■病気 前立腺肥大症 [病気(さ行)]
高齢男性のほとんどがかかる病気
尿道が圧迫されて、排尿障害をもたらすことが知られている前立腺肥大症は、高齢の男性によく見られる病気です。
年齢と深い関係にあり、40、50代で症状が出始め、60歳を過ぎると半数以上の人が夜間頻尿と放尿力低下を訴え、65歳前後で治療を開始する人が多くなります。そして、80歳までには80パーセントの人が前立腺肥大症になるとみられています。
程度の差こそあれ、高齢の男性はほぼ全員が発症するため、男性の更年期症状とか、老化現象の一種という見方もできます。
尿道付近の前立腺組織が肥大して、尿道を圧迫するために起こる病気であり、ガンとは違って良性の増殖ですので、生命にかかわるような病気ではありませんが、放っておくと尿閉といって尿が全く出なくなることもあります。
症状には、第1期から第3期までがあります。
【第1病期(膀胱刺激期)】
夜間にトイレに行く回数が多くなる、尿の勢いがない、尿がすぐ出ない、少ししか出ない、時間がかかる(排尿障害)などの症状が出てきます。
【第2病期(残尿発生期)】
尿をした後もすっきりとせず、残っているような感じがする(残尿感)といった症状が出てきます。
【第3病期(慢性尿閉期)】
昼夜を問わずトイレに行く回数が増えて、排尿にかかる時間が長くなり、一回の排尿に数分かかるようになります。時には、尿が全く出なくなってしまうこともあります(尿閉)。
前立腺肥大症の検査と診断
前立腺肥大症は、男性であれば誰でもなる可能性があります。50歳を過ぎて尿の出が悪いと感じたら、一度泌尿器科の検査を受けてみてください。
前立腺肥大症の診断には、一般的に次のような検査が必要です。
問 診
自覚症状としての排尿障害の程度や、他の疾患との鑑別をするため、既往歴などを詳しく聞きます。
尿流量測定
他覚所見として、排尿障害の程度を数値化して表します。
直腸診
前立腺の大きさ、硬さ、表面の状態(なめらかさ・凹凸)がわかります。
超音波診断
前立腺の腹側の状態、残尿のおおよその量も推定できます。
血液検査
(腫瘍マーカーの測定)
腫瘍マーカー検査は、前立腺ガンとの鑑別のために行います。
前立腺肥大症の治療法
【薬物療法】
現在行なわれている薬物療法は、
1. 機能的閉塞に対するα1-ブロッカー
2. 機械的閉塞に対する抗アンドロゲン剤
3. 不安定膀胱に伴う刺激症状(頻尿、尿意切迫、切迫性尿失禁)に対する生薬・漢方薬があります。
これらの3項目が基本となり、第一選択薬としてα1-ブロッカーを使用し、機能的閉塞を解除することから行われます。
主な治療薬
α1-ブロッカー
排尿時は膀胱頸部の開大を助け、尿勢を増し、蓄尿時は膀胱の過活動を抑制し、日中および夜間の頻尿を軽減させます。 めまい・ふらつき・立ちくらみなどの低血圧に伴う症状が生じる場合があります。
抗アンドロゲン剤
前立腺を縮小させ、腺腫による直接的な機械的閉塞を改善させます。 肝機能障害、性機能障害や女性化乳房などがあります。
生薬・漢方薬
排尿困難、頻尿、尿意切迫、残尿感など複雑な自覚症状を改善させるといわれていますが、どのように作用するかは解明されていません。 軽度の消化器症状を認める程度です。
【手術的治療】
手術に踏み切る一定した基準はありません。病期でいえば第2病期以降で、薬物療法で思うように症状が改善しない場合や、残尿が100ml以上あり、尿閉を繰り返すような場合に手術を考えます。
主な手術法
経尿道的前立腺切除術(TURP)
先端に電気メスを装着した内視鏡を尿道から挿入し、患部をみながら肥大した前立腺を尿道内から削り取ります。 体内に入った灌流液が電解質のバランスを崩し、吐き気や血圧の低下などを起こすTURP反応と呼ばれる副作用が起こることがあります。
レーザー治療
尿道に内視鏡を挿入し、内視鏡からレーザー光線を照射します。そして肥大結節を焼いて壊死を起こさせ、縮小させます。 組織を焼いてしまうため、ガンの有無を調べられません。また、組織が壊死し脱落が起こるまで、症状の改善は見られません。
温熱療法
尿道や直腸からカテーテルを入れ、RF派やマイクロ派を前立腺に当てて加熱し、肥大を小さくして尿道を開かせます。 根治的な治療ではないため、半年から一年で症状はもとに戻ってしまいます。
尿道バルーン拡張法尿道ステント挿入法
肥大結節によって狭くなった前立腺部の尿道を物理的な力によって押し広げたり、管を挿入して尿道を確保する方法です。 救急的な意味合いの強い対処療法と位置付けられているため、あくまで手術ができない患者さんのための処置です。
前立腺肥大症にならないために
前立腺肥大症の最大の危険因子は、加齢です。これを防ぐことは誰にもできません。しかし、身に着けたほうがよいと考えられている生活習慣が、いくつかあります。それらをご紹介します。
1.オシッコを我慢しない
排尿を我慢すると尿閉になることあります。
2.体を冷やさない
特に下半身を冷やさないようにし、骨盤内の血液の循環を常に良い状態に保つようにする。
3.適度な運動を
血液の循環を良くし、前立腺のうっ血を予防する。
4.便秘に気を付ける
膀胱も腸と同じ平滑筋なので、便秘の人は排尿状態が悪くなっている可能性があります。
前立腺肥大症になったら
すでに前立腺肥大症になってしまった方は、上記4項目に加えて下記のことも守ってください。
1. 薬には十分注意する
薬の中には急性尿閉を起こすものがありますので、他の病院で診療を受ける時は、医師に必ず前立腺肥大症であることを伝えてください。
2. 水分を十分とる
夜間頻尿を恐れるあまり、水分摂取を抑えると脱水状態になり腎機能障害を起こすことがあります。
3. 過度なセックスは控える
神経質になる必要はありませんが、長時間にわたる過度なセックスなどは避けたほうが無難です。
4. 手術後は安静に
水分を多めに取り、こまめに排尿することが大切です。また、手術した部分を圧迫するような運動は避けてください。
詳しい病気の解説は四百四病の事典(http://ksjuku.com/jiten.html)へどうぞ
尿道が圧迫されて、排尿障害をもたらすことが知られている前立腺肥大症は、高齢の男性によく見られる病気です。
年齢と深い関係にあり、40、50代で症状が出始め、60歳を過ぎると半数以上の人が夜間頻尿と放尿力低下を訴え、65歳前後で治療を開始する人が多くなります。そして、80歳までには80パーセントの人が前立腺肥大症になるとみられています。
程度の差こそあれ、高齢の男性はほぼ全員が発症するため、男性の更年期症状とか、老化現象の一種という見方もできます。
尿道付近の前立腺組織が肥大して、尿道を圧迫するために起こる病気であり、ガンとは違って良性の増殖ですので、生命にかかわるような病気ではありませんが、放っておくと尿閉といって尿が全く出なくなることもあります。
症状には、第1期から第3期までがあります。
【第1病期(膀胱刺激期)】
夜間にトイレに行く回数が多くなる、尿の勢いがない、尿がすぐ出ない、少ししか出ない、時間がかかる(排尿障害)などの症状が出てきます。
【第2病期(残尿発生期)】
尿をした後もすっきりとせず、残っているような感じがする(残尿感)といった症状が出てきます。
【第3病期(慢性尿閉期)】
昼夜を問わずトイレに行く回数が増えて、排尿にかかる時間が長くなり、一回の排尿に数分かかるようになります。時には、尿が全く出なくなってしまうこともあります(尿閉)。
前立腺肥大症の検査と診断
前立腺肥大症は、男性であれば誰でもなる可能性があります。50歳を過ぎて尿の出が悪いと感じたら、一度泌尿器科の検査を受けてみてください。
前立腺肥大症の診断には、一般的に次のような検査が必要です。
問 診
自覚症状としての排尿障害の程度や、他の疾患との鑑別をするため、既往歴などを詳しく聞きます。
尿流量測定
他覚所見として、排尿障害の程度を数値化して表します。
直腸診
前立腺の大きさ、硬さ、表面の状態(なめらかさ・凹凸)がわかります。
超音波診断
前立腺の腹側の状態、残尿のおおよその量も推定できます。
血液検査
(腫瘍マーカーの測定)
腫瘍マーカー検査は、前立腺ガンとの鑑別のために行います。
前立腺肥大症の治療法
【薬物療法】
現在行なわれている薬物療法は、
1. 機能的閉塞に対するα1-ブロッカー
2. 機械的閉塞に対する抗アンドロゲン剤
3. 不安定膀胱に伴う刺激症状(頻尿、尿意切迫、切迫性尿失禁)に対する生薬・漢方薬があります。
これらの3項目が基本となり、第一選択薬としてα1-ブロッカーを使用し、機能的閉塞を解除することから行われます。
主な治療薬
α1-ブロッカー
排尿時は膀胱頸部の開大を助け、尿勢を増し、蓄尿時は膀胱の過活動を抑制し、日中および夜間の頻尿を軽減させます。 めまい・ふらつき・立ちくらみなどの低血圧に伴う症状が生じる場合があります。
抗アンドロゲン剤
前立腺を縮小させ、腺腫による直接的な機械的閉塞を改善させます。 肝機能障害、性機能障害や女性化乳房などがあります。
生薬・漢方薬
排尿困難、頻尿、尿意切迫、残尿感など複雑な自覚症状を改善させるといわれていますが、どのように作用するかは解明されていません。 軽度の消化器症状を認める程度です。
【手術的治療】
手術に踏み切る一定した基準はありません。病期でいえば第2病期以降で、薬物療法で思うように症状が改善しない場合や、残尿が100ml以上あり、尿閉を繰り返すような場合に手術を考えます。
主な手術法
経尿道的前立腺切除術(TURP)
先端に電気メスを装着した内視鏡を尿道から挿入し、患部をみながら肥大した前立腺を尿道内から削り取ります。 体内に入った灌流液が電解質のバランスを崩し、吐き気や血圧の低下などを起こすTURP反応と呼ばれる副作用が起こることがあります。
レーザー治療
尿道に内視鏡を挿入し、内視鏡からレーザー光線を照射します。そして肥大結節を焼いて壊死を起こさせ、縮小させます。 組織を焼いてしまうため、ガンの有無を調べられません。また、組織が壊死し脱落が起こるまで、症状の改善は見られません。
温熱療法
尿道や直腸からカテーテルを入れ、RF派やマイクロ派を前立腺に当てて加熱し、肥大を小さくして尿道を開かせます。 根治的な治療ではないため、半年から一年で症状はもとに戻ってしまいます。
尿道バルーン拡張法尿道ステント挿入法
肥大結節によって狭くなった前立腺部の尿道を物理的な力によって押し広げたり、管を挿入して尿道を確保する方法です。 救急的な意味合いの強い対処療法と位置付けられているため、あくまで手術ができない患者さんのための処置です。
前立腺肥大症にならないために
前立腺肥大症の最大の危険因子は、加齢です。これを防ぐことは誰にもできません。しかし、身に着けたほうがよいと考えられている生活習慣が、いくつかあります。それらをご紹介します。
1.オシッコを我慢しない
排尿を我慢すると尿閉になることあります。
2.体を冷やさない
特に下半身を冷やさないようにし、骨盤内の血液の循環を常に良い状態に保つようにする。
3.適度な運動を
血液の循環を良くし、前立腺のうっ血を予防する。
4.便秘に気を付ける
膀胱も腸と同じ平滑筋なので、便秘の人は排尿状態が悪くなっている可能性があります。
前立腺肥大症になったら
すでに前立腺肥大症になってしまった方は、上記4項目に加えて下記のことも守ってください。
1. 薬には十分注意する
薬の中には急性尿閉を起こすものがありますので、他の病院で診療を受ける時は、医師に必ず前立腺肥大症であることを伝えてください。
2. 水分を十分とる
夜間頻尿を恐れるあまり、水分摂取を抑えると脱水状態になり腎機能障害を起こすことがあります。
3. 過度なセックスは控える
神経質になる必要はありませんが、長時間にわたる過度なセックスなどは避けたほうが無難です。
4. 手術後は安静に
水分を多めに取り、こまめに排尿することが大切です。また、手術した部分を圧迫するような運動は避けてください。
詳しい病気の解説は四百四病の事典(http://ksjuku.com/jiten.html)へどうぞ
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