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■卵巣を凍結保存し、がん治療後移植 順天堂大が開始 [健康ダイジェスト]

 抗がん剤や放射線治療で卵巣機能が失われる前に女性患者から卵巣を摘出して凍結保存し、がんの治療後に本人に移植して自然妊娠を可能にする治療を、順天堂大(東京都)と加藤レディスクリニック(同)が共同で始めます。すでに同大倫理委員会で承認を受けており、16日に記者会見で発表しました。
 治療前に卵巣から卵子を採取して凍結保存しておく試みは10年ほど前からあり、世界で1000人以上の子が生まれています。しかし、採取できる卵子の数が限られ、体外受精で妊娠するしかありません。一方、卵巣凍結保存による治療では、自然妊娠や卵巣機能の回復が期待できます。
 同クリニックが開発した「超急速ガラス化保存法」という技術を利用。2個ある卵巣の一方を腹腔鏡手術で摘出し、縦横1センチ四方、厚さ1ミリの組織片を作製。冷却中に氷の結晶ができて細胞が壊れないよう急速に冷やすため、組織片を載せる銅板に穴を開けて熱を伝わりやすくし、液体窒素に入れます。保存した組織片は、がん治療終了後に、もう一方の卵巣に移植します。
 凍結保存していた卵巣組織片を患者に戻した例は、臨床研究も含めて国内ではありません。加藤レディスクリニックは、「ベルギーでは凍結保存した卵巣を戻して出産した例が5件報告されている」と話しています。
 治療の費用は卵巣凍結に約50万円、治療後に戻す移植で約20万円を想定し、がんの種類は問いません。保護者が同意すれば未成年でも可能。ただし、子宮も摘出しなければならない場合は、現在日本で認められていない代理出産が必要になるため行いません。
 卵巣凍結を規制する法律や学会指針はなく、日本産科婦人科学会の吉村泰典理事長(慶応義塾大教授)は、「大学倫理委の承認を得た上で、臨床研究として実施するぶんには問題はないと思う」と話しています。

 2010年4月19日(月)




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