてのみ、コーヒー摂取量が最も多いグループでリスク低下が認められました。一方で、がんによる死亡、および卵巣がんによる死亡は、いずれも女性においてのみ、コーヒー摂取量が最も多いグループでリスクが上昇していました。
 以上のような関係は、カフェインを含むコーヒーと含まないコーヒーの摂取量を別々に分析しても同様に認められました。
 研究を行った国際がん研究機関のマーク・グンター博士は、「重要なことは、コーヒーを飲む文化や伝統が多様な欧州10カ国すべてで、コーヒーを毎日飲むことで健康を得られるという同じ結果が出たことだ。これはコーヒーに含まれる成分に余命を延ばす効果があることを示している」と述べています。

 2017年9月18日(月)

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■光で操作してiPS細胞を神経細胞に分化 東大、制御技術を開発 [健康ダイジェスト]

 東京大学大学院総合文化研究科の佐藤守俊教授らの研究チームは、さまざまな組織に育つiPS細胞(人工多能性幹細胞)を光で刺激して神経細胞に変える手法を開発しました。
 光を当てると特定の遺伝子が働くような仕掛けをiPS細胞に組み込みました。同じ原理で、iPS細胞を神経細胞以外に変えるのも簡単だといいます。細胞の機能を光で制御する技術に道を開く成果で、生命現象の解明や病気の研究に役立ちます。
 研究チームは「クリスパー・キャス9」というゲノム(全遺伝情報)編集技術を応用して、光に反応するタンパク質などをiPS細胞に送り込み、神経細胞へ変えるタンパク質の生産を促しました。
 実験では、iPS細胞に青色の光を当てると特定の遺伝子の働きが高まり、iPS細胞が神経細胞に変化しました。
 これまでも、薬剤を投与してiPS細胞を神経細胞に変える手法はありましたが、今回の手法は光を当てた時に遺伝子の働きが高まり、iPS細胞の変化を自由に制御できます。
 今後は同じ原理を応用して、神経細胞以外の細胞への変化も光で制御できるようにしたいといいます。
 光の刺激で遺伝子の働きを調節する手法は、「光遺伝学」として注目されています。ゲノム編集技術も、従来の遺伝子組み換え技術に比べて桁違いに高い精度で遺伝子を改変できるとして、研究が盛り上がっています。

 2017年9月18日(月)

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■厚労省、食品業者にO157感染や食中毒の注意喚起 今年の感染者は2568人に上る [健康ダイジェスト]

 O157などの腸管出血性大腸菌による食中毒は例年、菌が繁殖しやすい夏場に増加し、強いベロ毒素により高齢者や子供などを中心に死者も出ています。厚生労働省は13日、都道府県などを通じ、感染や食中毒について食品業者への注意喚起の通知を出しました。
 国立感染症研究所によると、8月28日~9月3日までに報告された腸管出血性大腸菌の感染者は210人で、今年に入ってからの感染者は計2568人となりました。7月下旬からは週200人を超える患者が連続して報告されています。
 東京都健康安全研究センターの石井健課長は「O157は、菌が出すベロ毒素により出血性の大腸炎が起きるのが特徴。健康な成人は下痢で終わることも多いが、抵抗力の弱い乳幼児や高齢者などでは、まれに溶血性尿毒症症候群(HUS)が引き起こされることがある」と解説しています。
 大阪府堺市で1996年、学校給食などで約9500人が感染したO157集団食中毒では、小学生3人が死亡し、2015年に至って後遺症で1人が死亡しました。昨年、厚労省に報告があったO157の食中毒14件でも、患者252人のうち10人が死亡しています。
 石井課長は「細菌を『つけない』『増やさない』『やっつける』の3つが食中毒予防の大原則」とし、「食品を扱う時は手を洗い、調理器具を殺菌するなどして食べ物に菌がつかないようにした上で、食品の常温保存を避けて菌を増やさないこと、75度で1分以上の加熱で菌を死滅させることなどが重要」と解説しています。

 2017年9月18日(月)

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■用語 洞停止 [用語(た行)]

[ハート]正常な脈が突発的、一過性に、完全に停止する状態
 洞(どう)停止とは、心臓が鼓動するリズムを作っている洞結節(洞房結節)の機能障害により、脈がゆっくりになる徐脈を急に起こしたり、脈が突発的に停止したりする疾患。洞不全症候群のタイプの一つです。
 洞の名称は、胎児期の心臓に当たる静脈洞からきたものです。
 心臓が鼓動するリズムは、心臓の動きを伝導する電気信号によって決まります。このような電気信号の始まりで、心筋に規則的に収縮するように電気刺激を与え続ける洞結節は、交感神経や副交感神経などの自律神経作用の影響を受け、心臓の鼓動リズムを調節する重要な部位です。その洞結節の機能が正常に働かないことにより、洞結節の自力で興奮する能力が低下し、徐脈または心停止がみられます。
 心臓の電気的な活動の様子をグラフの形に記録する心電図的には、正常な心臓における心電図の波形はP波という小さな波から始まり、とがって大きな波のQRS波、なだらかな波のT波、最後に小さい波のU波が見られ、これが繰り返されていきますが、洞停止の心電図の波形では、P波に続くQRS波、そしてT波へと続く関係は正常ですが、先行するP波が突然現れなくなります。
 原因として考えられるのは、急激な運動によるもので、特にふだんから運動をしない人だと、洞停止の発症のリスクが高まります。特に高齢者の場合は、高血圧治療薬や虚血性心疾患治療薬、抗不整脈薬、精神疾患治療薬などの薬剤投与によって洞停止が引き起こされることもあります。
 洞停止の典型的な症状は、心拍数が減少して脈がゆっくりになる徐脈、または約5秒間以上の洞停止に続く心停止に伴う脳虚血症状として現れ、意識障害、眼前暗黒感、めまい、失神、顔面蒼白(そうはく)、けいれん、呼吸停止などが起こります。夜間睡眠中に脳虚血症状が現れる場合は無症状で経過することもありますが、日中に現れる脳虚血症状により転倒した場合には時に、重大な頭部外傷をもたらす危険もあり、心停止から拍動が回復しない場合は突然死することもあります。
 運動時の息切れや疲労感、心不全の悪化による呼吸困難、乏尿として現れる場合もあります。
 脳虚血症状などが長引く場合、繰り返すような場合には、循環器専門医の診察を受けてください。
[ハート]洞停止の検査と診断と治療
 循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、症状を起こした時の心電図を記録し、確認することで洞停止と確定します。
 洞停止の状態の波形として、P波の後に著しい長さの休止期があったり、P波が突然現れなくなったりします。洞停止のバックアップ機能として、房室接合部が自力で興奮する能力が優位となり、補充収縮が出現することもあります。
 体表面の異なる12方向から記録する12誘導心電図、24時間ホルター心電図、携帯型簡易心電計などによる検査でわからない場合は、心臓電気生理学的検査(EPS)と呼ばれるカテーテル検査を行うこともあります。
 循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科の医師による治療では、症状が軽い場合は、洞結節の自発的な興奮の回数を増やす薬剤を使用します。抗コリン薬(硫酸アトロピン)、β(ベータ)刺激薬(イソプロテレノール)などの経口薬や静注薬です。
 薬を投与しても効果がみられなかった場合や、薬の投与を中断すると症状が悪化するような場合には、恒久型ペースメーカーを体内に植え込む必要が生じることもあります。
 恒久型ペースメーカーは、徐脈が現れた時のみ電気刺激を出して心臓を刺激することにより心拍数を正常にし、高度な徐脈、心停止による失神などを予防します。手術で、ライターほどの大きさの恒久型ペースメーカーを鎖骨の下に植え込み、脈の状態は心臓の中に留置したリード線を通して察知します。

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