SSブログ

■重粒子線センター、大阪市に3月開院 がんの新しい放射線治療を実施 [健康ダイジェスト]

 がんの新しい放射線治療を行う「大阪重粒子線センター」(大阪市中央区)が3月1日に開院するのを前に、16日、内部が公開されました。
 重粒子線は放射線の一種で、従来の放射線治療に比べて、がん細胞を殺す効果が2倍から3倍あるといわれています。病巣を狙って照射でき、正常細胞へのダメージを抑えられるほか、外科手術のように体を切開する必要もないなど患者の負担が少ないため、通院治療が可能で、治療日数も短くすむとされています。
 同種の施設は千葉市と横浜市、前橋市、兵庫県たつの市、佐賀県鳥栖市に計5カ所あります。西日本では3カ所目ですが、交通の便のよい都心部での立地は初めて。
 大阪重粒子線センターは大阪府が誘致し、公益財団法人「大阪国際がん治療財団」が設置、運営します。総整備費は約150億円。地上3階建て、延べ床面積約8850平方メートルで、建物は昨年10月に完成していました。
 大阪府庁などに隣接する大阪重粒子線センターには、直径17メートルの円形加速器が設置され、炭素イオンを光速の約70%まで加速した重粒子線を作り出します。患者は、重粒子線が照射される3台の治療台にそれぞれ横たわって、治療を受けます。
 対象は外来患者のみで、初年度は300人程度、2019年度から年間800~1200人の患者を受け入れる計画。頭頸部(とうけいぶ)や肝臓、肺などのさまざまながん治療が可能で、今年4月に保険適用が始まる前立腺がんは3週間の通院治療ですむといいます。3月1日から、他の医療機関から紹介された患者を受け付けて、診察や検査を行い、10月に照射を始める予定です。
 溝江純悦(じゅんえつ)・大阪重粒子線センター長は、「今の時点で最もベストな治療を大阪、そして関西の皆様にご提供したいと思う。照射自体には痛みや熱さがなく、従来の放射線治療と比べて必要な照射回数や日数も少なくてすむ。好立地で仕事や日常生活をしながら通院治療ができる」と話しました。
 重粒子線治療は公的保険の適用を前提とした「先進医療」で自己負担額が300万円以上かかっていましたが、2016年4月に骨などにできる「骨軟部腫瘍」で保険が適用されました。4月からは新たに前立腺がん、頭頸部がんも保険対象となることが決まっています。

 2018年2月21日(水)

nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

■強制不妊手術、最多は北海道の2593人 旧優生保護法下の1949~1996年で [健康ダイジェスト]

 旧優生保護法(1948~1996年)のもと、障害や精神疾患などを理由に強制的に不妊手術が行われていた問題で、全国最多の手術が実施された北海道が19日、現存していた当時の審査状況の資料などを公表しました。
 この問題を巡っては、今年1月に宮城県の女性が「幸福追求権を奪われた」として初めて国を相手取り損害賠償を求めて提訴。自民党を含む超党派の国会議員連盟が3月に発足し、政府に実態調査を求めるなどの動きが起きています。
 北海道によると、1949~1996年(1952~1953年を除く)に道内で強制不妊手術を受けさせられた人は少なくとも2593人。このうち、資料が残る1170人を調べたところ、男性331人、女性839人で、未成年者は116人でした。
 北海道は資料が残っていた1962~1973年度の詳細な審査状況についても公表。不妊手術が適当な「適切」とされたのは1129人で、内訳は、男性233人、女性896人。未成年者は男性が28人、女性が144人で、最年少は男性が14歳、女性は11歳でした。
 適切とされた主な理由は、当時の分類で「精神病」532人、「精神薄弱」558人、「精神病質」17人で、「身体疾患」15人、「奇形」7人となっています。北海道は該当する具体的な疾患名について明らかにしていませんが、旧優生保護法では躁(そう)うつ病や顕著な性欲異常、犯罪傾向、全色盲などを幅広く対象にしていました。 
 今回、北海道に残っていた資料は一部期間だけだったため、道内にある30の保健所に関連資料の提出を求め、3月中旬に最終調査結果をまとめる方針。

 2018年2月20日(火)

nice!(6)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

■昼寝をいざなう遺伝子、世界初発見 一時的に体温を下げて休息 [健康ダイジェスト]

 哺乳類や昆虫には「昼寝」に関連する遺伝子があり、これが働くことで体温を下げ、活動量を低下させているとの研究成果を、京都大学や北海道大学などの研究チームが発表しました。人にも同じ遺伝子があり、同様の働きをしている可能性があるといいます。
 昼寝に関連する遺伝子の発見は世界初で、論文がアメリカの専門誌の電子版に13日掲載されました。
 生物は昼夜のリズムに合わせて約24時間周期で活動が変化する「体内時計」を持っています。京都大薬学研究科の土居雅夫准教授などの研究チームは、人が昼すぎになると体温が一時的に下がって眠くなることに着目し、ショウジョウバエやマウスを使った実験で、この生命現象に関連する遺伝子を調べました。
 その結果、ショウジョウバエでは「DH31受容体」と呼ばれるタンパク質を作る遺伝子が、昼寝前の体温調節にかかわっていることを突き止めました。自身で体温が変えられない変温動物であるハエは、自らが好む温度の場所に移動する性質を持ち、通常は昼寝前に温度が低い場所に移動するものの、この遺伝子を働かないようにすると、その移動が見られなくなりました。
 また、哺乳類のマウスでは、タンパク質「カルシトニン受容体」を作る遺伝子が、「昼寝」前の体温調節にかかわることを確かめました。この遺伝子を働かないようにすると、昼寝の時間になっても体温は下がらなくなりました。
 ハエおよびマウスともに、今回見付けたタンパク質は、体内時計を作り出すのと同じ脳内の神経細胞で作られていました。カルシトニン受容体は人にもあり、同様の働きを持っていると考えられるといいます。
 研究チームは、哺乳類や昆虫の祖先が遅くとも6億年前には、このタンパク質を作る遺伝子の働きを獲得したとみています。
 土居准教授は、「昆虫と哺乳類は進化の上では6億年以上前に枝分かれしたとされるが、そのころから一時的な体温調節の仕組みを持っていたことになる。この仕組みが、睡眠にどのような影響を与えるのかさらに調べていきたい」と話しています。
 本間さと・北海道大学客員教授(時間生物学)は、「変温動物の昆虫と恒温動物の哺乳類は体温調節の方法が異なるが、体温を下げる仕組みが共通することは興味深い。ずっと活動していると体への負担が大きい。昼寝には体を休める重要な役割があると考えられる」と話しています。

 2018年2月20日(火)

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

■結核の「低蔓延国」達成、数年遅れの見通し 患者減少率が鈍化傾向に [健康ダイジェスト]

 1年間に新たに結核と診断される患者を、2020年までに「低蔓延(まんえん)国」とされる10万人当たり10人未満にするとの国の目標の達成が、数年遅れになる見通しです。厚生労働省が病原微生物検出情報2017年12月号で明らかにしました。高齢者、都市部での患者の割合増加が目立っています。
 2016年の新規届け出患者は全国で1万7625人、10万人当たりでは13・9人でした。世界保健機関(WHO)の定めた基準では、「中蔓延国」と位置付けられます。前年比でみると減ったものの、近年は年間4〜6%減で推移しており、このままのペースだと、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までの目標達成は難しいといいます。
 新規患者うち1万594人(約60%)が男性、7031人(約40%)が女性。35歳以上で男性の割合が増え、40歳以上80歳未満では男性が女性の約2倍に上っています。高齢化も目立ち、65歳以上の割合は1996年の43%、2006年の55%に対して、2016年は67%と、3分の2が高齢者になりました。
 東京都特別区と政令指定都市では、日本全体の人口比では29%ですが、結核の新規患者では35%、64歳以下では41%を占めています。都市部では、若い人や社会・経済的弱者の人に患者発生が目立っています。ネットカフェ、ゲームセンター、カラオケ、パチンコなど、不特定多数の人が集まるところでの集団感染の報告が相次いでいます。
 世界保健機関(WHO)は、患者が治癒したり一定の治療を終えたりした「治療成功率」の目標を85%に設定していますが、日本で2015年から2016年にかけての治療成功率は53%にとどまっています。
 これは、新規患者の3分の1以上が80歳以上で、治癒や治療完了前に死亡する例が多かったためとみられます。50歳未満での治療成功率は70%でした。
 新規患者のうち外国生まれの人は1338人で、8%を占めました。2006年の920人、4%から大きく増加しました。特に20歳代では59%を外国生まれが占めました。主に使われる2種類の抗結核薬であるイソニアジド、リファンピシンにいずれも耐性があった多剤耐性結核患者は全国で49人で、このうち15人が外国生まれでした。
 外国生まれの人の出身国別内訳は、フィリピン318人、次いで中国272人、ベトナム212人、ネパール135人となっています。アジア諸国では結核は依然大きな健康問題であり、アジア諸国からの入国が多い日本にとって、これらの国々の結核対策も結核問題を左右する課題です。

 2018年2月19日(月)




nice!(6)  コメント(0) 
共通テーマ:健康