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■おたふく風邪による難聴、2年間に336人 耳鼻咽喉学会がワクチン定期化を要望 [健康ダイジェスト]

 子供を中心に流行するおたふく風邪(流行性耳下腺炎)にかかり、一時的なものも含め、難聴となった人が2年間で少なくとも336人に上ることが5日、日本耳鼻咽喉科学会の調べで明らかになりました。
 これまでも難聴になる危険性は指摘されてきましたが、全国調査で規模が明らかになるのは初めて。
 耳鼻咽喉科学会は「静観すべきではない」として、現在は任意接種で接種率が低いワクチンの定期接種化を厚生労働省に要望する意向を示しました。
 学会は今年2月から、全国の耳鼻科約5600施設を対象に、2015年から2年間のおたふく風邪の難聴への影響について調べました。回答を寄せた3536施設で難聴と診断された336人のうち、314人ぶんについて、最終的な聴力や治療内容など詳細な回答を得ました。
 その結果、314人の約8割に当たる261人が日常生活にかなり支障を来す高度難聴以上でした。両耳とも難聴となった14人中11人が日常生活に支障が出たため、補聴器を使ったり、人工内耳を埋め込む手術を受けたりしていました。
 年代別では、10歳未満が151人、10歳代が69人で、未成年者が65%を占めました。一方で、子育て世代の30歳代も47人と比較的多くなっていました。
 おたふく風邪は、ムンプスウイルスがせきやくしゃみ、接触で移り、2~3週間の潜伏期間後に耳の下の唾液腺の一種である耳下腺がはれ、痛みや熱を伴うことも多い感染症。合併症には難聴のほか、無菌性髄膜炎、膵(すい)炎、精巣炎などがあります。
 予防のためのワクチンは、1989年から風疹、はしか(麻疹)と合わせた三種混合(MMR)ワクチンとして、原則無料の定期接種になりました。しかし、副反応の無菌性髄膜炎が問題になり、1993年に定期接種が中止になりました。現在はおたふく風邪ワクチン単独の任意接種で、接種率は30~40%ほどとされています。
 乳幼児委員長として調査を担当した守本倫子(のりこ)・国立成育医療研究センター耳鼻咽喉科医長は、「先進国で定期接種でないのは日本だけだ。おたふく風邪による難聴になると治療は難しく、日常生活に非常に支障を来してしまう。予防できる難聴であることを知ってほしい」と話しています。

 2017年9月7日(木)

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■iPS創薬、世界初の治験を7日に開始 京大病院が骨の難病で [健康ダイジェスト]

 患者のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って京都大学の研究チームが見付けた骨の難病の治療薬候補について、京都大学医学部附属病院が7日から臨床試験(治験)を始めることが6日、明らかになりました。
 京大によると、iPS細胞を使って発見した創薬の治験は世界初。京大病院は現場の医師が主体となって進める「医師主導治験」で取り組み、実際の患者に治療薬候補の投与を始めて、安全性や効果を確かめます。7日から対象患者の登録が可能になります。
 この難病は、タンパク質の一種「アクチビンA」が異常に働くことで、筋肉や腱(けん)、靱帯(じんたい)などの組織の中に骨ができる進行性骨化性線維異形成症(FOP)で、200万人に1人の割合で発症し、国内の患者は約80人とされます。今まで、根本的な治療薬がありませんでした。
 投与するのは既存薬の「ラパマイシン」で、臓器移植後の拒絶反応を抑える免疫抑制剤として使われています。京大の研究チームが、進行性骨化性線維異形成症の患者の細胞から作ったiPS細胞をさまざまな細胞に変えて病態を再現。そこに治療薬候補を投与する実験などをして、約7000種の物質の中からラパマイシンに絞り込みました。マウスに投与する実験では、病気の進行を遅らせる効果がありました。
 iPS細胞の応用では、体の組織を作って移植する再生医療と創薬が二本柱として期待されています。再生医療では理化学研究所などがiPS細胞から目の細胞を作り、目の疾病の患者に移植する研究をすでに進めています。心臓病や脊髄損傷でも、人での再生医療を目指す研究が進んでいます。
 もう一方の創薬応用では、今回が初めて人に投与する治験となります。iPS細胞が開発されてから約10年がたち、創薬でも人に投与する段階に達しました。患者の細胞をもとに作ったiPS細胞からは、病気を引き起こす細胞を実際に作り出すことが可能で、患者の体内を再現できることで、新薬を試す実験が進みます。

 2017年9月7日(木)

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