SSブログ

■原因不明の不妊症、内膜炎が影響の可能性も 治療後に妊娠率向上 [健康ダイジェスト]

 子宮の内側の粘膜に炎症が続く慢性子宮内膜炎(内膜炎)の女性について、抗菌薬での治療によって妊娠率が向上することが、東京大学などの調査でわかりました。内膜炎の女性の妊娠率や出産率は、内膜炎がない女性より大幅に低いことも判明しました。原因不明の不妊の一部には内膜炎が影響している可能性があり、治療の可能性が開けてきました。
 東京大学医学部付属病院の着床外来を2006年6月~2008年7月に受診した女性128人のうち80人(約63%)に内膜炎がありましたが、抗菌薬を2週間服用する治療で9割は治りました。よくなった後の状況が把握できている49人中29人(59%)が妊娠しました。これは同病院の着床外来の患者で、内膜炎のない女性の妊娠率44%より高くなりました。同様の結果は、国内外の他の病院からも報告されています。
 着床外来の患者は、他の不妊クリニックで問題の在りかが判明しなかった女性が多いといいます。東大の広田泰講師(女性診療科・産科)は、「内膜炎は自覚症状がほとんどなく、原因不明の不妊症の多くは内膜炎が原因の可能性がある」と指摘し、不妊原因が不明の場合、専門外来での内膜炎の検査を勧めています。
 内膜炎と不妊を巡っては、滋賀医科大学の医師が、同大付属病院の母子・女性診療科を2014~2016年に受診した不妊症の女性114人の体外受精の結果を比べました。内膜炎のない女性の妊娠率が7割弱に対し、内膜炎がある女性は3割強でした。出産率も、ない女性が4割強、ある女性が1割強で、約3倍の差がありました。不妊症患者の42%が、内膜炎の女性でした。
 滋賀医科大学の木村文則准教授(産婦人科)は、「内膜炎があると体外受精した受精卵に問題がないのになかなか着床しなかったり、流産したりしてしまうことが多い」と説明しています。
 ただし、内膜炎の多くは症状に乏しいことが特徴で、わからないことも多々あります。抗菌薬での治療にはまれに、皮膚や肝臓などに障害が起きる副作用もあります。木村准教授は、「現時点では抗菌薬が最も有効な治療だと考えられるが、使う抗菌薬の種類や期間はさらに検討が必要だ。治らない人もおり、安易に抗菌薬治療をするべきではない」と話しています。

 2018年9月8日(土)

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。