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■原発事故後に甲状腺がん手術、8割が再発や将来に不安 福島県の子供と保護者を調査 [健康ダイジェスト]

 福島第一原発事故の後に甲状腺がんと診断され、手術を受けた福島県の子供やその保護者に支援団体などがアンケート調査を行ったところ、がんの再発や将来などへの不安を抱えている人が8割近くに上りました。支援団体は患者たちの不安の実態が明らかになったとして、十分な支援を国や県に求めることにしています。
 2011年3月11日の東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、福島県が当時18歳以下だった約38万人を対象に行っている甲状腺検査では、これまでに190人余りが、がんやがんの疑いと診断され、このうち150人余りが甲状腺を切除する手術を受けました。検査を大規模に実施したことで多く見付かっている可能性が高いと指摘される一方、事故との因果関係を巡って専門家の間で議論が続いています。
 支援団体の「3・11甲状腺がん子ども基金」などは、今年8月、甲状腺がんの手術を受けた子供またはその保護者、合わせて67人に郵送でアンケート調査を行い、52人から回答を得ました。
 この中で、「今不安に感じていることがあるか」と尋ねたところ、「ある」という回答が77%に上りました。不安の内容としては、「がんの再発」が23人と最も多く、次いで「がんの転移」と「体調」がそれぞれ9人、「妊娠や出産」と「就職や仕事」がそれぞれ5人など、手術の後も健康面や将来などに、さまざまな不安を抱えていることがわかりました。
 自由記述には、「娘がひどく不安定になり、夜も眠れず学校にゆけず退学した」「甲状腺を全摘した息子は一生薬を服用しなければならず、親としては将来がとても心配」など、切実な声がつづられています。
 また、見付かった甲状腺がんについて、有識者で作る福島県の県民健康調査検討委員会が、現時点で放射線の影響とは考えにくいとする見解を示している一方、アンケート調査ではほぼ半数が「事故の影響はあると思う」と答えており、認識の違いも浮き彫りになりました。
 「3・11甲状腺がん子ども基金」は、これまで知られていなかった実態が明らかになったとして、患者への精神的なサポートや診療などにかかる費用など、国や県に十分な支援を求めることにしています。
 代表理事の崎山比早子さんは、「何が原因であろうと、原発事故がなければこのような状況にはならなかったことは確かで、継続的な患者のケアが必要だ」と話しています。
 甲状腺は首の前側にある成長などにかかわるホルモンを出す臓器で、原発事故で放出された放射性物質ヨウ素131は、甲状腺に蓄積しやすい性質を持っています。
 1986年4月26日に起きたチェルノブイリ原発事故の際、周辺地域で子供たちに甲状腺がんが多く見付かり、のちに被曝(ひばく)が原因と結論付けられたことから、福島第一原発事故の後、福島県は県民健康調査の一環として、子供の甲状腺検査を実施することにしました。
 検査の対象は事故当時、福島県内にいた18歳以下の子供たち約38万人で、事故から最初の3年で1巡目、その後、2年置きに2巡目、3巡目と対象者の検査を繰り返し行っています。

 2017年11月26日(日)

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