■用語 サーファーズイヤー [用語(さ)]
外耳道の深部の骨部外耳道の骨が増殖して、隆起する疾患
サーファーズイヤーとは、耳の穴の入り口から鼓膜までの空洞である管腔(かんくう)、つまり外耳道(がいじどう)に長期間冷水刺激が加わることにより、骨部外耳道の骨が増殖して隆起が生じた疾患。外耳道外骨腫(がいこつしゅ)とも呼ばれます。
外耳道でも、耳の穴の入り口は軟骨部外耳道で、深部の鼓膜に近い部分が骨部外耳道に相当します。
外耳道外骨腫は古くから潜水夫や、頻繁に水泳を行う人に多いことが知られていましたが、特にサーファーに好発することから1977年にサーファーズイヤーと命名されました。
日本でのサーフィンの起源は、第2次大戦後日本に駐留した米軍兵士が神奈川県や千葉県で行ったのが始まりといわれ、国内でのサーフィンの歴史は60年前後と考えられます。1990年代に起こった世界的なロングボードサーフィンのリバイバルブーム以降、日本でもサーフィン愛好者は増加しています。
サーファーズイヤーは、水上スポーツ愛好家、水中スポーツ愛好家、職業ダイバーのほか、サウナ愛好家にも認められることがあります。サウナ愛好家の中には、サウナで温まった後に、冷水に飛び込むことを習慣とするケースがあり、そのような場合にも外耳道外骨腫が形成されることがあります。
競技会に参加するような熱心なサーファーを対象とした調査では、日本人のプロサーファーの81パーセント、アマチュアサーファーの54パーセント、両者の平均で59・8パーセントに外耳道外骨腫の形成が認められました。また、サーフィン経験が同程度の場合、男性のほうが女性よりも高度の病変が形成されることが多いことがわかりました。
原因は、外耳道に長期間にわたって加わる冷水刺激と考えられます。サウナ愛好家にも認められることから、外耳道に加わる寒暖差が外耳道外骨腫の形成に関与している可能性も示唆されます。サーフィン経験年数や頻度が多いほど、また海水温の低い地域のサーファーほど高度な病変が形成されやすくなります。耳に強い冷たい風を受ける影響もあると考えられます。
外耳道に冷水の侵入が繰り返されたり、強い冷たい風を受ける刺激で、基本的には両側の耳の骨部外耳道の骨が炎症を起こして増殖し隆起するために、外耳道が狭くなっていきます。
形成される外耳道外骨腫は、層状の緻密(ちみつ)な骨で、骨細胞に富み、骨髄腔が乏しいことが特徴とされます。1つ、あるいは2つの外耳道外骨腫が形成されることも、3つ以上形成されることもあります。
発症初期には自覚症状に乏しく、高度の外耳道の狭窄(きょうさく)に至っても、いくらか透き間が開いていれば難聴はほとんど起こりません。ただし、外耳道炎を起こしたり、外耳道外骨腫と鼓膜の間に耳垢(みみあか)がたまることにより、外耳道が閉塞(へいそく)した場合は、急に伝音(でんおん)難聴を来すことがあります。
そのほか、外耳道から水が抜けにくい、耳痛、耳鳴り、頭痛、かゆみなどの症状も起こりますが、必ずしもサーファーズイヤーの程度とは相関しません。
サーフィンやマリンスポーツなどの後、耳の穴から水がいつまでも抜けない、右耳だけが聞こえにくい気がするなど、耳に違和感を覚えたら、早めに耳鼻咽喉(いんこう)科を受診することが勧められます。
サーファーズイヤーの検査と診断と治療
耳鼻咽喉(いんこう)科の医師による診断では、処置用顕微鏡で耳の中を観察し、聴力検査を行います。側頭骨CT(コンピュータ断層撮影)検査を行い、外耳道骨と同濃度の結節性、あるいはびまん性の外耳道外骨腫の隆起を認めることで確定できます。
手術の実施を予定している場合は、側頭骨CT検査で、外耳道に近接している顔面神経の走行と、骨の削除範囲を入念に確認します。
耳鼻咽喉科の医師による治療では、外耳道の狭窄が軽度で無症状であれば手術は行わず、点耳薬などの保存的治療で対応します。サーフィンやマリンスポーツをやめたとしても、一度形成された外耳道外骨腫は小さくならないと考えられています。
外耳道炎を繰り返したり、難聴などの症状が強い場合は、基本的に全身麻酔の下、耳内切開ないし耳後切開による手術を実施し、ノミやドリル、あるいは超音波装置といった手術具を使用して隆起した骨を削り、外耳道を広げます。
外耳道の皮膚の温存に努めて、骨部外耳道の骨面露出を最低限に抑えれば、通常、別の部位の皮膚を移植する遊離植皮などは必要ありません。サーファーズイヤーの程度が左右の耳で大きく異なる場合には、治療期間にも左右差が生じることがあります。手術後、完治するまでには時間がかかります。
予防としては、外耳道への冷たい海水の侵入刺激や、風による蒸散熱の冷却により骨増殖が増進するので、冬期や海水温の低い海域でのサーフィン中止、型を取った耳栓の装用が有効です。
市販されている耳栓も、シリコン製の耳栓や粘土形状の耳栓、大きなサイズや小さなサイズ、外部からの音を聞き取れる耳栓とさまざまなものがありますので、自分の耳に一番適した耳栓を探すとよいでしょう。
サーファーズイヤーとは、耳の穴の入り口から鼓膜までの空洞である管腔(かんくう)、つまり外耳道(がいじどう)に長期間冷水刺激が加わることにより、骨部外耳道の骨が増殖して隆起が生じた疾患。外耳道外骨腫(がいこつしゅ)とも呼ばれます。
外耳道でも、耳の穴の入り口は軟骨部外耳道で、深部の鼓膜に近い部分が骨部外耳道に相当します。
外耳道外骨腫は古くから潜水夫や、頻繁に水泳を行う人に多いことが知られていましたが、特にサーファーに好発することから1977年にサーファーズイヤーと命名されました。
日本でのサーフィンの起源は、第2次大戦後日本に駐留した米軍兵士が神奈川県や千葉県で行ったのが始まりといわれ、国内でのサーフィンの歴史は60年前後と考えられます。1990年代に起こった世界的なロングボードサーフィンのリバイバルブーム以降、日本でもサーフィン愛好者は増加しています。
サーファーズイヤーは、水上スポーツ愛好家、水中スポーツ愛好家、職業ダイバーのほか、サウナ愛好家にも認められることがあります。サウナ愛好家の中には、サウナで温まった後に、冷水に飛び込むことを習慣とするケースがあり、そのような場合にも外耳道外骨腫が形成されることがあります。
競技会に参加するような熱心なサーファーを対象とした調査では、日本人のプロサーファーの81パーセント、アマチュアサーファーの54パーセント、両者の平均で59・8パーセントに外耳道外骨腫の形成が認められました。また、サーフィン経験が同程度の場合、男性のほうが女性よりも高度の病変が形成されることが多いことがわかりました。
原因は、外耳道に長期間にわたって加わる冷水刺激と考えられます。サウナ愛好家にも認められることから、外耳道に加わる寒暖差が外耳道外骨腫の形成に関与している可能性も示唆されます。サーフィン経験年数や頻度が多いほど、また海水温の低い地域のサーファーほど高度な病変が形成されやすくなります。耳に強い冷たい風を受ける影響もあると考えられます。
外耳道に冷水の侵入が繰り返されたり、強い冷たい風を受ける刺激で、基本的には両側の耳の骨部外耳道の骨が炎症を起こして増殖し隆起するために、外耳道が狭くなっていきます。
形成される外耳道外骨腫は、層状の緻密(ちみつ)な骨で、骨細胞に富み、骨髄腔が乏しいことが特徴とされます。1つ、あるいは2つの外耳道外骨腫が形成されることも、3つ以上形成されることもあります。
発症初期には自覚症状に乏しく、高度の外耳道の狭窄(きょうさく)に至っても、いくらか透き間が開いていれば難聴はほとんど起こりません。ただし、外耳道炎を起こしたり、外耳道外骨腫と鼓膜の間に耳垢(みみあか)がたまることにより、外耳道が閉塞(へいそく)した場合は、急に伝音(でんおん)難聴を来すことがあります。
そのほか、外耳道から水が抜けにくい、耳痛、耳鳴り、頭痛、かゆみなどの症状も起こりますが、必ずしもサーファーズイヤーの程度とは相関しません。
サーフィンやマリンスポーツなどの後、耳の穴から水がいつまでも抜けない、右耳だけが聞こえにくい気がするなど、耳に違和感を覚えたら、早めに耳鼻咽喉(いんこう)科を受診することが勧められます。
サーファーズイヤーの検査と診断と治療
耳鼻咽喉(いんこう)科の医師による診断では、処置用顕微鏡で耳の中を観察し、聴力検査を行います。側頭骨CT(コンピュータ断層撮影)検査を行い、外耳道骨と同濃度の結節性、あるいはびまん性の外耳道外骨腫の隆起を認めることで確定できます。
手術の実施を予定している場合は、側頭骨CT検査で、外耳道に近接している顔面神経の走行と、骨の削除範囲を入念に確認します。
耳鼻咽喉科の医師による治療では、外耳道の狭窄が軽度で無症状であれば手術は行わず、点耳薬などの保存的治療で対応します。サーフィンやマリンスポーツをやめたとしても、一度形成された外耳道外骨腫は小さくならないと考えられています。
外耳道炎を繰り返したり、難聴などの症状が強い場合は、基本的に全身麻酔の下、耳内切開ないし耳後切開による手術を実施し、ノミやドリル、あるいは超音波装置といった手術具を使用して隆起した骨を削り、外耳道を広げます。
外耳道の皮膚の温存に努めて、骨部外耳道の骨面露出を最低限に抑えれば、通常、別の部位の皮膚を移植する遊離植皮などは必要ありません。サーファーズイヤーの程度が左右の耳で大きく異なる場合には、治療期間にも左右差が生じることがあります。手術後、完治するまでには時間がかかります。
予防としては、外耳道への冷たい海水の侵入刺激や、風による蒸散熱の冷却により骨増殖が増進するので、冬期や海水温の低い海域でのサーフィン中止、型を取った耳栓の装用が有効です。
市販されている耳栓も、シリコン製の耳栓や粘土形状の耳栓、大きなサイズや小さなサイズ、外部からの音を聞き取れる耳栓とさまざまなものがありますので、自分の耳に一番適した耳栓を探すとよいでしょう。
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