SSブログ

■出生前診断で異常を発見し中絶、10年前と比べ倍増 [健康ダイジェスト]

 出生前診断で胎児の異常がわかったことを理由にした人工妊娠中絶が2005~09年の5年間で少なくとも6000件と推定され、10年前の同期間より倍増していることが、日本産婦人科医会の調査でわかりました。
 高齢出産の増加や簡易な遺伝子検査法の登場で今後、十分な説明を受けずに中絶を選ぶ夫婦が増える可能性もあるとして、日本産科婦人科学会は遺伝子検査の指針作りに乗り出しました。
 日本産婦人科医会所属の約330施設を対象に中絶の実態を調べ、平原史樹・横浜市立大教授(産婦人科)がまとめました。年により回答率にばらつきがあるため、5年単位で傾向を分析しました。
 この結果、染色体異常の一つであるダウン症や、胎児のおなかや胸に水がたまる胎児水腫、脳脊髄液が脳に余分にたまる水頭症などを理由に中絶したとみられるのは、1985~89年は約800件だったのが、1995~99年は約3000件、2005~09年は約6000件と急増していました。
 日本では、1970年代から胎児の異常を調べる羊水検査やエコー(超音波)検査、1990年代から染色体異常の確率を示す母体血清マーカー検査が広がりました。35歳以上の高齢出産の増加で、出生前診断を受ける人は増えています。妊婦健診で使われるエコーも精度が上がり、染色体異常の可能性を示す首の後ろのむくみの厚さや臓器の奇形もわかるようになっています。
 これらの技術の進歩ために、中絶が可能な妊娠初期でも胎児の異常が見付かり、中絶を選ぶ例が増えたとみられます。
 調査をまとめた平原教授によると、異常の種類や状態により新生児の障害の程度は異なります。平原教授は、「どれぐらい深刻なのか、医師の説明が不十分で妊婦もちゃんと理解しないまま、中絶したケースが少なくないとみられる」と指摘しています。
 エコー検査や血液検査は母体への負担がほとんどないものの不正確で、「陽性」と出ても異常がないことがあります。確定診断するには、妊婦のおなかに針を刺して羊水を抜いて調べる羊水検査が必要ですが、0・5パーセントの確率で流産する危険があります。母体保護法では、胎児の異常を中絶の理由として認めていないため、母体の健康などの拡大解釈で中絶されているのが実態。
 米国では昨年秋、妊婦の血液にわずかに含まれる胎児のDNAを調べ、ダウン症かどうかを高い精度で判定できる遺伝子検査が始まりました。日本への導入は未定ですが、商業ベースで広がる可能性があり、検査を受ける人が増える可能性があります。
 このため、日本産科婦人科学会は医師向けに、遺伝子検査の指針作ることを決めました。医療現場でどんな混乱が起きているかを調べた上で、来年6月をめどに、検査の精度や遺伝カウンセリングの充実などの見解をまとめ、指針に反映させます。

 2012年4月8日(日)




nice!(9)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

nice! 9

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0