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■職場で広がるケースも多い風疹、30〜50歳代男性が感染源に 多くの自治体が費用補助 [健康ダイジェスト]

 強い感染力があり、国内でも集団感染が5〜8年ごとに報告される「風疹(三日ばしか)」と診断される患者の7割は成人男性で、近年は職場で広がるケースも多くなっています。感染してもほとんどの人は軽い症状ですが、妊娠初期の女性が感染すると新生児に難聴などの障害が出る恐れがあります。
 産婦人科医らは、「特に海外出張の多い企業・組織は、海外へ出掛ける社員にワクチン接種を受けさせて」と呼び掛けています。
 風疹の原因である風疹ウイルスは、感染者のせきやくしゃみを通じて広がります。このウイルスを吸い込むと2〜3週間の潜伏期間をへて、高熱や発疹、リンパ節のはれなどの症状が出ます。
 風疹の流行で問題になるのは、免疫を十分に持たない妊娠初期の女性が感染すると、生まれてくる新生児に白内障や難聴、心疾患など「先天性風疹症候群(CRS)」という障害が出る可能性があることです。国立感染症研究所感染症情報センターによると、日本で風疹が大流行した2012〜2013年にかけて、先天性風疹症候群の新生児が45人確認されています。
 新生児が先天性風疹症候群になるのを防ごうと、厚生労働省などは「風疹ゼロプロジェクト」を立ち上げ、2月4日を「風疹ゼロの日」、2月を「風疹ゼロ月間」と定め、予防のための啓発活動を行っています。
 海外ではインドや中国、インドネシア、東欧、アフリカなど依然として風疹が流行する地域があります。また、大規模な国際交流イベントの開催時に大流行する傾向があり、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催時の流行が懸念されています。
 感染を防ぐにはワクチン接種が有効。ただし、予防接種法で風疹のワクチンが男女ともに定期接種となったのは1979年4月2日生まれからで、1987年10月1日生まれまでは中学生の時に医療機関で個別接種する方法だったため、それ以降生まれの乳幼児期での接種に比べ接種率が低くなっています。こうしたことから、95%以上が望ましい抗体保有率が30歳代後半〜50歳代男性では75〜80%にとどまっています。
 日本産婦人科医会常務理事で横浜医療センターの平原史樹院長は、「30〜50歳代男性は働き盛りで海外渡航の機会も多い。帰国後、感染に気付かず出社することが職場の集団感染の原因にもなっている」と指摘しています。
 女性は、男性より早く風疹ワクチンが定期接種になったものの、1990年4月2日より前に生まれた人は1回のみの接種でした。抗体が十分ついていない可能性があり、風疹が流行すると感染する恐れがあります。
 男女とも抗体が低い場合は、予防接種が勧められます。平原院長は、「特に海外出張する男性で抗体が低い人はワクチン接種してから出掛けてほしい。また、海外から帰国後、風邪のような症状がある場合は、まず医療機関で診察を受け、風疹でないことを確認してから出勤すること」と話しています。
 妊娠を希望する女性のために、多くの自治体で抗体検査やワクチン接種を無料で行っています。東京都目黒区や川崎市は、女性だけでなく男性のワクチン接種費用を補助しています。
 自治体の補助がない場合は、ワクチン接種は自己負担となります。費用はクリニックで異なるものの、麻疹(はしか)と混合の「麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)」は5000〜1万円程度。麻疹の予防接種をしたことがある人が受けても、副反応や過剰反応は問題なく、麻疹と風疹両方の予防になります。

 2018年2月15日(木)

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