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■用語 不安定狭心症 [用語(ふ)]

[位置情報]進行性で心筋梗塞に移行する可能性がある狭心症
 不安定狭心症とは、狭心症の中でも進行性で、とりわけ急性心筋梗塞(こうそく)、心臓突然死に移行する可能性の高い狭心症。
 具体的には、1週間以内に出現した安静時狭心症、1~3週間以内に初めて起こった労作(ろうさ)性狭心症もしくは少なくとも6カ月以上胸痛発作がなかったのに再発した労作性狭心症、安定した労作性狭心症であったものが胸痛発作の頻度や強さや持続時間が増大し、容易に出現しやすくなった増悪型労作性狭心症、異型狭心症、非Q波形成型心筋梗塞、発症24時間以後の梗塞後狭心症が、不安定狭心症に含まれます。
 こうした病態は、冠動脈の狭窄(きょうさく)に加え、血栓形成や攣縮(れんしゅく)に血小板凝集など複数の因子が組み合わさって、冠動脈内腔(ないくう)の閉塞が不完全あるいは一過性の場合に、発生するとされます。
 症状としては、狭心痛という発作を繰り返す特徴があります。典型的な狭心痛発作は突然、胸の中央部に締め付けられるような痛みが起こり、痛みは左肩、左手に広がります。まれに、下あご、のどに痛みが出ることもあります。
 発作の時間は数分から数十分で治まりますが、発作中は顔面蒼白(そうはく)、胸部圧迫感、息苦しさ、冷汗、動悸(どうき)、頻脈、血圧上昇、頭痛、嘔吐(おうと)のみられるものもあります。
 初めての狭心痛発作は見過ごしがちですが、症状を放置した場合、一週間以内に心筋梗塞、心室細動などを引き起こす可能性もあります。特に高齢者や、狭心痛発作が頻発に起こる人は、注意が必要となります。
 不安定狭心症はいつ急性心筋梗塞に移行してもおかしくない状態ですが、速やかに入院し適切な治療により血流が再開できれば、そのまま安定化することもあります。
 急性心筋梗塞の3分の1は前兆もなく突然に発症しますが、残りの3分の2は不安定狭心症の段階をへて発症するといわれています。従って、不安定狭心症のうちに専門病院を救急で受診し、心筋梗塞を未然に防ぐことが望まれます。
[足]不安定狭心症の検査と診断と治療
 循環器科、循環器内科などの医師による診断では、まず問診によって、冠動脈疾患の危険因子の有無と程度から評価してゆきます。家族歴、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙の危険因子のうち、多ければ多いほど冠動脈疾患を引き起こしやすく、危険因子が少なければ少ないほど冠動脈疾患を引き起こしにくくなります。
 確定診断は冠動脈カテーテル検査(冠動脈造影検査)で下しますが、まずは冠動脈カテーテル検査が必要であるかどうかを評価してゆきます。心電図検査、胸部レントゲン検査、採血による心筋トロポニン検査やBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)検査、その後必要に応じて、冠動脈CT検査や心臓MRI検査を追加して行きます。
 狭心痛発作か動悸かはっきりしない場合は、ホルター心電図検査による症状出現時の心電図記録の情報が重要になります。
 冠動脈カテーテル検査では、カテーテルという細長いチューブを手首や肘(ひじ)、足の付け根の血管を通して心臓まで挿入し、造影剤を注射して冠動脈のX線撮影を行います。冠動脈の狭窄の程度、部位、病変数などを詳細に評価でき、狭心症の確定診断、重症度の評価、治療方針の最終決定ができます。
 循環器科、循環器内科などの医師による治療では、薬物療法としてはニトログリセリン、硝酸イソソルビドなどの硝酸薬、ベータ遮断薬、Ca拮抗(きっこう)薬、アスピリンなどの抗血小板薬、抗凝固薬を従来よりも強力に投与する必要があります。なお、最近では血小板溶解薬、GPⅡb/Ⅲaインヒビターを投与する方法が効果を上げ、評価されつつあります。
 時には経皮的冠動脈形成術やステントの留置を行ない、場合によっては冠動脈バイパス移植術などの外科的治療を行ないます。
 経皮的冠動脈形成術は、冠動脈カテーテル検査と同じように、カテーテルを直接冠動脈の入り口まで挿入します。このカテーテルの中を通して細い針金を狭窄部の先まで送り込みます。この針金をガイドにしてバルーン(風船)を狭窄部まで持っていき、バルーンを膨らませて狭窄を押し広げ拡張させます。全体の所要時間は、数十分から数時間です。
 狭窄した冠動脈をバルーンで押し広げた後に、コイル状の金属であるステントを留置することもあります。ステントを入れて広げられた狭窄部は内側から支えられ、再び狭窄することを防ぎます。再狭窄をできるだけ防ぐために、薬剤を塗布したステントも最近使用されています。
 冠動脈バイパス移植術は、狭心症に対する薬物療法が無効で、 カテーテルによる治療も困難または不可能な場合に行います。冠動脈の狭い部分には手をつけず、体のほかの部分の血管を使って狭窄部分の前と後ろをつなぐ別のバイパス(通路)を作成して、狭窄部を通らずに心筋に血液が流れる道をつくります。バイパスに用いるグラフト(血管)には、足の静脈、胸の中で心臓の近くにある左右内胸動脈、胃のそばにある右胃大網動脈などを使います。




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