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■酒が飲めない体質の遺伝子タイプ、難病貧血の原因 京大などが解明 [健康ダイジェスト]

 日本人の半数に当たるとされる「酒が飲めない体質」の人が持つ遺伝子タイプは、難病「再生不良性貧血」の原因の1つとなっているケースがあることを、京都大学やイギリスのケンブリッジ大学の研究チームが突き止めました。血液をうまく作れず貧血を起こしたり、出血が止まりにくくなったりする病気で、これまで原因が見逃されてきた可能性があります
 再生不良性貧血の多くは、免疫細胞が血液をつくる細胞を誤って攻撃してしまう自己免疫疾患とみられ、後天的に発症します。一方、生まれながらに発症するケースもあり、原因となる遺伝子がわからない患者もいました。
 研究チームは、原因不明とされてきた患者のすべての遺伝子を解析。すると複数の患者で、人体に有害なホルムアルデヒドいう物質を分解する酵素「ADH5」をつくる遺伝子と、「ALDH2」という遺伝子が変異しているケースがあることがわかりました。
 ALDH2は飲酒後、体内でアルコールからできるアセトアルデヒドという物質を分解する酵素をつくる遺伝子で、日本人を含む東アジア人の半数に変異があるとされます。この変異があると酒が飲めなかったり、飲酒時に顔が赤くなったりすることが知られ、体質を調べる遺伝子検査も普及しています。
 研究チームがALDH2とADH5の2つの遺伝子を働かないように遺伝子操作したマウスを調べたところ、体内で自然につくられる微量のホルムアルデヒドの血中濃度が上がることがわかりました。
 ALDH2はアセトアルデヒドのほか、ホルムアルデヒドを分解する能力もあるとみられます。2種類の酵素が働かない場合、体内にホルムアルデヒドがたまって、骨髄で血液をつくる造血幹細胞が減少し、貧血に至ると考えられるといいます。
 この再生不良性貧血は複数の遺伝子の変異で発症するため、国内の患者は数百人程度とみられますが、研究チームの高田穣(みのる)・京大教授は「従来、診断が付かなかった患者に正しい診断ができる」と指摘し、多くの人に知ってもらう必要があるとしています。遺伝性再生不良性貧血の患者からiPS細胞(人工多能性幹細胞)を作製し、治療薬の開発を進めているともいいます。
 研究成果は3日、アメリカの科学誌「モレキュラー・セル」電子版に掲載されました。

 2020年11月8日(日) 

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