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■赤ちゃんポスト利用の母親、86%が孤立出産 過去3年間で割合高まる [健康ダイジェスト]

 熊本市にある民間病院の慈恵病院が親が育てられない子供を匿名で預け入れる、いわゆる「赤ちゃんポスト」(こうのとりのゆりかご)に、この3年間に子供を預けた母親29人のうち、少なくとも25人(86・2%)が医療機関でなく1人で出産した「孤立出産」でした。大学教授や医師らでつくる熊本市の専門部会が23日、利用実態を公表しました。
 公表されたのは、2014年4月~2017年3月の状況。それによると、利用した母親は29人で、直接または手紙などで状況が確認できた人のうち25人が、自宅や車中などで医療的ケアを受けないまま1人で出産した孤立出産でした。
 赤ちゃんポストは2007年5月に開設され、熊本市の専門部会などが2~3年ごとに、利用実態や課題を検証しています。孤立出産の割合は、3~6割で推移してきましたが、今回は開設当初の3倍近い割合になりましたた。
 専門部会長の山縣文治・関西大教授(子供家庭福祉学)は、「出産を誰にも知られたくない母親に対する公的支援が行き届いていないことが原因」とみています。
 また、今回は預けられた子供に低体温症などで治療が必要だったケースが14件(48・2%)あり、増加傾向にあります。山縣教授は「孤立出産の割合が高いことが影響しているのでは」と分析し、「預け入れを前提に自宅出産し、直後に長距離移動する危険なケースが近年増えている」として、病院や国に対し子育てや妊娠に悩む母親の相談・支援の充実を求めています。
 熊本市の大西一史市長は孤立出産の割合が高くなっていることに関して、「母子ともに生命の危険に陥らないよう努める必要がある。熊本市だけでなく日本社会全体の問題として具体的なアクションを起こすよう国への働き掛けを続けていく」と話しました。

 2017年9月25日(月)

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■顔のしわ取り機を医療機関に違法販売・貸与 大阪府警、業者を逮捕 [健康ダイジェスト]

 高周波で顔のしわを取り、たるみをなくす国内未承認のアメリカ製の美容医療機器「サーマクール」を不正に輸入・販売するなどしたとして、大阪府警は25日、大阪市住之江区の医療機器販売会社「セイルインターナショナル」社長、坂口時彦容疑者(62歳)(大阪市中央区)と、元同社販売課長、田中聡容疑者(47歳)(大阪市福島区)を医薬品医療機器法違反(未承認医療機器販売・貸与)の疑いで逮捕しました。
 大阪府警生活環境課などは、セイルインターナショナルが全国のクリニックに販売や貸与していたとみています。
 逮捕容疑は昨年10月〜今年1月、サーマクール1台を名古屋市中区の医療機関に395万円で販売したほか、東京都豊島区と横浜市西区の2医療機関に1台月額13万〜16万円で貸したとしています。
 坂口容疑者は「サーマクールが未承認であることは理解しているが当社は輸入事務の代行をしているだけで、販売は別会社がした」と否認し、田中容疑者は認めているといいます。
 サーマクールは棒状の先端部分を顔に当て、電磁波による刺激でコラーゲンを増やして、しわやたるみを取る効果があるとされるアメリカ製の美容機器。医薬品医療機器法では、未承認医療機器の国内販売を禁じていますが、国が許可すれば医師が治療目的で個人輸入することができます。
 坂口容疑者らは、この制度を悪用。セイルインターナショナルは2010年に医療機器の輸入や販売を始めていましたが、取引先の複数の医師の医師免許証のコピーを本人に無断で厚生労働省近畿厚生局に提出して通関用の証明書をだまし取り、サーマクールをアメリカから輸入して、関東を中心に全国の医療機関に販売していたとみられます。
 大阪府警は今後、詐欺や有印私文書偽造・同行使容疑での立件も視野に調べます。
 クリニックでは、安全のため使用回数制限があるチップを、肌に当てる部分の先端に付けて施術します。厚労省によると、セイルインターナショナルは本体と合わせて、チップの回数制限を解除する不正機器を123の医療機関に販売していました。
 厚労省は今年1〜2月に計2回、セイルインターナショナルに立ち入り調査を行い、不正改造したチップによるやけどや水膨れの被害が9件あったことを確認。2月16日に、改造品の使用の中止を医療機関に対して呼び掛けるよう都道府県などに通知していました。

 2017年9月25日(月)

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■用語 スポーツ心臓 [用語(さ行)]

[ハート]長期にわたり、激しい肉体運動を続けるスポーツ選手などにみられる心臓の状態
 スポーツ心臓とは、長期にわたって激しい肉体運動を続けるマラソン、水泳、ボート、自転車などの持久力を要するスポーツ選手にみられる、心臓が肥大する症状。アスリート心臓、スポーツ心臓症候群とも呼ばれます。
 1899年、スウェーデンのヘンシェン医師がクロスカントリースキー選手の診察をして、心臓疾患がないのに心臓が大きくなっていることに気付いて、この特異な症状をスポーツ心臓と名付けました。
 高血圧や心臓弁膜症などの疾患でも心臓が大きくなりますが、このような病的な心臓とスポーツ心臓との最も重要な相違は、病的な心臓では心機能が低下しているのに対して,スポーツ心臓では心機能が優れている点です。一般的に、スポーツを中止すると平常のサイズの心臓に戻ります。
 スポーツ心臓の特徴は、心臓自体が球状に大きくなっていくのとともに、不整脈や徐脈など脈拍に変動がみられることが挙げられます。
 一般的な人の場合、安静時の心拍数は1分間に60~80回が正常とされ、安静時の心拍数が50回以下になると、脈拍が遅くなる徐脈性の不整脈である疑いが指摘されます。しかし、スポーツ心臓が出現するようなトップ選手では、安静時の心拍数が40回を下回ることが少なくなく、中には30回以下という例もあります。
 一般の人では異常とされる所見も、スポーツ心臓の場合には激しい肉体運動によって心臓に構造的、機能的な変化が生じたもので、生理的な適応現象だと考えられています。
 なお、脈拍は徐脈の傾向を示しますが、血圧に関しては、一般の人の血圧とスポーツ心臓の人の血圧とには、数値にそれほど大きな違いはみられないとされています。
 スポーツ心臓は、いずれの競技種目の選手にもみられるものではなく、種目によって出現しやすさが変わります。比較的多くみられるのは、マラソン、水泳、ボート、自転車、クロスカントリースキー、重量挙げ、柔道などの持久力や耐久力が必要とされる競技種目の選手です。
 スポーツ心臓の特徴を示すに至るには、スポーツ歴が長く、しかもかなりハードなトレーニングを長い期間にわたって続けることが必要になります。ある調査で、1日に10キロほどのジョギングの習慣があり、フルマラソンやトライアスロンのレースにも出場するような市民ランナーを対象に心臓の所見を調べたところ、スポーツ心臓の場合と同様に徐脈の傾向はみられたものの、スポーツ心臓との所見がみられた例はなかったといいます。
 このことからも、スポーツ心臓自体はかなりハードで高度なトレーニングを何年にもわたって続けてきたトップ選手にのみ出現するものだと考えられています。トップ選手がスポーツ心臓になる確率は、女性が22・5%、男性が7・5%と女性のほうが高くなっています。
 スポーツ心臓は競技種目の特性やトレーニングの強度などにより、心肥大型、心拡張型、複合型に分類されます。
 心肥大型は、瞬発力を要するような競技種目の選手に多くみられる型です。代表的な競技種目に、重量挙げや柔道、レスリングなどがあります。筋力トレーニングのように、筋肉を急激に縮めるような運動を行うことで心臓にはその圧力の負荷がかかるため、次第に心臓の壁が厚くなっていきます。特に、左心室の壁に筋肉が増えることによる肥厚が顕著となります。また、それに伴って心臓の重さも増します。
 心拡張型は、持久力を要するような競技種目の選手に多くみられる型です。代表的な種目としては、マラソンなどの長距離走や水泳があります。持久性トレーニングのような運動により、運動をしている時には血圧が上昇し、心拍数も増加します。また、1回に心臓から送り出される血液量も増加するため、一度に送り出す血液の容量を増やすという負荷が心臓に加わります。その結果、次第に心臓は容積を増やすように拡張して大きくなります。とりわけ、左心室の内腔に容積の拡大が顕著にみられるという特徴があります。
 複合型は、心肥大型と心拡張型との両方が起こった状態です。代表的な競技種目に、自転車やクロスカントリースキーがあります。競技時間が長く有酸素的な酸素供給量が必要なことと、筋肉が1回当たり出力している時間が他の競技と比べ長いために、心室の壁が厚くなり、かつ心室の容積が増えるタイプの心臓となります。
 心電図にしばしば異常が認められ、不整脈や徐脈など脈拍に変動がみられる場合でも、スポーツ心臓と診断される場合には病的なものとはされません。しかし、例えばスポーツ中に突然死する原因の一つとされる肥大型心筋症のように、スポーツ心臓と類似した所見を示す疾患が、スポーツ心臓と誤診される可能性がないわけではありません。
 定期的に検診やメディカルチェックを受けるようにして、必要な場合にはきちんと治療を受けておくようにすることが大切です。
[ハート]スポーツ心臓の検査と診断と治療
 循環器科、内科循環器科、内科などの医師による診断では、スポーツ歴、病歴を問診した上、聴診、心電図検査、胸部X線検査を行います。
 スポーツ心臓の特徴である聴診時の心雑音、安静時の心拍数が1分間に40~50回未満の徐脈、胸全体の大きさに対して心臓が占める割合である心胸郭比50%超を認める場合は、スポーツ心臓である可能性が高いと判断します。
 過去に心筋症や不整脈がなかったことを確認できない場合は、特発性拡張型心筋症、肥大型心筋症などがスポーツ選手にとっての突然死の原因となり得るため、心エコー検査、ホルター心電図検査、運動負荷心電図検査などを追加して精密検査を行い、重篤な心疾患との鑑別を行います。
 循環器科、内科循環器科、内科などの医師による治療では、一般に経過が良好なため、処置を行いません。スポーツ心臓における変化は可逆的なのが特徴で、トレーニングを中止するとスポーツ心臓にみられる特徴の多くはみられなくなります。

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