SSブログ

■iPS細胞を使った心臓病治療、大阪大が初実施へ 厚労省の審議会が了承 [健康ダイジェスト]

 体のさまざまな組織になるiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って重い心臓病の患者を治療する、大阪大学の臨床研究が16日、厚生労働省の審議会によって了承されました。iPS細胞を使った心臓病の治療の研究は世界で初めてで、研究チームは今年度中にも1例目を実施するということです。
 大阪大学の澤芳樹教授らの研究チームは、iPS細胞から作製した心臓の筋肉の細胞をシート状にして重い心臓病の患者の心臓に直接貼り付ける手術を行い、機能の回復を目指す臨床研究を厚労省に申請していました。
 この研究についての2回目の審議会が16日、厚労省で開かれ、研究の対象を重症の患者に絞るほか、患者に対する同意の文書をわかりやすいものにすることを条件に、計画は了承されました。
 研究チームは、今年度中にも患者の臨床研究を始めて安全性と有効性を確認し、これまで治療が難しかった重い心臓病の新たな治療法として確立することを目指しています。
 京都大学の山中伸弥教授が11年前に作り出したiPS細胞を応用した再生医療の臨床研究は、神戸市にある理化学研究所などが目の難病、加齢黄斑変性で実施していますが、世界で初めて心臓病の治療で実施することで、医療分野での応用が本格的に進むことになります。
 厚生労働省研究開発振興課の森光敬子課長は、「大変難しい臨床研究なので、安全性に気を付けて慎重に進めてほしい」と話していました。
 重い心臓病の患者1人に移植する2枚のシートには、細胞が約1億個含まれていて、心臓の筋肉と同じように収縮を繰り返します。澤教授らの研究チームは、このシートを患者の心臓に直接貼り付け、心臓の収縮する力を回復させる研究を進めており、これまでにも、患者自身の足から取り出した筋肉の元となる細胞をシート状に培養して心臓に貼り付け、機能を回復させる研究を50例以上実施しているということです。
 今回の臨床研究では、iPS細胞を使った心臓の筋肉のシートを合わせて3人の患者に移植して、安全性などを確認する計画です。その上でさらに医師主導の治験を行って、心臓移植しか助かる方法のない重い心臓病の患者の新たな治療法として確立したいとしています。
 また、今回使われるiPS細胞は、京都大学iPS細胞研究所があらかじめ作製し、保存しているものです。患者自身のiPS細胞を使う場合に比べ、治療までにかかる期間やコストを大幅に減らすことができるということです。
 澤教授は16日午後、東京都千代田区にある大阪大学東京オフィスで記者会見し、「ここまで10年にわたって研究を続けてきて、ようやくスタート地点に立つことができたと、身が引き締まる気持ちだ。難しい道がまだまだ待っていると思うが、1人でも多くの患者がよりよい治療で助かるように努力したい」と述べました。その上で、今後の見通しについて「これから患者に投与する細胞の培養を始めて、安全に最大限の配慮をしながら、年度内に1例目をスタートしたい」と述べました。

 2018年5月18日(金)

nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。