SSブログ

■中高年の大腿骨骨折、発生率は西高東低 沖縄県と秋田県では2・3倍の開き [健康ダイジェスト]

 骨粗鬆症(こつそしょうしょう)で起こりやすくなる中高年の大腿(だいたい)骨骨折の人口10万人当たりの発生率は西日本で高く、北海道や東北地方で低いという調査結果を、骨粗鬆症財団や近畿大学などの研究チームがまとめました。食生活の違いなどが関係している可能性もあるといいます。
 調査は、公的医療保険を使った医療の受診記録に当たる診療報酬明細書(レセプト)の情報を全国で集めた厚生労働省のナショナルデータベースを利用し、脚の付け根付近の大腿骨を骨折して手術を受けた40歳以上の男女の割合を年齢の偏りを調整した上で、都道府県別に比べました。
 2015年に大腿骨を骨折した人は男性3万2000人、女性12万人。全国の発生率は、男性が10万人当たり89人、女性が10万人当たり299人でした。女性が多いのは、骨の細さと骨形成にかかわるホルモンが閉経により減少するため。また、高齢者ほど大腿骨を骨折しやすく、75歳以上が男性で76%、女性で87%を占めました。
 都道府県別に比較すると、「西高東低」の傾向が浮かび上がりました。全国平均を100とした骨折の発生率は、女性では兵庫県や和歌山県、沖縄県などが120前後と西日本で高く、秋田県や青森県など東北以北で低くなりました。120で最も高い兵庫県と65で最も低い秋田県とでは、1・8倍の差がありました。男性も同じ傾向で、144で最も高い沖縄県と63で最も低い秋田県では、2・3倍の開きがありました。
 今回の調査では地域間の偏りの原因は、はっきりしていないといいます。過去にはカルシウムの骨への取り込みを助けるビタミンKの血中濃度は東日本で高く、ビタミンKを多く含む納豆の消費量が関係するといった報告があります。研究チームは、食生活が影響する可能性も考えられるとしていいます。
 研究チームの玉置淳子・大阪医科大学教授(疫学)は、「気になる人は骨検診の受診、カルシウムやビタミンD、ビタミンKの摂取、運動の習慣付けや、リスクになるやせすぎへの注意などを心掛けてほしい」と話しています。ビタミンDは、シラス干し、サンマ、干しシイタケ、イクラ、あん肝などに多く含まれます。
 調査結果は、20日から大阪市で開かれる日本骨粗鬆症学会で報告されます。

 2017年10月13日(金)

nice!(6)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

■山形大、皮膚の傷を早く、安価に治す粉末を発見 3~5年での製薬化を目指す [健康ダイジェスト]

 山形大学は11日、皮膚の傷を治癒する効果のある物質を発見したと発表しました。半導体としての性質を持つ酸化亜鉛粉末を製造する過程で生じる「シモンコライト」という粉末で、傷口を覆う医療用被覆剤に比べ、癒着も起きず深い傷でも早く正常な皮膚に再生させることを動物実験で確認しました。
 今後3~5年かけて医療現場などでの実用化を目指します。
 シモンコライトに皮膚の傷を治す効果があることを発見したのは、山形大学大学院理工学研究科の山本修教授(生体機能修復学、医工学)。機能素材の開発・製造メーカーJFEミネラル(東京都港区)との共同研究の過程で、発見しました。
 ラットを使った実験では、シモンコライトが亜鉛イオンを徐々に放出してタンパク質分解酵素を活性化させ、新たな血管をつくり出して皮膚を再生させることを確認しました。毛を生む毛包という器官もでき、実際に体毛も生えました。現在、より人体に近いブタでの実証を進めています。
 通常、軽い傷なら自然に治癒するものの、表皮の下にある真皮や皮下組織におよぶ深い傷には、湿潤ゲルやポリマー製の医療用創傷被覆剤を使って治療するのが一般的。ただ、治療は長期におよんで、完全に治すことは難しく、傷跡や引きつれが残るなどの課題もあります。
 シモンコライトは、生体とほぼ同じpH値で、水に溶かして軟こう状になるため使いやすく、ごく微量ですみ、治癒後、皮膚にも残りません。長期間同じ姿勢で寝たきりになってできる床擦れ治療には直ちには難しいものの、切り傷、すり傷、裂傷には効果があるとみています。
 シモンコライトは、太陽電池やタッチパネル、抗菌剤などに幅広く使われる酸化亜鉛をつくる前段階で生じる物質で、すでに工業生産されて家畜飼料やpH調整剤などに用いられているため、製造法は確立しています。新たな設備投資が不要なため、製造コストが安価ですむメリットもあります。
 研究成果は、11月20日から東京都で開かれる日本バイオマテリアル学会や、11月30日から岡山市で開かれる国際会議「アジアン・バイオセラミックス・シンポジウム2017」で発表します。
 創傷治癒剤として特許5件を出願、新規治療薬としての承認・製造・販売に向けて、医薬品医療機器総合機構(PMDA)と事前相談なども進めています。ばんそうこうなどとして製品化が可能といい、医療現場での使用のほか、将来は家庭でも使われることも視野に研究開発を進めます。

 2017年10月13日(金)

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

■高価な薬の成分を含む卵、ニワトリに産ませることに成功 安価な薬の開発に期待 [健康ダイジェスト]

 遺伝子を自在に改変できるゲノム編集の技術を利用し、がんや肝炎の治療にも使われる高価な薬の成分を含む卵をニワトリに産ませることに、産業技術総合研究所関西センター(大阪府池田市)などが成功しました。
 薬を安価に作る新手法で、共同研究する企業が来年中にも、まず研究用試薬として従来の半額程度の値段で販売する予定。将来は、薬を現在の1割以下の価格に抑えることを目指します。
 この成分は、免疫に関係するタンパク質の一種「インターフェロンベータ」。悪性皮膚がんや肝炎の治療薬のほか、ウイルス研究用の試薬としても使われています。ただ、生産には大規模な培養施設が必要で、成分自体の価格も数マイクロ・グラム(マイクロは100万分の1)当たり3万~10万円と高価です。
 産業技術総合研究所関西センターと農業・食品産業技術総合研究機構(茨城県つくば市)、試薬輸入販売商社「コスモ・バイオ」(東京都江東区)の研究チームは、雄ニワトリの精子のもとになる細胞に、このインターフェロンベータを作る遺伝子をゲノム編集で導入し、卵に移植。生まれた雄を複数の雌と交配させ、遺伝子を受け継いだヒナを育てました。
 7月下旬、北海道小樽市にあるコスモ・バイオの鶏舎で、ゲノム編集した遺伝子を持つ雌が産卵し、卵白にインターフェロンベータが含まれることを確認しました。現在、3羽の雌が1~2日に1個ずつ産卵しているといいます。
 将来は卵1個から数十~100ミリ・グラムのインターフェロンベータを安定的に作り、大幅な低コスト化を図ります。ただ、医薬品は安全面などのハードルが高いため、まず研究用試薬の生産に乗り出すといいます。
 北條裕信・大阪大学教授(天然物化学)は、「安価な薬の開発が期待できる成果だ。今後、卵に含まれる成分の性質を詳しく調べ、医薬品としての安全性を見極める必要がある」と話しています。

 2017年10月13日(金)

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

■血液検査で腎臓がんを判別するタンパク質を発見  がん研究会、年内にも治験を開始へ [健康ダイジェスト]

 血液検査で腎臓がんを判別できるタンパク質を発見したと、公益財団法人がん研究会(東京都江東区)と大阪大学の研究チームが発表しました。
 検査での目印となる精度の高い腫瘍マーカーとして実用化されれば、腎臓がんの早期発見につながる可能性があるとしています。
 研究チームは、腎臓がんの細胞から分泌され、がん細胞の情報を血液中などにばらまく微粒子「エクソソーム」に着目して、その中の約4000種類のタンパク質を調べました。その結果、「アズロシディン」というタンパク質が、正常な腎臓細胞の30倍以上ありました。
 さらに、腎臓がん患者20人、健常者10人の血液を調べたところ、感度(腎臓病患者を発見する割合)52・6%、特異度(健常者を発見する割合)100%を示し、とりわけ早期の腎臓がん患者からも健常者より高値のアズロシディンを検出できました。
 研究チームは、総合化学メーカーの東ソーと共同で、少量の血液でこのアズロシディンの濃度を測る簡易検査キットの開発を始めています。早ければ年内にも、100人以上の患者を対象に医師主導の臨床試験(治験)を始める予定で、2~3年後の実用化を目指すとしています。
 研究チームの植田幸嗣(こうじ)・がん研究会プロジェクトリーダーは、「腎臓がんの5年生存率は、早期に見付かれば高いが、最も進行した状態だと大きく下がる。早期発見によって、治療成績の向上が期待できる」と話しています。
 腎臓がんは世界的にも患者数、死亡数が年々増加の一途をたどっており、日本では年間約2万5000人が発症し、約9000人が亡くなっています。

 2017年10月13日(金)

nice!(9)  コメント(0) 
共通テーマ:健康