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■ノバルティスの新型がん免疫薬、アメリカで世界初の承認 小児の難治性白血病が対象 [健康ダイジェスト]

 スイス製薬大手のノバルティスは8月30日、自社で開発していた新型のがん免疫薬が世界で初めてアメリカで承認されたと発表しました。
 臨床試験をもとに算出された、がんを縮小させる奏効率が高く、がん治療の新たな手段として世界的に注目を集めている薬で、7月にアメリカの食品医薬品局(FDA)の諮問委員会で審査を通過し、承認の期待が高まっていました。
 承認された新薬の名前は「キムリア」で、キメラ抗原受容体T細胞(CAR―T、カーティー)と呼ばれる新しいカテゴリーの薬剤。特殊な血液ろ過処理で採取した患者の免疫細胞の一種であるT細胞を遺伝子操作することで、がん細胞を見付けやすく加工してキムリアとし、患者の体内に戻します。キムリアががん細胞に結合すると攻撃を加えて死滅させ、がんを治します。
 今回承認されたキムリアは、25歳以下の小児や若者の急性リンパ性白血病の患者が対象となります。アメリカなどで行われた臨床試験では、ほかの治療法が無効あるいは骨髄移植ができない患者群に対し83%の確率で効果を示しました。試験結果を受け、食品医薬品局はキムリアを優先審査の対象とし、スピード審査を実施していました。ノバルティスは日本でも臨床試験を行っていますが、承認申請には至っていません。
 薬価は、治療1回当たり47万5000ドル(約5200万円)と設定されました。患者から取り出したT細胞のリンパ球に遺伝子操作を行うほか、細胞の培養が必要なため、50万ドルに上ると一部で試算されていましたが、ほぼ予想の通りになりました。ただし、ノバルティスは、キムリアを投与して1カ月経っても治療への反応が出なかった患者には、治療費を請求しないとしています。
 アメリカではまず、医療施設20数カ所でキムリアを希望する患者への治療が可能になるとみられ、年内には35カ所が稼働する見通しです。
 キムリアと同様のキメラ抗原受容体T細胞と呼ばれる新しいカテゴリーの薬剤の開発には、多数の企業が参入しています。8月28日にアメリカのギリアド・サイエンシズがおよそ119億ドル(1兆3000億円)で買収すると発表したアメリカのカイト・ファーマも、食品医薬品局に承認申請を行っています。第一三共はカイト・ファーマと提携し、2019年までに日本で承認を得る計画で開発を進めています。また、血液がん以外のがんに応用するための研究も、国内外で進んでいます。
 東京大学医科学研究所・小澤敬也教授は、「期待されていたCAR―Tがアメリカで承認されたことは非常に喜ばしい。ただ、約5000万円の薬価はがんの治療費として非常に高額だ。今後の医療経済に与える影響が深刻になるのではないか。このような新しい治療法の医療費の在り方について、真剣な議論が必要になるだろう」と話しています。

 2017年9月1日(金)

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■iPS細胞でパーキンソン病の症状を改善 京大がサルで確認 [健康ダイジェスト]

 人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製したドーパミン神経細胞を、パーキンソン病のカニクイザルの脳に移植し、1年以上の長期にわたって有効性と安全性を確認したと、京都大学iPS細胞研究所の高橋淳教授らの研究チームが31日、イギリスの科学誌ネイチャー(電子版)で発表しました。
 今回の成果などをもとに、2018年度中にもパーキンソン病患者を対象にした再生医療の臨床試験(治験)を申請する方針を示しました。
 パーキンソン病は、脳の神経伝達物質ドーパミンを作る神経細胞の変性が主な病因で、手足の震えから進行し、体の運動機能が失われていきます。国内には約16万人の患者がいるとされ、既存薬や電極を脳に埋め込む治療法などでは症状の改善はできても、根治はできていません。
 高橋教授らは、これまでにも人のiPS細胞由来のドーパミン神経細胞を、パーキンソン病の症状を再現したカニクイザルの脳に移植する実験を行ってきましたが、今回は移植する細胞の作製法や量などを治験での計画と同一にして、詳細に評価しました。
 実験では、パーキンソン病患者などのiPS細胞から作製したドーパミン神経細胞を、8匹のカニクイザルの脳に移植。移植が原因とは考えられない病気を発症した1匹を除いて移植後約1年にわたり、徐々に手足の震えが減り、表情が豊かになったり、行動が活発になったりすることが確認できました。また、カニクイザルの脳の組織を磁気共鳴画像装置(MRI)などを使って調べ、移植した細胞の一定量が生着してドーパミンを作り出していることや、1年半から2年は脳内に腫瘍を作らないことも確かめました。
 高橋教授は理化学研究所などとの別の研究で、パーキンソン病患者以外の健康な人のiPS細胞から作製したドーパミン神経細胞について、拒絶反応が起きにくいiPS細胞の型から作ったドーパミン神経細胞を、カニクイザルの脳に移植すると生着率が高く、炎症がほとんど起きないことも確かめました。
 2018年度中に申請する予定の治験では、拒絶反応が起きにくい人のiPS細胞を備蓄した「iPS細胞ストック」を使った移植を行う予定で、その有用性も確認できたとしています。
 高橋教授は、「基礎研究を実際の医療に応用するためには、そのプロセスが重要となる。治験の前に、人と同じ霊長類で有効性と安全性をしっかりと確認することができたと考える」と話しています。

 2017年9月1日(金)




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■ポテトサラダ食中毒、前橋市の総菜店を営業停止処分に 計9人からO157を検出 [健康ダイジェスト]

 埼玉、群馬両県の総菜店で販売されたポテトサラダを食べた客から腸管出血性大腸菌O157が相次いで検出された問題で、前橋市は30日、4人の感染者を出していた「でりしゃす六供(ろっく)店」(同市六供町)から新たに5人の感染者を確認し、30日付で3日間の営業停止処分とすると発表しました。
 前橋市はでりしゃす六供店のずさんな衛生管理体制も指摘し、それが原因でO157に感染した可能性もあるとみて調査を進めています。
 感染者9人は前橋市、高崎市、玉村町に住む1歳から84歳の男女。すでに判明していた4人は11日に販売されたポテトサラダを食べ、新たに確認した5人はコールスローサラダ、マリネなど数種のサラダ類を食べていました。でりしゃす六供店では11日、238人にサラダ類を販売しており、今後さらに感染者が増加する可能性もあります。
 発生当初は高崎市の食品加工工場で製造されたポテトサラダが感染源とみられていたものの、26日にサンプルが陰性と確認されたため、前橋市は埼玉県熊谷市で発生した食中毒事件とは関連が薄いと判断。9人については、でりしゃす六供店に感染源があるとみて、23日に立ち入り調査を行い聞き取りも実施していました。
 その結果、量り売りのトングを複数の総菜で使い回していたことが判明。感染源の特定には至っていないものの、不衛生な道具が原因の可能性もあるとみています。調理場には使用期限が2012年の塩素系消毒剤が置かれており、日常的に調理器具の消毒を行っていなかった恐れもあるとしています。さらに、同一のまな板や包丁を多くの食品に使用、アルバイトを多く雇っているチェーン店でありながらマニュアルもありませんでした。
 前橋市はずさんな衛生管理により店内の調理場、売り場のいずれかがO157に汚染されたとみて、調査を進めています。
 でりしゃす六供店を経営するフレッシュコーポレーション(群馬県太田市)は系列の全17店舗で24日から営業を自粛していますが、前橋市内にあるほかの系列店でO157に感染したという届け出はありません。
 前橋市は「安全への注意が十分ではなかった」として、調理器具の洗浄消毒や用途分けなどを指導し、改善を求めています。

 2017年9月1日(金)




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