SSブログ

■iPS細胞から作製した心筋シート移植、大阪大が承認 今年半ばにも1例目実施へ [健康ダイジェスト]

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した心臓の筋肉のシートを、心不全の患者に移植する大阪大学の研究チームの臨床研究について、学内の再生医療を審査する委員会は28日、計画を了承しました。今後、厚生労働省の部会で審議され、手続きが順調に進めば今年半ばにも臨床研究が始まります。
 iPS細胞から作製した細胞を患者に移植する臨床研究は、理化学研究所などの研究チームが目の難病の加齢黄斑変性の患者に実施しています。ほかの病気ではまだ例がなく、心臓病の治療で行われるのは世界で初めてだということです。
 今回の臨床研究は、澤芳樹教授らが計画。血管が詰まって心臓の筋肉(心筋)に血液が十分届かず、心筋が傷付いた虚血性心筋症の患者を対象に、心臓の表面にシート状の心筋細胞を移植し、安全性や効果を調べます。iPS細胞は、京都大学iPS細胞研究所が品質を確認して備蓄しているものを使用します。
 研究チームは昨年7月、再生医療安全性確保法に基づいて設けられている大阪大の委員会に申請。この日、2回目の会合があり、計画を「適切」とする意見をまとめました。
 早川堯夫(たかお)委員長は、「動物実験などの前臨床のデータの安全性、有効性がきちんとしていた。議論の多くは患者への説明を丁寧にするためのことだった」と話しました。
 虚血性心疾患は、重症化すると心臓移植しか治療法がありません。澤教授らは、患者自身の足の筋肉から採った特定の細胞をシートにして、移植する治療を開発してきました。この細胞は心筋の再生を促す物質を出しますが、心筋の障害が重いと効き目が十分でなく、iPS細胞で心筋を作って補うほうが、より高い効果が期待できるとしています。
 一方、iPS細胞そのものは無限に増える能力があり、シートに混じって体内に入るとがん化する恐れがあります。移植する心筋も拍動するため、移植後に心臓の拍動と一致しないと脈が乱れる懸念もあります。計画では18~79歳の患者計3人への移植を目標にして、1年間観察し、問題がないか検証します。
 澤教授は、「最初のステップを通過できた。この研究が本格的な医療になり、たくさんの人が助かるよう頑張っていきたい」とコメントしました。

 2018年3月1日(木)

nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。