■用語 プロラクチン分泌過剰症 [用語(ふ)]
下垂体からプロラクチンホルモンが過剰に分泌されることが原因となって起こる疾患
プロラクチン分泌過剰症とは、大脳の下部にある小さな分泌腺(せん)である下垂体(脳下垂体)からプロラクチンというホルモンが過剰に分泌されて、血液中のプロラクチン値が上昇した状態である高プロラクチン血症が生じることが原因となり、乳汁分泌、不妊などを発症する疾患。
女性では、無月経、月経不順、無排卵、妊娠や授乳期以外の時期の乳汁分泌、不妊が起こります。男性では、乳汁分泌、性欲低下、勃起(ぼっき)障害、女性のような乳房に膨らむ女性化乳房、不妊が起こります。
下垂体はプロラクチンや副腎(ふくじん)皮質刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、成長ホルモン、黄体化ホルモン、卵胞刺激ホルモンの6つのホルモンを分泌し、プロラクチンは乳腺の発育促進、乳汁産生・分泌促進、女性の排卵や卵胞の成熟抑制にかかわるホルモンです。
下垂体からプロラクチンが過剰に分泌すると、黄体化ホルモンと卵胞刺激ホルモンの分泌が低下するので、女性ではプロゲステロン(黄体ホルモン)やエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が低下し、無排卵、無月経などの月経異常の原因になり、骨粗鬆(こつそしょう)症になるリスクが高くなります。男性では、テストステロン(男性ホルモン)の分泌低下、性欲低下、勃起障害、無精子症、乏精子症、不妊の原因になり、骨粗鬆症になるリスクが高くなります。
プロラクチン分泌過剰症は、種々の原因によって起こります。妊娠した女性では、主に妊娠後期から出産後にプロラクチン値が高くなり、乳腺の発達を促して、母乳を分泌させる働きがあります。
プロラクチン分泌過剰症の原因としては、下垂体におけるプロラクチン産生腫瘍(しゅよう、プロラクチノーマ)が最も多くみられます。
ほかには、大脳の下部にある視床下部・下垂体系の腫瘍や炎症のため、プロラクチンの産生を抑制する脳内物質であるドーパミンの下垂体への作用が阻害されると、下垂体からのプロラクチン分泌への抑制という調節がなくなり、血液中のプロラクチン値が増加します。
また、頭蓋咽頭(ずがいいんとう)腫、 胚芽(はいが)腫などの脳腫瘍や、結核を始めとする感染症によく似た病巣を全身のいろいろな臓器に作る疾患であるサルコイドーシスなどでも、プロラクチン分泌過剰症が高頻度に出現します。
プロラクチン分泌を促進する甲状腺刺激ホルモンの分泌が過剰になる原発性甲状腺機能低下症や、腎(じん)不全でも、プロラクチン分泌過剰症が出現することがあります。胸壁の外傷、手術や帯状疱疹(たいじょうほうしん)などの胸壁疾患でも、プロラクチンの分泌が促進されることがあります。
さらに、薬剤の副作用によることがあります。ある種の抗うつ剤や胃薬は、ドーパミンの作用を阻害することによりプロラクチンを増加させます。降圧薬の一種もプロラクチンを増加させます。低用量ピルなどの経口避妊薬も、視床下部のドーパミン活性を抑制するとともに下垂体に直接作用して、乳汁を産生するプロラクチンの産生や分泌を刺激させます。
プロラクチン分泌過剰症であっても、必ずしも症状を伴うものではありません。20~30歳代の性成熟期の女性では、無月経と乳汁分泌が主要な兆候となります。
下垂体のプロラクチン産生腫瘍が大きい場合には、腫瘍による視神経圧迫のため視野狭窄(きょうさく)、視力低下、頭痛を伴うことがあります。男性の場合は症状が乏しく、不妊などの検査で見付かることがありますが、この場合はプロラクチン産生腫瘍が大きくなっていることがよくみられます。
プロラクチン分泌過剰症の症状に気付いたら、女性なら婦人科 、内科、乳腺科、男性なら内科を受診することが勧められます。
プロラクチン分泌過剰症の検査と診断と治療
婦人科 、内科、乳腺科の医師による診断では、血中プロラクチン値を測定するとともに、女性の出産経験や内服薬服用の確認を行います。
血中プロラクチンが高値の時は、下垂体のプロラクチン産生腫瘍の可能性が高いため、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査やCT(コンピュータ断層撮影法)検査を行い、下垂体病変を調べます。血中プロラクチン値が軽度から中等度の時には、内服薬服用の有無を重視し、下垂体のプロラクチン産生腫瘍以外の原因について検査を行います。
男性では、乳汁分泌、性欲低下がみられ、血液中のテストステロン(男性ホルモン)値が低ければ疑われます。血中プロラクチンが高値を示せば、プロラクチン分泌過剰症と確定されます。
婦人科 、内科、乳腺科の医師による治療では、プロラクチン分泌過剰症の原因がはっきりとしたら、その原因に応じた治療を行います。
内服している薬剤が原因と考えられる場合は、その薬剤を中止します。乳汁分泌がみられるだけで、ほかに特別な異常や兆候がなければ、経過観察も可能です。不快ならば、プロラクチンの産生を抑制する脳内物質であるドーパミンの分泌を促すドーパミンアゴニスト製剤(ドーパミン受容体刺激薬)により、プロラクチンの分泌を抑えると症状は消えます。女性ではエストロゲン(卵胞ホルモン)、男性ではテストステロンの分泌量が増え、不妊が治ることもあります。
女性が無月経を伴う場合には、排卵や月経を誘発する処置を行います。
下垂体のプロラクチン産生腫瘍が原因と考えられる場合は、現在、薬物療法が第一選択となります。ドーパミンアゴニスト製剤の服用により、血中プロラクチン値は低下し、腫瘍も縮小します。一方、腫瘍が直径1センチ以上と大きく、視野障害や頭痛などがあり、腫瘍サイズの縮小が急がれる場合は、手術が選択されることもあります。
原発性甲状腺機能低下症が原因と考えられる場合、甲状腺ホルモンの補充により血中プロラクチン値は正常化し、女性の卵巣機能は回復します。
プロラクチン分泌過剰症とは、大脳の下部にある小さな分泌腺(せん)である下垂体(脳下垂体)からプロラクチンというホルモンが過剰に分泌されて、血液中のプロラクチン値が上昇した状態である高プロラクチン血症が生じることが原因となり、乳汁分泌、不妊などを発症する疾患。
女性では、無月経、月経不順、無排卵、妊娠や授乳期以外の時期の乳汁分泌、不妊が起こります。男性では、乳汁分泌、性欲低下、勃起(ぼっき)障害、女性のような乳房に膨らむ女性化乳房、不妊が起こります。
下垂体はプロラクチンや副腎(ふくじん)皮質刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、成長ホルモン、黄体化ホルモン、卵胞刺激ホルモンの6つのホルモンを分泌し、プロラクチンは乳腺の発育促進、乳汁産生・分泌促進、女性の排卵や卵胞の成熟抑制にかかわるホルモンです。
下垂体からプロラクチンが過剰に分泌すると、黄体化ホルモンと卵胞刺激ホルモンの分泌が低下するので、女性ではプロゲステロン(黄体ホルモン)やエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が低下し、無排卵、無月経などの月経異常の原因になり、骨粗鬆(こつそしょう)症になるリスクが高くなります。男性では、テストステロン(男性ホルモン)の分泌低下、性欲低下、勃起障害、無精子症、乏精子症、不妊の原因になり、骨粗鬆症になるリスクが高くなります。
プロラクチン分泌過剰症は、種々の原因によって起こります。妊娠した女性では、主に妊娠後期から出産後にプロラクチン値が高くなり、乳腺の発達を促して、母乳を分泌させる働きがあります。
プロラクチン分泌過剰症の原因としては、下垂体におけるプロラクチン産生腫瘍(しゅよう、プロラクチノーマ)が最も多くみられます。
ほかには、大脳の下部にある視床下部・下垂体系の腫瘍や炎症のため、プロラクチンの産生を抑制する脳内物質であるドーパミンの下垂体への作用が阻害されると、下垂体からのプロラクチン分泌への抑制という調節がなくなり、血液中のプロラクチン値が増加します。
また、頭蓋咽頭(ずがいいんとう)腫、 胚芽(はいが)腫などの脳腫瘍や、結核を始めとする感染症によく似た病巣を全身のいろいろな臓器に作る疾患であるサルコイドーシスなどでも、プロラクチン分泌過剰症が高頻度に出現します。
プロラクチン分泌を促進する甲状腺刺激ホルモンの分泌が過剰になる原発性甲状腺機能低下症や、腎(じん)不全でも、プロラクチン分泌過剰症が出現することがあります。胸壁の外傷、手術や帯状疱疹(たいじょうほうしん)などの胸壁疾患でも、プロラクチンの分泌が促進されることがあります。
さらに、薬剤の副作用によることがあります。ある種の抗うつ剤や胃薬は、ドーパミンの作用を阻害することによりプロラクチンを増加させます。降圧薬の一種もプロラクチンを増加させます。低用量ピルなどの経口避妊薬も、視床下部のドーパミン活性を抑制するとともに下垂体に直接作用して、乳汁を産生するプロラクチンの産生や分泌を刺激させます。
プロラクチン分泌過剰症であっても、必ずしも症状を伴うものではありません。20~30歳代の性成熟期の女性では、無月経と乳汁分泌が主要な兆候となります。
下垂体のプロラクチン産生腫瘍が大きい場合には、腫瘍による視神経圧迫のため視野狭窄(きょうさく)、視力低下、頭痛を伴うことがあります。男性の場合は症状が乏しく、不妊などの検査で見付かることがありますが、この場合はプロラクチン産生腫瘍が大きくなっていることがよくみられます。
プロラクチン分泌過剰症の症状に気付いたら、女性なら婦人科 、内科、乳腺科、男性なら内科を受診することが勧められます。
プロラクチン分泌過剰症の検査と診断と治療
婦人科 、内科、乳腺科の医師による診断では、血中プロラクチン値を測定するとともに、女性の出産経験や内服薬服用の確認を行います。
血中プロラクチンが高値の時は、下垂体のプロラクチン産生腫瘍の可能性が高いため、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査やCT(コンピュータ断層撮影法)検査を行い、下垂体病変を調べます。血中プロラクチン値が軽度から中等度の時には、内服薬服用の有無を重視し、下垂体のプロラクチン産生腫瘍以外の原因について検査を行います。
男性では、乳汁分泌、性欲低下がみられ、血液中のテストステロン(男性ホルモン)値が低ければ疑われます。血中プロラクチンが高値を示せば、プロラクチン分泌過剰症と確定されます。
婦人科 、内科、乳腺科の医師による治療では、プロラクチン分泌過剰症の原因がはっきりとしたら、その原因に応じた治療を行います。
内服している薬剤が原因と考えられる場合は、その薬剤を中止します。乳汁分泌がみられるだけで、ほかに特別な異常や兆候がなければ、経過観察も可能です。不快ならば、プロラクチンの産生を抑制する脳内物質であるドーパミンの分泌を促すドーパミンアゴニスト製剤(ドーパミン受容体刺激薬)により、プロラクチンの分泌を抑えると症状は消えます。女性ではエストロゲン(卵胞ホルモン)、男性ではテストステロンの分泌量が増え、不妊が治ることもあります。
女性が無月経を伴う場合には、排卵や月経を誘発する処置を行います。
下垂体のプロラクチン産生腫瘍が原因と考えられる場合は、現在、薬物療法が第一選択となります。ドーパミンアゴニスト製剤の服用により、血中プロラクチン値は低下し、腫瘍も縮小します。一方、腫瘍が直径1センチ以上と大きく、視野障害や頭痛などがあり、腫瘍サイズの縮小が急がれる場合は、手術が選択されることもあります。
原発性甲状腺機能低下症が原因と考えられる場合、甲状腺ホルモンの補充により血中プロラクチン値は正常化し、女性の卵巣機能は回復します。
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