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■2大学病院、特定機能病院の承認取り消し 女子医と群馬大 [健康ダイジェスト]

 患者が死亡する医療事故が起きた東京女子医科大学病院と群馬大学医学部附属病院について、厚生労働省は4月30日、医療安全の体制が確保されていないなどとして、高度な医療を提供する「特定機能病院」としての承認を取り消すことを決めました。聴聞手続きを経て、6月にも発効します。
 東京都新宿区にある東京女子医科大学病院では、人工呼吸器を付けて集中治療が行われている子どもへの投与が原則、禁止されている鎮静薬「プロポフォール」を、医師などが危険性を認識しないまま昨年までの6年間に60人余りの子どもに投与し、このうち2歳の男児が薬の副作用で死亡しています。
 また、群馬県前橋市にある群馬大学医学部附属病院では、昨年までの4年間に、腹腔鏡を使った肝臓手術を受けた患者8人が、その後3か月余りの間に相次いで死亡し、死因などを検証しないまま同じ手術を繰り返していたことが明らかになっています。
 専門家で作る厚労省の分科会は、いずれの病院も医師や看護師などの連携が不十分でチーム医療が機能しておらず医療安全が確保されていないなどとして、特定機能病院の承認の取り消しが相当だとする意見書をまとめました。その上で、承認を取り消した後も再発防止に向けた取り組み状況を確認するなど、2つの病院への指導を継続するべきだとしています。
 これを受け、厚生労働省は5月にも2つの病院から意見を聴いた上で、承認を取り消すことを決めました。
 特定機能病院は現在、全国86の医療機関が承認され、診療報酬に一定額が加算される優遇措置を受けています。承認の取り消しで2つの病院は、いずれも年間で数億円規模の減収になるとみられています。
 承認が取り消されるのは今回で4例目で、東京女子医科大学病院は2002年に続いて2回目。同病院では2001年、心臓の手術を受けた女の子が死亡した医療事故を巡って、医師がカルテを改ざんする事件が起き、2002年に特定機能病院の承認が取り消されました。
 病院は、その後、病院長の権限を強化するなど安全管理の体制を見直したほか、医療事故の原因を分析し、研修などを通じて再発を防ぐ対策をとっているなどとして、2007年に再び承認を受けました。しかし、実際にはこうした対策が病院全体でとられることはなく、形骸化していたことが、今回の医療事故を切っ掛けに明らかになりました。
 分科会では、医療安全を軽視する病院側の体質に厳しい意見が相次ぎ、承認を再び取り消す異例の処分となりました。
 厚生労働省は、大学病院を中心に全国に現在86ある特定機能病院を対象に、9月末にかけて集中立ち入り検査を実施します。検査では、病院の管理運営や医療安全確保策の実態を把握し、検査結果を基に承認要件の厳格化や、高難度の新医療技術導入プロセスの在り方を検討する方針。近く省内に検討組織を設置します。

 2015年5月1日(金)

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