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■アルツハイマー病、健常な段階でも原因物質蓄積  東大など、日本人で解明 [健康ダイジェスト]

 東京大学の岩坪威(たけし)教授らは、アルツハイマー病は症状が出ていない健常な段階でも病気の原因とされるタンパク質が蓄積し、やがて認知機能の低下が進むとの研究結果をまとめました。
 これまでアメリカでも同様の研究結果が出ていましたが、日本人を対象にした調査で明らかになったのは初めて。治療薬や早期段階での検出法の開発につながります。9日付のアメリカの医学誌に発表しました。
 アルツハイマー病は認知症の半数以上を占める進行性の神経変性疾患で、脳の中でアミロイドベータというタンパク質が徐々に蓄積して固まり、神経細胞を傷付けることで発症するとされます。病状の進行とともに記憶や認知機能が低下し、やがて自立した生活を送ることが困難になります。進行を抑制する治療薬は、いまだ開発されていません。
 研究チームは2008年から、早期段階での症状の進行を解析するため「J—ADNI」と名付けた臨床研究を始めました。物忘れなどの記憶障害が出始めた早期段階の患者と、発症の前段階とされる軽度認知障害の患者に加えて、健常者を調査。全国38の医療機関で、脳内にたまったアミロイドベータの量や認知機能に関する試験の結果などを最長3年間にわたって追跡しました。
 陽電子放射断層撮影装置(PET)を使って脳のアミロイドベータを調べたところ、症状の出ていない健常者でもアミロイドベータの蓄積が始まっていることを確認しました。また、定期的に記憶力などをみる認知機能のテストの結果は症状の進行に伴って変化し、アメリカでの同様の調査と一致していました。
 第2期のJ—ADNIは2013年から始まっており、発症前の脳の変化も詳しく探ります。調査結果のデータなどは、一般に公開しています。
 研究代表者の岩坪教授は、「アルツハイマー病の認知症発症までの進行過程は、日本人もアメリカ人と同様であると確認できた。治療薬の開発研究は、世界と共同で加速すべきだ」と話しています。

 2018年5月11日(金)

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