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■田辺三菱製薬子会社の工場に立ち入り調査 注射薬の無試験出荷の疑い [健康ダイジェスト]

 田辺三菱製薬(本社・大阪市中央区)の子会社「田辺三菱製薬工場」が医療機関向けの注射薬を品質試験をせずに出荷していた疑いがあるとして、栃木県と厚生労働省は26日、薬事法に基づき、栃木県足利市にある足利工場に立ち入り調査に入りました。
 栃木県の薬務課によると、同工場から4種類の注射薬について、出荷時に課されている製品検査項目の一部を実施していなかったという報告が25日夕、同課に寄せられたためといいます。同課職員2人と厚労省の職員2人が26日午前10時から、薬の製造段階で品質試験を実施していたかどうかなど、薬事法に抵触する行為の有無を調べているといいます。
 注射薬の無試験出荷の疑いは、社外の弁護士らによる調査チームが指摘し、この調査結果を田辺三菱製薬が厚生労働省に報告していました。2007~10年3月の約3年間に試験担当社員が一部の試験を行わず、出荷の基準に合格したように虚偽の試験結果を記録した行為があったとしています。
 今回の問題で、田辺三菱製薬側の社内調査は「試験は行われていた」としていましたが、その後の社外の調査チームの調べに対し、試験担当社員は試験の一部を実施しなかったことを認め、その理由を「手間がかかる」などと話しました。
 無試験出荷の疑いが持たれている医療機関向けの注射薬は、「リプル注」「パルクス注」「リメタゾン静注」「パズクロス点滴静注液」の4製品。社外の調査チームは、4製品にそれぞれ行う十数項目の試験のうち、担当社員が試験をしていない疑いが持たれた4項目の試験について調べました。
 一つの試験項目は、使うべき備品の数に比べ購入量が少なかったことなどから、「全体の77パーセントは実施していない」と判断。記録では必要な試験は行われたことになっているため、虚偽の試験結果が記入されたとみています。もう一つの試験項目では、機器の使用記録が3年間で1回しかなかったことなどから「試験を実施したとは思えない」としました。
 社外の調査チームは、その他の2項目についても、試験をしたとする社員の説明が「不合理で不自然」などとして、「実施しているとは思えない」との見解を示しました。
 田辺三菱製薬は、「問題なしとした社内調査は、調査のノウハウなどが不十分だった。隠蔽する趣旨はなかった。今後は原因究明などの調査を続ける」としています。同社によると、健康被害は報告されていないといいます。
 リプル、パルクスを開発したLTTバイオファーマ(東京都港区)によると、リプル、パルクスは閉塞性動脈硬化症などの手術や治療に使われる代表的な薬。二つの薬は1988年に販売が開始され、二つとも田辺三菱製薬が製造していますが、パルクスは大正製薬が販売しています。
 田辺三菱製薬によると、リプルの年間の売上高は約80億円。後発医薬品の影響で単価も下がってきたものの、LTTバイオファーマは「過去のピーク時には二つの薬で約500億円の市場規模。そのころよりは落ちているが、依然として注射薬の定番」と話しています。
 なお、田辺三菱製薬と別の子会社であるバイファ(北海道千歳市)は昨年4月、薬の承認申請で試験データを改ざんしたなどとして、田辺三菱製薬は25日間、バイファは30日間の業務停止処分を受けました。

 2011年1月26日(水)

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