■インフルエンザウイルスを減少させる肌着を発売 グンゼ [健康ダイジェスト]
グンゼ(大阪市北区)は11月下旬から、繊維に付着したインフルエンザウイルスを減少させる肌着「アンチウイルスインナー」を発売しました。インフルエンザの全国的な流行期に入ったことを受け、新しい対策法として提案しています。
口腔内の治療などに用いられ、歯周病菌やカンジダ菌を除菌し続ける固定化抗菌成分「イータック」を肌着の繊維に浸透させており、インフルエンザウイルス、ノロウイルスなど特定のウイルスを減少させる効果があります。防臭効果や、部屋干し時に雑菌の増殖を防ぐ機能もあります。
グンゼの広報IR室は、「毎日着る肌着で、満員電車やエレベーターなど人と密着する場面でのウイルス対策を習慣にしてほしい」としています。
男女ともに半袖と長袖の2種類で、M~LLの3サイズを展開。白、黒、女性物のみピンクがあります。税抜き1404円~1836円。
販売先は、イトーヨーカドー、セブン&アイのネットショッピングサイト「オムニ7」ほかです。
2017年12月6日(水)
口腔内の治療などに用いられ、歯周病菌やカンジダ菌を除菌し続ける固定化抗菌成分「イータック」を肌着の繊維に浸透させており、インフルエンザウイルス、ノロウイルスなど特定のウイルスを減少させる効果があります。防臭効果や、部屋干し時に雑菌の増殖を防ぐ機能もあります。
グンゼの広報IR室は、「毎日着る肌着で、満員電車やエレベーターなど人と密着する場面でのウイルス対策を習慣にしてほしい」としています。
男女ともに半袖と長袖の2種類で、M~LLの3サイズを展開。白、黒、女性物のみピンクがあります。税抜き1404円~1836円。
販売先は、イトーヨーカドー、セブン&アイのネットショッピングサイト「オムニ7」ほかです。
2017年12月6日(水)
■用語 アレルギー性接触皮膚炎 [用語(あ)]
原因となる物質との接触で、アレルギーのある人のみに起こる皮膚の炎症
アレルギー性接触皮膚炎とは、原因となる物質が接触することによって、アレルギーのある人のみに起こる皮膚の炎症。
原因となる物質は、身の回りの品や職業と関係のあるさまざまな物が挙げられます。植物類では、うるし、ギンナン、桜草など。金属類では、腕時計、ネックレス、イヤリングなど。ゴム類では、ゴム手袋、下着類のゴム、おむつカバーなど。さらに、化粧品類、香料、シャンプー、せっけん、整髪料、染髪やパーマに使われる薬剤、防臭剤、殺菌剤、ゴム製品や皮革の加工に使われる化学物質などです。
アレルギー性接触皮膚炎は、接触した物質の毒性が非常に強いために、接触した人全部がかぶれるようなものではありません。接触した物質の毒性の強さと症状の強さは相関せず、アレルギーのある人のみに生じるものです。
まず、原因となる物質に触れると、皮膚の炎症細胞が感作されます。次に、その原因物質に再度、ないし何度か接触することによって、皮膚の炎症細胞が活発に働いて、湿疹(しっしん)を誘発します。炎症細胞が感作されていない人では、全く反応しない炎症反応です。
症状はいわゆる湿疹の型をとりますが、原因物質によって多少異なります。最も多いのは、原因物質が触った部分が赤くはれ、強いかゆみがあり、次第に小さな水膨れとなるもので、原因物質との接触が続く間は治りません。
湿疹ができるところは、原因物質が加わった部分なので、自分で気が付くことが多いものです。もし原因に気付かずに、何度も繰り返してアレルギー性接触皮膚炎が起こっていると、皮膚が次第に厚くなったり、色が付いて治りにくくなります。かき傷やかさぶたもみられるようになります。また、原因がわかっても、職業や生活環境の関係から原因が除去できなくて、治らない場合もあります。
接触皮膚炎症候群という病態もあります。初めは原因物質が触れた部分だけに症状がみられますが、その物質への接触を続けていると、周辺の皮膚にも湿疹が広がることで、かいて広がる場合をいいます。さらに、これが全身に広がることがあり、自家感作性皮膚炎と呼ばれます。アレルギー性接触皮膚炎が治っても自家感作性皮膚炎が持続することがあり、治るまでに長期間を要することがあります。
アレルギー性接触皮膚炎の場合、思い掛けない物質が原因になっていることもあります。早めに皮膚科などを受診して、原因物質を確認することが大切です。
アレルギー性接触皮膚炎の検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科、アレルギー科の医師による診断では、症状やその部位から原因物質を推定し、続いて貼布(ちょうふ)試験(パッチテスト)で確認します。
貼布試験では、リント布かガーゼに原因と考えられる物質を塗って、皮膚に張り付け、絆創膏(ばんそうこう)で固定します。48時間後に検査の判定を行った時、貼布した部分に発赤、または小さな水膨れができていれば陽性です。金属アレルギーの場合は、1週間たって陽性反応が出ることもあるため、診断に時間がかかります。貼布試験を行う際には、入浴はできず、汗をかかないように注意する必要もあります。
皮膚科、皮膚泌尿器科、アレルギー科の医師による治療では、原因物質に触れないようにしてもらいます。医師の側では、原因物質が含まれている製品を知らせるとともに、その物質が含まれていない代替製品を紹介します。
皮膚の炎症やかゆみを和らげるには、ステロイド外用剤の塗布と抗ヒスタミン作用のある内服剤が有効です。うるしや染髪に使われる薬剤による場合など、症状が激しく範囲が広い場合には、短期間ステロイド剤を内服します。
アレルギー性接触皮膚炎とは、原因となる物質が接触することによって、アレルギーのある人のみに起こる皮膚の炎症。
原因となる物質は、身の回りの品や職業と関係のあるさまざまな物が挙げられます。植物類では、うるし、ギンナン、桜草など。金属類では、腕時計、ネックレス、イヤリングなど。ゴム類では、ゴム手袋、下着類のゴム、おむつカバーなど。さらに、化粧品類、香料、シャンプー、せっけん、整髪料、染髪やパーマに使われる薬剤、防臭剤、殺菌剤、ゴム製品や皮革の加工に使われる化学物質などです。
アレルギー性接触皮膚炎は、接触した物質の毒性が非常に強いために、接触した人全部がかぶれるようなものではありません。接触した物質の毒性の強さと症状の強さは相関せず、アレルギーのある人のみに生じるものです。
まず、原因となる物質に触れると、皮膚の炎症細胞が感作されます。次に、その原因物質に再度、ないし何度か接触することによって、皮膚の炎症細胞が活発に働いて、湿疹(しっしん)を誘発します。炎症細胞が感作されていない人では、全く反応しない炎症反応です。
症状はいわゆる湿疹の型をとりますが、原因物質によって多少異なります。最も多いのは、原因物質が触った部分が赤くはれ、強いかゆみがあり、次第に小さな水膨れとなるもので、原因物質との接触が続く間は治りません。
湿疹ができるところは、原因物質が加わった部分なので、自分で気が付くことが多いものです。もし原因に気付かずに、何度も繰り返してアレルギー性接触皮膚炎が起こっていると、皮膚が次第に厚くなったり、色が付いて治りにくくなります。かき傷やかさぶたもみられるようになります。また、原因がわかっても、職業や生活環境の関係から原因が除去できなくて、治らない場合もあります。
接触皮膚炎症候群という病態もあります。初めは原因物質が触れた部分だけに症状がみられますが、その物質への接触を続けていると、周辺の皮膚にも湿疹が広がることで、かいて広がる場合をいいます。さらに、これが全身に広がることがあり、自家感作性皮膚炎と呼ばれます。アレルギー性接触皮膚炎が治っても自家感作性皮膚炎が持続することがあり、治るまでに長期間を要することがあります。
アレルギー性接触皮膚炎の場合、思い掛けない物質が原因になっていることもあります。早めに皮膚科などを受診して、原因物質を確認することが大切です。
アレルギー性接触皮膚炎の検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科、アレルギー科の医師による診断では、症状やその部位から原因物質を推定し、続いて貼布(ちょうふ)試験(パッチテスト)で確認します。
貼布試験では、リント布かガーゼに原因と考えられる物質を塗って、皮膚に張り付け、絆創膏(ばんそうこう)で固定します。48時間後に検査の判定を行った時、貼布した部分に発赤、または小さな水膨れができていれば陽性です。金属アレルギーの場合は、1週間たって陽性反応が出ることもあるため、診断に時間がかかります。貼布試験を行う際には、入浴はできず、汗をかかないように注意する必要もあります。
皮膚科、皮膚泌尿器科、アレルギー科の医師による治療では、原因物質に触れないようにしてもらいます。医師の側では、原因物質が含まれている製品を知らせるとともに、その物質が含まれていない代替製品を紹介します。
皮膚の炎症やかゆみを和らげるには、ステロイド外用剤の塗布と抗ヒスタミン作用のある内服剤が有効です。うるしや染髪に使われる薬剤による場合など、症状が激しく範囲が広い場合には、短期間ステロイド剤を内服します。
■用語 低出生体重性低身長症 [用語(て)]
極めて小さく生まれ、3歳を過ぎても身長が一定の基準に追い付かない低身長症
低出生体重性低身長症とは、妊娠週数(在胎週数)の割に極めて小さく生まれ、3歳を過ぎても身長が一定の基準に追い付かない状態。SGA(Small-for-Gestational Age)性低身長症とも呼ばれます。
子供の低身長症は、身長の伸びを妨げる原因によっていくつかの種類に分けられますが、その中の1つに相当します。
厚生労働省の調査によると、生まれたばかりの新生児の平均身長は男児49・2センチ、女児48・7センチ、平均体重は男児3076グラム、女児2990グラムと報告されています。実際には平均より大きく生まれる新生児もいれば、平均より小さく生まれる新生児もいるわけで、小さく生まれた新生児の中には、母親の胎内にいる間の妊娠週数(在胎週数)からみた時に、身長の伸びや体重の増加がゆっくりで、一定の基準に追い付かずに生まれてくる新生児がいます。
こうした新生児は、胎内発育遅延児(SGA児)と呼ばれます。原因については、母体や胎盤が原因のこともあれば、胎児や遺伝の問題ということもあり、さまざまな要因が重なりあっていると考えられます。
男児の標準的な成長をみると、1歳までに25センチ、1~2歳の間に10センチ、2~3歳の間に8センチ伸びますから、約50センチで生まれた新生児は3歳の時におよそ93センチに成長すると予測できます。子供の体には、こうした成長パターンが組み込まれているために、たとえ小さく生まれたとしても、10人中9人の子供は3歳になるまでの間に、身長が標準の範囲まで追い付きます。
しかし、10人中1人くらいの割合で、3歳を過ぎても身長が標準の範囲まで追い付かない子供がいます。こうした子供は、低出生体重性低身長症(SGA性低身長症)と呼ばれます。
低出生体重性低身長症の子供は、成長ホルモンの分泌はほぼ正常なものの、幼児期を過ぎ、小学校に上がってからも低身長のまま経過することが報告されています。また、通常に比べて思春期の訪れがやや早い傾向もあります。低身長のまま思春期を早く迎えることで、成人になっても背が低いことが予測されます。
低出生体重性低身長症か否かを知る手段の1つに、成長曲線をつける方法があります。成長曲線は、生まれた時からの子供の成長を折れ線グラフで示すもので、母子手帳にも付いています。子供の身長の測定値を継続して記載し、過去のものと線で結んでグラフ化します。あらかじめ標準的な身長グラフも記載されているので、その標準身長と子供の身長を比較してみましょう。もともと、胎内発育遅延児(SGA児)で、3歳になっても-2SD(標準偏差)以上の差がみられる場合は、低出生体重性低身長症が強く疑われます。
子供に低出生体重性低身長症が疑われたら、小児科、小児内分泌科の専門医を受診してください。低身長を改善するために、3歳から成長ホルモンによる治療を始めることが可能です。成長ホルモンの効果は個人差がありますが、効果を出すにはなるべく早い時期から治療を開始するほうが望ましいとされています。
低出生体重性低身長症の検査と診断と治療
小児科、小児内分泌科の医師による診断では、まず生まれた時の様子や、妊娠週数(在胎週数)と体重と身長、その後の成長の様子などを聞くので、受診する保護者には母子手帳や成長曲線の記録などを持参するようにしてもらいます。また、身長と体重の測定などで現在の成長の状況なども調べ、血液中の成長ホルモンの量や、ほかの下垂体ホルモンの量を測定し、総合的に判断します。
低身長には、低出生体重性低身長症以外にも、体質性のもの、疾患によるものなどさまざまな原因が考えられるため、下垂体とその周辺のMRI検査、CT検査を行うこともあります。鑑別すべきものに、思春期遅発症、甲状腺(こうじょうせん)機能低下症による低身長などがあります。
小児科、小児内分泌科の医師による治療は、ヒト成長ホルモンを注射することで、脳の下垂体から分泌される成長ホルモンを補って、背の伸びを促進させる成長ホルモン療法を行います。ヒト成長ホルモンは、以前はヒト下垂体から抽出していたので、その生産量に限りがありました。現在では、遺伝子工学技術を応用して大量に産出されるようになり、十分な治療が行われています。
本剤は注射液ですが、毎日少量ずつ投与するのが効果的で、自己注射が認められているため、小さい時は保護者が、大きくなると本人が注射の打ち方を習い、毎日1回寝る前に皮膚の下5ミリの部位に皮下注射します。
現在、使いやすくて安全なペン型の注射器が普及しています。従来のものよりも針先を細くして痛みを少なくしたり、注射器に補助具をつけることで針先が見えなくなるなどの工夫がされています。また最近では、ボタンを押すだけで注射できる全自動の注射器や、針のない圧力式注射器も登場しています。このような注射器を使えば安定した注射ができ、自宅で治療を続けることができます。ヒト成長ホルモンの注射を始めた子供の日常生活上の特別な注意点はなく、運動は自由、食事も自由です。
成長ホルモン療法により1年目は平均8センチぐらいの身長の伸びが認められますが、2年目、3年目と伸びは落ちていきます。すぐに正常身長になるというような治療ではありません。長期治療した例の最終身長の平均は、男性で160センチ、女性で148センチ前後とされています。
低出生体重性低身長症とは、妊娠週数(在胎週数)の割に極めて小さく生まれ、3歳を過ぎても身長が一定の基準に追い付かない状態。SGA(Small-for-Gestational Age)性低身長症とも呼ばれます。
子供の低身長症は、身長の伸びを妨げる原因によっていくつかの種類に分けられますが、その中の1つに相当します。
厚生労働省の調査によると、生まれたばかりの新生児の平均身長は男児49・2センチ、女児48・7センチ、平均体重は男児3076グラム、女児2990グラムと報告されています。実際には平均より大きく生まれる新生児もいれば、平均より小さく生まれる新生児もいるわけで、小さく生まれた新生児の中には、母親の胎内にいる間の妊娠週数(在胎週数)からみた時に、身長の伸びや体重の増加がゆっくりで、一定の基準に追い付かずに生まれてくる新生児がいます。
こうした新生児は、胎内発育遅延児(SGA児)と呼ばれます。原因については、母体や胎盤が原因のこともあれば、胎児や遺伝の問題ということもあり、さまざまな要因が重なりあっていると考えられます。
男児の標準的な成長をみると、1歳までに25センチ、1~2歳の間に10センチ、2~3歳の間に8センチ伸びますから、約50センチで生まれた新生児は3歳の時におよそ93センチに成長すると予測できます。子供の体には、こうした成長パターンが組み込まれているために、たとえ小さく生まれたとしても、10人中9人の子供は3歳になるまでの間に、身長が標準の範囲まで追い付きます。
しかし、10人中1人くらいの割合で、3歳を過ぎても身長が標準の範囲まで追い付かない子供がいます。こうした子供は、低出生体重性低身長症(SGA性低身長症)と呼ばれます。
低出生体重性低身長症の子供は、成長ホルモンの分泌はほぼ正常なものの、幼児期を過ぎ、小学校に上がってからも低身長のまま経過することが報告されています。また、通常に比べて思春期の訪れがやや早い傾向もあります。低身長のまま思春期を早く迎えることで、成人になっても背が低いことが予測されます。
低出生体重性低身長症か否かを知る手段の1つに、成長曲線をつける方法があります。成長曲線は、生まれた時からの子供の成長を折れ線グラフで示すもので、母子手帳にも付いています。子供の身長の測定値を継続して記載し、過去のものと線で結んでグラフ化します。あらかじめ標準的な身長グラフも記載されているので、その標準身長と子供の身長を比較してみましょう。もともと、胎内発育遅延児(SGA児)で、3歳になっても-2SD(標準偏差)以上の差がみられる場合は、低出生体重性低身長症が強く疑われます。
子供に低出生体重性低身長症が疑われたら、小児科、小児内分泌科の専門医を受診してください。低身長を改善するために、3歳から成長ホルモンによる治療を始めることが可能です。成長ホルモンの効果は個人差がありますが、効果を出すにはなるべく早い時期から治療を開始するほうが望ましいとされています。
低出生体重性低身長症の検査と診断と治療
小児科、小児内分泌科の医師による診断では、まず生まれた時の様子や、妊娠週数(在胎週数)と体重と身長、その後の成長の様子などを聞くので、受診する保護者には母子手帳や成長曲線の記録などを持参するようにしてもらいます。また、身長と体重の測定などで現在の成長の状況なども調べ、血液中の成長ホルモンの量や、ほかの下垂体ホルモンの量を測定し、総合的に判断します。
低身長には、低出生体重性低身長症以外にも、体質性のもの、疾患によるものなどさまざまな原因が考えられるため、下垂体とその周辺のMRI検査、CT検査を行うこともあります。鑑別すべきものに、思春期遅発症、甲状腺(こうじょうせん)機能低下症による低身長などがあります。
小児科、小児内分泌科の医師による治療は、ヒト成長ホルモンを注射することで、脳の下垂体から分泌される成長ホルモンを補って、背の伸びを促進させる成長ホルモン療法を行います。ヒト成長ホルモンは、以前はヒト下垂体から抽出していたので、その生産量に限りがありました。現在では、遺伝子工学技術を応用して大量に産出されるようになり、十分な治療が行われています。
本剤は注射液ですが、毎日少量ずつ投与するのが効果的で、自己注射が認められているため、小さい時は保護者が、大きくなると本人が注射の打ち方を習い、毎日1回寝る前に皮膚の下5ミリの部位に皮下注射します。
現在、使いやすくて安全なペン型の注射器が普及しています。従来のものよりも針先を細くして痛みを少なくしたり、注射器に補助具をつけることで針先が見えなくなるなどの工夫がされています。また最近では、ボタンを押すだけで注射できる全自動の注射器や、針のない圧力式注射器も登場しています。このような注射器を使えば安定した注射ができ、自宅で治療を続けることができます。ヒト成長ホルモンの注射を始めた子供の日常生活上の特別な注意点はなく、運動は自由、食事も自由です。
成長ホルモン療法により1年目は平均8センチぐらいの身長の伸びが認められますが、2年目、3年目と伸びは落ちていきます。すぐに正常身長になるというような治療ではありません。長期治療した例の最終身長の平均は、男性で160センチ、女性で148センチ前後とされています。
■用語 精神社会性低身長症 [用語(せ)]
愛情を感じられないストレスから、子供の睡眠時に成長ホルモンが十分に分泌されず、低身長を生じる状態
精神社会性低身長症とは、母子関係や家族関係の問題によって、子供が十分な愛情を感じられないまま育った結果、成長ホルモンの分泌が低下して身長が伸びない状態。精神社会的小人症、心理社会性低身長症、愛情遮断性低身長とも呼ばれます。
低身長は、さまざまな原因で身長が伸びない状態のことで、年齢別平均身長より20%、あるいは標準偏差(SD)より2SD以上低い場合を目安としており、同性・同年齢の100人に2~3人が低身長という定義に当てはまります。
精神社会性低身長症は、乳幼児から6歳児程度の子供に多くみられます。母親など養育者からの愛情を感じられない極度のストレスや不安から、子供は心から安らいでグッスリ眠ることができず、成長するために必要な成長ホルモンが睡眠時に脳下垂体から十分に分泌されなくなる結果、身体的な成長に遅れが生じ、年齢別平均身長を著しく下回ると考えられています。
子供は愛情ばかりでなく、十分な栄養を与えられていないこともあり、栄養不足も年齢に見合った身長の伸びを止めてしまう原因の1つになります。身体的な成長の遅れだけでなく、情緒の発達、言語や知的能力の発達の遅れを生じたり、行動異常を示すこともあります。
入院、死亡、離婚などによる母親不在の環境が原因となったり、母親など養育者が深い悩みを抱えていたり、うつ状態であったり、薬物依存や知的障害、精神的な病気を持っていたりして、適切な子育てができないことが原因となったりします。
母親など養育者自身が子供時代に十分な愛情を受けて育っていない場合に、世代を超えて子育てに影響する世代間伝達、愛情不足の連鎖もあります。夫婦仲が悪く、家庭環境の雰囲気が悪いことが原因になることもあります。
栄養障害によって現れる症状として、身長が低い、体重の増えが悪い、腕や脚が細い、やせている、肋骨(ろっこつ)が目立つ、お尻がへこんでいるなどがあります。不適切な養育の結果として観察される症状としては、おむつかぶれがひどい、皮膚が汚い、汚い服を着ているなどがあります。子供の心理的な変化や行動異常によって現れる症状としては、目を合わせない、表情が乏しい、感情表現が乏しい、動作が緩慢、抱きついたり寄り添ったりしない、親に抱かれるのを嫌がる、異様な食欲増進、尿や便をもらす、寝付きが悪い、かんしゃくを起こすなどがあります。
愛情不足の養育や、より重大な問題がある虐待やネグレクト(育児放棄)が生後1年以内に始まり、3年以上続く時は、情緒や知能の障害が永久に回復しないといわれています。
養育者が子供の精神社会性低身長症に気付いたら、母子手帳の成長曲線をつけてみたり、子供らしい豊かな表情をしているかどうか、気を配りましょう。心配なことがあれば、小児科医や保健師に相談しましょう。
精神社会性低身長症の検査と診断と治療
小児科の医師による診断では、過去から現在までの身長、体重、頭囲の計測値から成長曲線をつくり、子供の成長を評価します。食事の内容から、栄養学的な分析をします。また、養育環境についての情報を集めます。
小児科の医師による治療では、食事の内容について養育者に栄養指導を行い、子供の年齢に見合った十分な食事を与えるようにします。
また、子供と養育者にとって、ストレスの少ない環境になるように調整をします。母親など養育者に対する心理カウンセリングが必要な場合もあります。養育者は子供に対してストレスを与えていないつもりでも、気付いていない家庭の習慣が子供のストレスになっている場合もあります。
子供にとってストレスの少ない環境で、年齢に見合った十分な栄養を与えると体重が増加し、成長ホルモンの反応も回復して身長の伸びが促進されなど、成長の遅れは取り戻されます。
しかし、虐待やネグレクト(育児放棄)など養育者の子育てに重大な問題がある場合、ケースによっては養育者と子供を遠ざけることも必要です。入院で治療を受けさせたり、乳児院など保護観察施設で養育したりすることで遅れていた成長が改善されることもあります。
母親が不在の場合、あるいは母親がいても子供に愛情を十分に与えることができない場合には、母親に代わって父親や親に代わる養育者が十分な愛情を注ぐことで防ぐことは可能です。
精神社会性低身長症とは、母子関係や家族関係の問題によって、子供が十分な愛情を感じられないまま育った結果、成長ホルモンの分泌が低下して身長が伸びない状態。精神社会的小人症、心理社会性低身長症、愛情遮断性低身長とも呼ばれます。
低身長は、さまざまな原因で身長が伸びない状態のことで、年齢別平均身長より20%、あるいは標準偏差(SD)より2SD以上低い場合を目安としており、同性・同年齢の100人に2~3人が低身長という定義に当てはまります。
精神社会性低身長症は、乳幼児から6歳児程度の子供に多くみられます。母親など養育者からの愛情を感じられない極度のストレスや不安から、子供は心から安らいでグッスリ眠ることができず、成長するために必要な成長ホルモンが睡眠時に脳下垂体から十分に分泌されなくなる結果、身体的な成長に遅れが生じ、年齢別平均身長を著しく下回ると考えられています。
子供は愛情ばかりでなく、十分な栄養を与えられていないこともあり、栄養不足も年齢に見合った身長の伸びを止めてしまう原因の1つになります。身体的な成長の遅れだけでなく、情緒の発達、言語や知的能力の発達の遅れを生じたり、行動異常を示すこともあります。
入院、死亡、離婚などによる母親不在の環境が原因となったり、母親など養育者が深い悩みを抱えていたり、うつ状態であったり、薬物依存や知的障害、精神的な病気を持っていたりして、適切な子育てができないことが原因となったりします。
母親など養育者自身が子供時代に十分な愛情を受けて育っていない場合に、世代を超えて子育てに影響する世代間伝達、愛情不足の連鎖もあります。夫婦仲が悪く、家庭環境の雰囲気が悪いことが原因になることもあります。
栄養障害によって現れる症状として、身長が低い、体重の増えが悪い、腕や脚が細い、やせている、肋骨(ろっこつ)が目立つ、お尻がへこんでいるなどがあります。不適切な養育の結果として観察される症状としては、おむつかぶれがひどい、皮膚が汚い、汚い服を着ているなどがあります。子供の心理的な変化や行動異常によって現れる症状としては、目を合わせない、表情が乏しい、感情表現が乏しい、動作が緩慢、抱きついたり寄り添ったりしない、親に抱かれるのを嫌がる、異様な食欲増進、尿や便をもらす、寝付きが悪い、かんしゃくを起こすなどがあります。
愛情不足の養育や、より重大な問題がある虐待やネグレクト(育児放棄)が生後1年以内に始まり、3年以上続く時は、情緒や知能の障害が永久に回復しないといわれています。
養育者が子供の精神社会性低身長症に気付いたら、母子手帳の成長曲線をつけてみたり、子供らしい豊かな表情をしているかどうか、気を配りましょう。心配なことがあれば、小児科医や保健師に相談しましょう。
精神社会性低身長症の検査と診断と治療
小児科の医師による診断では、過去から現在までの身長、体重、頭囲の計測値から成長曲線をつくり、子供の成長を評価します。食事の内容から、栄養学的な分析をします。また、養育環境についての情報を集めます。
小児科の医師による治療では、食事の内容について養育者に栄養指導を行い、子供の年齢に見合った十分な食事を与えるようにします。
また、子供と養育者にとって、ストレスの少ない環境になるように調整をします。母親など養育者に対する心理カウンセリングが必要な場合もあります。養育者は子供に対してストレスを与えていないつもりでも、気付いていない家庭の習慣が子供のストレスになっている場合もあります。
子供にとってストレスの少ない環境で、年齢に見合った十分な栄養を与えると体重が増加し、成長ホルモンの反応も回復して身長の伸びが促進されなど、成長の遅れは取り戻されます。
しかし、虐待やネグレクト(育児放棄)など養育者の子育てに重大な問題がある場合、ケースによっては養育者と子供を遠ざけることも必要です。入院で治療を受けさせたり、乳児院など保護観察施設で養育したりすることで遅れていた成長が改善されることもあります。
母親が不在の場合、あるいは母親がいても子供に愛情を十分に与えることができない場合には、母親に代わって父親や親に代わる養育者が十分な愛情を注ぐことで防ぐことは可能です。
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■東京医科歯科大など、非アルコール性脂肪肝炎の経過再現に成功 治療法確立へ前進 [健康ダイジェスト]
東京医科歯科大学や九州大学、名古屋大学などの研究チームは、短期間で動物に「非アルコール性脂肪肝炎(NASH=ナッシュ)」を発症させる経過再現に成功しました。発症メカニズムが不明で治療も難しいNASHの病態解明を始め、検査や治療法の確立、創薬に向けての一歩として注目されています。
アルコールを全く飲まない人や、少しだけ飲むという人にもアルコール性肝障害に類似した脂肪性肝障害がみられる非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)が進行し、肝臓に炎症や線維化がみられるNASHは、肥満や糖尿病、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)などが背景にあります。脂肪肝の約10%がNASHに移行、さらに約10%が肝硬変や肝がんを発症すると考えられています。
患者数は増加傾向にあり、国内に約100〜200万人の発症者がいると推定されている一方、脂肪肝からNASHへの進行過程は未解明で、確定診断には肝臓の一部を採取する肝生検が必要になるなど体の負担も大きくなります。早期発見の手掛かりとなるバイオマーカーもなく、治療法も確立されていません。
NASHの病態解明に取り組むのは、九州大・小川佳宏教授(兼東京医科歯科大教授)と名古屋大・菅波孝祥教授らの研究チーム。研究では、約1週間でNASHを発症するマウスの開発に成功しました。その過程で、異物を捕食する白血球の一種である「マクロファージ」が作り出す微小環境が、肝臓の線維化を促進していることがわかりました。
これまでのマウスでは、NASHの病変を見るためには約20週間が必要でした。今回は、脂肪肝を発症させたマウスに、肝臓の線維化を起こす少量の肝障害性薬剤を投与。すると、約1週間でNASHの病変を再現できたといいます。
小川教授は、「NASHは5~10年をかけて進行する。その状態を研究で再現することは困難だった。短期間で病変を見ることができ、スピード感のある研究が可能になる」と指摘しています。
一連の研究から、異物を捕食するマクロファージが作り出す環境が、脂肪肝からNASHに進行する分岐点になっている可能性も浮かび上がりました。肝臓に脂肪が蓄積することで肝細胞が細胞死に陥り、肝臓に常在しているマクロファージが周辺を取り囲みます。そして、死滅した細胞を処理するためにhCLS(王冠様構造)と呼ばれる正常な組織にはない特徴的な微小環境を作り出し、周辺を線維化していきます。
小川教授は、「線維化は本来は細胞を再生させる修復反応だが、食生活や加齢など、さまざまな要因から線維化が収束しないとNASHにつながっていく」と分析しています。
脂肪肝は生活習慣の見直しなどによって、健康な状態に戻していくことが可能ですが、NASHの進行が始まると現状では食い止めるのが困難。その分岐点として、hCLS形成という現象が注目されています。
小川教授は、「NASHへの進行過程はブラックボックスだった。今回の発見は解明に向けた一つの手掛かり。病態を把握することで、早期発見や効果的治療方法の確立、薬の開発につなげていきたい」と話しています。
研究成果は、国際科学誌「JCIインサイト」オンライン版で発表されています。
2017年12月5日(火)
アルコールを全く飲まない人や、少しだけ飲むという人にもアルコール性肝障害に類似した脂肪性肝障害がみられる非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)が進行し、肝臓に炎症や線維化がみられるNASHは、肥満や糖尿病、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)などが背景にあります。脂肪肝の約10%がNASHに移行、さらに約10%が肝硬変や肝がんを発症すると考えられています。
患者数は増加傾向にあり、国内に約100〜200万人の発症者がいると推定されている一方、脂肪肝からNASHへの進行過程は未解明で、確定診断には肝臓の一部を採取する肝生検が必要になるなど体の負担も大きくなります。早期発見の手掛かりとなるバイオマーカーもなく、治療法も確立されていません。
NASHの病態解明に取り組むのは、九州大・小川佳宏教授(兼東京医科歯科大教授)と名古屋大・菅波孝祥教授らの研究チーム。研究では、約1週間でNASHを発症するマウスの開発に成功しました。その過程で、異物を捕食する白血球の一種である「マクロファージ」が作り出す微小環境が、肝臓の線維化を促進していることがわかりました。
これまでのマウスでは、NASHの病変を見るためには約20週間が必要でした。今回は、脂肪肝を発症させたマウスに、肝臓の線維化を起こす少量の肝障害性薬剤を投与。すると、約1週間でNASHの病変を再現できたといいます。
小川教授は、「NASHは5~10年をかけて進行する。その状態を研究で再現することは困難だった。短期間で病変を見ることができ、スピード感のある研究が可能になる」と指摘しています。
一連の研究から、異物を捕食するマクロファージが作り出す環境が、脂肪肝からNASHに進行する分岐点になっている可能性も浮かび上がりました。肝臓に脂肪が蓄積することで肝細胞が細胞死に陥り、肝臓に常在しているマクロファージが周辺を取り囲みます。そして、死滅した細胞を処理するためにhCLS(王冠様構造)と呼ばれる正常な組織にはない特徴的な微小環境を作り出し、周辺を線維化していきます。
小川教授は、「線維化は本来は細胞を再生させる修復反応だが、食生活や加齢など、さまざまな要因から線維化が収束しないとNASHにつながっていく」と分析しています。
脂肪肝は生活習慣の見直しなどによって、健康な状態に戻していくことが可能ですが、NASHの進行が始まると現状では食い止めるのが困難。その分岐点として、hCLS形成という現象が注目されています。
小川教授は、「NASHへの進行過程はブラックボックスだった。今回の発見は解明に向けた一つの手掛かり。病態を把握することで、早期発見や効果的治療方法の確立、薬の開発につなげていきたい」と話しています。
研究成果は、国際科学誌「JCIインサイト」オンライン版で発表されています。
2017年12月5日(火)