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■後発医薬品の使用率、地域により大きな開き トップは沖縄県、最低は徳島県 [健康ダイジェスト]

 2016年度の「調剤医療費の動向」を厚生労働省が報告し、都道府県別の後発医薬品の使用割合(数量ベース)を明らかにしました。後発医薬品が最も使われているのは沖縄県、最低は徳島県で、その使用率は20ポイントもの開きがあります。
 全国の都道府県で後発医薬品の使用率でトップを走るのが沖縄県で、2017年3月末で79・9%と全国平均の68・6%を大きく上回っています。
 理由の1つには、経済的な事情があります。沖縄県の県民所得は1人当たり213万円(2014年度)で、全国で最も低くなっています。後発医薬品は先発医薬品の半額ほどですむため、懐に優しい面があります。全国健康保険協会沖縄支部は「所得水準が低いため、医療費を抑えようという意識が強いのではないか」と分析しています。
 しかし、理由はほかにもあり、アメリカ統治下時代の名残です。日本の医療保険制度では、かかった医療費の1~3割を病院の窓口で支払いますが、「当時の沖縄では医療費全額を患者が立て替え、後で自己負担分以外の費用を還付してもらう」(沖縄県薬剤師会の亀谷浩昌会長)方式だったため、立て替えとはいえ大きな出費が嫌われました。
 一方、徳島県は全国で使用率が唯一6割を切っています。大手調剤薬局が他地域に比べて少なく、県内展開の小規模店が多いという事情があります。
 全国健康保険協会徳島支部によると、県内の大学病院前薬局は後発医薬品の調剤率が3~4割程度で、全国展開の薬局では8割超でした。小規模な薬局では次々と登場する後発医薬品の在庫を十分そろえられないためともいいます。
 同じ都道府県内でも、ばらつきがあります。例えば東京23区では、最高の足立区が68・4%なのに対し、最低の新宿区は55・4%。1人当たりの所得は足立区が23区中で最も低いのに対して、新宿区は8位と中間で、所得では割り切れません。
 数字を読み解くカギは人口構成で、国民健康保険(国保)では、新宿区は加入者に占める20~29歳の割合が約22%で全国平均の約3倍と高く、外国人留学生が多いことが影響しています。60~69歳の割合のほうは18%と、全国平均より14ポイントも低くなっています。
 厚労省によれば、1人当たり医療費は15~44歳は年間12万円で、70歳以上は84万円。新宿区の1人当たり医療費は23区中で最も低く、厚労省幹部は「医療費負担が軽い自治体では後発医薬品の使用を促すメリットが小さい」としています。後発医薬品の使用を増やすには、医師に後発医薬品名か成分の名称で処方してもらい、患者に後発医薬品を選ぶように促す必要があります。
 政府は後発医薬品の使用率について、2020年9月までに現在の60%台後半から80%まで引き上げる考えです。アメリカは9割を超え、イギリスも8割程度。日本でも障壁は多く達成は容易ではないものの、この水準を目指します。使用率が80%になれば、医療費が数千億円規模で削減できるとの試算があります。
 後発医薬品は「ゾロ薬」と呼ばれた時期がありました。先発医薬品の特許が切れると、さまざまなメーカーがその薬をゾロゾロと出すからで、薬価も安くなることもあり先発医薬品に劣るというイメージが付きまといました。
 例えば花粉症の患者などになじみ深い抗アレルギー剤の「アレグラ」は、主成分のフェキソフェナジン塩酸塩錠という名称で、後発医薬品がたくさん出ています。アレグラ錠60ミリグラムの薬価は65円なのに対して、後発医薬品なら多くが半額以下。
 安くても薬の効能は同じ。政府は後発医薬品の使用が多い薬局への調剤報酬を増やし、患者の後発医薬品への信頼感を高めるための啓発に取り組んでいます。さらに、後発医薬品のある先発医薬品の価格を後発医薬品の水準まで段階的に下げる仕組みを繰り出し、薬価の圧縮を目指しています。

 2018年2月13日(火)

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