SSブログ

■京大iPS細胞研究所で論文不正 助教が図でデータの捏造や改ざん [健康ダイジェスト]

 京都大学(京都市左京区)は22日、iPS細胞研究所の山水康平(やまみず・こうへい)・特定拠点助教(36歳)が昨年2月に発表したヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)に関する論文で、データの捏造(ねつぞう)や改ざんがあったと発表しました。
 論文を構成する主要な6つの図のすべてと補足データの5つの図の合わせて11の図に捏造や改ざんがあり、論文の主張に沿うよう有利にデータが操作されていたといいます。京大は論文が掲載されたアメリカの科学誌に撤回を申請しており、今後、関係者の処分を行う予定です。
 他の研究や今後の研究には影響はないとしています。iPS細胞研究所を含め、京大で論文の捏造が認定されたのは、初めてといいます。
 記者会見した山中伸弥所長は、「強い後悔、反省をしている。応援いただいている皆様に心よりおわびを申し上げる」と陳謝しました。山中所長は、所長を辞任するかどうかの質問に「その可能性も含め、しっかり検討したい」と述べました。
 不正が認定されたのは、ヒトのiPS細胞から脳血管内皮細胞を作製し、血液中の薬物や有害物質が脳に入るのを防ぐ「血液脳関門」の機能を持つ構造体を作製することに成功したとする論文。創薬研究に利用できれば、アルツハイマー病などの治療に役立つ可能性があるとしました。
 山水特定拠点助教は、任期が決まっている非正規雇用の研究者という立場ながら、筆頭・責任著者でした。昨年2月24日にアメリカの科学誌「ステムセル・リポーツ」の電子版に発表され、3月に同じ科学誌に掲載されました。
 iPS細胞から作製した脳血管内皮細胞で、細胞に特有の遺伝子が働いているかどうかを解析し、論文では有意に高いことが示されましたが、研究室に残されたデータではその結果は出ませんでした。また、生体内の血液脳関門と同じようなバリアー機能があるか調べる薬物透過性試験でも、論旨に沿うようにグラフを作成するなどしていました。
 脳血管内皮細胞の作製には成功していなかったとみられますが、京大の聞き取りに対し、山水助教は「私がやりました。論文の見栄えをよくしたかった」と話しているといいます。
 この論文のデータに疑問があるという情報が内部からiPS細胞研究所に寄せられ、研究所が昨年7月に大学に通報。京大は外部委員を加えた調査委員会を設置し、9月から調査を始めていました。
 研究不正に詳しい大阪大学の中村征樹准教授は、「調査では論文のデータの大部分に捏造や改ざんが指摘されており、これまでiPS細胞研究所はデータの管理に厳しいという印象を持っていただけに驚いている」とした上で、「iPS細胞の研究は、日本社会の期待が大きい分野だけに、信頼に応えるためにも不正がなぜ起きたのか、ほかにも不正はないのか、社会が納得するだけの詳細な調査を行う必要がある」と指摘しています。

 2018年1月23日(火)

nice!(5)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

nice! 5

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。