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■慶応大、iPS細胞から心筋細胞の量産に成功 来年度にも臨床研究を実施へ [健康ダイジェスト]

 人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から、品質が均一な大量の心筋細胞を作ることに成功したと、慶応大学の福田恵一教授(循環器内科)らの研究チームが発表しました。
 収縮機能が低下した心筋に移植し、回復を図ることが期待され、重い心不全の患者に移植して心臓の機能を回復させる臨床研究を、早ければ来年にも実施したいとしています。論文が6日、アメリカの科学誌電子版に掲載されました。
 研究チームは、酸素や二酸化炭素を通す特殊なプレートでiPS細胞を培養し、一度に約10億個の心筋細胞を作製。細胞の代謝が促進されたためとみられます。心筋細胞に変化しきれなかった細胞のエネルギー源であるブドウ糖とアミノ酸を培養液から除去し、乳酸を加えることで均質な心筋細胞を作ることもできました。
 従来の方法では、iPS細胞から心筋細胞に変化しきれなかった細胞を取り除きながら大量培養することは難しく、心筋細胞に変化しきれなかった細胞はがん化の恐れもありました。
 福田教授は、「心臓など、大きな臓器の治療にはよりたくさんのiPS細胞が必要だ。大量に培養できるこの方法は再生医療の産業化にもつながる」と話しています。 
 一方、iPS細胞から作製した重症心臓病患者治療用の心筋シートの事業化を目指すと、大阪大学などが発表しました。5年後の製品化を目標にしています。
 心筋シートは、大阪大の澤芳樹教授(心臓血管外科)らの研究チームが、患者に移植する臨床研究を来年度にも始める計画です。ベンチャー企業「クオリプス」(横浜市)と共同研究を行い、製品化後は第一三共(東京都中央区)が販売に当たります。

 2017年10月6日(金)

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■日本人、尿を作る組織少なく腎臓病になりやすい 日豪などの国際研究チーム [健康ダイジェスト]

 日本人は欧米人より腎臓の機能が弱く、慢性腎臓病になりやすいとする研究結果を日豪などの国際研究チームがまとめ、5日付のアメリカの科学誌に発表しました。
 研究チームの神崎剛・東京慈恵会医科大学助教は、「塩分のとりすぎや肥満に注意してほしい」と話しています。
 日本腎臓学会の2008年の推計によると、国内の慢性腎臓病患者は1300万人。悪化して腎不全になる人も多く、2015年末時点で32万人以上が人工透析を受けており、その医療費は年間計1兆4000億円以上になります。
 血液中の老廃物を濾過(ろか)して尿を作る組織「ネフロン」の数は、腎臓1個当たり約100万個あるとされてきました。しかし研究チームによると、その数は20万~200万個と人種などで差が大きいとわかってきたといいます。
 研究チームは、50~80歳代で死亡した日本人男性で、腎臓病も高血圧もない人9人、高血圧患者9人、中程度の慢性腎臓病患者9人、計27人の腎臓を病理解剖してネフロンの数を調べました。その結果、腎臓病も高血圧もない人は平均64万個。高血圧患者は平均39万2000個、中程度の慢性腎臓病患者は平均26万8000個でした。欧米人の平均90万個と比べ、大幅に少なくなりました。
 ネフロンの数が少ないと慢性腎臓病や高血圧になるリスクが高まるといい、日本人に慢性腎臓病患者が多いことと関連しているとみられます。日本人のネフロンの数が少なく、腎臓の機能が弱いのは、体格、腎臓ともに小さいためとみられます。塩分の多い食事などでネフロンは消失するため、より負担がかかります。
 神崎助教は、「ネフロンの数は出生時に決まっている。近年増加傾向の低体重で生まれる赤ちゃんが特に心配だ。生活習慣に気を付け、腎臓の機能を継続的に調べる必要がある」と話しています。

 2017年10月6日(金)

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■無痛分娩で31歳死亡、院長を書類送検 麻酔後の観察を怠った疑い [健康ダイジェスト]

 大阪府和泉市の産婦人科医院「老木(おいき)レディスクリニック」で今年1月、麻酔で痛みを和らげる無痛分娩(ぶんべん)で出産中の女性(当時31歳)が意識不明になり、その後死亡した事故で、大阪府警は6日、クリニックの老木正彰院長(59歳)を業務上過失致死容疑で書類送検し、発表しました。
 捜査関係者によると、検察に起訴を求める「厳重処分」の意見を付けました。医療ミスを巡る捜査では、医師の行為と被害との因果関係を立証するのが難しく、無痛分娩でも医師が刑事責任を問われるのは異例。
 府警和泉署によると、院長は1月10日、同府枚方市の長村千恵さんが次女を出産中に呼吸困難に陥った際、呼吸を回復させる適切な処置を怠り、搬送先の病院で10日後に低酸素脳症により死亡させた疑いがあります。容体急変後、人工呼吸器を使って強制的に酸素を送り込む「強制換気」や気管挿管といった呼吸回復措置をしていなかったといいます。
 院長は分娩の際、脊髄(せきずい)を保護する硬膜の外側に細い管を入れて麻酔薬を注入する硬膜外麻酔を行いました。だが、司法解剖の結果、管が硬膜を貫通していたことが判明。麻酔が効きすぎ、長村さんは呼吸困難になったといいます。当初、院長と看護師の2人がおり、長村さんが呼吸困難を訴えた後は小児科医や助産師らが駆け付けましたが、麻酔科医はその場に立ち会っていなかったといいます。
 また、無痛分娩中に麻酔の効き具合の確認や血圧の定期的な計測が実施されていなかったといい、院長は府警の調べに対し、これを認めているといいます。府警は、異変に気付くのが遅れた可能性があるとみています。
 院長は府警の調べに対して容疑を認め、「容体の変化が早くて人工呼吸器を装着するなどの対応が追い付かなかった」と説明しているといいます。

 2017年10月6日(金)

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■用語 新生児低血糖症 [用語(さ行)]

[レストラン]新生児の血液中の糖分が少なくなっている状態
 新生児低血糖症とは、生まれたばかりの新生児の血液に含まれる糖分が少なくなっていて特有の症状が現れる状態。
 新生児に低血糖が認められても、すぐに正常な血糖値に回復することが多いのですが、中には低血糖の状態が続いてしまうケースもあります。血液に含まれる糖分は人間の脳の働きを支える重要なエネルギー源であるため、低血糖の状態が続いてしまうと、脳に悪影響を与えて神経系の後遺症を引き起こす可能性があります。
 胎児は低血糖にならないように、母親の胎内にいる時から胎盤を通して糖分を摂取し、出生後には母乳やミルクから糖分を得て、正常な血糖値を保っていきます。
 生まれたばかりの新生児は、それまで胎盤を通じて行われていた栄養供給が止まり、母乳かミルクを飲むまでは栄養を摂取できなくなります。胎盤を通じて得ていた糖分の摂取も一時的に途切れてしまうため、新生児が低血糖になるのは生理的なものだといえます。一般的に、新生児の血糖値は生まれた後に急速に下がり、1〜2時間後には最も低くなります。
 出生直後に血糖値が下がっても、ほとんどの新生児は体内の仕組みのお陰で、徐々に血糖値は上昇していきます。しかし、中には血糖値が正常に上がらず、低血糖の治療が必要になる場合もあります。
 新生児の低血糖を引き起こす原因はさまざまで、主にインスリンの過剰分泌がある場合と、ない場合に分けられます。
 インスリンは膵臓(すいぞう)のランゲルハンス島にあるベータ細胞から分泌されるホルモンで、骨格筋や肝臓、組織において血液から細胞内への糖分の吸収を促し、エネルギーを作ったり蓄えたりする働きを持つほか、血糖値を上昇しすぎないよう調節する役割も持っています。このインスリンが過剰に分泌されていたり、成長ホルモンなど血糖値を上昇させるホルモンが欠乏していたりすると、低血糖を引き起こします。
 例えば、妊娠中の母親が糖尿病にかかっていた場合、胎盤を通して通常より多くのブドウ糖が胎児に送られるため、血糖値を下げる働きを持つインスリンの分泌量も増えています。出生直後には、胎盤によるブドウ糖の供給は止まっても、インスリンは分泌され続けるために血糖値が下がり、新生児に低血糖の症状が現れることになります。
 インスリンの過剰分泌がない場合も、早産児や低出生体重児で、肝臓や筋肉に蓄えているグリコーゲンの量が少ないと、一時的に低下した血糖値を上げることができず、低血糖を引き起こしやすくなります。このほか、感染症も新生児の低血糖を引き起こす原因と考えられています。
 新生児の低血糖が軽症であれば、目立った症状が現れないことが多いのですが、重症の場合は、元気がなく母乳を飲まない、ボーッとして意識レベルが低い、けいれんに似た動きをする、無呼吸になる、顔色が悪く青白くなっていたりチアノーゼが起きている、汗をたくさんかき呼吸が荒くなる、などの症状が現れることがあります。
[レストラン]新生児低血糖症の検査と診断と治療
 小児科の医師による診断は、血糖値を調べる血液検査を行うのが一般的です。低血糖とともに起きやすい電解質異常を調べる検査を行うこともあります。
 小児科の医師によなどる治療は、無症状の場合には、できるだけ速やかに母親の直接授乳、ないしミルクによる栄養供給を開始します。
 経口摂取が困難な場合や、授乳などを行ったにもかかわらず低血糖が改善しない場合、症状のある場合、無症状でも血糖値が20~25㎎/dl未満の場合は、基本的にブドウ糖を点滴で投与します。点滴だけでは症状が改善しない場合は、ステロイド剤の投与や血糖を上昇させるホルモン、またはインスリンの働きを抑える薬を使うことがあります。
 また、低血糖を引きこしている原因についても調べ、原因となっている疾患がわかれば、その治療も同時に行います。
 血糖値と体調が落ち着いてきたら、母親の直接授乳などを増量し、糖分を供給していきます。血糖値が安定し、点滴の必要がなくなるまでは、入院の上で治療を行います。
 新生児低血糖症は、早期に適切な治療が行われた場合には予後は良好なのですが、発見が遅くなって治療が遅れてしまうと、低血糖の状態が長く続き、脳に何らかの障害を残す恐れがあります。特に早産児や低出生体重児で産まれ、新生児仮死があった場合は、様子を注意深く観察する必要があります。

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