■用語 色素失調症 [用語(し)]
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色素失調症とは、新生児のころ、皮膚に特徴的な色素沈着を来す母斑(ぼはん)症。女児に発症しやすいまれな遺伝疾患です。
外胚葉(がいはいよう)と呼ばれる皮膚や粘膜のもとになる組織に異常を生じるために発症し、皮膚以外にも多くの臓器に異常を来しますが、目にも障害が起きることがあります。
X染色体優性遺伝です。人間の遺伝子の一対は性染色体と呼ばれ、女性はX染色体を2本、男性はXとY染色体を1本ずつ持っています。新生児は母親からXの1本、父親からはXかYのどちらかを受け継ぎ、Xなら女性になり、Yなら男性になります。このX染色体に異常があるのが、X染色体遺伝です。
優性遺伝では、女児が異常なX染色体を持っていても対になるXが正常ならば補完されて成長しますが、男児では致死的なのでほとんどは流産になります。従って、この色素失調症は一般に母親から娘に遺伝していき、兄弟姉妹のうち女児の半数は異常、残り半数は正常で、男児はほとんどが正常です。
色素失調症に見られる皮膚の異常は、4つの時期に分けられます。第1期は炎症期で、誕生直後あるいは2週間以内に、水疱(すいほう)や膿疱(のうほう)が主に体幹に多数出現し、かさぶたになっていきます。血液には好酸球と呼ばれる細胞が多数見られます。この時期、抹消血中および組織中に高率に好酸球増多を認めます。
第2期はいぼ状苔癬(たいせん)期で、生後数週から数カ月に、硬く盛り上がった丘疹(きゅうしん)が主に四肢末端に多発します。
第3期は色素沈着期で、生後3~4カ月ころから、褐色あるいは灰褐色の渦巻き状、帯状、網目状、飛沫(ひまつ)状など多彩な模様を描いたような色素沈着が出現し、かなり長期間続きます。血液中の好酸球は減り、多くは正常化してきます。
第4期は色素沈着消退期で、4~5歳ころから色素沈着が消えていくようになり、多くは思春期までには完全に消えます。
これらの皮膚症状に加え、90パーセントに歯の欠損や発育不全、40パーセントに頭蓋(とうがい)の変形や小人症、指の形成異常などの骨の異常、形成不全が見られます。ほかにも、脱毛、縮れ毛などの頭髪の異常、欠損、発育不全などの爪(つめ)の異常、精神発達障害、けいれんなどの中枢神経症状といった、さまざまな異常が見られる場合があります。
目の障害は30パーセントに見られ、斜視が最も多く、先天白内障や視神経の異常が見られることもあります。中でも問題になるのは、網膜の異常です。網膜は眼球壁の内張をしている神経の膜で、その細い血管が閉塞(へいそく)します。閉塞は生後1年以内に生じ、その後は進行しないとされています。
網膜血管の閉塞が高度だと、異常な新生血管が発生し、眼内出血や網膜剥離(はくり)を引き起こすなど未熟児網膜症とよく似た変化を来し、失明や高度の視力障害に至ることがあります。ただし、病変には左右差があることが多く、両目が失明することは少ないとされています。また、網膜の異常と中枢神経の異常は、関連して発生する傾向があります。
色素失調症に気付いた場合は、皮膚科、皮膚泌尿器科、小児科を受診し、全身的な検査を受けることが勧められます。
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皮膚科、皮膚泌尿器科、小児科の医師による診断は、皮膚の特有の変化と経過でつきます。母親か姉に同じ疾患が確認されれば診断に役立ちますが、大きな異常がない場合、成長とともに皮膚の変化が消えていくので気付かないケースもあります。時には、皮膚の一部を切り取って検査する場合もあります。
目の合併症の診断のためには、皮膚科などで診断され次第すぐに眼科を受診してもらい、眼底検査を行って、網膜の状態を確認するのがよいとされます。
そして、以後は1カ月から3カ月に1回、生後1年まで検査を続けたほうがよいとされています。
皮膚科、皮膚泌尿器科、小児科の医師による治療は、皮膚病変は年齢とともに消退するので、それぞれの皮膚症状に応じて、外用療法を行って皮膚の保護に努めます。さまざまな臓器の変化に対しては、対症的に対応します。遺伝病のため根本的治療法はありません。
目の合併症のうち、斜視や白内障はそれぞれ、単独で発症した場合と同じように治療します。網膜血管の閉塞が確認されたら、速やかに閉塞部にレーザー網膜光凝固術を行って進行を防止します。それでも進行したり、すでに網膜剥離を生じている場合には、網膜の手術を行うこともあります。
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