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■東大、iPS細胞から運動神経の束作製に成功 ALSの治療薬開発に可能性 [健康ダイジェスト]

 東京大学生産技術研究所などの研究チームは、人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って、運動神経が束状になった組織を作製したと発表しました。
 運動神経が損なわれる筋委縮性側索硬化症(ALS)などの治療薬開発に生かせる可能性があるといいます。論文が27日付で、アメリカの科学誌「ステムセル・リポーツ」(電子版)に掲載されました。
 研究チームは、1辺150マイクロメートルの通路を備えた小型装置を開発。iPS細胞を運動神経細胞に変えた上で、約1万個を装置の中で培養したところ、球状に集まった運動神経の半数が電気信号を伝える「軸索」を通路へ伸ばし、軸索同士が集まって1本の束になりました。束の直径は50~150マイクロメートル、長さは最長2センチでした。
 体内では、多数の運動神経細胞の軸索が束状になっています。これまでもiPS細胞から運動神経細胞が作製されていますが、軸索を束にする試みはありませんでした。
 作製した束状組織を傷付けて病気の状態に近付けた上で、化合物を加えて傷が治るかを調べることなどで、治療薬の開発に生かせるといいます。今後は研究チームの一員が設立したベンチャー企業が、薬の開発支援に取り組みます。 
 研究チーム代表の池内与志穂講師(分子細胞工学)は、「体内により近い状態の軸索の束ができたことで、ALS発症のメカニズムの解明や治療薬の開発が期待できる」と話しています。

 2017年10月28日(土)

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■遺伝性乳がん、予防のための切除手術を選択肢に 厚労省研究班が初の診療指針 [健康ダイジェスト]

 遺伝性乳がんの原因となる遺伝子変異が見付かった場合に、将来がんになるリスクを減らすための予防的な乳房切除手術を「考慮してもよい」と明記した診療指針を、厚生労働省研究班(代表=新井正美・がん研究会有明病院遺伝子診療部長)がまとめたことが明らかになりました。
 予防切除は、アメリカの人気女優、アンジェリーナ・ジョリーさんが手術を受けたことを2013年に公表し、話題となりました。健康な体にメスを入れるという大きな負担もあるものの、厚労省の研究班が診療指針を作ったことで、予防のための遺伝子検査や切除手術が治療の選択肢の一つとして国内に広がる可能性があります。
 日本で推計年間9万人が発症する乳がんの5~10%は遺伝性とされ、中でもBRCA1、BRCA2という遺伝子のいずれかに変異があるために発症するケースが多くみられます。これらの遺伝子に変異があると、乳がんや卵巣がんのリスクが格段に高くなるとされています。
 診療指針では、この遺伝子の変異が見付かった場合の両乳房予防切除について、「乳がん発症のリスクを低下させることは確実だが、死亡率改善のデータはない。細心の注意のもと、行うことを考慮してもよい」と指摘しました。
 ただ、手術は医師の側から勧めるのではなく、患者自らの意思で選択することが原則としました。
 乳房を切除しても乳がんを完全に防げる保証はなく、保険適用外の自費診療となります。診療指針では、ほかにも乳房の磁気共鳴画像化装置(MRI)などの検査法があり、遺伝カウンセリングを受け、十分な説明を受けて理解した上で、遺伝子検査を行う必要があると強調しました。
 また、30歳未満で遺伝子変異がある場合、マンモグラフィー(乳房エックス線撮影)は、被ばくによるがん発症の危険性が高まるため「推奨されない」としました。
 卵巣がんについては、がんの発症を予防する目的の卵管・卵巣摘出を推奨するとしました。
 遺伝性乳がん・卵巣がんは、親から子供に受け継がれるがんで、遺伝子の変異が原因で起きます。遺伝子検査で変異があると判明した場合、定期的な検診で早期発見を目指すことや、がんを発症していない乳房の切除や卵巣摘出などの措置が予防策となります。乳房を失う喪失感も指摘され、乳房の切除後に体の一部を移植したり、人工物を入れたりして乳房を再建することもあります。国内では、片方の乳房にがんができた際に、反対側を予防切除した例があるほか、発症前の切除に備えた環境を整える病院も増えています。

 2017年10月28日(土)

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■はしかの年間死者数、初めて10万人下回る 2016年、WHO報告 [健康ダイジェスト]

 世界保健機関(WHO)は26日、はしか(麻疹)による全世界の年間死者数が2016年に初めて10万人を下回ったと発表しました。一方で、全世界のワクチン普及率の引き上げは「行き詰まり」状態になっているといいます。
 WHOは麻疹ウイルスに関する年次報告書の中で、2016年のはしかによる死者数を9万人と推計しています。年次報告書は「世界のはしか死者数が年間10万人を下回ったのは、これが初めてだ」と述べ、はしか死者数は2000年以降で84%減少したとしています。
 はしかは感染力が強く、空気感染します。高熱やせき、全身の発疹の症状を起こすほか、重い肺炎や脳炎を起こすこともあります。1980年にワクチン接種が本格的に始まる前には、全世界で年間約260万人の死者を出しており、2000年の年間死者数は55万人以上でした。
 WHOの年次報告書は、「2000年以降に予防接種55億回分のワクチンを配置したことが死者数減少の最大の要因となっているが、今後もさらにワクチンの普及を拡大する必要がある」と指摘。「世界は、はしかの地域的根絶という目標の達成にはまだほど遠い」としています。
 さらに、「2回接種が必要な麻疹ワクチンの1回目分の普及率は2009年以降、約85%で行き詰まりとなっており、はしか感染の阻止に必要な普及率95%にははるかに及んでいない。2回目分の普及率は、近年上昇しているものの、2016年は64%にとどまった」と続けました。
 ワクチン未接種の子供の数が最も多い国は、ナイジェリア、インド、パキスタンとなっています。

 2017年10月28日(土)

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■増える健康食品による健康被害やトラブル 薬物性肝障害で入院のケースも [健康ダイジェスト]

 サプリメントなどの健康食品による健康被害や、購入を巡るトラブルが急増しており、健康被害では薬物性肝障害で入院したケースもありました。専門家は「購入前に、今の自分に本当に必要かどうか考えて」と注意を呼び掛けています。
 国民生活センターによると、全国の消費生活センターなどに寄せられた健康食品による健康被害の訴えは、2016年度は1866件で、2015年度の898件の2倍、2014年度の583件と比べると3倍に急増しています。被害内容で多いのは、皮膚障害や体調不良、消化器障害。
 一方、国民生活センターが2014年8月に開設した医師からの情報を直接受け付ける「ドクターメール箱」には、今年7月20日までに179件の情報が寄せられました。このうち9件が、健康食品の摂取による薬物性肝障害と診断された事例でした。
 薬物性肝障害は、医薬品などの服用によって肝臓の機能に障害が出る疾患。健康食品の摂取でも、肝臓への大きな負荷やアレルギー反応などが原因で、薬物性肝障害を発症することがあるといいます。
 事例によると、今年1月、50歳代の女性が特定保健用食品(通称:トクホ)の粉末青汁を飲み、約2週間後に頭痛や寒気が出て34日間入院。青汁の飲用は1回だけだったといいます。2015年には70歳代の女性が3種類のサプリメントを2~3カ月摂取後、倦怠(けんたい)感や黄疸(おうだん)の症状が出て1カ月以上入院していました。健康食品自体に問題はなく、摂取した人の体質が原因とみられる。
 日本肝臓学会副理事長の滝川一・帝京大学医学部長は、「医薬品や健康食品が原因で発症する薬物性肝障害は、年齢や性別を問わず誰でも発症する可能性がある。多くの場合、使用を中止すると快方に向かうが、中には劇症化し死に至った症例もある」と指摘しています。
 事例のように1回の飲用で肝障害になる人もいますが、肝障害の症状があっても健康食品が原因と気付かずに飲み続け、重症化する人もいます。
 初期症状には、倦怠感、食欲不振、発熱、黄疸、発疹、吐き気、嘔吐(おうと)、かゆみなどがあります。
 滝川医学部長は、「症状が持続する場合は直ちに使用を中止し、医療機関を受診してほしい」と注意を呼び掛けています。受診の際は、医師に健康食品を飲んでいることを伝え、商品やパッケージを持参するなどして商品の情報を正確に伝えることも必要です。
 健康食品を巡っては、内閣府食品安全委員会が2015年、「食品であっても安全とは限らない」「過剰摂取のリスクがある」など消費者に知ってほしいことをまとめたメッセージを公表。健康を害することもあるとして、「今の自分に本当に必要か考えて」と注意喚起しています。
 また、消費者庁は今年10月、健康食品を利用する際の注意事項をまとめたパンフレット「健康食品Q&A」を作成。パンフレットの最後には、健康食品の品目と摂取量、体調の変化を書き込む「健康食品手帳」の欄を設け、利用状況を意識しながら使うように勧めています。
 利用による健康被害だけでなく、購入を巡るトラブルも増加。中でも消費者が「お試し」のつもりで購入したのに、実際は定期購入契約になっていたというトラブルが急増しています。
 国民生活センターによると、健康食品の定期購入トラブルは2016年度は1万85件で、2015年度の4352件の2・3倍になりました。「解約しようとしても電話がつながらない」「1回だけのつもりだったのに毎月商品が届き、通常価格を請求された」などの相談が多いといいます。
 国民生活センターは、「商品を注文する前に、契約内容や解約条件についてしっかり確認した上で、慎重に判断してほしい」としています。

 2017年10月28日(土)

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■建設現場でのアスベスト被害、国とメーカー4社に賠償命じる 高裁初判断 [健康ダイジェスト]

 建設現場で建材に含まれるアスベスト(石綿)を吸い込んで、肺がんなどの健康被害を受けたとして、神奈川県の元建設労働者と遺族計89人が国と建材メーカー43社に約28億8000万円の損害賠償を求めた集団訴訟の控訴審判決が27日、東京高等裁判所でありました。
 永野厚郎裁判長は原告敗訴の一審判決を変更し、国とメーカー4社に対し、原告62人に総額約3億7000万円を支払うよう命じました。
 全国14件の同種の集団訴訟で初の高裁判決。国とメーカーのいずれにも賠償を命じる判決は2016年1月の京都地裁、10月24日の横浜地裁(第2陣)に続いて3件目で、双方の責任を認める流れが定着する可能性もあります。
 永野裁判長は判決理由で、1980年前後には医学的知見が集積し、国が重大な健康被害のリスクを把握できたと指摘。「遅くとも1981年までに防じんマスクの着用を義務付けなかったのは違法」と結論付け、原告44人に対し約2億3000万円を支払うよう国に命じました。
 メーカーの賠償対象は、大工や塗装工などとして働いていた元労働者、その遺族ら39人。判決は「メーカーにはマスクの使用を警告する義務があった」とし、4社に計約1億4000万円の賠償を命じました。国、メーカー双方の賠償対象となった原告は21人。
 建設労働者は現場を次々と移るため、健康被害が生じた原因の特定が難しいものの、永野裁判長は「的確な証拠で建材を特定できない場合、建材の市場シェアなどから推定することに合理性がある」と判断。個々の原告について、建材のシェアや作業回数から実際に現場でアスベストが使われた確率を推定し、メーカーの責任を認めました。
 4社はエーアンドエーマテリアル(横浜市鶴見区)、ニチアス(東京都中央区)、エム・エム・ケイ(東京都千代田区)、神島化学工業(大阪市西区)。
 個人事業主の「一人親方」については、法律上の労働者に当たらないとして国の責任を否定。国の責任が生じるよりも前に働いていた原告や、建材と発症との因果関係が不明な原告を含め、27人の請求を退けました。
 厚生労働省は、「厳しい判決と認識している。判決内容を十分検討し、対応したい」と説明。エーアンドエーマテリアルは、「主張が認められなかったことは誠に遺憾だ。上告する方向で検討している」とコメントしました。
 原告らは2008年に提訴。2012年5月の一審・横浜地裁判決は「当時の知見に照らせば国の対応は適法」とし、原告側が全面敗訴しました。その後の地裁判決6件はすべて国の責任を認めましたが、メーカーの責任を巡る判断は分かれていました。
 控訴審はほかに札幌、大阪、福岡などの各高裁でも争われており、今後の結論が注目されます。
 アスベストの健康被害を巡っては、アスベスト工場の元労働者が起こした訴訟が先に進みました。2014年、最高裁が大阪・泉南アスベスト訴訟で「工場に排気装置の設置を義務付ける規制が遅かった」と指摘して国の責任を認め、原告側の勝訴が確定しました。国は最高裁の判断に従って、訴訟を起こした人との和解を進めています。9月末時点で236人との和解が成立し、約21億円を支払いました。

 2017年10月28日(土)

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■血液中の微量元素でがん5種を早期診断へ 千葉県がんセンターが検査法を開発 [健康ダイジェスト]

 千葉県がんセンター(千葉市中央区)は27日、5ミリリットル前後の血液から90%近い的中率で5種類のがんの有無を診断できる新しい検査法を開発したと発表しました。
 金属などの微量元素の血中濃度を測定するのが特徴。国の承認を得て、2019年度の実用化を目指します。
 現在主流の「腫瘍マーカー」を使う血液検査と比べ的中率が高いといい、記者会見した同センターの三上春夫・がん予防センター部長は「人間ドックなどの際に採取した血液も使える。安価で初期のがんにも対応できる検査になる」と話しています。
 千葉県がんセンターによると、5種類は膵臓がん、大腸がん、前立腺がん、乳がん、子宮体がん。神奈川県立がんセンター(横浜市旭区)などとの共同研究で、診断的中率は前立腺がんが最も高い89・7%、男性の大腸がんが最も低い83・9%でした。さらに研究が進めば、胃がん、肺がん、卵巣がんの3種類も診断できる可能性があります。
 がんがある人とない人では、血中にある金属などの微量元素の濃度が異なるという報告に基づき、研究を続けていました。がんの種類ごとに、ナトリウムやマグネシウム、リン、鉄など17種類の元素濃度の組み合わせやバランスを特定しました。
 腫瘍マーカー検査は、主にがん細胞が死ぬ時に出るタンパク質を検出するもので、正確性などに課題があるとされます。
 国立がん研究センター(東京都中央区)などは、すでに1滴の血液から13種類のがんの有無を95%程度の確率で診断できる検査法を開発し、実用化を進めています。

 2017年10月28日(土)

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