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■相次ぐO157感染、11都県で同じ遺伝子型の菌を検出 共通汚染源が広域に流通か [健康ダイジェスト]

 埼玉、群馬両県の系列総菜店で購入したポテトサラダなどを食べた人が腸管出血性大腸菌O157に相次いで感染し発症した問題で、両県や関西を含めて計11都県の患者から、同じ遺伝子型のO157が検出されていたことを2日、厚生労働省が明らかにしました。
 共通の汚染源の食物などが広域に流通し、患者からの二次感染でさらに拡大している可能性があるとみて、厚労省は都道府県などに情報収集を呼び掛けています。
 東京、千葉、神奈川、栃木、新潟、三重、長野、滋賀、香川の各都県でも、この夏、同じ遺伝子型のO157が確認されたといいます。
 この遺伝子型のO157は、「VT2」と呼ばれるベロ毒素を出すタイプの一種。このタイプが検出された患者は、8月14〜20日までの1週間で144人に上り、直近5年間で最も流行したピーク時の週当たりの報告数を上回りました。このタイプのうち、遺伝子型まで一致したO157が11都県で検出されました。
 厚労省は広域的な調査が必要と判断し、このタイプのO157の患者が判明した際には、発症1週間以内に食べた食事の内容や、旅行・プールの利用・動物との接触の有無、家族の健康状態などを詳細に聞き取り調査し、国立感染症研究所に報告するよう都道府県などに1日、通知しました。夏休みが終わり学校給食が再開されるため、調理業者への感染予防の指導を徹底することも求めています。
 O157に感染しても、下痢や腹痛などの症状が出ない場合もあります。厚労省は、「自覚症状がなくても、手洗いの徹底などで予防をしてほしい」と注意しています。
 腸管出血性大腸菌O157は元々、牛、羊、豚などの家畜の腸にいる大腸菌の一種。食肉処理などの際に、肉の表面に付着することがあります。毒性が強く、重症化して溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症を起こすと死に至ることもあります。食中毒の発生は、菌が増殖しやすい初夏から初秋にかけてが多く、菌が人の手足などを介して二次感染する恐れがあります。対策としては、加熱(75度で1分以上)と、食材についた菌を洗い流すことなどが挙げられます。

 2017年9月2日(土)

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■慶大先端研など、大腸がんの代謝が変化する仕組みを解明 原因の遺伝子特定 [健康ダイジェスト]

 慶應義塾大学先端生命科学研究所(山形県鶴岡市)は8月29日、曽我朋義教授を中心とする研究チームが大腸がんのメカニズムを解明したと発表しました。
 100年来の謎とされてきた、がん細胞特有のエネルギー代謝の仕組みをメタボローム(代謝物質)解析技術で調べ、原因となるがん遺伝子「MYC」を特定しました。MYCの抑制による治療への応用が期待されます。
 がん細胞は正常細胞と異なる代謝を使って生存に必要なエネルギーを産生していることが知られており、この現象は1920年代にドイツの生理学者オットー・ワールブルグが発見し、1931年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。近年、この代謝以外にも、がんに特異的な代謝がいくつか見付かり、がん細胞はこれらの代謝を使って増殖に必要な生体分子をつくり出していることがわかっています。
 現在では、がんが示す代謝を阻害してがん細胞を死滅させようとする抗がん剤の開発が世界中で行われていますが、がん細胞がどのような仕組みで代謝を変化させるかについては、よくわかっていませんでした。
 今回、研究チームは、曽我教授が開発を主導したメタボローム解析装置「キャピラリー電気泳動質量分析計」で、香川大学医学部を通じて採取した大腸がん患者275人のがん細胞と正常細胞に存在する代謝物質を網羅的に調べました。
 その結果、正常細胞に比べ、がん細胞内で約8倍に増えるMYCが、215の代謝反応を介して大腸がんの代謝を変化させていることを突き止めました。MYCの発現を抑えることで、ほかのがん遺伝子も抑制できることが臨床検体を通じてわかり、曽我教授は「MYCがほかの代謝反応をコントロールしている」と説明し、MYCの制御が今後の大腸がんの治療法の開発に有用としています。
 また、大腸がん細胞の代謝は良性腫瘍の段階でも変化し、がんの進行に連動しないこともわかりました。
 曽我教授は、「がんが進めば、代謝も変化していくというのが一般的な見方。大腸がんになる以前から変化することがわかった。また、がんの謎であったがんが代謝を変化させるメカニズムを、臨床検体を用いて初めて解き明かすことができた。この成果によって大腸がんの予防法や治療法の開発が進展すればうれしい」と強調しています。
 研究成果は8月29日付で、アメリカの学術誌「米国科学アカデミー紀要」(電子版)に掲載されました。

 2017年9月2日(土)

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■介護の費用額9・7兆円、利用者数は614万人に ともに過去最多を更新 [健康ダイジェスト]

 厚生労働省は8月31日、2016年度の「介護給付費等実態調査」の結果を公表しました。年度単位では最新のデータとなります。
 それによると、利用者の自己負担を含め介護サービスと介護予防サービスを合計した全体の費用額は、9兆6924億円。これまでで最も多くなりましたが、前年度からの伸び率は1・9%と小幅にとどまっています。
 これをサービスごとにみると、特養の1兆6922億円、通所介護の1兆5504億円、訪問介護の8454億円などが目立っています。相対的に伸び幅が大きいのは通所介護で、前年度から4・1%増え、初めて1兆5000億円を超えています。
 介護サービスと介護予防サービスを利用した人数は、613万8100人。前年度から8万7100人増、率にして1・4%増で、こちらも過去最多を更新しました。高齢化の進行を背景に過去最多の更新を続け、本格的に調査を開始した2003年度の利用者数の1・6倍を超えました。
 介護サービスの利用者は、前年度から13万5600人増、率にして2・8%増の497万5500人。一方、介護予防サービスの利用者は、前年度から5万9400人減、率にして3・8%減の150万100人で、2006年度の開始以来初めて減少に転じました。
 全体の費用額の伸びが小幅にとどまり、介護予防サービスの利用者が減少したのは、要介護度の軽い要支援1、2の人向けのサービスが2015年度以降、段階的に介護保険から切り離され、市町村運営の事業に移行したことが要因とみられます。
 介護サービスの利用者のうち、居宅サービスは前年度から0・8%増の373万5200人、居宅介護支援は前年度から2・8%増の344万5700人、施設サービスは前年度から1・5%増の125万700人、地域密着型サービスは前年度から約2倍増の111万9300人でした。
 居宅サービスのうち、利用者数が最も多かったのは福祉用具貸与の前年度から4・8%増の223万2200人。訪問介護も前年度から1・1%増の144万500人となった一方、通所介護(デイサービス)は前年度から20・2%減の153万300人となりました。
 厚生労働省の担当者は、「小規模な通所介護事業所の地域密着型サービスへの移行策として、2016年度に地域密着型通所介護が創設されたことにより、通所介護の受給者数が減少した」としています。
 施設サービスの利用者は、介護福祉施設サービス(特別養護老人ホーム)が前年度から2・6%増の65万6600人、介護保健施設サービス(介護老人保健施設)が前年度から0・8%増の55万2200人となったのに対し、介護療養施設サービス(介護療養型医療施設)は前年度から5・7%減の9万1600人でした。
 地域密着型サービスの利用者は、地域密着型通所介護が58万5500人、短期利用を除いた認知症対応型共同生活介護が前年度から2・6%増の24万700人、小規模多機能型居宅介護が前年度から6・0%増の12万7500人などとなりました。
 介護サービスと介護予防サービスを合計した利用者1人当たりの費用額(今年3月分)は、前年度より3300円高い16万400円で、介護サービスで19万1200円、介護予防サービスで3万5100円。
 利用者1人当たりの介護サービスの費用額を都道府県別にみると、最も多かったのが沖縄県の20万9400円で、石川県の20万4200円、鳥取県の20万3900円と続きました。介護予防サービスでは、佐賀県の3万9800円が最も多くなりました。

 2017年9月2日(土)

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