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■小型軽量の短期用補助人工心臓を開発し、治験へ 循環器病研究センターなど [健康ダイジェスト]

 重い心不全患者の心臓の働きを短期間助ける新型の補助人工心臓を、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)が医療機器メーカー・ニプロ(大阪市北区)と共同で開発し、10月から治験を始めると、29日発表しました。
 血液ポンプを体外に置く体外設置型で、従来より大幅に小型、軽量化し、30日間使えます。治験では、9人の患者で安全性や効果を確認します。
 心筋梗塞(こうそく)や劇症型心筋炎などで急速に全身状態が悪化し、治療をしても回復がみられない場合、1カ月間の使用を前提とした短期用の補助人工心臓が使われることがあります。それでも回復しない場合は、心臓移植の登録をして長期使用可能な補助人工心臓を装着します。
 現在の体外設置型の短期用補助人工心臓は、20年以上前に開発されました。制御装置は95キロと大型で、脳梗塞の原因となる血の塊ができやすいことが問題になっています。
 今回開発した制御装置は8キロ、血液ポンプのモーターは650グラムと小型化に成功しました。循環させられる血液量は約3倍になり、血液ポンプ内部に特殊なコーティングをするなど血の塊ができにくいよう工夫を施しました。
 研究チームは、「重い心不全患者の救命率を上げる装置になるだろう」と期待しています。

 2017年10月1日(日)

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■凍結精子の無断処分、大阪府の夫妻と病院が和解へ 病院側が100万円支払い [健康ダイジェスト]

 大阪府の医療センターが凍結保存していた精子を無断で処分し、「事前に了承していない」とする夫妻が損害賠償を求めていた裁判で、和解が成立する見通しであることが明らかになりました。
 大阪府池田市の北村哲也さん(32歳)は2003年11月、血液を正常につくれない骨髄異形成症候群のため大阪市都島区の大阪市立総合医療センターに入院。放射線治療の副作用で精子細胞が壊れて精子がつくれなくなる可能性があったため、医療センターは精子を液体窒素で凍結させ、12月から無償で保存を始めました。
 ところが、北村さんが結婚した3カ月後の2015年4月、精子を引き取るため医療センターに問い合わせ、精子の保存が中止され、使えなくなっていたことを知りました。
 2012年4月に医療センターの体外受精の担当医が別の病院に異動することなどから、医療センターは1年後をめどに凍結精子の移管や廃棄を検討。当時、交際中だった北村さん夫妻は同年12月に別の医師と面会し、「結婚するまで待ってほしい」と依頼し、「勝手に廃棄することはない」と回答があったといいます。ところが2014年9月ごろ、医療センターは元担当医の意見も聞いて液体窒素の補充を打ち切り、保存中の精子は機能を失いました。事前に北村さんへの連絡はありませんでした。
 北村さんと妻(30歳)は2015年4月、「保存期限は伝えられておらず、無断で廃棄はしないといわれた」と主張。医療センター側に調査・説明を求める民事調停が不成立となったため、2016年6月、医療センターを運営する大阪市民病院機構と当時の担当医を相手取り、計1000万円の賠償を求めて裁判を起こしました。
 医療センター側は「北村さんに保存期限(2013年3月末)を伝えたのに、引き取りに来なかった」と主張し、「了解したという同意書をもらっておくべきだった。説明不足だったとは思うが、謝罪ということになるという認識ではない」として争う姿勢でしたが、その後、北村さん夫妻との話し合いが進み、医療センター側が解決金100万円を支払うことで、10月4日にも和解する見通しとなりました。
 また、和解の条件には、医療センター側が今後、凍結精子の保存依頼者に対してリスクなどを十分に説明し、同意書を得ることなどを確約する内容も盛り込まれる見込みです。

 2017年10月1日(日)

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■用語 薬剤性低血糖 [用語(や行)]

[レストラン]糖尿病の薬などの服用により、血液に含まれる糖が少なくなりすぎて症状が現れる状態
 薬剤性低血糖とは、糖尿病の薬などの服用が原因で、血液に含まれる糖(ブドウ糖)が少なくなりすぎて特有の症状が現れる状態。
 経口血糖降下剤やインスリン注射などの薬物療法を必要とする糖尿病患者では、それらの薬剤を服用している限り、日常生活において低血糖が現れる可能性は常に潜んでいます。また、糖尿病治療薬以外の薬剤の服用による副作用として、薬剤性低血糖の症状が現れることもあります。
 血液に含まれる糖は、生きるために欠かせないエネルギー源。糖尿病でない人の血液に含まれる糖の量、すなわち血糖値は約70mg/dLから140mg/dLの間に維持されています。しかし、糖尿病ではこの糖の量を一定に維持することができません。食事から取り入れた糖を体や脳のエネルギーとして消費するという需要と供給のバランスが崩れ、血液中の糖が増えすぎると高血糖、逆に薬が効きすぎるなどして血液中の糖が少なくなりすぎると低血糖になります。
 一般に、血糖値が70mg/dL以下になると、人の体は血糖値を上げようとします。また、血糖値が50mg/dL未満になると、脳などの中枢神経が糖不足、すなわちエネルギー不足の状態になります。その時に現れる特有の症状を低血糖症状といいます。
 人によっては、血糖値が70mg/dL以下にならない場合でも、治療などによって血糖値を下げるインスリンの過剰な状態になった時に血糖値が急激に大きく下がることで、低血糖症状が現れることがあります。逆に、血糖値が70mg/dL以下になった場合でも、低血糖症状が現れない人もいます。
 低血糖になる原因は、いくつか考えられます。経口血糖降下剤やインスリン注射の量の多すぎ、糖尿病の薬を服用した後の食事時間の遅れのほか、食事の量や炭水化物の不足、運動の量や時間の多すぎ、空腹での運動、飲酒、入浴など。
 一般に低血糖を起こしやすい糖尿病の治療薬は、経口血糖降下剤のスルホニル尿素薬(SU薬)とインスリンです。経口血糖降下剤のビグアナイド薬(BG薬)、α-グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース、ボグリボース、ミグリトールなど)、速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)といった薬でも起こることがあります。インスリン注射は、正しい手技を身に着けておくことが重要です。
 糖尿病治療薬以外で低血糖を起こしやすい薬剤は、合成抗菌剤(ニューキノロン系、ST合剤)、不整脈用剤(ジソピラミド、シベンゾリンなど)、脳循環代謝改善剤(ホパンテン酸カルシウム)などです。
 低血糖の時には、その値に応じて、体にさまざまな低血糖症状が現れます。集中できなかったり、いつもしていることに時間がかかってしまう場合は、低血糖の可能性もあります。
 睡眠中に低血糖が起きていても、気付かない場合が多々あります。日中に起きる低血糖と症状や原因が異なり、寝る前の運動や食事、入浴などのちょっとした行動が原因になることもあります。さらに、夜間低血糖を起こすと、その反動で翌朝、高血糖になることがあり、その高血糖が尾を引くと一日の血糖コントロールに悪影響を及ぼすことも少なくありません。
 血糖値が約70mg/dL以下になると、交感神経症状が現れ、異常な空腹感、発汗、手の震え、動悸(どうき)などの症状が出てきます。さらに血糖値が下がり50mg/dL程度になると、中枢神経症状が現れます。
 ただし、ふだんから低血糖がよく起こる人や、低血糖症状の自覚が少ない人は、空腹感、発汗などの交感神経症状が現れないまま、無自覚性低血糖になることがあります。無自覚性低血糖の状況になると、血糖値を測ると60mg/dL程度まで低下していることに気付いたり、血糖値が50mg/dLより低くなって、突然さらに重い中枢神経症状が現れ、意識障害を示すことがあります。
 そして、血糖値が30mg/dLよりも低くなると、重症低血糖に陥って意識レベルが低下し、昏睡(こんすい)など意識のない危険な状態になってしまうことがあります。これは大変深刻な状態で、死に至ることもあります。
 低血糖になった時は、できるだけ早い段階で速やかに対応をしなければなりません。意識があり経口摂取が可能な時は、砂糖15グラムから20グラムを飲みます。糖分を含む缶ジュース、缶コーヒーでも構いません。10分から15分で回復しない時は、再度同量を摂取します。
 α-グルコシダーゼ阻害剤であるアカルボース(商品名:グルコバイ等)、ボグリボース(商品名:ベイスン等)、ミグリトール(商品名:セイブル)など、消化管の二糖類をブドウ糖に分解する消化酵素の働きを抑えることで血糖の急激な上昇を抑える糖尿病の薬を飲んでいて低血糖を起こした時には、砂糖を飲んでもすぐに吸収されないため、回復に時間がかかることがあります。
 そのため、低血糖時にはブドウ糖、またはブドウ糖を多く含む清涼飲料水を飲むようにします。
 深刻な低血糖で意識障害を来した時には、自身でブドウ糖を飲み込むのが難しいことがあり、家族や周囲の協力が必要になります。その場合は、無理にブドウ糖を飲ませると、誤嚥(ごえん)や窒息の原因になります。周囲の人は、ブドウ糖や砂糖を水で溶かして、口唇と歯肉の間に塗り付けます。
 医療機関の指導を受けた上で、周囲の人が血糖値を上げるためのグルカゴンという注射を行うこともあります。肝臓のグリコーゲンを分解し、ブドウ糖を放出する作用があるグルカゴン注射で回復した後は、軽く経口摂取しておくことが必要です。なお、アルコールの飲みすぎで低血糖になった時は、肝臓内のグリコーゲンが枯渇しており、グルカゴン注射は効きません。
 救急処置でも回復しない時は、すぐに救急車を呼び、医療機関へ搬送しましょう。
 意識がはっきりしない状態にまでなった低血糖は、一時的に血糖値が改善してもその後にまた血糖値が下がり、同じ症状が現れる可能性が高くなります。低血糖が続く場合も、必ず医療機関で診察を受けましょう。
[レストラン]薬剤性低血糖の検査と診断と治療
 内科、内分泌代謝内科などの医師による診断では、低血糖症状があってもなくても、血糖値が70mg/dLより低い場合、血糖値が70mg/dLより高くても、低血糖症状がある場合に、低血糖と判断します。
 意識障害で重症低血糖の患者が搬送されてきた場合には直ちに緊急の処置を行いますが、それでも可能であれば血液検査を行い、血糖値を確認します。
 内科、内分泌代謝内科などの医師による治療では、意識が保持され経口摂取が可能な場合には、ブドウ糖10〜20グラムを経口摂取します。低血糖昏睡を起こし経口摂取が不可能な場合には、まず50%のブドウ糖液 20〜40 mlを静注し、その後5%のブドウ糖を点滴し、血糖値を100~200 mg/dlに保ちます。特にスルホニル尿素薬(SU薬)を内服している場合には、ブドウ糖液の静注で血糖が上昇したからといって安心せず、数時間後に再発することがあるため、入院の上で十分な管理を行います。
 低血糖に関しては、予防に優る治療はありません。食事を規則正しく摂取する、食前の過激な運動は避ける、運動前に補食するなどの注意が必要です。
 また、自身が糖尿病治療のために使用している薬、あるいは糖尿病治療薬以外の抗菌薬、抗不整脈薬などの薬剤が、低血糖を起こしやすいか否かを把握することも、必要です。
 軽い低血糖症状が現れた時は、できるだけ早い段階で速やかに対処して、重症低血糖を防ぎます。無自覚低血糖を起こすようなケースでは、こまめに血糖を自己測定し、血糖が下がっていれば症状がなくても早めに対処することが必要です。
 低血糖を起こした時、いつ、どこにいてもすぐに対処できるように、ペットシュガーやブドウ糖ゼリーなどを常時携帯しておきます。特に運動療法で外出するような時は忘れずに持っていきます。
 もしもの時に備えて、糖尿病患者であることを示す糖尿病手帳や、携帯用の糖尿病患者用IDカード(緊急連絡用カード)を常に携行しておけば、昏睡で医療機関に搬送された時でもすぐに適切な処置が受けられます。

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