■用語 脳リンパ腫 [用語(の)]
脳のどこにでもできる悪性リンパ腫
脳リンパ腫(しゅ)とは、前頭葉、後頭葉、脳深部、脳幹など、脳のどこにでもできる悪性リンパ腫。正式名称は、中枢神経系原発悪性リンパ腫です。
全身に広がっているリンパ組織のうち、リンパ節ではなく、脊髄(せきずい)や眼球などに発生するリンパ腫を中枢神経系原発リンパ腫といい、その中でも脳に発生したものが脳リンパ腫に相当します。
脳腫瘍(しゅよう)の約3パーセントを占めるとされていますが、近年、発生率が増加傾向を示しています。中高年者に多くみられ、50歳以上が80パーセントを占めます。
リンパ系組織がない脳に悪性リンパ腫が発生する要因は、解明されていません。炎症などで脳内に浸潤してきたリンパ球が腫瘍化するという説や、ほかで発生したリンパ腫が免疫学的に保護されている脳内にだけ残ったという説などがあります。
悪性リンパ腫はホジキンリンパ腫と、それ以外の非ホジキンリンパ腫に大別されますが、脳リンパ腫のほとんどが非ホジキンリンパ腫の一種のB細胞由来のびまん性大型B細胞リンパ腫であり、悪性のBリンパ球が脳の中で勢いよく増えます。
この脳リンパ腫にかかる危険因子としては、膠原(こうげん)病、免疫不全疾患、臓器移植、加齢などによる免疫不全、ヘルペスウイルスの仲間であるエプスタイン・バーウイルス感染などがあります。
主な症状は、脳腫瘍によって、頭蓋(とうがい)内の圧力が高まるために起こる頭痛、吐き気、嘔吐(おうと)など。
脳腫瘍ができた部位によっても症状が異なり、前頭葉に腫瘍があると知能低下(認知症)や失語症、性格変化、尿失禁など、後頭葉に腫瘍があると視野障害など、脳幹に腫瘍があると運動まひ、眼球運動障害などが生じます。
数日から何週間単位で進行する亜急性を示すものが多く、一度症状が出たら悪化するのは早いと考えなければなりません。
脳リンパ腫の検査と診断と治療
脳神経外科、脳腫瘍外科などの医師による診断では、CT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行うと、腫瘍を形成する白っぽい病変として描出され、造影剤を用いると多くの場合、はっきりわかります。
腫瘍を形成する病変は、前頭葉、側頭葉、小脳、脳深部に多く認められ、脳の中に2個以上のリンパ腫が同時にできる多発例もしばしば認められます。
脳にだけリンパ腫ができたのか、脳ではない体のどこかに発生したリンパ腫が脳に転移したのかを区別するのは、困難です。
検査が終わってリンパ腫が疑われた場合は、すぐに定位脳手術という方法で腫瘍の一部分を切り取り、顕微鏡で調べる検査である生検を行います。
脳神経外科、脳腫瘍外科などの医師による治療では、メトトレキセートという抗がん剤を投与した後に、全脳に放射線を照射する方法を行います。この方法が最も良い治療成績を示し、平均的な生存期間は3年以上になると報告されていますが、集中管理できる施設でしか行うことができません。
脳腫瘍ができた部位によりますが、腫瘍の切除手術は行いません。脳リンパ腫の場合、周囲組織との境目が明確でないため完全切除は難しく、大きく切除すると脳機能に多大な影響を与えかねないためです。
残念ながら、いずれの治療法を選択しても再発率や死亡率は高いものです。
脳リンパ腫(しゅ)とは、前頭葉、後頭葉、脳深部、脳幹など、脳のどこにでもできる悪性リンパ腫。正式名称は、中枢神経系原発悪性リンパ腫です。
全身に広がっているリンパ組織のうち、リンパ節ではなく、脊髄(せきずい)や眼球などに発生するリンパ腫を中枢神経系原発リンパ腫といい、その中でも脳に発生したものが脳リンパ腫に相当します。
脳腫瘍(しゅよう)の約3パーセントを占めるとされていますが、近年、発生率が増加傾向を示しています。中高年者に多くみられ、50歳以上が80パーセントを占めます。
リンパ系組織がない脳に悪性リンパ腫が発生する要因は、解明されていません。炎症などで脳内に浸潤してきたリンパ球が腫瘍化するという説や、ほかで発生したリンパ腫が免疫学的に保護されている脳内にだけ残ったという説などがあります。
悪性リンパ腫はホジキンリンパ腫と、それ以外の非ホジキンリンパ腫に大別されますが、脳リンパ腫のほとんどが非ホジキンリンパ腫の一種のB細胞由来のびまん性大型B細胞リンパ腫であり、悪性のBリンパ球が脳の中で勢いよく増えます。
この脳リンパ腫にかかる危険因子としては、膠原(こうげん)病、免疫不全疾患、臓器移植、加齢などによる免疫不全、ヘルペスウイルスの仲間であるエプスタイン・バーウイルス感染などがあります。
主な症状は、脳腫瘍によって、頭蓋(とうがい)内の圧力が高まるために起こる頭痛、吐き気、嘔吐(おうと)など。
脳腫瘍ができた部位によっても症状が異なり、前頭葉に腫瘍があると知能低下(認知症)や失語症、性格変化、尿失禁など、後頭葉に腫瘍があると視野障害など、脳幹に腫瘍があると運動まひ、眼球運動障害などが生じます。
数日から何週間単位で進行する亜急性を示すものが多く、一度症状が出たら悪化するのは早いと考えなければなりません。
脳リンパ腫の検査と診断と治療
脳神経外科、脳腫瘍外科などの医師による診断では、CT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行うと、腫瘍を形成する白っぽい病変として描出され、造影剤を用いると多くの場合、はっきりわかります。
腫瘍を形成する病変は、前頭葉、側頭葉、小脳、脳深部に多く認められ、脳の中に2個以上のリンパ腫が同時にできる多発例もしばしば認められます。
脳にだけリンパ腫ができたのか、脳ではない体のどこかに発生したリンパ腫が脳に転移したのかを区別するのは、困難です。
検査が終わってリンパ腫が疑われた場合は、すぐに定位脳手術という方法で腫瘍の一部分を切り取り、顕微鏡で調べる検査である生検を行います。
脳神経外科、脳腫瘍外科などの医師による治療では、メトトレキセートという抗がん剤を投与した後に、全脳に放射線を照射する方法を行います。この方法が最も良い治療成績を示し、平均的な生存期間は3年以上になると報告されていますが、集中管理できる施設でしか行うことができません。
脳腫瘍ができた部位によりますが、腫瘍の切除手術は行いません。脳リンパ腫の場合、周囲組織との境目が明確でないため完全切除は難しく、大きく切除すると脳機能に多大な影響を与えかねないためです。
残念ながら、いずれの治療法を選択しても再発率や死亡率は高いものです。
■用語 脳性巨人症 [用語(の)]
遺伝子の機能異常により、大頭、過成長、特徴的な顔付き、発達の遅れなどを示す症候群
脳性巨人症とは、さまざまな身体的異常を引き起こす先天異常症候群。ソトス症候群とも呼ばれます。
1964年に、ソトスらが最初の症例を報告しました。日本では、新生児の14000人に1人程度の罹患(りかん)率と見なされていますが、軽度の症状の場合は見過ごされている可能性があり、実際には5000人に1人に近い罹患率と考えられています。
常染色体優性遺伝性疾患であり、5番染色体にあるNSD1遺伝子の異常によって起こります。
症状には幅があり、幼少期から小児期にかけての大頭症、過成長、骨年齢の促進、特徴的な顔付き、精神発達遅滞などを示します。
出生時から身長が大きく、体重もあり、手足も大きく、骨の成熟も促進しています。顔付きも特徴的で、額の大きな大頭で、下顎(したあご)の突出、口の中の上部がへこんでいる状態の高口蓋(こうこうがい)、眼瞼(がんけん)裂斜下、両眼隔離が見られ、全身の筋肉の緊張が低下して全身の筋肉の力が弱くなっています。身長や頭囲の過成長は、乳幼児期から学童期まで続きます。
また、けいれん、心疾患、腎(じん)疾患、尿路異常、外反偏平足、脊椎(せきつい)側湾、てんかん発作などを合併することもあります。
脳性巨人症の検査と診断と治療
小児科、ないし遺伝子診療科の医師による診断では、大頭症、過成長、骨年齢の促進、特徴的な外見を認め、原因遺伝子のNSD1遺伝子などに点変異を認めるか、NSD1を含む5番染色体長腕に欠失を認める場合に、脳性巨人症と確定します。
遺伝子の変異や染色体の欠失を認めない場合は、大頭症、過成長、特徴的な外見、精神発達遅滞のすべてを満たす場合に、脳性巨人症と確定します。
小児科、ないし遺伝子診療科の医師による治療では、現在のところ根治療法はないため、対症療法として、てんかん、腎疾患に対しては必要に応じて薬物療法、心疾患に対しては必要に応じて手術や薬物療法、精神発達遅滞に対しては療育的支援を行います。
主に、心疾患、腎疾患、難治性てんかんが生命予後に影響を与えます。
脳性巨人症とは、さまざまな身体的異常を引き起こす先天異常症候群。ソトス症候群とも呼ばれます。
1964年に、ソトスらが最初の症例を報告しました。日本では、新生児の14000人に1人程度の罹患(りかん)率と見なされていますが、軽度の症状の場合は見過ごされている可能性があり、実際には5000人に1人に近い罹患率と考えられています。
常染色体優性遺伝性疾患であり、5番染色体にあるNSD1遺伝子の異常によって起こります。
症状には幅があり、幼少期から小児期にかけての大頭症、過成長、骨年齢の促進、特徴的な顔付き、精神発達遅滞などを示します。
出生時から身長が大きく、体重もあり、手足も大きく、骨の成熟も促進しています。顔付きも特徴的で、額の大きな大頭で、下顎(したあご)の突出、口の中の上部がへこんでいる状態の高口蓋(こうこうがい)、眼瞼(がんけん)裂斜下、両眼隔離が見られ、全身の筋肉の緊張が低下して全身の筋肉の力が弱くなっています。身長や頭囲の過成長は、乳幼児期から学童期まで続きます。
また、けいれん、心疾患、腎(じん)疾患、尿路異常、外反偏平足、脊椎(せきつい)側湾、てんかん発作などを合併することもあります。
脳性巨人症の検査と診断と治療
小児科、ないし遺伝子診療科の医師による診断では、大頭症、過成長、骨年齢の促進、特徴的な外見を認め、原因遺伝子のNSD1遺伝子などに点変異を認めるか、NSD1を含む5番染色体長腕に欠失を認める場合に、脳性巨人症と確定します。
遺伝子の変異や染色体の欠失を認めない場合は、大頭症、過成長、特徴的な外見、精神発達遅滞のすべてを満たす場合に、脳性巨人症と確定します。
小児科、ないし遺伝子診療科の医師による治療では、現在のところ根治療法はないため、対症療法として、てんかん、腎疾患に対しては必要に応じて薬物療法、心疾患に対しては必要に応じて手術や薬物療法、精神発達遅滞に対しては療育的支援を行います。
主に、心疾患、腎疾患、難治性てんかんが生命予後に影響を与えます。
■用語 膿精液症 [用語(の)]
精液の中に多数の白血球が混ざっている状態で、精液が黄色く変色
膿(のう)精液症とは、精液1mlの中に、血液の細胞成分である白血球が10万個以上混ざっている状態。膿精子症、精子膿症とも呼ばれます。
男性の精液は、約9割を占める液体成分の精漿(せいしょう)と、細胞成分である精子によって構成されています。通常、赤血球や白血球などの血液の細胞成分は、精液の中に混入しないように作られています。
何らかの原因によって精液の中に白血球が混ざると、黄色い膿(うみ)が発生し、精液が黄色く変色します。また、精子の運動率が著しく低下し、日常生活におけるパートナーの妊娠率が低下します。
精子無力症を合併しているケースでは、男性不妊症につながることもあります。さらに、白血球から分泌される炎症物質によって、精子頭部に含有されているDNAがダメージを受け、妊娠しても流産の原因になることもあります。
精子膿症になる原因は、クラミジアという微生物や、大腸菌、結核菌などの細菌への感染による精嚢腺(せいのうせん)、前立腺(ぜんりつせん)、尿道、精路などの炎症が一般的で、体内に進入した異物を取り込んで、消化分解し、体を防衛している白血球が増加するために、精液の中に混ざることになります。
性交渉でクラミジアに感染した場合は、膿精液症を起こすとともに、初期の段階で排尿痛、残尿感、違和感を感じることがあり、さらに進行すると、精巣(睾丸〔こうがん〕)がはれたり、熱が出たりします。
細菌への感染による炎症は自然治癒することもありますが、精路全体が炎症を起こしている場合などは完治までに非常に長い時間がかかります。
精液が黄色く変色したまま放置していると、精子の運動能力が悪化していき、精子無力症を合併することもありますので、泌尿器科を受診することが勧められます。クラミジアに感染した場合は、パートナーも感染している可能性もあるため、一緒に受診することが勧められます。
膿精液症の検査と診断と治療
泌尿器科の医師による診断では、精液検査を行い、射出精液内に混入している白血球の程度を調べます。
泌尿器科の医師による治療では、抗生物質を1~2週間処方して、膿精液症の原因となる感染症による炎症を抑え、精液検査で精液の所見が改善したかどうかを確認します。尿道、精路などに洗浄液を通して洗浄することもあります。
ほかに不妊原因がない場合は、精液に混ざっている白血球の数値が正常値に戻れば、パートナーの自然妊娠も可能となります。
精液を検査して白血球の混入が著しい場合、精液を洗浄して人工授精や体外受精をする方法も行われますが、精子の運動能力が著しく悪化していて、胚盤胞(はいばんほう)と呼ばれる着床前の状態への到達率も低いので、受精率は非常に低くなります。
膿(のう)精液症とは、精液1mlの中に、血液の細胞成分である白血球が10万個以上混ざっている状態。膿精子症、精子膿症とも呼ばれます。
男性の精液は、約9割を占める液体成分の精漿(せいしょう)と、細胞成分である精子によって構成されています。通常、赤血球や白血球などの血液の細胞成分は、精液の中に混入しないように作られています。
何らかの原因によって精液の中に白血球が混ざると、黄色い膿(うみ)が発生し、精液が黄色く変色します。また、精子の運動率が著しく低下し、日常生活におけるパートナーの妊娠率が低下します。
精子無力症を合併しているケースでは、男性不妊症につながることもあります。さらに、白血球から分泌される炎症物質によって、精子頭部に含有されているDNAがダメージを受け、妊娠しても流産の原因になることもあります。
精子膿症になる原因は、クラミジアという微生物や、大腸菌、結核菌などの細菌への感染による精嚢腺(せいのうせん)、前立腺(ぜんりつせん)、尿道、精路などの炎症が一般的で、体内に進入した異物を取り込んで、消化分解し、体を防衛している白血球が増加するために、精液の中に混ざることになります。
性交渉でクラミジアに感染した場合は、膿精液症を起こすとともに、初期の段階で排尿痛、残尿感、違和感を感じることがあり、さらに進行すると、精巣(睾丸〔こうがん〕)がはれたり、熱が出たりします。
細菌への感染による炎症は自然治癒することもありますが、精路全体が炎症を起こしている場合などは完治までに非常に長い時間がかかります。
精液が黄色く変色したまま放置していると、精子の運動能力が悪化していき、精子無力症を合併することもありますので、泌尿器科を受診することが勧められます。クラミジアに感染した場合は、パートナーも感染している可能性もあるため、一緒に受診することが勧められます。
膿精液症の検査と診断と治療
泌尿器科の医師による診断では、精液検査を行い、射出精液内に混入している白血球の程度を調べます。
泌尿器科の医師による治療では、抗生物質を1~2週間処方して、膿精液症の原因となる感染症による炎症を抑え、精液検査で精液の所見が改善したかどうかを確認します。尿道、精路などに洗浄液を通して洗浄することもあります。
ほかに不妊原因がない場合は、精液に混ざっている白血球の数値が正常値に戻れば、パートナーの自然妊娠も可能となります。
精液を検査して白血球の混入が著しい場合、精液を洗浄して人工授精や体外受精をする方法も行われますが、精子の運動能力が著しく悪化していて、胚盤胞(はいばんほう)と呼ばれる着床前の状態への到達率も低いので、受精率は非常に低くなります。
■用語 膿疱性乾癬 [用語(の)]
乾癬の一種で、皮膚の表面に膿を持ち、発熱などの症状も現れる皮膚疾患
膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)とは、乾癬と呼ばれる皮膚疾患の中で、膿疱(膿〔うみ〕)が数多く皮膚の表面に現れる疾患。
膿疱性乾癬には、症状が手足などの体の一部に限定して現れるものや、症状が全身に現れるものがあります。後者は、汎発(はんぱつ)性膿疱性乾癬と呼ばれ、多くは重症化します。
汎発性膿疱性乾癬は、厚生労働省が認める特定疾患に認定されています。まれな疾患で、日本での発症者は推定で約1500人。
膿疱性乾癬は、感染症などが関係して発症すると考えられていますが、原因の詳細はわかっていません。発症者の中には扁桃(へんとう)炎を合併する人がおり、その扁桃を切除すると症状が改善されるので、細菌感染と関係があると考えられていますが、まだはっきりとしてはいません。
また、長い間ステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン剤)を使用してきた乾癬の発症者が、急に使用をやめることにより膿疱性乾癬の症状が出て悪化する場合があるため、ステロイド剤の中止が誘因と考えられる場合もあります。
妊娠を切っ掛けに膿疱を持った地図状の赤い発疹(はっしん)が全身に生じる疱疹状膿痂疹(ほうしんじょうのうかしん)は、膿疱性乾癬の一つのタイプと考えられています。
初期症状として、皮膚がひりひりしたり、焼けるような痛みが発生し、全身の各所に、にきびのような赤い発疹ができます。2~3日のうちに急速に大きくなり、それとともに赤い発疹の回りを囲むように白色または黄色の膿疱が出て、中心は茶褐色の色が付いた状態となっていきます。
発疹とともに高熱を伴い、全身のむくみ、関節痛が起こります。全身がだるく、口の中が荒れ、それらが合わさって食欲が低下するため、低栄養となることもあります。
皮膚に膿疱が多発すると、外部からの病原体から身を守る機能が低下し、全身の水分バランスが崩れ、さまざまな器官に影響を及ぼします。
長期間にわたって皮膚に膿疱が発生すると、高齢の発症者は心臓や腎臓(じんぞう)などに負担がかかり、命にかかわる場合もあります。
症状が現れた際は、速やかに皮膚科、ないし皮膚泌尿器科の専門医がいる医療機関を受診することが勧められます。初めて発症した際は、入院して治療することが望ましいと考えられます。
膿疱性乾癬の検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、特徴的な発疹と経過から判断します。診断の確定のために、発疹の一部を切って顕微鏡で調べる組織検査を行います。
血液検査により、炎症の程度や内臓に影響があるかどうかを判断します。また、細菌感染による膿疱との区別をするために、細菌検査も行います。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、発症者の年齢やほかの疾患の有無、症状の進行度、使用する薬剤などを総合的に判断して治療法を選択します。
全身管理としては、高熱に対しては解熱剤を投与し、水分バランスを調整するために点滴を行い、皮膚の機能を補うために軟こうを使用します。膿疱が多量に出る場合は、肌を保護するためにガーゼを当て包帯をします。
一種の免疫反応の異常により生じるとされる乾癬そのものに対しては、外用薬、内服薬、光線療法、注射薬などで改善を図ります。
外用薬には、炎症を抑制するステロイド剤が多く用いられています。そのほか、皮膚の細胞が増殖するのを阻害する活性型ビタミンD3外用薬も、ステロイド剤ほどの速効性はありませんが、副作用が軽微なので併せて使用します。
内服薬としては、ビタミンA類似物質であるエトレチナート(チガソン)や、免疫抑制薬であるシクロスポリン(ネオーラル)が用いられ、一定の効果が得られています。
光線療法は、紫外線の増感剤であるメトキサレン(オクソラレン)を皮疹部に塗り、長波長紫外線UVAを当てる治療で、PUVA(プーバ)療法といいます。乾癬が全身にある場合、入院して内服のメトキサレンを使用してPUVA療法を行う場合もあります。紫外線を当てることで、異常な免疫反応が抑制され、効果が得られると考えられています。
近年、PUVA療法に代わる光線療法として、特定の紫外線波長を利用したナローバンドUVB療法も利用されるようになってきています。
注射薬は、生物が作り出す蛋白(たんぱく)質をもとに作られた生物学的製剤という新しいタイプの薬を、皮下注射や点滴で投与し、体の免疫機能などにかかわる物質で、過剰に増えると乾癬の症状を引き起こすサイトカインの働きを弱め、乾癬の皮膚症状の改善を図ります。
現在日本では、腫瘍壊死(しゅようえし)因子αというサイトカインを抑えるインフリキシマブ(レミケード)という生物学的製剤を用いることができます。しかし、生物学的製剤もすべての発症者に必ず効果があるとはいえず、副作用が現れることもあり、長期的に投与した場合の影響については不明です。
外用薬、内服薬、光線療法、注射薬のいずれの治療法も一長一短があるため、治療により得られる効果と副作用のリスクの兼ね合いを考え、うまく組み合わせて症状をコントロールすることが大切です。
膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)とは、乾癬と呼ばれる皮膚疾患の中で、膿疱(膿〔うみ〕)が数多く皮膚の表面に現れる疾患。
膿疱性乾癬には、症状が手足などの体の一部に限定して現れるものや、症状が全身に現れるものがあります。後者は、汎発(はんぱつ)性膿疱性乾癬と呼ばれ、多くは重症化します。
汎発性膿疱性乾癬は、厚生労働省が認める特定疾患に認定されています。まれな疾患で、日本での発症者は推定で約1500人。
膿疱性乾癬は、感染症などが関係して発症すると考えられていますが、原因の詳細はわかっていません。発症者の中には扁桃(へんとう)炎を合併する人がおり、その扁桃を切除すると症状が改善されるので、細菌感染と関係があると考えられていますが、まだはっきりとしてはいません。
また、長い間ステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン剤)を使用してきた乾癬の発症者が、急に使用をやめることにより膿疱性乾癬の症状が出て悪化する場合があるため、ステロイド剤の中止が誘因と考えられる場合もあります。
妊娠を切っ掛けに膿疱を持った地図状の赤い発疹(はっしん)が全身に生じる疱疹状膿痂疹(ほうしんじょうのうかしん)は、膿疱性乾癬の一つのタイプと考えられています。
初期症状として、皮膚がひりひりしたり、焼けるような痛みが発生し、全身の各所に、にきびのような赤い発疹ができます。2~3日のうちに急速に大きくなり、それとともに赤い発疹の回りを囲むように白色または黄色の膿疱が出て、中心は茶褐色の色が付いた状態となっていきます。
発疹とともに高熱を伴い、全身のむくみ、関節痛が起こります。全身がだるく、口の中が荒れ、それらが合わさって食欲が低下するため、低栄養となることもあります。
皮膚に膿疱が多発すると、外部からの病原体から身を守る機能が低下し、全身の水分バランスが崩れ、さまざまな器官に影響を及ぼします。
長期間にわたって皮膚に膿疱が発生すると、高齢の発症者は心臓や腎臓(じんぞう)などに負担がかかり、命にかかわる場合もあります。
症状が現れた際は、速やかに皮膚科、ないし皮膚泌尿器科の専門医がいる医療機関を受診することが勧められます。初めて発症した際は、入院して治療することが望ましいと考えられます。
膿疱性乾癬の検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、特徴的な発疹と経過から判断します。診断の確定のために、発疹の一部を切って顕微鏡で調べる組織検査を行います。
血液検査により、炎症の程度や内臓に影響があるかどうかを判断します。また、細菌感染による膿疱との区別をするために、細菌検査も行います。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、発症者の年齢やほかの疾患の有無、症状の進行度、使用する薬剤などを総合的に判断して治療法を選択します。
全身管理としては、高熱に対しては解熱剤を投与し、水分バランスを調整するために点滴を行い、皮膚の機能を補うために軟こうを使用します。膿疱が多量に出る場合は、肌を保護するためにガーゼを当て包帯をします。
一種の免疫反応の異常により生じるとされる乾癬そのものに対しては、外用薬、内服薬、光線療法、注射薬などで改善を図ります。
外用薬には、炎症を抑制するステロイド剤が多く用いられています。そのほか、皮膚の細胞が増殖するのを阻害する活性型ビタミンD3外用薬も、ステロイド剤ほどの速効性はありませんが、副作用が軽微なので併せて使用します。
内服薬としては、ビタミンA類似物質であるエトレチナート(チガソン)や、免疫抑制薬であるシクロスポリン(ネオーラル)が用いられ、一定の効果が得られています。
光線療法は、紫外線の増感剤であるメトキサレン(オクソラレン)を皮疹部に塗り、長波長紫外線UVAを当てる治療で、PUVA(プーバ)療法といいます。乾癬が全身にある場合、入院して内服のメトキサレンを使用してPUVA療法を行う場合もあります。紫外線を当てることで、異常な免疫反応が抑制され、効果が得られると考えられています。
近年、PUVA療法に代わる光線療法として、特定の紫外線波長を利用したナローバンドUVB療法も利用されるようになってきています。
注射薬は、生物が作り出す蛋白(たんぱく)質をもとに作られた生物学的製剤という新しいタイプの薬を、皮下注射や点滴で投与し、体の免疫機能などにかかわる物質で、過剰に増えると乾癬の症状を引き起こすサイトカインの働きを弱め、乾癬の皮膚症状の改善を図ります。
現在日本では、腫瘍壊死(しゅようえし)因子αというサイトカインを抑えるインフリキシマブ(レミケード)という生物学的製剤を用いることができます。しかし、生物学的製剤もすべての発症者に必ず効果があるとはいえず、副作用が現れることもあり、長期的に投与した場合の影響については不明です。
外用薬、内服薬、光線療法、注射薬のいずれの治療法も一長一短があるため、治療により得られる効果と副作用のリスクの兼ね合いを考え、うまく組み合わせて症状をコントロールすることが大切です。
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