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■納豆の定期的摂取で、循環器疾患の死亡リスクが25%低下 3万人の追跡調査で判明 [健康ダイジェスト]

 日本の伝統食の1つである納豆を定期的に食べる人は、ほとんど食べない人に比べて循環器疾患で死亡するリスクが25%低いことが、約3万人の日本人を16年間追跡した研究で明らかになりました。
 納豆を含むさまざまな大豆製品の摂取は、脳卒中や心筋梗塞(こうそく)など循環器疾患の予防に役立つのではないかと考えられていますが、大豆製品全般と循環器疾患の関係について検討したこれまでの研究では、一貫した結果は得られていません。
 一方、大豆由来の発酵食品である納豆は、ほかの大豆製品とは異なり、血栓を溶かす作用を持つ酵素であるナットウキナーゼを含んでいます。血栓の形成はさまざまな循環器疾患を引き起こすことが知られているため、納豆こそが循環器疾患のリスクを下げると期待されていますが、納豆と循環器疾患の関係について検討した大規模な研究はありませんでした。
 今回、岐阜大学医学系研究科の永田知里教授らは、納豆、大豆タンパク質、大豆イソフラボンの摂取と循環器疾患による死亡の関係を調べるため、岐阜県高山市の住民を対象とした疫学研究「高山スタディ」に参加した人々のデータを分析しました。高山スタディは、食事の内容やそれ以外の生活習慣と、がんや慢性疾患の関係を調べる目的で、1992年に岐阜県高山市に住んでいた35歳以上の男女を対象に行われた研究です。
 1992年の時点で質問票を用いて、対象者の年齢、性別、配偶者の有無、学歴、身長、体重、飲酒も含む過去1年間の食事の内容、喫煙習慣、運動習慣、病歴など、さまざまな情報を収集。大豆製品については、豆腐、味噌、大豆、納豆、豆乳、高野豆腐、油揚げ、厚揚げ、五目厚揚げなどを過去1年間にどの程度摂取したのかを尋ねました。
 そして、1992年から2008年10月1日までの16年間、男性1万3355人と女性1万5724人について、死亡の有無と死因を調査しました。追跡期間中に高山市から転出したのは、1912人でした。
 調査の結果、1678人が循環器疾患で死亡していました。うち677人は脳卒中、308人は虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症、虚血性心不全など)による死亡でした。
 納豆の摂取量については、最も多かった人から最も少なかった人までを順番に並べて、4等分しました。最も摂取量が多かった上位25%群(7269人)の納豆摂取量の中央値は1日に7・3グラム(市販されている40グラムから50グラムの四角い容器に入っているタイプの納豆を2〜4個)、続いて摂取量が多かった25%群(7270人)では2・7グラム、次の25%群(7270人)では1・4グラム、最も摂取量が少なかった下位25%群(7270人)では0グラムでした。
 納豆摂取量の下位25%群と比較して、残り3群の循環器疾患による死亡のリスクを検討したところ、上位25%群では25%低いことが明らかになりました。
 大豆タンパク質の摂取量、大豆イソフラボンの摂取量についても、同様に分析しましたが、循環器疾患による死亡に対する影響はみられませんでした。
 循環器疾患による死亡のうち、脳卒中による死亡のリスクは、納豆の摂取量と大豆タンパク質の摂取量が多いほど低く、下位25%と比較した上位25%群の脳卒中死亡リスクは、納豆では32%、大豆タンパク質では25%低くなっていました。
 脳卒中の内訳をさらに詳しくみると、血栓が詰まって起こる虚血性脳卒中(脳梗塞と一過性脳虚血発作)による死亡が393人、血管が破れて起こる出血性脳卒中(脳内出血とくも膜下出血)による死亡が242人でしたが、納豆を多く摂取する上位25%群では、虚血性脳卒中による死亡のリスクも33%低下していましたが、出血性脳卒中による死亡については、納豆との関係は明確にはなりませんでした。ただし、大豆タンパク質の摂取が多いほど、出血性脳卒中による死亡のリスクが低下する傾向が認められました。
 今回の分析結果は、納豆の摂取が循環器疾患死亡のリスクを下げる可能性を世界で初めて示しましたが、永田教授らは、ほかの集団を対象に、納豆、大豆タンパク質などの摂取量と循環器疾患の関係を調べて、今回の結果を確認する必要があると述べています。

 2017年2月4日(土)

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