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■国内初の民間精子バンクが活動中止 法整備の遅れや経済面での困難を理由に [健康ダイジェスト]

 精子がない病気などで不妊のカップルに対して安全に第三者の精子を提供しようと、独協医科大学の医師らが設立した国内初めての民間精子バンクが、今年3月末で活動を中止していたことがわかりました。精子提供を巡る法整備が進んでいないことや、経済面で施設の維持が難しくなったことが理由としています。
 第三者から提供された精子を使う不妊治療は、3年前の段階で日本産科婦人科学会の登録施設で年間約2000件行われ、77人の赤ちゃんが生まれています。
 近年、精子の提供者が減少し、患者の受け入れを停止している施設も多く、SNSなどで知り合った個人から精子を購入するケースもあることから、独協医科大学の岡田弘特任教授などは安全な治療ができるよう、一昨年国内初となる第三者からの精子を保存する民間精子バンク「みらい生命研究所」(埼玉県越谷市)を設立し、昨年からは国内の2カ所の医療機関に提供していました。
 しかし、岡田特任教授によりますと、精子バンクは今年3月末で活動を中止したということです。
 その理由について、第三者からの精子や卵子の提供で生まれた子供の出自を知る権利や、精子バンクの位置付けについての法整備が進まないことや、精子の検査や施設の維持費で赤字が続いたことなどがあるとしています。
 これまでに提供された精子は大学で保管し、今後、活動を再開させたいとしていますが、具体的なめどは立っていないということです。
 岡田特任教授は「生殖補助医療は不妊に悩むカップルだけでなく生まれてきた子供の権利が保証されるものでなければならない。精子バンクは管理しなければならない情報が多く、民間の一機関が単独で成り立たせるのは難しいとわかったので、事業を援助する法整備は必要だ」と話しています。 

 2023年6月10日(土)

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■海外臓器移植あっせん、仲介NPOを新たに提訴 死亡患者遺族が4000万円返還を求める [健康ダイジェスト]

 NPO法人「難病患者支援の会」(東京都目黒区)の仲介でベラルーシに渡航し、肝臓と腎臓の同時移植を受けた後に死亡した患者男性(当時45歳)の遺族がNPOを相手取り、費用の一部約4000万円の返還を求める訴訟を東京地裁に起こしていたことがわかりました。提訴は、NPOが臓器移植法違反容疑で2月9日に警視庁に摘発される前の1月29日付。
 訴状によると、男性は肝臓と腎臓を患い、NPOに仲介を依頼してベラルーシで臓器移植を受けることを決意。昨年5月ごろ、医師の診断書の手配や現地での滞在支援などの名目でNPOと契約を交わし、計約8500万円をNPOの口座に振り込みました。
 男性は同月中にベラルーシに入国し、臓器提供者(ドナー)が見付かるのを待ったものの、同7月下旬、NPOの滞在支援などは不要になったとして契約解除をNPOに伝えました。一方で、現地での滞在は続け、同9月1日に病院で肝臓と腎臓の移植手術を受けましたが、手術後に腹膜炎を起こし、同28日に現地で死亡しました。
 遺族は訴状で、男性が支払った費用のうち4000万円は使われておらず、NPOの不当利得に当たるとして返還を求めています。5月に第1回口頭弁論があったものの、NPO理事長の菊池仁達(ひろみち)被告(63)(臓器移植法違反で起訴)は勾留中で出廷せず、6月27日に次回弁論が予定されています。
 菊池被告は、男性とは別の患者2人にベラルーシでの臓器移植をあっせんしたとして臓器移植法違反(無許可あっせん)で東京地裁に起訴されています。
 NPOを巡っては、中央アジア・キルギスなどでの移植を依頼した別の男性(59)も昨年12月、手術を受けられなかったなどとしてNPOに約1841万円の返還などを求める訴訟を東京地裁に起こしています。

 2023年6月10日(土)

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■海外で臓器移植の543人、国内で通院中 渡航先はアメリカ最多227人、仲介団体関与は25人 [健康ダイジェスト]

 海外で臓器移植を受けた後、帰国して国内医療機関に通院している患者が3月末時点で543人に上ることが、厚生労働省の実態調査で明らかになりました。渡航先はアメリカが227人で最多、移植仲介団体が関与していたのは25人。調査結果は8日の参院厚生労働委員会で、加藤勝信厚労相が報告しました。
 臓器移植を巡っては、国内では臓器提供者(ドナー)不足が深刻で、無許可あっせん団体の仲介で海外に渡航し、トラブルに遭う患者も目立ちます。
 調査はNPO法人「難病患者支援の会」(東京都目黒区)による臓器あっせん事件を受け、厚労省研究班が実施。4~5月に日本心臓移植研究会や日本臨床腎移植学会など関係学会を通じ、医療機関203施設の計280診療科から回答を得ました。
 543人のうち、生体からの移植は42人、死体からは416人、不明が85人でした。臓器ごとの内訳は、腎臓250人、心臓148人、肝臓143人、肺2人。国別ではアメリカのほか、中国175人、オーストラリア41人、フィリピン27人、ドイツ13人、コロンビア11人、ベラルーシ5人など。
 国内移植をへて医療機関を受診している患者は3万1141人でした。
 加藤厚労相は「渡航して移植を受けた患者が一定数通院している実態が明らかとなった」とし、「各国が臓器提供と移植の自給自足の達成に努めるべきだという国際的な原則に基づき、臓器移植を国内で完結できるような体制の構築に努めていく」と表明しました。
 調査では、NPOのような移植仲介団体の関与の有無や、団体の名称などについても尋ねており、厚労省は調査結果を踏まえ、団体に対する規制の在り方についても検討します。

 2023年6月10日(土)

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