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■臍帯血の無届け移植事件、業者2人に有罪判決 松山地方裁判所 [健康ダイジェスト]

 東京都や大阪府のクリニックで臍帯血(さいたいけつ)が国に無届けで移植されていた事件で、再生医療安全性確保法違反の罪に問われた販売業者ら2被告の判決公判が14日、松山地方裁判所でありました。末弘陽一裁判長はいずれも、執行猶予の付いた有罪判決を言い渡しました。
 判決の内容は、臍帯血保管販売会社「ビー・ビー」(茨城県つくば市、解散)元社長の篠崎庸雄(つねお)被告(52 歳)=詐欺、横領罪でも起訴=に懲役2年4カ月執行猶予3年(求刑懲役2年6カ月)、仲介会社「レクラン」(福岡市、閉鎖)元社長の井上美奈子被告(59 歳)に懲役10カ月執行猶予2年(求刑懲役10カ月)。
 事件ではほかに2被告が起訴され、患者に臍帯血を投与していた表参道首藤クリニック(東京都渋谷区)の医師首藤紳介被告(40歳)は懲役1年を求刑されていて、判決は今月21日に言い渡されます。
 臍帯血はへその緒や胎盤に含まれ、公的バンクが産婦から無償提供を受け、白血病の治療などに使われています。再生医療安全性確保法により、2015年11月以降は他人の細胞の移植には、国への治療計画の提出が原則必要となりました。
 判決などによると、篠崎被告は8年前に経営破綻(はたん)した民間バンクから臍帯血を入手し、2016年2月~2017年4月、井上被告らと共謀し、東京都内や大阪市内のクリニックで計6人に無届けで臍帯血を移植しました。篠崎被告はさらに、自身が社長を務める会社に臍帯血の保管を委託した男女からその所有権をだまし取ったほか、家宅捜索を受けた際、保管を命じられた臍帯血をクリニックに譲渡し、横領しました。
 篠崎被告は約1000検体の臍帯血を入手。各地のクリニックに転売され、高額の自由診療として、有効性や安全性が未確立のがん治療や美容目的などで用いられていました。
 末弘裁判長は篠崎被告について、「研究用と偽って臍帯血をだまし取ったほか、販売によって多額の利益を得ていた行為は悪質だ。再生医療に対する信頼を著しく失墜させ、社会的影響も大きい」と指摘し、2被告が必要な前処置をせず臍帯血を移植していたことについて、「投与された細胞の性質が体内で変わり得る未知のリスクが含まれる。人命及び健康に重大な影響を与える恐れがあった」と述べました。
 篠崎被告が民間バンクから引き継いだことが切っ掛けで流出した臍帯血は、およそ100人に違法に移植され、厚生労働省は全国の12の医療機関に対し、行政処分を行うなど影響が広がりました。
 厚労省は今回の事件を受け、11月から国に届け出をして、再生医療を提供する医療機関について、一覧でホームページに掲載しており、治療を検討する際の参考にしてほしいとしています。

 2017年12月15日(金)

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