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■用語 椎骨動脈解離 [用語(つ)]

[位置情報]首の左右を通る椎骨動脈の壁の一部が裂けて、血流が動脈の壁の中に入る疾患
 椎骨(ついこつ)動脈解離とは、首の左右を通って脳に血液を送っている椎骨動脈の壁の一部が裂けて、血流が壁の中に入る疾患。
 動脈の壁は内膜、中膜、外膜の三層構造から成り立っています。この動脈の壁が層と層の間や、層内で裂けて、血流が壁の中に入る状態を動脈解離と呼びます。
 椎骨動脈の血管が裂ける原因は、はっきりとはわかっていません。中年の成人に、はっきりした誘因なしに発生します。しかし、頭をぶつけたり、首を回したりしたことが、引き金になることがあります。ゴルフのスイング中や、カイロプラクティックなどでの治療中、美容院などでのシャンプー後に起こる場合もあります。
 椎骨動脈解離を起こした場合、たいてい急に首の後ろや後頭部に激しい痛みを感じます。
 解離を起こした動脈の内腔(ないくう)は狭くなって、この狭窄が高度になれば一過性脳虚血発作を起こしたり、裂けた血管の壁に血液が入り込んで膨らんで血管をふさぐと脳梗塞(のうこうそく)を起こすことがあります。さらに、内出血したところから血管が破れると、くも膜下出血を起こして激しい頭痛がし、命にかかわる危険もあります。
 40〜60歳代の発症が多く、くも膜下出血の患者の中では5パーセント程度、脳梗塞の患者の中では1パーセント程度いると考えられています。
 椎骨動脈解離は古くから知られてはいましたが、臨床的に明確に認識されるようになったのは、MRI(核磁気共鳴画像)、MRA(磁気共鳴血管撮影)などの画像診断が普及してきた最近のこと。ここ数年の間に、椎骨動脈解離と診断されるケースは急速に増加しています。
 その多くは症状を残さず杜会復帰しているので、従来ならば原因の明かでない後頭部痛ないし後頸部(こうけいぶ)痛として、対症療法のみが施されていたケースであろうと考えられています。
 現在でも、多くの自然経過のよいケースが椎骨動脈解離とは診断されないで、対症療法のみを受けている可能性があります。通常は自然経過がよいので大きな問題にはなりませんが、脳梗塞、くも膜下出血など重篤な症状を起こすこともあるので、注意する必要があります。
[位置情報]椎骨動脈解離の検査と診断と治療
 脳神経外科の医師による診断では、椎骨動脈解離を疑ったならば、MRI(核磁気共鳴画像)、MRA(磁気共鳴血管撮影)、血管造影検査を行って確定します。
 くも膜下出血の有無はその後の治療を大きく左右するので、一般的な方法で確定します。くも膜下出血の状況はCT(コンピューター断層撮影法)検査によって判明し、出血量が少なくCTでははっきりしない場合は髄液を採取して検査します。
 脳神経外科の医師による治療は、椎骨動脈の解離だけなら、通常1カ月の安静で血管の裂け目が固まるので、痛み止めを注射しながら安静にします。血栓ができないような薬を点滴することもあります。
 椎骨動脈解離が再発することはまれで、同じ場所がもう一度、裂けることはあまりありませんが、避けたところがこぶになった場合は、MRA(磁気共鳴血管撮影)などの検査を行い、破裂の危険性を調べます。
 予防法としては、たばこは血管に悪影響を及ぼすので、禁煙、節煙を心掛けます。




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■用語 疲れ目 [用語(つ)]

[目]目の症状と全身症状が出現した状態
 疲れ目とは、いわゆる眼精疲労のこと。読書や自動車の運転などのように目を持続的に使った際に、目の疲労感、重圧感など目の症状だけでなく、疲労、頭痛、肩凝り、吐き気、倦怠(けんたい)感、いらいら、めまいなどの全身症状が起こり、休息や睡眠を取っても十分に回復し得ない状態をいいます。
 最初は目が重い感じがしますが、目が痛くなったり、かすんできたり、まぶしくなったり、じんじんしたり、赤くなったり、涙が出たりします。
 疲れ目で体に症状が現れる理由はよくわかっていませんが、物が見にくくなるために、よく見ようとして不自然な姿勢を取るのが肩凝りなどを引き起こすということは、容易に考えられます。また、視力が低下すれば、目を凝らしたり、集中力をより高める必要があることによる緊張の連続が、頭痛やめまい、吐き気、倦怠感の原因かもしれません。精神的ストレスによって、目と体の不調が同時に起きている可能性もあります。
 疲れ目をもたらす原因は、実にさまざまなものが考えられています。原因を特定することが難しい場合が、多く見受けられます。
 疲れ目の原因は、大きく4つに分けて考えられています。目に原因があるもの、全身疾患に原因があるもの、精神的なもの、環境的なものです。
●目に原因があるもの
屈折異常によるもの
 遠視、近視、乱視があったり、両目の屈折度に著しい差がある場合に、物が適正に見えないため、それを無理に調節して見ようとして、目を無理に働かせることによって疲れ目が発生します。眼球の内部では、フィルムに相当する網膜に何とかピントを合わせようとして、レンズに相当する水晶体の厚さを調節する筋肉である毛様体の緊張が続くからです。
 遠視の場合は、調節力が低下し始める30歳代後半~40歳代にかけて起こりやすいのですが、20歳代でも起こります。
 近視の場合は、眼鏡やコンタクトレンズが合っていないために疲れ目が起きることも、少なくありません。例えば、眼鏡屋で近視の眼鏡を作る時に、遠方がより見えるレンズを自分で選び、そのために疲れ目を訴える人を時々見掛けます。遠くがよく見える眼鏡が必ずしもよいわけではないので、眼科で適正な眼鏡の処方をしてもらいましょう。
調整力の低下によるもの
 調整力、つまり近くの物をはっきり見る力が低下している時も、疲れ目が発生します。老視(老眼)の場合がそうですが、若い人でも起こります。特に、老視は40歳代半ばから60歳ぐらいまでの間に急速に進み、この年齢層は疲れ目を訴える人の年齢層のピークと一致します。
 調整力が低下しているために目が疲れる場合には、遠用鏡と近用鏡を両方作り、使い分ける必要があります。
斜視、斜位によるもの
 物を見る時には両目が連動して動き、わずかに寄り目になって視線を一点に合わせます。両目の視線が一致せずに左右別々の方角を向いてしまうことを斜視といい、疲れ目の原因になります。一方、ふだんは両眼視できても、片目を手で隠すなどすると目の位置がずれる状態を斜位といいます。
 斜視が固定していて両眼視ができていない場合は、かえって疲れ目は起こりませんが、斜位の場合は両眼視をしようと努力を強いられるために、疲れ目が現れやすくなります。水平方向の眼位(目の位置)の異常よりも、上下方向の眼位の異常のほうが、左右の目に映った像を一つにまとめて見る融像という働きの幅が狭いために、疲れ目を起こしやすくなります。
程度が強い斜位は手術が勧められますが、比較的軽い場合には、目を使いすぎないようにし、プリズムの眼鏡で斜位の矯正をすることもあります。
不等像視によるもの
 左右の視力差が大きく、それを無理にレンズの度が相当違う眼鏡で矯正している場合、左右の目に感じる映像の大きさが異なる不等像視によって、疲れ目が起こります。この場合は、コンタクトレンズにすると疲れ目は起こりにくくなります。
その他の目の病気によるもの
 逆さまつ毛、結膜炎、角膜炎などによっても、疲れ目が起こります。最近では、特にパソコンなどを使用する機会が増えたため、VDT(Visual Display Terminal:画像情報端末)作業によるドライアイが原因の疲れ目が増えています。
 一連の細かい操作が必要となるVDT作業による目の疲れは、テレビを見ているのと比べものになりません。しかも、VDT作業中は、まばたきの回数が極端に減ります。その結果、涙が蒸発して、眼球の表面の角膜や結膜が乾燥する疾患であるドライアイになりやすくなります。
 緑内障も、疲れ目の原因になります。網膜の視神経が障害されて視野が狭くなる疾患が緑内障で、初期には調節力が低下してくることがあり、老視が早くきたかと思い違いすることがあります。
 また、緑内障の一種である慢性閉塞隅角(へいそくぐうかく)緑内障の場合は、時々、霧がかかったように見えたりして疲れ目と感じることがあります。緑内障をしっかり治療せずにいると、失明することもあります。緑内障の人は眼球の内圧である眼圧が高い場合が多く、眼圧が高い時には頭痛が起きやすくなります。
 白内障も、水晶体が濁るために視力が低下したり、まぶしさを感じたりして、疲れ目の原因となります。白内障は手術で治せますが、手術後に少し見え方が変わるので、それが疲れ目を起こすこともあります。
 まぶたが垂れ下がってくる眼瞼(がんか)下垂も、視野の上のほうが見えなくなるので、 物を見る時に頭を後ろへ反らすなどしなければならず、疲れ目の原因になります。
●全身疾患に原因があるもの
 全身疾患によっても、疲れ目が起こります。高血圧、低血圧、糖尿病、バセドウ病、貧血、自律神経失調症、月経異常、更年期障害、風邪、インフルエンザなど、さまざまな疾患で疲れ目が発生します。
●精神的なもの
 職場での不適合、心身症、神経症、うつ病などによっても、疲れ目が起こります。ストレスが強くなると、不安感が異常に強まったり、いらいらして落ち着かなかったり、眠れないといった精神的なことに影響が現れる一方で、体に対しても、高血圧、血行不良、胃潰瘍(かいよう)といった多様な病気を引き起こす一つとして、疲れ目が起こることがあるのです。
●環境的なもの
 最近注目されているVDT作業による疲れ目のほか、紫外線や赤外線、過度の照明などの光刺激による疲れ目があります。また、機械的刺激によるものとして、エアコンの風やごみなどがあります。化学的刺激としては、ガスや有機溶剤によるものがあり、近年では、新築の家などで起こるシックハウス症候群が注目され、住居の建材に含まれる化学物質などの影響による体調不良と疲れ目の関係も指摘されています。 
[目]疲れ目の検査と診断と治療
 疲れ目(眼精疲労)の原因を特定し、それが発見されれば排除することが必要です。原因が精神的なもの、環境的なものと予想が付いた時は、自分でそれをまず除外して下さい。
 眼鏡やコンタクトレンズを使用している人では、目に合っているかのチェックも重要です。眼鏡の度などが合わない人は作り直したり、使用状況に合わせて眼鏡をいくつか作って使い分け、目の負担を軽くするのも一案です。
 パソコンを使用する機会の多い人では、作業時の照明の明るさ、自分の姿勢、パソコンを置く位置をチェックしてみましょう。作業中は適度な休憩をとって目を休めて下さい。
 室内が乾燥したり、エアコンの風が目に当たると、ドライアイを引き起こします。また、疲れ目の意外な原因として、周囲の人のたばこの煙も挙げられます。これらについては、家庭や職場で相談して調整してもらいましょう。
 そして、睡眠を十分とりましょう。寝不足の時には、目を使う時間が長くなる一方で目を休める時間が減るのですから、目が疲れて当然です。目の筋肉は、体の中で最もデリケートな筋肉で、体の疲労がすぐ目にも現れてくるのです。趣味や散歩、スポーツなどで、ストレスを解消することも大切です。
 疲れ目の背後に目や全身の疾患が疑われる時は、まず眼科医、その後に内科医の診察を受けるようにしましょう。
 眼科では、視力、視野、眼圧、細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査、眼底検査などの一般検査が、まず行なわれます。目に原因がないと考えられる時は、全身検査を含めて原因を精密検査します。
 疲れ目の的確な治療は、その原因によって異なりますので、原因追及が最も重要です。ただし、いくつかの小さな原因が重なり合って目の負担が増え、疲れ目になりますので、原因と思われる病気を治したのに、疲れ目が治らないことも少なくありません。そのようなケースでは、問診や検査で原因と考えられるものを洗い出し、それを一つひとつ治療、解決していきます。
 原因を特定できない場合にも、ビタミン剤の配合された点眼薬や内服薬で、症状が改善することがよくあります。ビタミン剤は、細胞の新陳代謝を助けるのです。




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■用語 ツボ [用語(つ)]

[足]ツボとは、指圧や鍼(はり)、灸(きゅう)による治療を行う際に、刺激することで効果が現れる特有の部位のことです。専門用語では、経穴(けいけつ)、穴(けつ)といいいます。
 東洋医学の観点では、頭から足にかけての体の表面に、たくさんのツボが縦の線で結ばれるように点在し、14の系統に分かれています。このツボを結ぶ線のことを経絡(けいらく)といい、体内を流れているエネルギーである気が、経絡の中を正常に流れることで、健康が維持されます。
 ツボとは、気のエネルギーの通り道である経絡上にあって、気が出入りし、経絡が合流したり、分枝したりする経絡状の重要な部位。三里、湧泉、合谷、百会といったツボを刺激して、気の流れを整え、その経絡につながる機能の不調を回復させるというのが、ツボ療法の考え方です。

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