■用語 デング熱 [用語(た行)]
蚊が媒介するデングウイルスによる感染症で、熱帯や亜熱帯の地域で主に流行
デング熱とは、ネッタイシマカやヒトスジシマカなどの蚊によって媒介されるデングウイルスの感染症。インフルエンザのように人から人には感染しません。
非致死性の一過性熱性疾患であるデング熱と、重症型のデング出血熱の二つの病状があります。デングウイルスは、日本脳炎ウイルスと同じフラビウイルス科に属し、1型、2型、3型、4型の4種の血清型が存在します。
デング熱は、デングウイルスを持った蚊に刺されることで感染、発症します。例えば1型の血清型のデングウイルスに感染した場合、1型に対しては終生、免疫を獲得するとされます。しかし、ほかの血清型に対する交差防御免疫は数カ月で消失し、その後は2型、3型、4型のデングウイルスに感染し得ます。この再感染時に、重症型のデング出血熱になる確率が高くなるとされています。
デングウイルスの感染症が主にみられるのは、媒介するネッタイシマカやヒトスジシマカの存在する熱帯や亜熱帯の地域、特に東南アジア、南アジア、中南米、カリブ海諸国ですが、アフリカ、オーストラリア、中国、台湾、日本においても発生しています。
日本国内にはデングウイルスは常在しておらず、海外でデング熱に感染して、帰国後に発症する人が年間200人ほど報告され、2013年にはこれまでで最も多い249人の発症者が確認されていました。
しかし、2014年1月に日本を旅行したドイツ人の女性が帰国後にデング熱を発症し、8月下旬には、およそ70年ぶりに日本人女性が国内感染でデング熱を発症したのを皮切りに、10月初旬には155人が発症しています。
全世界では、年間約1億人がデング熱を発症し、約25万人がデング出血熱を発症すると推定されています。
蚊に刺されてデングウイルスに感染後、2~15 日、多くは3~7日の潜伏期間をへて、突然の高熱で発症します。頭痛、目の奥の痛み、腰痛、筋肉痛、関節痛が主な症状として現れます。発熱は、2〜7日間持続します。
さらに、食欲不振、腹痛、吐き気、嘔吐(おうと)、脱力感、全身倦怠(けんたい)感も現れることがあります。全身のリンパ節のはれもみられます。また、発熱してから3〜5日目に胸、背中、顔面、腕、脚に発疹(はっしん)が出ることもあります。
これらの症状は約1週間で消え、通常は後遺症を残すことなく回復します。
デングウイルスに感染後、デング熱とほぼ同様に発症して経過した人の一部は、熱が平熱に戻るころに突然に、血液中の液体成分である血漿(けっしょう)が血管から漏れ出したり、出血の症状が現れたりするデング出血熱となることがあります。
血漿の漏れ出しは、胸水あるいは腹水として現れます。出血は、比較的軽い点状出血、鼻出血、血便、重篤な吐血、下血と多様です。血漿の漏れ出しが進行すると、ショック症状を起こし、デングショック症候群となることがあります。
デング出血熱を起こして適切な治療が行われないと、死亡することがあります。
蚊に刺されて3~7日程度で高熱などの症状が出た場合には、内科や感染症科を受診する必要があります。
デング熱の検査と診断と治療
内科、感染症科の医師による診断では、血液検査を行い、血液からデングウイルスやその遺伝子を検出すること、あるいは特異的な抗体を検出することで確定します。血液所見では、発症後数日で末梢(まっしょう)血の血小板減少、白血球減少がみられます。
デングウイルスには1〜4型の4つの型がありますが、どの型のウイルスでも同様の症状が起こるので、症状から感染したウイルスの型は特定できません。
また、発疹を有するウイルス性疾患である麻疹、風疹、チクングニア、エンテロウイルス感染症や、チフス、マラリア、猩紅(しょうこう)熱、A型肝炎、レプトスピラ症などとの鑑別を行います。デング熱でも時に呼吸器症状がみられることがあり、呼吸器感染症との鑑別を行う必要が生じることもあります。
内科、感染症科の医師による治療では、デング熱に有効な抗ウイルス薬やワクチンがないため、対症療法を中心に行います。
通常のデング熱の場合には、輸液による水分補給や鎮痛解熱剤の投与を行います。ただし、血小板の機能を低下させ、出血傾向を助長する可能性があるため、鎮痛解熱剤としてアスピリンやロキソニンなどを投与してはいけないことになっており、アセトアミノフェンを投与します。
デング出血熱の場合には、血漿漏出による循環血液量の減少、血液濃縮を輸液によって補います。輸液剤としては生理食塩水、乳酸加リンゲル液などのほかに、新鮮凍結血漿などが必要となることもあり、時には酸素投与なども行います。血小板減少が著しい場合には、血小板輸血も考慮します。
デング熱の予防に関しては、デングウイルスを媒介するヒトスジシマカに刺されない工夫が重要です。ヒトスジシマカは、秋田県および岩手県以南の日本のほとんどの地域に生息し、その活動時期は5月中旬から10月下旬なので、茂みのある公園や庭の木陰、竹林の周辺、墓地では、長袖のシャツを着たり、靴下を履いたりするなど、なるべく皮膚の露出を減らすことが有効なほか、虫よけスプレーなどを使うことも効果的です。
デングウイルスを持ったヒトスジシマカも、10月下旬以降には死にます。卵を産みますが、デングウイルスが受け継がれることはほとんどありません。
デング熱とは、ネッタイシマカやヒトスジシマカなどの蚊によって媒介されるデングウイルスの感染症。インフルエンザのように人から人には感染しません。
非致死性の一過性熱性疾患であるデング熱と、重症型のデング出血熱の二つの病状があります。デングウイルスは、日本脳炎ウイルスと同じフラビウイルス科に属し、1型、2型、3型、4型の4種の血清型が存在します。
デング熱は、デングウイルスを持った蚊に刺されることで感染、発症します。例えば1型の血清型のデングウイルスに感染した場合、1型に対しては終生、免疫を獲得するとされます。しかし、ほかの血清型に対する交差防御免疫は数カ月で消失し、その後は2型、3型、4型のデングウイルスに感染し得ます。この再感染時に、重症型のデング出血熱になる確率が高くなるとされています。
デングウイルスの感染症が主にみられるのは、媒介するネッタイシマカやヒトスジシマカの存在する熱帯や亜熱帯の地域、特に東南アジア、南アジア、中南米、カリブ海諸国ですが、アフリカ、オーストラリア、中国、台湾、日本においても発生しています。
日本国内にはデングウイルスは常在しておらず、海外でデング熱に感染して、帰国後に発症する人が年間200人ほど報告され、2013年にはこれまでで最も多い249人の発症者が確認されていました。
しかし、2014年1月に日本を旅行したドイツ人の女性が帰国後にデング熱を発症し、8月下旬には、およそ70年ぶりに日本人女性が国内感染でデング熱を発症したのを皮切りに、10月初旬には155人が発症しています。
全世界では、年間約1億人がデング熱を発症し、約25万人がデング出血熱を発症すると推定されています。
蚊に刺されてデングウイルスに感染後、2~15 日、多くは3~7日の潜伏期間をへて、突然の高熱で発症します。頭痛、目の奥の痛み、腰痛、筋肉痛、関節痛が主な症状として現れます。発熱は、2〜7日間持続します。
さらに、食欲不振、腹痛、吐き気、嘔吐(おうと)、脱力感、全身倦怠(けんたい)感も現れることがあります。全身のリンパ節のはれもみられます。また、発熱してから3〜5日目に胸、背中、顔面、腕、脚に発疹(はっしん)が出ることもあります。
これらの症状は約1週間で消え、通常は後遺症を残すことなく回復します。
デングウイルスに感染後、デング熱とほぼ同様に発症して経過した人の一部は、熱が平熱に戻るころに突然に、血液中の液体成分である血漿(けっしょう)が血管から漏れ出したり、出血の症状が現れたりするデング出血熱となることがあります。
血漿の漏れ出しは、胸水あるいは腹水として現れます。出血は、比較的軽い点状出血、鼻出血、血便、重篤な吐血、下血と多様です。血漿の漏れ出しが進行すると、ショック症状を起こし、デングショック症候群となることがあります。
デング出血熱を起こして適切な治療が行われないと、死亡することがあります。
蚊に刺されて3~7日程度で高熱などの症状が出た場合には、内科や感染症科を受診する必要があります。
デング熱の検査と診断と治療
内科、感染症科の医師による診断では、血液検査を行い、血液からデングウイルスやその遺伝子を検出すること、あるいは特異的な抗体を検出することで確定します。血液所見では、発症後数日で末梢(まっしょう)血の血小板減少、白血球減少がみられます。
デングウイルスには1〜4型の4つの型がありますが、どの型のウイルスでも同様の症状が起こるので、症状から感染したウイルスの型は特定できません。
また、発疹を有するウイルス性疾患である麻疹、風疹、チクングニア、エンテロウイルス感染症や、チフス、マラリア、猩紅(しょうこう)熱、A型肝炎、レプトスピラ症などとの鑑別を行います。デング熱でも時に呼吸器症状がみられることがあり、呼吸器感染症との鑑別を行う必要が生じることもあります。
内科、感染症科の医師による治療では、デング熱に有効な抗ウイルス薬やワクチンがないため、対症療法を中心に行います。
通常のデング熱の場合には、輸液による水分補給や鎮痛解熱剤の投与を行います。ただし、血小板の機能を低下させ、出血傾向を助長する可能性があるため、鎮痛解熱剤としてアスピリンやロキソニンなどを投与してはいけないことになっており、アセトアミノフェンを投与します。
デング出血熱の場合には、血漿漏出による循環血液量の減少、血液濃縮を輸液によって補います。輸液剤としては生理食塩水、乳酸加リンゲル液などのほかに、新鮮凍結血漿などが必要となることもあり、時には酸素投与なども行います。血小板減少が著しい場合には、血小板輸血も考慮します。
デング熱の予防に関しては、デングウイルスを媒介するヒトスジシマカに刺されない工夫が重要です。ヒトスジシマカは、秋田県および岩手県以南の日本のほとんどの地域に生息し、その活動時期は5月中旬から10月下旬なので、茂みのある公園や庭の木陰、竹林の周辺、墓地では、長袖のシャツを着たり、靴下を履いたりするなど、なるべく皮膚の露出を減らすことが有効なほか、虫よけスプレーなどを使うことも効果的です。
デングウイルスを持ったヒトスジシマカも、10月下旬以降には死にます。卵を産みますが、デングウイルスが受け継がれることはほとんどありません。
タグ:デング熱 用語(た行) 用語 健康創造塾 ひょうそ 皮膚カンジダ症 ベーチェット病 皮膚掻痒症 水虫(足白癬) 白癬(はくせん) 脱毛、薄毛 カポジ肉腫 乾癬(かんせん) 疥癬(かいせん) 結節性紅斑 白なまず(白斑) 黒なまず(癜風) 脂漏性皮膚炎 ふけ症 たこ、魚の目 しみ(肝斑) そばかす(雀卵斑) 酒さ様皮膚炎(口囲皮膚炎) 掌蹠膿疱症 蜂窩織炎、丹毒 爪甲横溝 爪甲軟化症 白皮症 白板症 乾皮症 陥入爪 あせも(汗疹) とびひ(伝染性膿痂疹) ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSS症候群) シラミ症 色素性母斑 リール黒皮症 ボーエン病 ページェット病 日光角化症(老人性角化腫) 虫刺症(虫刺され) 赤あざ(血管腫) 足白癬(水虫) 頭部白癬(しらくも) 白子症(白皮症) 日本紅斑熱 マラセチア毛包炎 ツツガムシ病 扁平母斑 ベッカー母斑 重症熱性血小板減少症候群(SFTS) 薮チフス
コメント 0