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■交通事故による脳障害に小規模委託病床を展開 国交省、専門病院がない空白地域に [健康ダイジェスト]

 交通事故による脳損傷で最重度の障害を負った患者のため、国土交通省所管の独立行政法人・自動車事故対策機構は来年度から、全国8カ所で運営する専門病院のない地域に5床程度の小規模な委託病床を展開することを決めました。
 また、グループホームなどの福祉施設が交通事故の後遺症を抱える人を受け入れやすくするため、介護の専門機器の購入費などを補助する制度を新設します。
 自動車事故対策機構は現在、自動車損害賠償責任(自賠責)保険制度の資金を活用して、50~80床の「療護センター」を宮城、千葉、岐阜、岡山の4県で運営。一般病院に委託して療護センターに準じた治療を行う12~20床の「委託病床」も、北海道、神奈川、大阪、福岡の4道府県にあります。
 この8カ所の専門病院の計290床では、意識不明の重体になった最重度の「遷延性意識障害者」が入院して治療とリハビリを最長3年間受けられ、同じ看護師が1人の患者を退院まで継続して受け持つため、頻繁に声を掛けて刺激を与えるなど手厚いリハビリができます。
 救命医療の進歩で交通事故死者は減っていて、2016年で3904人と1949年以来67年ぶりに4000人を下回りましたが、遷延性意識障害者を含めた重度後遺障害者は毎年、新たに2000人程度生まれており、横ばい傾向にあります。
 専門病院は日本海側など空白地域もあることが問題になっていたため、自動車事故対策機構は5床程度の小規模委託病床を空白地域で順次運営する方向で、2018年度中にまず1カ所を選定する方針。国土交通省は2018年度概算要求に、2017年度比約6億円増の計約74億円の関連予算を計上しました。これとは別に、大学病院などの高度医療機関へ委託して、専門治療の機会を増やす新しいタイプの委託病床も展開する計画で、2017年度中に5床の1カ所が開設される予定。
 また、概算要求には専門病院での医療の充実にとどまらず、グループホームなどの福祉施設への助成制度として1億4900万円を計上。重度後遺障害者を介護する家族間で「介護者亡き後」が大きな課題となっているため、国土交通省は全国10カ所のグループホームなどを対象に、たん吸引装置の購入やヘルパー研修の費用などを補助します。
 「全国遷延性意識障害者・家族の会」(約300家族)の桑山雄次代表は、「介護している会員は高齢化が進んでおり介護者亡き後の問題は切実だ。国交省が患者の治療だけでなく、社会生活支援の強化に乗り出したことは意義がある」と話しています。

 2017年9月3日(日)

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■OTC欠損症、新生児検査で発見可能に 島根大病院が世界で初めて開発 [健康ダイジェスト]

 島根県出雲市の島根大学医学部付属病院は1日、生後間もない新生児に先天性の病気がないかを調べる血液検査「新生児マススクリーニング」で、従来は事前に見付けることが難しいとされていた先天性疾患の「オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症」の検査方法を見付け、新たに検査対象にしたと発表しました。
 新生児マススクリーニングでOTC欠損症の検査は、世界初といいます。
 島根大病院によると、OTC欠損症はアミノ酸を分解する酵素の一つがうまく働かず、肝臓で有害なアンモニアの解毒が阻害される生まれ付きの代謝異常。アンモニア濃度が高くなると、新生児はミルクの嘔吐(おうと)やけいれん、意識障害を引き起こす可能性があり、発達の遅れや突然死の原因にもなるといいます。国内では8万人に1人の確率で、発症するといいます。
 新生児マススクリーニングは、1977年から始まりました。2014年からは新たな検査法で、20以上の先天性の病気が一度にわかるようになりました。検査は生後5日前後の新生児の少量の血液を、ろ紙に染み込ませて、検査機器で調べます。
 しかし、現在、全国の病院で広く採用されている「タンデムマス・スクリーニング」という検査では、OTC欠損症の新生児に多くみられるアミノ酸の一種を測定できませんでしたが、島根大病院は検査を改良し血液中のアミノ酸の分析方法を変えることで測定が可能になりました。症状が出る前に治療をすることにつながる一方、新生児の体への新たな負担はないといいます。
 島根県の委託を受けて今年度からは、同県内で生まれた新生児が島根大病院で無料検査を受けられます。OTC欠損症の検査は、島根大病院で生まれた新生児を対象に8月21日から始め、すでに数人を検査しました。
 検査方法を見付けた島根大医学部の研究グループの一人、小児科の小林弘典助教(42歳)は記者会見で、「OTC欠損症は、薬や肝臓移植で元気に成長できる。早い段階で見付け、適切な治療をしたい」と語っています。
 希望する県内の病院にも順次広げる方針で、ほかの9病院の新生児も検査する準備をしています。

 2017年9月3日(日)

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■用語 心室早期興奮症候群 [用語(さ行)]

[喫茶店]発作があると危険な頻脈性の不整脈
 心室早期興奮症候群とは、脈拍が速くなる頻脈性の不整脈を生じる疾患の一つ。副伝導路症候群、ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群、WPW症候群とも呼ばれます。
 不整脈とは、一定間隔で行われている心臓の拍動のリズムに、何らかの原因によって乱れが生じる疾患です。
 血管系統の中心器官である心臓には、4つの部屋があります。上側の右心房と左心房が、血液を受け入れる部屋です。下側の右心室と左心室が、血液を送り出す部屋です。4つの部屋がリズミカルに収縮することで、筋肉でできている心臓は絶え間なく全身に血液を送り出すことができるのです。このリズムを作っているのが心臓の上部にある洞結節(どうけっせつ)と呼ばれる部分で、1分間に60~80回の電気刺激を発生させて、心臓を規則正しく収縮させています。この電気刺激が正常に働かなくことによって、拍動のリズムが乱れる不整脈が生じます。
 心室早期興奮症候群の多くの原因としては、ケント(Kent)束と呼ばれるバイパス(副伝導路)が存在することによって、電気信号の旋回(空回り、リエントリー)が起こることが挙げられます。通常は洞結節から発した電気信号は心房を経由して心室へと伝達されますが、この疾患では信号が通常のルートのほかケント束を経由する2つのバイパスを伝わるため、発作が起きるとより早期に心室の興奮を生じ、拍動のリズムを乱してしまいます。発作時の脈拍が240回以上にも達する場合もあり、救急隊員が驚くことがあります。
 しかし、バイパスがあっても症状が出る人は一部で、多くは健康診断などで発見されるまで、自覚症状がないため気付かずにいます。多くは放置しても自然に治まりますが、長時間続く場合は投薬により抑えます。
 従来は危険性のそれほどない一種の先天性疾患として高血圧、高脂血症、肥満、喫煙等の生活習慣をコントロールすることで改善されることがあるとだけされてきましたが、1980年代からの研究により、心房細動から心室細動に移行したケースがあることが判明し、危険な不整脈であると位置付けられたため、突然、脈拍が速くなる頻脈性の不整脈発作がみられた場合は即座に循環器科、内科循環器科、内科などの医師に診察してもらう必要があります。
[喫茶店]心室早期興奮症候群の検査と診断と治療
 循環器科、内科循環器科、内科などの医師による診断では、心電図検査で特異的な波形を示す心室早期興奮症候群が見付かり、危険度の高いタイプかどうかもわかります。
 循環器科、内科循環器科、内科などの医師による治療では、動悸(どうき)がない場合、処置は必要ありません。脈拍数が150回以上で、突然始まって突然止まる動悸、あるいは全く不規則に脈が打つ動悸がある危険度の高い場合は、不整脈を抑える薬を飲み続けて発作を抑えます。
 カテーテル焼灼(しょうしゃく)法(カテーテルアブレーション)といって、鼠径(そけい)部などから管を挿入し、バイパス部分を焼いてしまう根治療法も行われています。 
 危険グループでなければ、経過をみていけばいいのですが、禁煙と肥満解消を心掛け、食事などによる高血圧や高脂血症の予防と改善が大切です。過激な運動、過労や睡眠不足、不摂生、強いストレスなどは不整脈発作の引き金になるので注意します。

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