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■マウスの体内で造血幹細胞を効率よく作製 東大チームが成功 [健康ダイジェスト]

 東京大学の中内啓光教授(幹細胞生物学)と山崎聡特任准教授らはさまざまな細胞に育つiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使い、動物の体内で血液のもととなる「造血幹細胞」を効率よく作る基盤技術を開発しました。
 マウスの実験で、赤血球やリンパ球などの血液細胞を生み出すもとになる造血幹細胞が体内で生まれる仕組みを再現しました。応用すれば、人の造血幹細胞をブタなど別の動物の体内で作り出す「血液工場」の実現につながります。
 研究チームはiPS細胞をマウスに移植すると、さまざまな組織の細胞が混ざったテラトーマ(奇形腫)と呼ぶ塊ができることを利用しました。iPS細胞に3種類の遺伝子を入れておくとテラトーマの中で血管に似た構造ができ、血管の細胞から造血幹細胞が育ちます。
 遺伝子操作で貧血にしたマウスに、別のマウスから作ったiPS細胞を移植する実験をしました。造血幹細胞ができる効率が向上し、複雑で効率の低かった従来の手法に比べて10倍以上の数の造血幹細胞を作ることができました。
 骨髄にある造血幹細胞の移植はドナー不足が問題となっており、iPS細胞から造血幹細胞を作る技術開発が期待されています。
 新技術で作った造血幹細胞をマウスに移植すると、血液や免疫の細胞を作ることを確認しており、移植治療に利用できるとみています。
 中内教授らは人のiPS細胞を利用し、ブタなどの体内で人の臓器を作る研究にも取り組んでいます。今回の手法を応用し、人のiPS細胞をブタに移植して人の造血幹細胞や血液を生み出すことも視野に入ります。
 山崎特任准教授は、「iPS細胞から臓器を作るよりも仕組みが簡単なため、実用化のハードルは低い」と語っています。

 2017年10月9日(月)

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