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☐用語 回帰熱 [用語(か行)]

[山羊座]野生のダニやシラミが媒介する細菌感染症
 回帰熱とは、野生のダニやシラミに媒介されることで発症する細菌感染症。再帰熱とも呼ばれます。
 回帰熱を発症すると、発熱期と無熱期を数回繰り返すことから、この疾患名が付けられました。回帰熱を引き起こす病原体は、スピロヘータ科ボレリア属のボレリア・レカレンチス、ボレリア・ミヤモトイ、ボレリア・ヘルムシーなどの細菌で、回帰熱ボレリアとも呼ばれます。
 回帰熱には、ダニが媒介してボレリア・レカレンチスやボレリア・ミヤモトイを病原体とするものと、シラミが媒介してボレリア・ミヤモトイやボレリア・ヘルムシーなどを病原体とするものがあります。
 ダニ媒介回帰熱は、アフリカ大陸、イベリア半島(特に地中海地域)、中央アジア、中東の一部、インド、中国、アメリカ大陸など非常に広い範囲で分布します。シラミ媒介回帰熱は、エチオピア、スーダン、南スーダン、ソマリアなどアフリカ大陸の高地、インド、南米アンデス山地などでみられます。
 日本では、海外で感染し帰国後に発症した数例を除き、過去数十年間、国内で回帰熱の患者の報告はありませんでしたが、近年の逆上り調査の結果、2011年以降に、北海道でボレリア・ミヤモトイ感染による回帰熱の患者2名が発生していたことが明らかになりました。
 日本では、回帰熱は感染症法で全数把握対象の4類感染症に指定されており、診断した医師は直ちに保健所に届け出ることになっています。
 回帰熱は、基本的にダニやシラミに刺されることを原因として発症します。人から人に直接感染することはありません。
 刺されてから約1〜2週間の潜伏期間をへて、病原体が血液中に存在して40℃以上の高熱が1週間ぐらい続き、その後一時的に細菌が減少して約1週間は熱がなく、再び発熱するといった発熱期と無熱期を複数回繰り返します。
 発熱期には、発熱以外に頭痛や筋肉痛、関節痛、悪寒、吐き気、結膜炎、点状出血、黄疸(おうだん)、肝臓や脾臓(ひぞう)の腫大(しゅだい)などが生じます。無熱期には、発汗、倦怠(けんたい)感がみられ、時に低血圧症や赤いぶつぶつとした発疹(はっしん)が発生することもあります。
 一般的には2回目以降の発熱期は短く、熱の程度も軽くなります。これを繰り返した後、最終的に解熱します。
 ただし、発熱期には、中枢神経障害として髄膜炎や脳出血、心筋炎、肺炎などを起こすこともあり、症状が重い場合には死に至ることもあります。妊婦が感染した場合は、低出生体重児や早産、自然流産のリスクが高まります。
 ダニ媒介回帰熱とシラミ媒介回帰熱の症状は似ていますが、一般にシラミ媒介回帰熱のほうがより重篤な症状を示します。致死率は、ダニ媒介回帰熱では10%以下ですが、シラミ媒介回帰熱では50%にまで達することがあります。
[山羊座]回帰熱の検査と診断と治療
 内科、皮膚科、感染症科、感染症内科などの医師による診断では、その特殊な熱型と、血液中の病原体ボレリア属の顕微鏡による検出によって、容易に回帰熱と確定できます。
 血液検査では、血液中の細菌量が比較的多い発熱期に採血し、血液を染色して顕微鏡で観察して病原体の特徴的な形態が見られるか調べます。ほかにも、抗原や遺伝子などを検出する蛍光抗体法(免疫蛍光法)やPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法など別の方法を選択することもあります。
 内科、皮膚科、感染症科、感染症内科などの医師による治療では、抗生物質を使用します。テトラサイクリン系の抗生物質が最も有効で、ストレプトマイシン、ペニシリンも効果がありますので、年齢などに応じて使用する抗生物質を決定します。
 ただし、抗生物質の初回投与後数時間以内に悪寒や震えが生じ、その後ショックから死亡に至ることもあるので、注意が必要です。この反応は、ダニ媒介回帰熱の場合は30〜40%、シラミ媒介回帰熱の場合は80〜90%の症例で生じるといわれています。
 回帰熱はワクチンによる予防対策を講じることができない疾患のため、病原体を保有するダニやシラミに刺されない対策を講じることが重要です。
 そのポイントは、森林作業や農作業、レジャーなどで、草むらややぶなどダニやシラミが多く生息する場所に入る時は、肌をできるだけ出さないように、長袖(ながそで)、長ズボン、帽子、手袋、足を完全に覆う靴などを着用することです。また、肌が出る部分には、人用の防虫スプレーを噴霧し、地面に直接寝転んだり、腰を下ろしたりしないように、敷物を敷きます。
 衣類にダニがついていることがあるので、森林や野山などから帰宅後は衣類を家の外で脱ぎ、すぐに入浴し体をよく洗って、新しい服に着替えます。
 万が一ダニ類に刺され、皮膚に吸着された時は、つぶしたり無理に引き抜こうとせず、入浴して体をよく洗って注意深く取り除くか、医療機関で処理してもらうことです。
 シラミが移ることを防ぐために、衣類や寝具、ヘアブラシなどの共有を避けます。

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☐用語 気象病 [用語(か行)]

[雨]気象の変化が原因で症状が出現したり、悪化したりする一連の疾患
 気象病とは、気象の変化や一定の気象条件下で、症状が出現したり、悪化したりする一連の疾患。
 体調不良、気分の落ち込み、頭痛、めまい、関節痛、古傷の痛みなどの症状が代表的で、患者数は増加傾向にあり、1000万人以上が悩んでいるとの推計もあります。
 主な原因は、気温や湿度ではなく、気圧の変化です。飛行機に乗ったり、エレベーターで移動したりすると、耳がおかしく感じることがあります。耳の鼓膜の奥には、気圧の変化を感じる内耳という器官があり、脳は内耳から伝わった情報を基に、周囲の環境に体を順応させようとします。
 しかし、内耳のセンサーが敏感に反応しすぎると、わずかな気圧の変化でも脳に過剰な情報が伝わってしまいます。この結果、自律神経が乱れて、体にさまざまな変調が起きます。
 自律神経のうち交感神経が活発になると痛みを感じ、副交感神経が活発になるとだるくなったり眠くなったりします。心臓発作やぜんそくなどの持病が悪化する恐れもあり、軽く考えるのは禁物です。
 気圧の変化が急なほど、気象病の症状が強く出現します。中には気圧が上昇する時に症状を訴える人もいますが、多くの人が症状を訴えるのは気圧が低下する時です。
 特に気象病の症状が出やすい季節は、雨をもたらす低気圧が定期的に通過する春や秋、梅雨時、そして台風が日本付近に接近する晩夏から秋にかけて。冬に低気圧が日本の南岸を通過すると、太平洋側に雪が降ることがありますが、この時に症状を訴える人もいます。
[雨]気象病の治療と予防
 耳鼻科、神経内科、あるいは気象病外来/天気痛外来の医師による治療では、気象病の予兆であるめまいが出るタイミングで、抗めまい薬を服用することが効果的です。抗めまい薬には、内耳のリンパ液の循環をよくする働きがあり、内耳の状態を整えて、内耳のセンサーが敏感に反応するのを抑えます。
 抗めまい薬と同様の「ジフェニドール」などの成分が入った乗り物酔い止め薬を服用するのも効果があります。乗り物酔い止め薬は、薬局などで市販されています。
 漢方薬を使う場合もあります。五苓散(ごれいさん)には、気圧の低下で体内に貯留する水分の循環をよくする作用があり、抗めまい薬と似た効果があります。抑肝散(よくかんさん) には、神経の高ぶりを抑えたりする作用があります。
 気象病の改善に効くとされるツボも、手や足にあります。
 ただ、抗めまい薬などで気象病の元になる持病までは治らず、それぞれの持病に対応した治療が必要なことはいうまでもありません。
 普段から内耳のリンパ液の循環をよくしておけば、自律神経が整い、気象病の予防や改善につながります。その点で、マッサージも有効で、両耳を軽くつまんで、上下横に5秒ずつ引っ張ったり、耳を横に引っ張りながら後ろに回したりします。
 また、家庭用の気圧計などを使って、毎日の天気、気圧、体調の変化を記録し、気象病の症状がいつ出るのかを予測すれば、あらかじめ薬で対処できます。地域ごとに気象病に注意すべきタイミングをスマートフォンなどで知らせてくれるアプリもあります。
 自律神経を整えるためには、十分な睡眠、適度な運動も不可欠で、規則正しい生活を心掛けます。

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■用語 紅斑性狼瘡 [用語(か行)]

[天秤座]膠原病の一つで、顔面などに生じる紅斑を主症状とする疾患
 紅斑性狼瘡(こうはんせいろうそう)とは、顔面などに生じる紅斑(こうはん)を主症状とする疾患。エリテマトーデスとも呼ばれます。
 膠原(こうげん)病の一つで、自己免疫性疾患のうち最も代表的なものです。
 急性で全身が侵される全身性紅斑性狼瘡と、慢性で皮膚に限局して円形の紅斑が現れる円板状紅斑性狼瘡に大別され、この間に中間型、移行型があります。
[天秤座]全身性紅斑性狼瘡は全身に症状が現れる膠原病の一つ
 全身性紅斑性狼瘡は、全身に症状が現れる疾患で、代表的な膠原病の一つ。全身性エリテマトーデスとも呼ばれます。
 現在の日本では10万人に7〜8人の発症率で、発症しやすい年齢は20歳〜40歳、その90パーセントは女性です。
 発症させる原因は、まだ解明されていません。体質、素因、免疫の異常、環境因子が関係して発症すると推定されています。免疫の異常は、自分の体の成分に対して反応する異常であるために、自己抗体が血液中にみられます。特に抗核抗体、中でもDNA(デオキシリボ核酸)に対する抗体が血液中に現れるのが、特徴です。
 全身性紅斑性狼瘡を発症させる誘因には、海水浴やスキーなどで強い紫外線を浴びたり、薬剤、ウイルス感染、外傷、ストレス、さらには妊娠、出産などがあります。
 全身性紅斑性狼瘡の最も特徴的な症状は、皮膚の露出部に赤い斑点である紅斑が現れることです。顔では鼻を中心に両側の頬(ほお)にかけて、蝶(ちょう)が羽を広げたような形の蝶型紅斑ができます。また、手のひら、つめの周囲、足の裏、胸にも紅斑がみられます。
 紅斑は厚く盛り上がることもありますが、痛みやかゆみはありません。ただし、紅斑が治った跡に瘢痕(はんこん)が残ったり、色素沈着や色素脱失になることがあります。
 髪の毛が抜けたり、つめが変形したり、日光に当たるとひどい日焼けをして火膨れができる光線過敏症などもみられます。寒冷刺激や精神的ストレスに反応して、手や足の指が真っ白になったり、青紫色になったりし、しびれ、冷感、痛みなどの症状を伴うレイノー現象も、よくみられます。
 内臓に現れる症状では、腎(じん)臓がよく侵されます。これはループス腎炎と呼ばれ、むくみや蛋白(たんぱく)尿がみられますが、初期には症状として出にくいため要注意。心膜や胸膜に炎症が起こることもあり、胸痛、発熱を起こします。
 脳や神経に障害が起こると、けいれん、まひがみられることもあります。関節痛もみられますが、関節リウマチのような関節の変形、運動機能の障害はありません。
[天秤座]全身性紅斑性狼瘡の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、免疫血清や血液の検査を行います。免疫血清検査では、全身性紅斑性狼瘡に高頻度にみられる血清中の抗核抗体を調べます。また、血液検査によって、貧血の程度や白血球減少、血小板減少の有無を調べます。
 そのほか、尿や血液の検査によって、ループス腎炎やネフローゼ症候群、腎臓の機能障害が起こっていないかを調べます。また、侵された臓器の病状を知るために、必要に応じてX線検査、CT検査、MRI検査、心電図などの検査を行います。
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療においては、内臓の炎症にはステロイド薬(副腎〔ふくじん〕皮質ステロイド薬)が有効で、効果を発揮しています。炎症が強くて症状が重い場合には、大量に投与され、症状が安定すれば徐々に量を減らしていきます。腎臓に障害が現れた場合には、免疫抑制剤が用いられたり、血漿(けっしょう)交換療法が行われることもあります。
 ステロイド薬の使用により、予後はかなり改善しましたが、治療に用いられる薬はいずれも副作用があります。加えて、いつ、どれぐらいの期間をかけて投与量を減らすかが非常に難しいため、医師の指示を守って治療を続けることが大切。腎臓の機能低下が起こった場合には、血液透析が必要になります。
 生活上の注意としては、全身性紅斑性狼瘡を発症させる誘因があると悪化するため、強い紫外線や感染症には細心の配慮が必要です。治療のためにステロイド薬を使うと感染症にかかりやすくなるため、清潔を心掛け、インフルエンザが流行している時期は人込みを避けるなど、注意します。
 比較的若い女性がかかることが多いため、妊娠や出産の問題があった際には、医師に相談します。病状が安定していれば、妊娠、出産は十分に可能です。また、経済的な問題では、全身性紅斑性狼瘡は厚生労働省の特定疾患に認定されているので、医療費の助成を受けることができます。
[天秤座]円板状紅斑性狼瘡は皮膚限局型紅斑性狼瘡の一つ
 円板状紅斑性狼瘡は、日光露出部である頭部、顔面、四肢などに、円板状の紅斑が好発する原因不明の皮膚疾患。円板状エリテマトーデス、慢性円板状エリテマトーデスとも呼ばれます。
 膠原病の代表的な疾患で全身性の症状を伴う全身性紅斑性狼瘡と異なり、皮膚症状のみ出現する皮膚限局型紅斑性狼瘡の1つであり、慢性型のサブタイプに相当します。皮膚限局型紅斑性狼瘡には、急性型、亜急性型、中間型のサブタイプもあります。
 円板状紅斑性狼瘡の症状は、類円形ないし不整形で、魚の鱗(うろこ)のようにはがれる鱗屑(りんせつ)を伴う円板状の紅斑が多発することを特徴とします。
 円板状の紅斑は境目がはっきりしていて、頬、鼻、下唇、頭部など、日光が当たる部位にできます。皮膚面より少し盛り上がり、中心部は硬くなったり委縮していたりして、引きつったようになっています。口唇に症状が出る時はびらん、頭皮に症状が出る時は脱毛を伴うことがあります。また、かいたり刺激を与えたりすると、その部位に新たな円板状の紅斑が広がる傾向にあります。
 この皮膚病変は、治癒過程で色素沈着ないし色素脱失、委縮を生じ、瘢痕を残します。ほかの症状として、発熱や倦怠(けんたい)感がみられることもあります。
 全身性紅斑性狼瘡と異なり、全身の臓器障害はみられませんが、一部が全身性紅斑性狼瘡へ移行することがあります。全身性紅斑性狼瘡へ移行すると、円板状の紅斑が全身に広がり、内臓の炎症、腎臓の機能障害が起こります。
 円板状紅斑性狼瘡は、35~45歳の女性が発症しやすいとされています。
 現在のところ、円板状紅斑性狼瘡を発症する原因はわかっていません。しかし、紫外線や寒冷刺激、美容整形、妊娠・出産、タバコ、ウイルス感染、薬物などが関係していると考えられています。
 全身性紅斑性狼瘡は、免疫システムが自己の細胞を攻撃する自己免疫が原因だとされていますが、円板状紅斑性狼瘡は自己免疫とは無関係と考えられています。皮膚が抗原刺激や物理的刺激を受けることで、白血球のうち、リンパ球と呼ばれる細胞の一種であるT細胞が増殖し、細胞間で情報を伝えるタンパク質であるサイトカインの生成が促進され、症状が現れると推測されています。遺伝との関係は、親族内や双子で発症する例が少ないことから、可能性は低いと考えられています。
 円板状の紅斑ができて治りにくい場合、円板状紅斑性狼瘡の可能性があります。日光を避けて、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科を受診しましょう。治った後でも、まれに皮膚がんである有棘(ゆうきょく)細胞がんの発生母地となることがあるため、症状が軽くてもしっかり治療をすることが大切となります。
[天秤座]円板状紅斑性狼瘡の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、視診をした上で、皮膚生検といって皮膚の一部を採取して顕微鏡で調べる検査を行い、円板状紅斑性狼瘡と確定します。
 血液検査を行うこともありますが、発症者の多くはほかの臓器に変化を伴わず正常です。しかし、一部の患者では、血液沈降速度(血沈)の高進、抗核抗体陽性、白血球減少がみられ、全身性紅斑性狼瘡に移行することがあります。
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、瘢痕が残った皮膚病変を治すことはできませんが、新しい円板状の紅斑が広がらずに限られた範囲にできている場合は、ステロイド薬(副腎〔ふくじん〕皮質ステロイド薬)の軟こうを直接塗ることが一般的です。目立つほど顔にできている場合や、頭皮の脱毛がひどい場合は、内服のステロイド薬を使用します。
 また、内服薬ではヒドロキシクロロキンなどのマラリア治療薬が皮膚症状に有効であり、欧米では第1選択薬の1つです。以前の日本では副作用のために使用が禁止され保険適応がありませんでしたが、2015年に承認されました。ヒドロキシクロロキンの長期間の効果としては半数弱の人に有効であり、残りの半分強は、内服のステロイド薬などが必要になります。
 免疫抑制剤の1つであるレクチゾールやミゾリビンの内服も有効なことがわかっていますが、貧血などの副作用が現れやすいため、慎重に使用する必要があります。
 全身性紅斑性狼瘡を合併する場合には、内臓の炎症に対して内服のステロイド薬が有効で、効果を発揮しています。炎症が強くて症状が重い場合には、大量に投与し、症状が安定すれば徐々に量を減らしていきます。腎臓の障害に対して、免疫抑制剤を用いたり、血漿交換療法を行うこともあります。
 円板状紅斑性狼瘡の悪化を防ぐためには、紫外線を避ける必要があります。肌の露出を控えるために、日焼け止めや帽子、サングラス、長袖(ながそで)などの対策が大切です。肌に過剰な刺激を与えることも悪影響なので、かゆみがある時でもかいたり刺激を与えないように気を付ける必要があります。薬を塗る時なども、手を洗い清潔な状態で塗るようにします。
 寒冷による刺激も極力受けないほうがいいため、しっかりと防寒することが重要で、夏場は清潔な服を着る、通気性のよい天然素材の洋服を着るなどの対策も大切です。加えて、ストレスを避け、適度な運動と休養をとり、バランスのとれた食事をします。




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■用語 機能性尿失禁 [用語(か行)]

[トイレ]排尿機能は正常にもかかわらず、運動機能の低下や精神機能の衰えで起こる尿失禁
 機能性尿失禁とは、排尿機能は正常にもかかわらず、運動機能の低下や精神機能の衰えが原因で起こる尿失禁。
 膀胱(ぼうこう)や尿道、その筋肉や神経に問題があって自分の意思と関係なく尿が一時的に漏れるわけではなく、運動機能や精神機能に問題があって、尿意を催しても、それをトイレでの排尿動作に結び付けられずに尿を漏らします。
 この機能性尿失禁は、特に高齢者に多くみられます。
 運動機能に問題があって起こる機能性の尿失禁は、足が不自由だったり、手がうまく使えなかったり、機敏性に欠けたりなど日常生活動作(ADL:Activities of Daily Living)の低下のために、トイレにゆくまでの歩行が緩慢で時間がかかったり、ズボンを下ろしたりする動作に手間取ったりして、尿を漏らします。
 このような状態になる原因としては、脳出血や脳梗塞(こうそく)などの脳卒中の後遺症による動作障害、関節リウマチや腰椎(ようつい)骨折、大腿骨(だいたいこつ)骨折などによる運動障害があります。
 精神機能に問題があって起こる機能性の尿失禁は、認知症などによる精神機能の衰えのために判断力が低下し、トイレの場所の認識が薄れる、トイレの使い方がわからない、別の場所をトイレだと思い込む、排尿行為が認識できず尿がたまっているのにトイレにゆく行動を起こせない、などの理由のために、尿を漏らしたり、トイレ以外で排尿します。
 高齢になると、運動機能の低下と精神機能の衰えの両方が交じって複雑になることもあります。治療よりも、トイレにゆきやすい生活環境を見直したり、定期的にトイレに連れてゆくなどの介護の工夫が必要になります。
[トイレ]機能性尿失禁の対処方法
 運動機能に問題がある場合の尿失禁の対処方法
 医師や介護ケアの専門家と相談の上、生活環境や習慣を見直し、残された身体機能をなるべく生かして、自立して排尿できる方法を考えることが大切です。
(1)治療・機能回復訓練(リハビリテーション)
 痛みの治療や筋力トレーニングなど、治療や機能回復訓練で治せるものは治します。専門家による評価(判断)が必要です。
(2)トイレ動作の工夫
 寝たきりの人でも、練習によって座ることや立つことができるようになる場合もあります。
(3)介助方法の習得・工夫
 介助の方法がわからなかったり、間違っているために尿失禁になっている場合には、専門家が介護者に適切な介助方法を提案します。
(4)住環境の整備
 生活の場所(寝室)をトイレの近くに移動する、あるいはポータブルトイレを使用する、トイレや廊下などに手すりをつける、廊下の段差をなくす、便器を使いやすいものに替える(和式を洋式にする)など、住環境の整備によってトイレ動作がしやすくなる場合があります。
(5)福祉用具の活用
 用具はさまざまな種類があり、手足の働きを補います。適切な用具を選択することがポイントです。
(6)社会資源の活用
 地域によって異なりますが、生活を支援するさまざまな制度が作られています。これを上手に利用します。
 精神機能に問題がある場合の尿失禁への対処方法
 認知症などによる精神機能の衰えのために判断力が低下している場合、本人のできることを探しながら介助をします。
(1)トイレにゆきたいサインを見付ける
 急に立ち上がろうとする、歩き回る、様子が落ち着かない、突然ズボンを下ろそうとする、ポケットに手を突っ込むなど、本人のトイレにゆきたいサインを見付けられたら、トイレに誘導し、介助します。
(2)トイレの表示をはっきりさせる
 トイレの場所がわからなかったり、間違って覚えている場合、トイレに「便所」と書いたり、明るくしてわかりやすいようにします。トイレの場所を認識するまで、できるだけトイレに連れていくようにします。
(3)着脱しやすい衣服を選ぶ
 慣れた位置にボタンやチャックがある、といった本人がわかる衣服に替えます。
(4)便器の使い方を確認する
 便器の使い方がわからないようであれば、声を掛けます。
(5)後始末は自分でできているかどうか確認する
 泌尿器をふいたり、便器の水を流すことを忘れているようであれば声を掛けたり、介助します。うまくできた時は本人が喜ぶ方法でほめることが、基本です。

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