■用語 水疱性鼓膜炎 [用語(す)]
外耳と中耳の境界にある鼓膜に、急性に水疱ができ、炎症が起きる疾患
水疱(すいほう)性鼓膜炎とは、外耳と中耳の境界である鼓膜の薄い膜の外側表面に、急性に水疱ができ、炎症が起きる疾患。
鼓膜は、耳に入ってくる音を振動に変換し、耳小骨経由で内耳に伝える働きのほか、外耳と中耳を境界する役目をしている器官です。その構造は、直径約9ミリ、厚さ0・1ミリの薄い膜状で、耳の入り口から約3センチのところに位置しており、外耳道のほうに向かって開いたパラボラアンテナのような形態をしています。
体の中には、いくつかの膜状構造物がありますが、鼓膜は常に外界に交通しているため、外力に弱い器官といえるでしょう。
この水疱性鼓膜炎が単独で起こることは比較的少なく、多くは風邪やインフルエンザなどに伴って起こります。子供よりも20〜40歳代の成人女性に多く、両側の耳に起こることはまれです。
原因は、風邪やインフルエンザなどによるウイルス感染が原因と疑われていますが、まだはっきりしていません。耳かきのしすぎなどが原因で鼓膜に傷が付くことで、細菌が感染して炎症が起こることもあります。
水疱性鼓膜炎が引き起こされると、鼓膜の表面に急性に、小さな液体の詰まった水疱が1個から数個でき、突発的に激しい耳の痛みが生じるのが特徴で、耳の奥が詰まったような不快感も覚えます。耳垂れ(耳漏)は、あまりありません。
まれに、音を感じる内耳に影響を与えて、感音難聴を起こすことがあり、耳鳴りなどの症状を伴います。時々、中耳炎を合併することもあり、その場合は伝音難聴や発熱を覚えます。
水疱性鼓膜炎の検査と診断と治療
耳鼻咽喉(いんこう)科の医師による診断では、顕微鏡やファイバースコープで鼓膜を拡大して観察し、似た症状の中耳炎と鑑別します。観察すると、鼓膜は出血性に赤くなり、さらに表面に水疱が認められるので、すぐに鑑別できます。
感音難聴を起こして耳鳴りなどの症状を伴っている場合には、聴力検査を行います。
耳鼻咽喉科の医師による治療では、抗生剤、鎮痛薬の内服を行います。痛みの強い場合には、痛みを緩和するために綿棒で水疱をつぶすか、小さなメスで水疱を切開して排液を行うことがあります。通常、耳に薬剤を入れる点耳などの局所処置は必要ありません。
感音難聴が生じた場合は、突発性難聴に準じて、ステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン剤)、ビタミン剤、循環改善薬などを使用します。
水疱性鼓膜炎の予防法は、解明されていません。いったん発症した場合は、耳に水が入らないように気を付けることが重要です。
水疱(すいほう)性鼓膜炎とは、外耳と中耳の境界である鼓膜の薄い膜の外側表面に、急性に水疱ができ、炎症が起きる疾患。
鼓膜は、耳に入ってくる音を振動に変換し、耳小骨経由で内耳に伝える働きのほか、外耳と中耳を境界する役目をしている器官です。その構造は、直径約9ミリ、厚さ0・1ミリの薄い膜状で、耳の入り口から約3センチのところに位置しており、外耳道のほうに向かって開いたパラボラアンテナのような形態をしています。
体の中には、いくつかの膜状構造物がありますが、鼓膜は常に外界に交通しているため、外力に弱い器官といえるでしょう。
この水疱性鼓膜炎が単独で起こることは比較的少なく、多くは風邪やインフルエンザなどに伴って起こります。子供よりも20〜40歳代の成人女性に多く、両側の耳に起こることはまれです。
原因は、風邪やインフルエンザなどによるウイルス感染が原因と疑われていますが、まだはっきりしていません。耳かきのしすぎなどが原因で鼓膜に傷が付くことで、細菌が感染して炎症が起こることもあります。
水疱性鼓膜炎が引き起こされると、鼓膜の表面に急性に、小さな液体の詰まった水疱が1個から数個でき、突発的に激しい耳の痛みが生じるのが特徴で、耳の奥が詰まったような不快感も覚えます。耳垂れ(耳漏)は、あまりありません。
まれに、音を感じる内耳に影響を与えて、感音難聴を起こすことがあり、耳鳴りなどの症状を伴います。時々、中耳炎を合併することもあり、その場合は伝音難聴や発熱を覚えます。
水疱性鼓膜炎の検査と診断と治療
耳鼻咽喉(いんこう)科の医師による診断では、顕微鏡やファイバースコープで鼓膜を拡大して観察し、似た症状の中耳炎と鑑別します。観察すると、鼓膜は出血性に赤くなり、さらに表面に水疱が認められるので、すぐに鑑別できます。
感音難聴を起こして耳鳴りなどの症状を伴っている場合には、聴力検査を行います。
耳鼻咽喉科の医師による治療では、抗生剤、鎮痛薬の内服を行います。痛みの強い場合には、痛みを緩和するために綿棒で水疱をつぶすか、小さなメスで水疱を切開して排液を行うことがあります。通常、耳に薬剤を入れる点耳などの局所処置は必要ありません。
感音難聴が生じた場合は、突発性難聴に準じて、ステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン剤)、ビタミン剤、循環改善薬などを使用します。
水疱性鼓膜炎の予防法は、解明されていません。いったん発症した場合は、耳に水が入らないように気を付けることが重要です。
■用語 すじ爪 [用語(す)]
爪の甲の表面に縦方向、または横方向の線や溝が入っている状態
すじ爪(つめ)とは、爪の甲の表面に縦方向、または横方向の線や溝が入っている状態。
縦方向の線や溝が入っている状態は、爪甲縦条(そうこうじゅうじょう)ともいいます。横方向の線や溝が入っている状態は、爪甲横溝(そうこうおうこう)ともいいます。
手指や足指の爪の甲の表面に縦方向の線や溝が入る爪甲縦条は、誰にでも認められるもので、10歳代、20歳代ではほとんど目立ちません。老化現象の一つとして、加齢とともに滑らかだった爪の甲の表面に線や溝が目立つようになり、40歳以上ではすべての爪の甲に100パーセント現れ、50歳代くらいからは増加します。年齢によって、縦方向の線や溝の数も隆起の程度も異なります。
加齢とともに縦方向の線や溝が増える原因は、胃腸の働きが衰え始めるとともに、爪に十分に栄養素がゆき届かなくなるためです。特に亜鉛不足の場合は、線や溝が現れやすくなります。
若い人でも、食事での栄養バランスの偏りやダイエットなどで、爪に必要な蛋白(たんぱく)質、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ビタミンBなどの栄養素不足になった場合は、爪に線や溝が現れます。妊娠を切っ掛けに、線や溝が現れることもあります。
また、冬の季節に空気が乾燥すると、爪も肌と同じように乾燥し、線や溝が現れやすくなります。また、季節を問わず乾燥肌の人は、爪にも線や溝が現れやすくなります。
さらに、若い人でも、血液循環が悪い場合は、爪に線や溝が現れやすくなります。
高熱が出た時に爪に線や溝が現れることもあり、精神的ストレス、不規則な生活習慣が原因で、爪に線や溝が現れることもあります。
すじ爪になって、爪の甲の表面に縦方向の線や溝が入っている爪甲縦条になっても、老化現象の一つであったり、疾患のサインではなく健康上の問題はない場合がほとんどですので、心配することはありません。
一方、手指や足指の爪の甲の表面に横方向の線や溝が入る爪甲横溝は、爪甲縦条と違って、何らかの体の異常のサインであり健康上に問題がある場合もあるので、注意が必要です。
爪の甲に横に走る水平の線や溝、波打った線や溝ができるのは、爪の発育を抑えるような障害が爪を作り出す爪母に作用するためで、その障害の強さや期間によって深さや幅が変わってきます。非常に障害が強く加わると深くなり、期間が長くなると幅が広くなります。
初めに、爪半月(つめはんげつ)の外側の辺りに横方向の線や溝が現れ、爪の発育とともに先端に移動してゆきます。この線や溝は爪母に障害が加わってできるものですから、現れるのは障害が加わってから数週間後です。現在できている横溝の位置から、いつごろ障害が起こったのか推測することは簡単です。
爪は1カ月で3~4ミリのスピードで伸びていくため、爪の根元から3ミリくらいのところに線や溝が入っているとしたら、1カ月ほど前に何らかの体調の変化が現れたということになります。また、1本の爪に線や溝が2~3本同時に見られる場合は、正常な期間をおいて繰り返し障害が加わったと考えらます。
もしも、爪の線や溝ができる原因が全身性疾患によるのものであるなら、すべての爪の同じ場所に変化が見られます。一部の爪の変化の時は、爪母近くの皮膚の病変の影響が考えられます。 また、爪の根元にけがをしたり、マニキュアや薬剤によって爪母を傷付けた時に変化が見られることもあり、この時は爪の甲が凸凹になる場合もあります。
爪の線や溝が生じる原因となる全身性疾患としては、急性熱性疾患のほか、尿毒症、糖尿病、ビタミンA欠乏症、低カルシウム血症、亜鉛欠乏症などの慢性疾患が挙げられます。皮膚の疾患としては、湿疹(しっしん)、皮膚炎、円形脱毛症、乾癬(かんせん)などが挙げられます。
さまざま原因がある中で、最も多いのは高熱で発病して、1~2週間で治るチフス、猩紅(しょうこう)熱などの感染症や、中毒の場合です。慢性疾患では代謝異常による疾患が多く、疾患が一時的に悪化した後に現れ、線や溝は浅く幅が広いのを特徴とします。
皮膚の疾患で最も多いのは、手の湿疹。手の湿疹の大部分は水仕事の多い主婦によくみられて、治りにくい慢性的な湿疹であり、爪の周辺の病変が急激に悪化して爪母にまで広がった場合に、線や溝が生じます。これと同様な症状で、化膿(かのう)性爪囲炎(ひょうそう)やカンジタ菌による爪囲炎の時にも生じ、いずれも爪周辺の疾患が治れば自然に消えて行きます。円形脱毛症や乾癬の時には、点状のへこみと同時に線や溝も現れることがあります。
また、レイノー症状に伴って、線や溝が現れることもあります。手が冷たい水や風に触れた時に、指が白くなる現象がレイノー症状であり、若い女性に多くみられて、指の小さな動脈が一時的に狭くなって血液が流れにくくなるために起こります。指先に血液がゆかなくなると、爪の発育の障害になり、それが強く起こると線や溝が現れます。何度も繰り返してレイノー症状が起こると、一枚の爪に何本もの線や溝ができることもあります。
爪の甲の表面に横方向の線や溝が入る爪甲横溝は、体に異常が出ているシグナルかもしれません。すべての爪の同じ場所に変化が見られたり、1本の爪に線や溝が2~3本同時に見られる場合は、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科を受診することが勧められます。
すじ爪の検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、爪甲横溝を起こし得る外的物質や薬剤、あるいは皮膚疾患や全身疾患を検査します。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療は、原因に応じて行います。一般的には、爪の角質に浸透しやすい保湿剤やステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)をこまめに塗ったり、ビタミンEの飲み薬を使用する場合があります。
爪を作り出している爪母の損傷が原因で爪甲横溝を来している場合は、現在の医療では手当できないとされています。
栄養素不足が原因の場合は、まずは蛋白質、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ビタミンB、さらにコラーゲン、野菜や海藻類に多く含まれるミネラル類など、爪に必要な栄養をしっかり摂取します。
マニキュア、薬剤、あるいは水仕事などが原因であれば、極力それらの使用を中止したり、使う機会を減らします。爪への負担が減るため、多くのケースでは自然に治ります。仕事などでどうしても薬剤、水、洗剤などを使わなくてはいけない場合は、手を保護するものを着用したり、使った後にハンドクリームなど油分の高いもので保湿ケアを行います。
爪の末梢循環不全が原因であれば、ステロイド剤を配合した塗り薬をこまめに塗ったり、末梢血管の収縮を防ぐビタミンEの飲み薬を内服します。医師による治療と並行して、血液循環をよくするために日ごろから、手足のマッサージ、爪もみを心掛けます。
一部の爪に爪甲横溝がみられる皮膚疾患があれば、その治療を行います。すべての爪に爪甲横溝がみられる全身性疾患があれば、その治療を行います。
すじ爪(つめ)とは、爪の甲の表面に縦方向、または横方向の線や溝が入っている状態。
縦方向の線や溝が入っている状態は、爪甲縦条(そうこうじゅうじょう)ともいいます。横方向の線や溝が入っている状態は、爪甲横溝(そうこうおうこう)ともいいます。
手指や足指の爪の甲の表面に縦方向の線や溝が入る爪甲縦条は、誰にでも認められるもので、10歳代、20歳代ではほとんど目立ちません。老化現象の一つとして、加齢とともに滑らかだった爪の甲の表面に線や溝が目立つようになり、40歳以上ではすべての爪の甲に100パーセント現れ、50歳代くらいからは増加します。年齢によって、縦方向の線や溝の数も隆起の程度も異なります。
加齢とともに縦方向の線や溝が増える原因は、胃腸の働きが衰え始めるとともに、爪に十分に栄養素がゆき届かなくなるためです。特に亜鉛不足の場合は、線や溝が現れやすくなります。
若い人でも、食事での栄養バランスの偏りやダイエットなどで、爪に必要な蛋白(たんぱく)質、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ビタミンBなどの栄養素不足になった場合は、爪に線や溝が現れます。妊娠を切っ掛けに、線や溝が現れることもあります。
また、冬の季節に空気が乾燥すると、爪も肌と同じように乾燥し、線や溝が現れやすくなります。また、季節を問わず乾燥肌の人は、爪にも線や溝が現れやすくなります。
さらに、若い人でも、血液循環が悪い場合は、爪に線や溝が現れやすくなります。
高熱が出た時に爪に線や溝が現れることもあり、精神的ストレス、不規則な生活習慣が原因で、爪に線や溝が現れることもあります。
すじ爪になって、爪の甲の表面に縦方向の線や溝が入っている爪甲縦条になっても、老化現象の一つであったり、疾患のサインではなく健康上の問題はない場合がほとんどですので、心配することはありません。
一方、手指や足指の爪の甲の表面に横方向の線や溝が入る爪甲横溝は、爪甲縦条と違って、何らかの体の異常のサインであり健康上に問題がある場合もあるので、注意が必要です。
爪の甲に横に走る水平の線や溝、波打った線や溝ができるのは、爪の発育を抑えるような障害が爪を作り出す爪母に作用するためで、その障害の強さや期間によって深さや幅が変わってきます。非常に障害が強く加わると深くなり、期間が長くなると幅が広くなります。
初めに、爪半月(つめはんげつ)の外側の辺りに横方向の線や溝が現れ、爪の発育とともに先端に移動してゆきます。この線や溝は爪母に障害が加わってできるものですから、現れるのは障害が加わってから数週間後です。現在できている横溝の位置から、いつごろ障害が起こったのか推測することは簡単です。
爪は1カ月で3~4ミリのスピードで伸びていくため、爪の根元から3ミリくらいのところに線や溝が入っているとしたら、1カ月ほど前に何らかの体調の変化が現れたということになります。また、1本の爪に線や溝が2~3本同時に見られる場合は、正常な期間をおいて繰り返し障害が加わったと考えらます。
もしも、爪の線や溝ができる原因が全身性疾患によるのものであるなら、すべての爪の同じ場所に変化が見られます。一部の爪の変化の時は、爪母近くの皮膚の病変の影響が考えられます。 また、爪の根元にけがをしたり、マニキュアや薬剤によって爪母を傷付けた時に変化が見られることもあり、この時は爪の甲が凸凹になる場合もあります。
爪の線や溝が生じる原因となる全身性疾患としては、急性熱性疾患のほか、尿毒症、糖尿病、ビタミンA欠乏症、低カルシウム血症、亜鉛欠乏症などの慢性疾患が挙げられます。皮膚の疾患としては、湿疹(しっしん)、皮膚炎、円形脱毛症、乾癬(かんせん)などが挙げられます。
さまざま原因がある中で、最も多いのは高熱で発病して、1~2週間で治るチフス、猩紅(しょうこう)熱などの感染症や、中毒の場合です。慢性疾患では代謝異常による疾患が多く、疾患が一時的に悪化した後に現れ、線や溝は浅く幅が広いのを特徴とします。
皮膚の疾患で最も多いのは、手の湿疹。手の湿疹の大部分は水仕事の多い主婦によくみられて、治りにくい慢性的な湿疹であり、爪の周辺の病変が急激に悪化して爪母にまで広がった場合に、線や溝が生じます。これと同様な症状で、化膿(かのう)性爪囲炎(ひょうそう)やカンジタ菌による爪囲炎の時にも生じ、いずれも爪周辺の疾患が治れば自然に消えて行きます。円形脱毛症や乾癬の時には、点状のへこみと同時に線や溝も現れることがあります。
また、レイノー症状に伴って、線や溝が現れることもあります。手が冷たい水や風に触れた時に、指が白くなる現象がレイノー症状であり、若い女性に多くみられて、指の小さな動脈が一時的に狭くなって血液が流れにくくなるために起こります。指先に血液がゆかなくなると、爪の発育の障害になり、それが強く起こると線や溝が現れます。何度も繰り返してレイノー症状が起こると、一枚の爪に何本もの線や溝ができることもあります。
爪の甲の表面に横方向の線や溝が入る爪甲横溝は、体に異常が出ているシグナルかもしれません。すべての爪の同じ場所に変化が見られたり、1本の爪に線や溝が2~3本同時に見られる場合は、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科を受診することが勧められます。
すじ爪の検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、爪甲横溝を起こし得る外的物質や薬剤、あるいは皮膚疾患や全身疾患を検査します。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療は、原因に応じて行います。一般的には、爪の角質に浸透しやすい保湿剤やステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)をこまめに塗ったり、ビタミンEの飲み薬を使用する場合があります。
爪を作り出している爪母の損傷が原因で爪甲横溝を来している場合は、現在の医療では手当できないとされています。
栄養素不足が原因の場合は、まずは蛋白質、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ビタミンB、さらにコラーゲン、野菜や海藻類に多く含まれるミネラル類など、爪に必要な栄養をしっかり摂取します。
マニキュア、薬剤、あるいは水仕事などが原因であれば、極力それらの使用を中止したり、使う機会を減らします。爪への負担が減るため、多くのケースでは自然に治ります。仕事などでどうしても薬剤、水、洗剤などを使わなくてはいけない場合は、手を保護するものを着用したり、使った後にハンドクリームなど油分の高いもので保湿ケアを行います。
爪の末梢循環不全が原因であれば、ステロイド剤を配合した塗り薬をこまめに塗ったり、末梢血管の収縮を防ぐビタミンEの飲み薬を内服します。医師による治療と並行して、血液循環をよくするために日ごろから、手足のマッサージ、爪もみを心掛けます。
一部の爪に爪甲横溝がみられる皮膚疾患があれば、その治療を行います。すべての爪に爪甲横溝がみられる全身性疾患があれば、その治療を行います。
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■用語 スプリットネイル [用語(す)]
爪の甲の表面に縦の割れ目が入り、中央で裂ける状態
スプリットネイルとは、爪(つめ)の甲の表面に縦の割れ目が入り、中央で裂ける状態。オニコレクシス、爪甲(そうこう)縦裂症とも呼ばれます。
爪の甲に縦線が入るのは老化現象として一般的にみられるものですが、スプリットネイルでは縦の割れ目が入るまでに至り、しかも、その割れ目は深く、爪が2つに分かれていることがはっきり確認できるほどになります。
1本の爪に縦の割れ目が1~3本同時にみられる場合のほか、数本の爪に縦の割れ目が1~3本同時にみられる場合、すべての爪に縦の割れ目が1~3本同時にみられる場合もあります。炎症や痛みを伴う場合もあります。
スプリットネイルの原因は、爪母の損傷、栄養素不足、マニキュアや薬剤、水仕事、爪根部の末梢(まっしょう)循環障害、皮膚疾患、全身性疾患などいくつかあります。
爪の付け根の皮下にあり、爪を作り出している爪母を強打したり、傷付けたりして、爪母が損傷した場合は、新しく生えてくる爪にはすでに縦の割れ目が入っていたり、中央で裂けていたりします。この縦の割れ目は爪母に損傷が加わってできるものですから、現れるのは損傷が加わってから数週間後。
食事での栄養バランスの偏りやダイエットなどで、爪に必要な蛋白(たんぱく)質、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ビタミンBなどの栄養素不足になった場合も、爪がもろくなっているために、圧迫などによって簡単に縦の割れ目が入ることがあります。偏った食生活や過度なダイエットによって鉄欠乏性貧血になり、これが原因でスプリットネイルになることもあります。
手の爪に施すマニキュア、足の爪に施すペディキュア、マニキュアなどを落とす除光液(エナメルリムーバー)を使用する機会の多い女性や、仕事で有機溶剤や殺菌・消毒用のアルコールの一つであるエタノール(エチルアルコール)を使用している人の場合、揮発性の高い溶剤が爪から水分と脂分を奪い、爪表面を乾燥させるために、縦の割れ目が入りやすくなります。マニキュアなどを落とす除光液に含まれるアセトンなどが外的刺激になって、スプリットネイルを誘発することになります。
水仕事の多い人や、湿気の多い環境にいる人も、水分過多によって爪がもろくなったり、お湯の使用によって爪の脂分が奪われるために、縦の割れ目が入りやすくなることもあります。蛋白質を分解する成分が入っている洗剤などが、蛋白質の一種のケラチンを主成分とする爪への外的刺激になって、スプリットネイルを誘発することもあります。
自律神経失調症や糖尿病などが原因で末梢循環不全という疾患を発症し、手足などの末梢まで血液循環が行き届かず爪に必要な栄養素が不足した場合も、爪に縦の割れ目が入ったり、爪が伸びなかったりすることがあります。
乾癬(かんせん)、湿疹(しっしん)、皮膚炎、化膿(かのう)性爪囲炎(ひょうそう)、カンジタ菌による爪囲炎などの皮膚疾患がある場合も、爪がもろくなって爪の甲の先端や中央部に縦の割れ目が入ることがあります。
卵巣機能障害、甲状腺(こうじょうせん)機能低下症、慢性肝障害、貧血、低体温、糖尿病、高尿酸血症、神経疾患などの全身性疾患がある場合も、それが原因でスプリットネイルを合併して発症することもあります。
爪に縦の割れ目が入るのは、体に異常が出ているシグナルかもしれません。爪に何カ所も割れ目が入り、炎症や痛みがある場合は、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科を受診することが勧められます
スプリットネイルの検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、爪の甲に縦の割れ目を起こし得る外的物質や薬剤、あるいは皮膚疾患や全身疾患を検査して、原因がわかるようであれば、それを除去ないし治療します。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療は、原因に応じて行います。一般的には、爪の角質に浸透しやすい保湿剤やステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)をこまめに塗ったり、ビタミンEの飲み薬を使用する場合があります。
爪を作り出している爪母の損傷が原因でスプリットネイルを来している場合は、現在の医療では手当できないとされています。
栄養素不足が原因の場合は、まずは蛋白質、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ビタミンB、さらにコラーゲン、野菜や海藻類に多く含まれるミネラル類など、爪に必要な栄養をしっかり摂取します。
マニキュア、除光液、有機溶剤、あるいは水仕事などが原因であれば、極力それらの使用や機会を中止したり、減らします。爪への負担が減るため、多くのケースでは自然に治ります。
仕事などでどうしても薬剤、水、洗剤などを使わなくてはいけない場合は、手を保護するものを着用したり、使った後にハンドクリームなど油分の高いもので保湿ケアを行います。
爪の末梢循環不全が原因であれば、ステロイド剤を配合した塗り薬をこまめに塗ったり、末梢血管の収縮を防ぐビタミンEの飲み薬を内服します。医師による治療と並行して、血液循環をよくするために日ごろから、手足のマッサージ、爪もみを心掛けます。
一部の爪にスプリットネイルがみられる皮膚疾患があれば、その治療を行います。カンジダ菌の感染の可能性の強い時には、抗真菌剤の外用を行います。すべての爪にスプリットネイルがみられる全身性疾患があれば、その治療を行います。
スプリットネイルとは、爪(つめ)の甲の表面に縦の割れ目が入り、中央で裂ける状態。オニコレクシス、爪甲(そうこう)縦裂症とも呼ばれます。
爪の甲に縦線が入るのは老化現象として一般的にみられるものですが、スプリットネイルでは縦の割れ目が入るまでに至り、しかも、その割れ目は深く、爪が2つに分かれていることがはっきり確認できるほどになります。
1本の爪に縦の割れ目が1~3本同時にみられる場合のほか、数本の爪に縦の割れ目が1~3本同時にみられる場合、すべての爪に縦の割れ目が1~3本同時にみられる場合もあります。炎症や痛みを伴う場合もあります。
スプリットネイルの原因は、爪母の損傷、栄養素不足、マニキュアや薬剤、水仕事、爪根部の末梢(まっしょう)循環障害、皮膚疾患、全身性疾患などいくつかあります。
爪の付け根の皮下にあり、爪を作り出している爪母を強打したり、傷付けたりして、爪母が損傷した場合は、新しく生えてくる爪にはすでに縦の割れ目が入っていたり、中央で裂けていたりします。この縦の割れ目は爪母に損傷が加わってできるものですから、現れるのは損傷が加わってから数週間後。
食事での栄養バランスの偏りやダイエットなどで、爪に必要な蛋白(たんぱく)質、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ビタミンBなどの栄養素不足になった場合も、爪がもろくなっているために、圧迫などによって簡単に縦の割れ目が入ることがあります。偏った食生活や過度なダイエットによって鉄欠乏性貧血になり、これが原因でスプリットネイルになることもあります。
手の爪に施すマニキュア、足の爪に施すペディキュア、マニキュアなどを落とす除光液(エナメルリムーバー)を使用する機会の多い女性や、仕事で有機溶剤や殺菌・消毒用のアルコールの一つであるエタノール(エチルアルコール)を使用している人の場合、揮発性の高い溶剤が爪から水分と脂分を奪い、爪表面を乾燥させるために、縦の割れ目が入りやすくなります。マニキュアなどを落とす除光液に含まれるアセトンなどが外的刺激になって、スプリットネイルを誘発することになります。
水仕事の多い人や、湿気の多い環境にいる人も、水分過多によって爪がもろくなったり、お湯の使用によって爪の脂分が奪われるために、縦の割れ目が入りやすくなることもあります。蛋白質を分解する成分が入っている洗剤などが、蛋白質の一種のケラチンを主成分とする爪への外的刺激になって、スプリットネイルを誘発することもあります。
自律神経失調症や糖尿病などが原因で末梢循環不全という疾患を発症し、手足などの末梢まで血液循環が行き届かず爪に必要な栄養素が不足した場合も、爪に縦の割れ目が入ったり、爪が伸びなかったりすることがあります。
乾癬(かんせん)、湿疹(しっしん)、皮膚炎、化膿(かのう)性爪囲炎(ひょうそう)、カンジタ菌による爪囲炎などの皮膚疾患がある場合も、爪がもろくなって爪の甲の先端や中央部に縦の割れ目が入ることがあります。
卵巣機能障害、甲状腺(こうじょうせん)機能低下症、慢性肝障害、貧血、低体温、糖尿病、高尿酸血症、神経疾患などの全身性疾患がある場合も、それが原因でスプリットネイルを合併して発症することもあります。
爪に縦の割れ目が入るのは、体に異常が出ているシグナルかもしれません。爪に何カ所も割れ目が入り、炎症や痛みがある場合は、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科を受診することが勧められます
スプリットネイルの検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、爪の甲に縦の割れ目を起こし得る外的物質や薬剤、あるいは皮膚疾患や全身疾患を検査して、原因がわかるようであれば、それを除去ないし治療します。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療は、原因に応じて行います。一般的には、爪の角質に浸透しやすい保湿剤やステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)をこまめに塗ったり、ビタミンEの飲み薬を使用する場合があります。
爪を作り出している爪母の損傷が原因でスプリットネイルを来している場合は、現在の医療では手当できないとされています。
栄養素不足が原因の場合は、まずは蛋白質、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ビタミンB、さらにコラーゲン、野菜や海藻類に多く含まれるミネラル類など、爪に必要な栄養をしっかり摂取します。
マニキュア、除光液、有機溶剤、あるいは水仕事などが原因であれば、極力それらの使用や機会を中止したり、減らします。爪への負担が減るため、多くのケースでは自然に治ります。
仕事などでどうしても薬剤、水、洗剤などを使わなくてはいけない場合は、手を保護するものを着用したり、使った後にハンドクリームなど油分の高いもので保湿ケアを行います。
爪の末梢循環不全が原因であれば、ステロイド剤を配合した塗り薬をこまめに塗ったり、末梢血管の収縮を防ぐビタミンEの飲み薬を内服します。医師による治療と並行して、血液循環をよくするために日ごろから、手足のマッサージ、爪もみを心掛けます。
一部の爪にスプリットネイルがみられる皮膚疾患があれば、その治療を行います。カンジダ菌の感染の可能性の強い時には、抗真菌剤の外用を行います。すべての爪にスプリットネイルがみられる全身性疾患があれば、その治療を行います。
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■用語 スウィート病 [用語(す)]
発熱とともに、痛みを伴う隆起性の紅斑が急に発生する疾患
スウィート病とは、急な発熱、痛みを伴う隆起性の紅斑(こうはん)、血液中での好中球の増加を特徴とする炎症性の疾患。難治性の皮膚疾患で、急性熱性好中球性皮膚症とも呼ばれます。
1964年、イギリスの皮膚科医であるスウィート氏が初めて報告しました。原因は、細菌などに対して、白血球の一種である好中球の機能が高まって生じる過敏反応と考えられます。
約20パーセントのケースで、血液疾患や悪性腫瘍(しゅよう)を伴います。特に白血病や骨髄異形成症候群などの血液疾患を伴うことが多く、関節リウマチや膠原(こうげん)病を始めとする自己免疫性疾患を伴うこともあります。内臓病変と関係する皮膚変化を意味するデルマドロームの一つと考えられています。
上気道感染、いわゆる風邪に似た症状が先行して現れ、数日から数週間で39度前後の発熱とともに顔、首、四肢に、境界がはっきりした、周囲から隆起した紅斑、または毛穴の炎症である毛嚢(もうのう)炎に似た丘疹(きゅうしん)が多発します。
紅斑の大きさは1センチから3センチで、しばしば痛みや圧痛がみられます。紅斑の上に、水膨れや、膿(うみ)を持った水膨れである膿疱(のうほう)を伴うこともあります。
色調は鮮紅色ですが、経過とともに暗紅色ないし紫紅色に変わります。治療をしないと、高熱が続き、紅斑が小さくなったり大きくなったりを繰り返します.
スウィート病の症状に気付いた場合、できれば入院可能な病院の皮膚科を受診することが勧められます。スウィート病が治った後に、白血病や骨髄異形成症候群などの血液疾患が発症することがあり、注意が必要です。
スウィート病の検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、病変部の皮膚を数ミリ切り取って調べる病理組織検査である皮膚生検を行い、真皮に好中球やその核の破片が密に浸潤していること、血管炎がないことを確かめます。
血液検査を行うと、好中球を主体とする白血球数の増加、赤沈(血沈)やCRPなどの炎症反応の高進が認められます。CRPは蛋白( たんぱく)質の一種で、体内に炎症が起きたり組織の一部が壊れたりした場合に、血液中に現れます。
時に、原因不明の膠原病類縁疾患であるベーチェット病などとの区別が難しいことがあります。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、軽症の場合、非ステロイド系消炎鎮痛剤などの内服を行います。一般的には、副腎(ふくじん)皮質ステロイド剤の点滴注射、または内服を行います。
ヨウ素を補給するヨードカリや、皮膚の組織を守るDDS(レクチゾール)も、多くの症例で有効です。
スウィート病とは、急な発熱、痛みを伴う隆起性の紅斑(こうはん)、血液中での好中球の増加を特徴とする炎症性の疾患。難治性の皮膚疾患で、急性熱性好中球性皮膚症とも呼ばれます。
1964年、イギリスの皮膚科医であるスウィート氏が初めて報告しました。原因は、細菌などに対して、白血球の一種である好中球の機能が高まって生じる過敏反応と考えられます。
約20パーセントのケースで、血液疾患や悪性腫瘍(しゅよう)を伴います。特に白血病や骨髄異形成症候群などの血液疾患を伴うことが多く、関節リウマチや膠原(こうげん)病を始めとする自己免疫性疾患を伴うこともあります。内臓病変と関係する皮膚変化を意味するデルマドロームの一つと考えられています。
上気道感染、いわゆる風邪に似た症状が先行して現れ、数日から数週間で39度前後の発熱とともに顔、首、四肢に、境界がはっきりした、周囲から隆起した紅斑、または毛穴の炎症である毛嚢(もうのう)炎に似た丘疹(きゅうしん)が多発します。
紅斑の大きさは1センチから3センチで、しばしば痛みや圧痛がみられます。紅斑の上に、水膨れや、膿(うみ)を持った水膨れである膿疱(のうほう)を伴うこともあります。
色調は鮮紅色ですが、経過とともに暗紅色ないし紫紅色に変わります。治療をしないと、高熱が続き、紅斑が小さくなったり大きくなったりを繰り返します.
スウィート病の症状に気付いた場合、できれば入院可能な病院の皮膚科を受診することが勧められます。スウィート病が治った後に、白血病や骨髄異形成症候群などの血液疾患が発症することがあり、注意が必要です。
スウィート病の検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、病変部の皮膚を数ミリ切り取って調べる病理組織検査である皮膚生検を行い、真皮に好中球やその核の破片が密に浸潤していること、血管炎がないことを確かめます。
血液検査を行うと、好中球を主体とする白血球数の増加、赤沈(血沈)やCRPなどの炎症反応の高進が認められます。CRPは蛋白( たんぱく)質の一種で、体内に炎症が起きたり組織の一部が壊れたりした場合に、血液中に現れます。
時に、原因不明の膠原病類縁疾患であるベーチェット病などとの区別が難しいことがあります。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、軽症の場合、非ステロイド系消炎鎮痛剤などの内服を行います。一般的には、副腎(ふくじん)皮質ステロイド剤の点滴注射、または内服を行います。
ヨウ素を補給するヨードカリや、皮膚の組織を守るDDS(レクチゾール)も、多くの症例で有効です。
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