■用語 扁平疣贅 [用語(へ)]
若い人の主に顔面や手の甲に、扁平に隆起した小さないぼが多発する疾患
扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)とは、若い人の主に顔面や手の甲に、扁平に隆起した小さないぼ、すなわち疣贅が多発する疾患。扁平いぼ、青年性扁平疣贅とも呼ばれます。
青年期の男女にできますが、10歳以下の子供にもできます。中年以上ではほとんどみられません。
ウイルス性疣贅の一種であり、主にヒト乳頭腫(にゅうとうしゅ)ウイルス3型と10型の皮膚感染が原因で起こります。同じウイルス性疣贅の一種で、手のひらや足の裏に表面がざらざらした硬いいぼが生じやすい尋常性疣贅とは、ヒト乳頭腫ウイルスの型が違います。
顔面、手の甲、あるいは前腕などに生じるいぼは、2、3ミリから1センチ大で、扁平に多少隆起した円形か楕円(だえん)形をしており、周囲の皮膚と同じ色調または褐色調です。表面は、あまりざらざらしていません。
普通、自覚症状はありませんが、顔面や手の甲を爪(つめ)や手でかいたり、顔面にかみそりを当てたりすると、ウイルスがかき傷、そり傷に沿って感染するため、直線状にいぼが並んで生じ、増えていくこともあります。
ほかのウイルス性疣贅と比べて、扁平疣贅は自然に軽快する可能性が高いと考えられています。特に、突然赤くなって皮がむけ、かゆくなるのは治る前兆で、この炎症の症状が出てから1~2週間ほどで、ウイルスを排除するための免疫機能によって抗体が体の中に作られるとともに、自然消退する性質があります。
しかし、治る前兆の炎症の症状がいつ出るかは人によって異なり、炎症が起きるまでには長期間かかるのが一般的です。
扁平疣贅の検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、皮膚症状から視診で判断し、似たような尋常性疣贅やほかの疾患と鑑別します。場合によっては、いぼの一部を採取して組織検査をすることもあります。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、ほかのウイルス性疣贅などの一番基本となる治療法である液体窒素凍結療法の効果が少なく、ある時期になると一斉に自然消退することがあるため、経過をみることもあります。
治りにくい場合には、いぼを凍結して取る液体窒素凍結療法や、電気焼灼(しょうしゃく)が一般的に行われます。
凍結療法は、液体窒素を綿棒に含ませて、いぼの凍結、融解を繰り返す方法です。いぼの部分を超低温で瞬間的に凍結させ、部分的にやけどの状態を起こすことで、皮膚内部のいぼの芯(しん)を表面に押し上げ、徐々にいぼを縮小させます。
処置そのものにかなりの痛みを伴うほか、場合によっては水膨れが発生し、処置後も患部に激痛が伴うこともあります。また、場合によっては水膨れ内部に出血が発生し、黒く変色することもありますが、この状態になると激痛こそあるものの、治りは早くなります。
通常、凍結療法は4~7日が効果のピークであるために、1~2週間に1回の通院で治療しなければならず、効果に個人差こそありますが、およそ数週から2カ月以上と長い日数が必要とされます。
電気焼灼は、レーザーメスや電気メスでいぼを焼く方法です。液体窒素による凍結療法と違って一度で治るものの、麻酔が必須で、傷跡を残すことがあります。凍結療法などと異なり、保険適応外でもあります。
一部の医療機関では、凍結療法で治りにくいケースや痛みに耐えられないケースで、DNCB(2.4-ジニトロクロロベンゼン)という薬を塗布していぼを取る治療法を行っています。DNCBは本来、かぶれの状態を見る検査薬で、これを治療に応用し、いぼをかぶれた状態にして取ります。
多少かゆみを伴ったり、じくじくした状態になったりすることがありますが、痛みはありません。塗布を2カ月続けると、約70パーセントが治癒するとされます。
ほかにも、はと麦の種を成分とする漢方薬ヨクイニンの内服など、いろいろの治療法があります。
この扁平疣贅では、皮膚を刺激すると、いぼが次々とできてしまいます。爪や手で引っかいたり、顔面ではかみそりを当てたりしないことが必要です。
扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)とは、若い人の主に顔面や手の甲に、扁平に隆起した小さないぼ、すなわち疣贅が多発する疾患。扁平いぼ、青年性扁平疣贅とも呼ばれます。
青年期の男女にできますが、10歳以下の子供にもできます。中年以上ではほとんどみられません。
ウイルス性疣贅の一種であり、主にヒト乳頭腫(にゅうとうしゅ)ウイルス3型と10型の皮膚感染が原因で起こります。同じウイルス性疣贅の一種で、手のひらや足の裏に表面がざらざらした硬いいぼが生じやすい尋常性疣贅とは、ヒト乳頭腫ウイルスの型が違います。
顔面、手の甲、あるいは前腕などに生じるいぼは、2、3ミリから1センチ大で、扁平に多少隆起した円形か楕円(だえん)形をしており、周囲の皮膚と同じ色調または褐色調です。表面は、あまりざらざらしていません。
普通、自覚症状はありませんが、顔面や手の甲を爪(つめ)や手でかいたり、顔面にかみそりを当てたりすると、ウイルスがかき傷、そり傷に沿って感染するため、直線状にいぼが並んで生じ、増えていくこともあります。
ほかのウイルス性疣贅と比べて、扁平疣贅は自然に軽快する可能性が高いと考えられています。特に、突然赤くなって皮がむけ、かゆくなるのは治る前兆で、この炎症の症状が出てから1~2週間ほどで、ウイルスを排除するための免疫機能によって抗体が体の中に作られるとともに、自然消退する性質があります。
しかし、治る前兆の炎症の症状がいつ出るかは人によって異なり、炎症が起きるまでには長期間かかるのが一般的です。
扁平疣贅の検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、皮膚症状から視診で判断し、似たような尋常性疣贅やほかの疾患と鑑別します。場合によっては、いぼの一部を採取して組織検査をすることもあります。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、ほかのウイルス性疣贅などの一番基本となる治療法である液体窒素凍結療法の効果が少なく、ある時期になると一斉に自然消退することがあるため、経過をみることもあります。
治りにくい場合には、いぼを凍結して取る液体窒素凍結療法や、電気焼灼(しょうしゃく)が一般的に行われます。
凍結療法は、液体窒素を綿棒に含ませて、いぼの凍結、融解を繰り返す方法です。いぼの部分を超低温で瞬間的に凍結させ、部分的にやけどの状態を起こすことで、皮膚内部のいぼの芯(しん)を表面に押し上げ、徐々にいぼを縮小させます。
処置そのものにかなりの痛みを伴うほか、場合によっては水膨れが発生し、処置後も患部に激痛が伴うこともあります。また、場合によっては水膨れ内部に出血が発生し、黒く変色することもありますが、この状態になると激痛こそあるものの、治りは早くなります。
通常、凍結療法は4~7日が効果のピークであるために、1~2週間に1回の通院で治療しなければならず、効果に個人差こそありますが、およそ数週から2カ月以上と長い日数が必要とされます。
電気焼灼は、レーザーメスや電気メスでいぼを焼く方法です。液体窒素による凍結療法と違って一度で治るものの、麻酔が必須で、傷跡を残すことがあります。凍結療法などと異なり、保険適応外でもあります。
一部の医療機関では、凍結療法で治りにくいケースや痛みに耐えられないケースで、DNCB(2.4-ジニトロクロロベンゼン)という薬を塗布していぼを取る治療法を行っています。DNCBは本来、かぶれの状態を見る検査薬で、これを治療に応用し、いぼをかぶれた状態にして取ります。
多少かゆみを伴ったり、じくじくした状態になったりすることがありますが、痛みはありません。塗布を2カ月続けると、約70パーセントが治癒するとされます。
ほかにも、はと麦の種を成分とする漢方薬ヨクイニンの内服など、いろいろの治療法があります。
この扁平疣贅では、皮膚を刺激すると、いぼが次々とできてしまいます。爪や手で引っかいたり、顔面ではかみそりを当てたりしないことが必要です。
タグ:皮膚の病気 尋常性乾癬 黒なまず(癜風) 結節性紅斑 口腔カンジダ症(鵞口瘡) 多形滲出性紅斑 爪白癬(爪の水虫) 爪甲剥離症 爪甲白斑症 にきび(尋常性痤瘡) そばかす(雀卵斑) いぼ(疣贅) たこ、魚の目 ふけ症 脂漏性皮膚炎 白なまず(白斑) いんきんたむし(股部白癬) 痒疹 掌蹠膿疱症 カポジ肉腫 爪甲周囲炎(爪囲炎) 白癬(はくせん) ものもらい(麦粒腫) 皮膚掻痒症 皮膚カンジダ症 ひょうそ 魚鱗癬 アクロコルドン ストロベリーマーク ケロイド じんましん(蕁麻疹) 時計ガラスつめ(ヒポクラテスつめ) 酒さ 二枚爪 せつ、よう 主婦湿疹(手湿疹) しみ(肝斑) 尋常性疣贅 皮膚結核 酒さ様皮膚炎(口囲皮膚炎) 水虫(足白癬) 接触皮膚炎(かぶれ) ベーチェット病 紫斑病 ジベルばら色粃糠疹 匙状づめ 日光過敏症(光線過敏症) 水いぼ 用語(へ) 剥脱性皮膚炎 扁平疣贅 疣贅(いぼ) 伝染性軟属腫(水いぼ) 炎症性角化症(乾癬) 扁平苔癬 毛孔性紅色粃糠疹 尋常性魚鱗癬 伴性遺伝性魚鱗癬 先天性魚鱗癬様紅皮症 スキンタッグ 百いぼ 懸垂性線維腫 足底疣贅 爪甲脱落症 青年性扁平疣贅 ウイルス性いぼ 疥癬(かいせん) 乾癬(かんせん)
■用語 変形性関節症 [用語(へ)]
加齢や使いすぎで体の関節が変形することによって、痛みが生じる疾患
変形性関節症とは、加齢や使いすぎなどで体の関節が変形することによって、痛みが生じる疾患。
変形性関節症が発症する代表的な関節は、膝(しつ、ひざ)関節、股(こ)関節、足(そく)関節で、体重の負荷のかかる関節に多く発生します。肩関節、肘(ちゅう)関節、手関節、手指関節、脊椎椎間(せきついついかん)関節にも発症します。
ここでは、変形性膝関節症と変形性股関節症に触れます。
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨が擦り減り、歩くと痛む疾患
変形性膝関節症は、関節の軟骨が傷んで擦り減り、歩く際に痛みが生じる疾患。加齢による老化変性を基盤として起こりますが、関節に過度の負担がかかったり、関節機構に異常があったりすると、軟骨の摩耗が加速されて、必ずしも中高年齢者でなくても発症します。
関節軟骨は、関節の骨の表面を覆っている厚さ2~7ミリ程度の層で、正常では透明感のある白色に輝いていて、表面は非常に滑らかですべすべしています。水を含んだスポンジのように、関節の水分を吸ったり出したりすることで、体重の負担を分散するクッションとして、その衝撃を軽くしています。また、関節軟骨同士の接触面は、摩擦による抵抗が非常に少なくなっています。関節軟骨の内容は、プロテオグリカン、コラーゲン、水からなっています。
しかし、中高年になると筋力が低下し、その筋力でカバーできない負担が継続的に掛かる仕事や、瞬間的に大きな負担がかかるスポーツなどで、関節軟骨が衝撃を吸収しきれなくなると傷んでしまいます。関節軟骨はその構造上、表面がいったん傷んでくると、元に戻りにくく、だんだん擦り減って悪くなる傾向があります。
変形性膝関節症は中高年齢者に多く、50歳代で発症し、65歳以上で急増します。また、男性に比べ2~4倍、女性に多いのも特徴です。肥満している人、O脚変形(いわゆる、がにまた)のある人にもよくみられ、O脚では内側に過度な体重、圧迫が加わることになり、内側の軟骨の摩耗が進んでいきます。
症状としては、膝関節のはれや、こわばっている感じがし、正座ができなくなります。歩き始めに膝が痛みますが、少し歩いているうちに楽になり、また歩きすぎると痛みが出てきます。
片側の膝だけに発症することもありますが、両側性のこともしばしばあります。症状が進行すると、関節内に水、すなわち増量した関節液がたまってくるようになり、関節の透き間から前内側膝蓋(しつがい)部にかけて押すと痛むところが現れます。さらに進行すると、膝関節を完全に伸ばすことができなくなり、屈曲も制限され、関節が側方にぐらつくようになることもあります。
変形性股関節症は、関節の老化変性などで、股関節が痛み、動きも悪化する疾患
変形性股関節症とは、関節軟骨の変性や摩耗に始まり、さまざまな関節変化が進行する疾患。
年を取っていくに従って、骨や関節にも老化が現れてきて、関節軟骨は次第に消耗して擦り切れ、軟骨の下の骨が現れ、関節の端のほうでは骨のとげが出てきて関節が変形してきます。このように変形性関節症は老化変性を基盤とする疾患ですが、関節に過度の負担がかかったり、関節機構に異常があったりすると、軟骨変性が加速されて、必ずしも老人でなくても同様な変化が生じてきます。
日本では、変形性股関節症の大多数が、先天性股関節脱臼(だっきゅう)後に生じる二次性のものです。もちろん、先天性股関節脱臼がほぼ完全に治癒すれば、変形性股関節症にはなりませんが、往々、程度の差こそあれ関節不適合を残して治ります。このような場合には、年月の経過とともに、次第に変形性股関節症へと進展していきます。
この先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全に起因する変形性股関節症がほとんどで、その大部分が女性に起こります。このほか、ペルテス病、大腿(だいたい)骨頭壊死(えし)、大腿骨頭すべり症、外傷などに起因するものもあります。
臼蓋形成不全は、股関節の屋根の作りが浅いものです。股関節で大腿骨頭を受け入れる部分を股臼といい、骨頭にかぶさり体重を支える部分の股臼が、この臼蓋です。
変形性股関節症の症状としては、初めのころは歩きすぎたり、スポーツ後などに股関節部の痛みや疲れやすさを感じます。休息すればよくなりますが、繰り返すうちに痛みが強くなり、遠距離を歩かなくても、あるいは少し歩いただけでも痛みが起こり、足を引きずるようになってきます。股関節の動きも悪くなって、靴下の着脱や足のつめ切りなどが不自由になります。
痛みは股関節部に限らず、臀部(でんぶ)、大腿部、あるいは膝上部に起こることもあり、注意が必要です。
変形性関節症の検査と診断と治療
変形性膝関節症の検査と診断と治療
整形外科の医師による診断は、年齢、臨床所見、X線所見から行います。X線(レントゲン)検査を行うと、関節の端に骨の出っ張りがみられ、関節の透き間が狭くなったり、軟骨下骨の組織が硬化している像などがみられます。膝関節が内側に反るように変形し、下腿軸の異常が起こります。そのため、荷重した状態で下肢の全長正面像を撮影することが重要になります。
さらに、関節造影や関節鏡を行うことで、より正確なものになります。鑑別診断で重要なものは、関節リウマチと膝関節結核との区別です。
整形外科の医師による治療では、まず関節になるべく負担をかけないように注意することが大切で、肥満を避けたり、無理な運動をしないようにします。やむを得ず比較的長距離を歩かなければならないような場合には、膝のサポーターも有用です。
しかし、膝が悪いからといって、ほとんど歩かないようにしては、かえって膝に悪影響を及ぼします。関節は動かすことによって、生理的な状態が維持されるので、体重負荷がかからないようにした膝関節の屈伸運動で、太ももの前面の大腿四頭筋の強化を図ります。
まず、いすに腰掛けて、片方の足を上げて、膝をピンと伸ばします。太ももの前面の特に膝の内側に力こぶができるように、しっかり力を入れます。そのまま、数秒間足を上げたまま止めます。この一連の運動を左右交互に行って1度に10回から20回、これを1日に2~3回を目安に行うと効果的です。足首に抵抗となるおもりをつけて行えば、より効果的です。
筋力がかなり落ちている場合や、膝関節痛が強い場合は、かかとを床に着けたままで、太ももの前面に力こぶを作る運動をします。このような運動は頑張れば必ず効果が出て、膝関節の安定性と関節水腫(すいしゅ)の改善が期待できますので、少なくとも2、3カ月は続けてみましょう。
そのほか、自転車乗りや平泳ぎ以外の水泳、水中ウオーキングなども、膝に負担のかからない運動として適している上、減量にもつながります。
症状が強く、関節内に水がたまってくるような場合には、感染に対する厳重な注意の下で関節穿刺(せんし)が行われ水を吸引してから、炎症を抑えるためにヒアルロン酸、または副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)を注入することもあります。
ヒアルロン酸は、軟骨の一成分で、関節液中にも存在する関節の潤滑油でもあります。変形性膝関節症ではヒアルロン酸の量が減るため、注射で補うことで、痛みを和らげ、炎症を抑え、関節の動きをよくするなどの効果があるといわれています。副腎皮質ホルモンには、強い炎症止めの効果と鎮痛効果がありますが、あまり頻繁に使用すると、副作用が多くなるといわれています。
また、膝の変形、特に片足で立った時にO脚変形が著明で、主に体重が関節の内側だけにかかるような場合には、O脚を改善させる足底板の装着が有効です。足底板の装着で治療が期待できない場合には、手術も行われます。まだ変形を起こしていない関節面が残っている場合に、脛骨(けいこつ)の骨切りを行って、体重が関節全体に均等にかかるようにします。
変形性の変化が重度である場合は、人工関節全置換術の対象になります。これらの手術で痛みは明らかに改善しますが、術後の合併症である血栓症による肺梗塞(こうそく)、脳梗塞、心筋梗塞の発生に十分注意を払う必要があります。
変形性股関節症の検査と診断と治療
整形外科の医師による診断では、X線(レントゲン)検査を行うと、大腿骨頭は変形し、関節の透き間が狭くなり、骨頭や臼蓋の骨に丸く、薄くなって抜けている部分や、関節端のほうでは骨の出っ張りなどがみられ、変形性股関節症の診断がつけられます。
整形外科の医師による治療では、変形性股関節症にはつえの使用が有効で、1本のつえを使うと、股関節への荷重が約4分の1から5分の1くらいに減ります。比較的安静をとり、薬で痛みが抑えられる間はよいのですが、痛みが抑えられなかったり、次第に痛みが強くなっていく場合には、手術的手段が行われます。
手術方法にはいくつもの種類があり、個人に最も適していると思われる方法がとられます。
股関節周辺の筋肉を切り離し、関節に加わる力の軽減を図る簡単な筋離開術から、荷重面積の増加を目的とする骨切り術、股関節形成術や股関節を全部人工のものと置き換える人工関節置換術などがとられます。また、片側のみを発症した比較的若い人で、立ち仕事や重労働をしなければならない場合には、股関節をよい角度で固定する関節固定術もとられます。
変形性股関節症の本態から考えてみても、進行を食い止めることはできません。しかし、股関節にかかる負担を軽くすることで、進行のスピードを遅らせたり、痛みなどの症状の改善を得ることができます。つえを使うほか、筋力を強化すること、太っている人は管理栄養士による食事指導と運動処方によって体重を減らすことが、やはり股関節への負担を軽減することになります。
たとえ自覚症状には変化がなくても、数カ月から半年くらいに1度は、必ず医師の診察を受け、病態を把握しておくことも必要です。
変形性関節症とは、加齢や使いすぎなどで体の関節が変形することによって、痛みが生じる疾患。
変形性関節症が発症する代表的な関節は、膝(しつ、ひざ)関節、股(こ)関節、足(そく)関節で、体重の負荷のかかる関節に多く発生します。肩関節、肘(ちゅう)関節、手関節、手指関節、脊椎椎間(せきついついかん)関節にも発症します。
ここでは、変形性膝関節症と変形性股関節症に触れます。
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨が擦り減り、歩くと痛む疾患
変形性膝関節症は、関節の軟骨が傷んで擦り減り、歩く際に痛みが生じる疾患。加齢による老化変性を基盤として起こりますが、関節に過度の負担がかかったり、関節機構に異常があったりすると、軟骨の摩耗が加速されて、必ずしも中高年齢者でなくても発症します。
関節軟骨は、関節の骨の表面を覆っている厚さ2~7ミリ程度の層で、正常では透明感のある白色に輝いていて、表面は非常に滑らかですべすべしています。水を含んだスポンジのように、関節の水分を吸ったり出したりすることで、体重の負担を分散するクッションとして、その衝撃を軽くしています。また、関節軟骨同士の接触面は、摩擦による抵抗が非常に少なくなっています。関節軟骨の内容は、プロテオグリカン、コラーゲン、水からなっています。
しかし、中高年になると筋力が低下し、その筋力でカバーできない負担が継続的に掛かる仕事や、瞬間的に大きな負担がかかるスポーツなどで、関節軟骨が衝撃を吸収しきれなくなると傷んでしまいます。関節軟骨はその構造上、表面がいったん傷んでくると、元に戻りにくく、だんだん擦り減って悪くなる傾向があります。
変形性膝関節症は中高年齢者に多く、50歳代で発症し、65歳以上で急増します。また、男性に比べ2~4倍、女性に多いのも特徴です。肥満している人、O脚変形(いわゆる、がにまた)のある人にもよくみられ、O脚では内側に過度な体重、圧迫が加わることになり、内側の軟骨の摩耗が進んでいきます。
症状としては、膝関節のはれや、こわばっている感じがし、正座ができなくなります。歩き始めに膝が痛みますが、少し歩いているうちに楽になり、また歩きすぎると痛みが出てきます。
片側の膝だけに発症することもありますが、両側性のこともしばしばあります。症状が進行すると、関節内に水、すなわち増量した関節液がたまってくるようになり、関節の透き間から前内側膝蓋(しつがい)部にかけて押すと痛むところが現れます。さらに進行すると、膝関節を完全に伸ばすことができなくなり、屈曲も制限され、関節が側方にぐらつくようになることもあります。
変形性股関節症は、関節の老化変性などで、股関節が痛み、動きも悪化する疾患
変形性股関節症とは、関節軟骨の変性や摩耗に始まり、さまざまな関節変化が進行する疾患。
年を取っていくに従って、骨や関節にも老化が現れてきて、関節軟骨は次第に消耗して擦り切れ、軟骨の下の骨が現れ、関節の端のほうでは骨のとげが出てきて関節が変形してきます。このように変形性関節症は老化変性を基盤とする疾患ですが、関節に過度の負担がかかったり、関節機構に異常があったりすると、軟骨変性が加速されて、必ずしも老人でなくても同様な変化が生じてきます。
日本では、変形性股関節症の大多数が、先天性股関節脱臼(だっきゅう)後に生じる二次性のものです。もちろん、先天性股関節脱臼がほぼ完全に治癒すれば、変形性股関節症にはなりませんが、往々、程度の差こそあれ関節不適合を残して治ります。このような場合には、年月の経過とともに、次第に変形性股関節症へと進展していきます。
この先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全に起因する変形性股関節症がほとんどで、その大部分が女性に起こります。このほか、ペルテス病、大腿(だいたい)骨頭壊死(えし)、大腿骨頭すべり症、外傷などに起因するものもあります。
臼蓋形成不全は、股関節の屋根の作りが浅いものです。股関節で大腿骨頭を受け入れる部分を股臼といい、骨頭にかぶさり体重を支える部分の股臼が、この臼蓋です。
変形性股関節症の症状としては、初めのころは歩きすぎたり、スポーツ後などに股関節部の痛みや疲れやすさを感じます。休息すればよくなりますが、繰り返すうちに痛みが強くなり、遠距離を歩かなくても、あるいは少し歩いただけでも痛みが起こり、足を引きずるようになってきます。股関節の動きも悪くなって、靴下の着脱や足のつめ切りなどが不自由になります。
痛みは股関節部に限らず、臀部(でんぶ)、大腿部、あるいは膝上部に起こることもあり、注意が必要です。
変形性関節症の検査と診断と治療
変形性膝関節症の検査と診断と治療
整形外科の医師による診断は、年齢、臨床所見、X線所見から行います。X線(レントゲン)検査を行うと、関節の端に骨の出っ張りがみられ、関節の透き間が狭くなったり、軟骨下骨の組織が硬化している像などがみられます。膝関節が内側に反るように変形し、下腿軸の異常が起こります。そのため、荷重した状態で下肢の全長正面像を撮影することが重要になります。
さらに、関節造影や関節鏡を行うことで、より正確なものになります。鑑別診断で重要なものは、関節リウマチと膝関節結核との区別です。
整形外科の医師による治療では、まず関節になるべく負担をかけないように注意することが大切で、肥満を避けたり、無理な運動をしないようにします。やむを得ず比較的長距離を歩かなければならないような場合には、膝のサポーターも有用です。
しかし、膝が悪いからといって、ほとんど歩かないようにしては、かえって膝に悪影響を及ぼします。関節は動かすことによって、生理的な状態が維持されるので、体重負荷がかからないようにした膝関節の屈伸運動で、太ももの前面の大腿四頭筋の強化を図ります。
まず、いすに腰掛けて、片方の足を上げて、膝をピンと伸ばします。太ももの前面の特に膝の内側に力こぶができるように、しっかり力を入れます。そのまま、数秒間足を上げたまま止めます。この一連の運動を左右交互に行って1度に10回から20回、これを1日に2~3回を目安に行うと効果的です。足首に抵抗となるおもりをつけて行えば、より効果的です。
筋力がかなり落ちている場合や、膝関節痛が強い場合は、かかとを床に着けたままで、太ももの前面に力こぶを作る運動をします。このような運動は頑張れば必ず効果が出て、膝関節の安定性と関節水腫(すいしゅ)の改善が期待できますので、少なくとも2、3カ月は続けてみましょう。
そのほか、自転車乗りや平泳ぎ以外の水泳、水中ウオーキングなども、膝に負担のかからない運動として適している上、減量にもつながります。
症状が強く、関節内に水がたまってくるような場合には、感染に対する厳重な注意の下で関節穿刺(せんし)が行われ水を吸引してから、炎症を抑えるためにヒアルロン酸、または副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)を注入することもあります。
ヒアルロン酸は、軟骨の一成分で、関節液中にも存在する関節の潤滑油でもあります。変形性膝関節症ではヒアルロン酸の量が減るため、注射で補うことで、痛みを和らげ、炎症を抑え、関節の動きをよくするなどの効果があるといわれています。副腎皮質ホルモンには、強い炎症止めの効果と鎮痛効果がありますが、あまり頻繁に使用すると、副作用が多くなるといわれています。
また、膝の変形、特に片足で立った時にO脚変形が著明で、主に体重が関節の内側だけにかかるような場合には、O脚を改善させる足底板の装着が有効です。足底板の装着で治療が期待できない場合には、手術も行われます。まだ変形を起こしていない関節面が残っている場合に、脛骨(けいこつ)の骨切りを行って、体重が関節全体に均等にかかるようにします。
変形性の変化が重度である場合は、人工関節全置換術の対象になります。これらの手術で痛みは明らかに改善しますが、術後の合併症である血栓症による肺梗塞(こうそく)、脳梗塞、心筋梗塞の発生に十分注意を払う必要があります。
変形性股関節症の検査と診断と治療
整形外科の医師による診断では、X線(レントゲン)検査を行うと、大腿骨頭は変形し、関節の透き間が狭くなり、骨頭や臼蓋の骨に丸く、薄くなって抜けている部分や、関節端のほうでは骨の出っ張りなどがみられ、変形性股関節症の診断がつけられます。
整形外科の医師による治療では、変形性股関節症にはつえの使用が有効で、1本のつえを使うと、股関節への荷重が約4分の1から5分の1くらいに減ります。比較的安静をとり、薬で痛みが抑えられる間はよいのですが、痛みが抑えられなかったり、次第に痛みが強くなっていく場合には、手術的手段が行われます。
手術方法にはいくつもの種類があり、個人に最も適していると思われる方法がとられます。
股関節周辺の筋肉を切り離し、関節に加わる力の軽減を図る簡単な筋離開術から、荷重面積の増加を目的とする骨切り術、股関節形成術や股関節を全部人工のものと置き換える人工関節置換術などがとられます。また、片側のみを発症した比較的若い人で、立ち仕事や重労働をしなければならない場合には、股関節をよい角度で固定する関節固定術もとられます。
変形性股関節症の本態から考えてみても、進行を食い止めることはできません。しかし、股関節にかかる負担を軽くすることで、進行のスピードを遅らせたり、痛みなどの症状の改善を得ることができます。つえを使うほか、筋力を強化すること、太っている人は管理栄養士による食事指導と運動処方によって体重を減らすことが、やはり股関節への負担を軽減することになります。
たとえ自覚症状には変化がなくても、数カ月から半年くらいに1度は、必ず医師の診察を受け、病態を把握しておくことも必要です。
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■用語 変形性肘関節症 [用語(へ)]
肘の関節内の軟骨が擦り減ったり、骨の変形が生じたりして、痛みが起こる疾患
変形性肘(ちゅう)関節症とは、長年の使用や肘(ひじ)に繰り返される過度の負担によって、肘の関節内の軟骨が擦り減ったり、骨の変形が生じたりする疾患。
肘の関節は上腕骨と橈(とう)骨と尺(しゃく)骨という3骨の間に生じた複関節であり、その周りは靭帯(じんたい)や腱(けん)などによって支えられています。関節を形成している骨の先端は、関節軟骨に覆われており、骨にかかる衝撃を和らげるクッションのような役割を果たしています。
変形性肘関節症を発症すると、肘の関節の軟骨部分が擦り減って、肘に変形や痛みなどが起こってきます。
中には、骨折、脱臼(だっきゅう)などの外傷後や血友病、先天異常などに伴って起こるものもありますが、ほとんどは、肘の長年にわたる使いすぎが原因で起こります。そのため、変形性肘関節症は中高年に多く、しかもその大半が大工などの仕事や、野球などの激しいスポーツで、肘を酷使し続けてきた人たちに起こります。
左右両方の肘の関節に起こることもありますが、一般には利き腕側の肘に発症することが多いようです。
肘の酷使によって、骨の軟骨部分が擦り減ると、硬い骨同士が直接接触することになり、関節の安定性が悪くなります。さらに、骨と骨とが擦れ合うため、骨の端には骨棘(こっきょく)という骨のとげができてきます。また、骨の一部がはがれ、その欠けらが関節遊離体(関節ねずみ)となって、関節内を移動する場合もあります。こうした骨棘や関節遊離体が、肘の関節の障害を引き起こす原因になります。
変形性肘関節症を発症すると、関節の変形に伴って、肘の痛みが、徐々に現れてきます。しかし、肘の関節には体重があまりかからないため、肘を使わなければ痛むことはあまりなく、主に仕事やスポーツなどで肘を使った後に痛みが起こります。
放置していると、肘の関節の変形が進み、肘を十分に曲げ伸ばしすることが難しくなってきます。そのため、洗顔や食事、衣服の着脱などの日常生活に支障を来すようになります。
また、肘の変形や骨棘、関節遊離体などによって、肘の内側の皮膚表面近くを通る尺骨神経が障害される肘部管(ちゅうぶかん)症候群が引き起こされる場合もあります。
肘部管症候群を併発すると、小指と小指側の薬指半分がしびれたり、触った感じが鈍くなったりし、それに引き続いて、手の筋肉の委縮や握力の低下などが起こってきます。こうした指のしびれや手の筋肉の委縮によって、異常に気が付く場合もあります。
肘の関節に痛みがあり、反対側の肘と比べて動きが悪く日常生活に支障がある場合や、手にしびれがある場合には、変形性肘関節症の可能性もあるため、整形外科を受診することが勧められます。
変形性肘関節症の検査と診断と治療
整形外科の医師による診断では、肘の動きや痛みの部位の診察と、X線(レントゲン)検査を行います。X線検査では、ひじを前後方向と側方向から撮影し、関節軟骨の擦り減り、骨棘、関節内遊離体がないかなどを調べます。骨棘、関節内遊離体の位置、大きさなどを把握するには、CT(コンピューター断層撮影)検査が有用です。
また、手や指を筆や針で刺激して感覚障害の有無を調べ、肘部管症候群を鑑別します。握力測定を行って握力が低下していれば、肘部管症候群を起こしている可能性が高くなります。
整形外科の医師による治療では、まずは痛みに対して安静、ホットパックや電気治療などの理学療法、湿布や痛み止めの内服薬を用いた保存的治療を行います。
関節の動きが悪く、肘を曲げて口に手が届かない、トイレの始末ができないなど日常生活での支障がある場合には、直視下での切開または関節鏡を用いて、関節の動きをじゃましている関節内の骨棘、関節内遊離体の切除を行う関節形成術を行います。
変形と痛みが強い場合には、人工関節で関節を置き換える手術も行います。 神経の症状がある場合には、尺骨神経への圧迫を取り除く手術を行います。
手術後は、無理をすると再び変形性肘関節症が進行し出す場合もあるので、肘を酷使しないようにすることが大切です。また、肘の関節にかかる負担を軽くするために、事前に医師と相談の上、腕の筋力アップを図ったり、肘の動きをよくするための運動を積極的に行うことも大切です。
変形性肘(ちゅう)関節症とは、長年の使用や肘(ひじ)に繰り返される過度の負担によって、肘の関節内の軟骨が擦り減ったり、骨の変形が生じたりする疾患。
肘の関節は上腕骨と橈(とう)骨と尺(しゃく)骨という3骨の間に生じた複関節であり、その周りは靭帯(じんたい)や腱(けん)などによって支えられています。関節を形成している骨の先端は、関節軟骨に覆われており、骨にかかる衝撃を和らげるクッションのような役割を果たしています。
変形性肘関節症を発症すると、肘の関節の軟骨部分が擦り減って、肘に変形や痛みなどが起こってきます。
中には、骨折、脱臼(だっきゅう)などの外傷後や血友病、先天異常などに伴って起こるものもありますが、ほとんどは、肘の長年にわたる使いすぎが原因で起こります。そのため、変形性肘関節症は中高年に多く、しかもその大半が大工などの仕事や、野球などの激しいスポーツで、肘を酷使し続けてきた人たちに起こります。
左右両方の肘の関節に起こることもありますが、一般には利き腕側の肘に発症することが多いようです。
肘の酷使によって、骨の軟骨部分が擦り減ると、硬い骨同士が直接接触することになり、関節の安定性が悪くなります。さらに、骨と骨とが擦れ合うため、骨の端には骨棘(こっきょく)という骨のとげができてきます。また、骨の一部がはがれ、その欠けらが関節遊離体(関節ねずみ)となって、関節内を移動する場合もあります。こうした骨棘や関節遊離体が、肘の関節の障害を引き起こす原因になります。
変形性肘関節症を発症すると、関節の変形に伴って、肘の痛みが、徐々に現れてきます。しかし、肘の関節には体重があまりかからないため、肘を使わなければ痛むことはあまりなく、主に仕事やスポーツなどで肘を使った後に痛みが起こります。
放置していると、肘の関節の変形が進み、肘を十分に曲げ伸ばしすることが難しくなってきます。そのため、洗顔や食事、衣服の着脱などの日常生活に支障を来すようになります。
また、肘の変形や骨棘、関節遊離体などによって、肘の内側の皮膚表面近くを通る尺骨神経が障害される肘部管(ちゅうぶかん)症候群が引き起こされる場合もあります。
肘部管症候群を併発すると、小指と小指側の薬指半分がしびれたり、触った感じが鈍くなったりし、それに引き続いて、手の筋肉の委縮や握力の低下などが起こってきます。こうした指のしびれや手の筋肉の委縮によって、異常に気が付く場合もあります。
肘の関節に痛みがあり、反対側の肘と比べて動きが悪く日常生活に支障がある場合や、手にしびれがある場合には、変形性肘関節症の可能性もあるため、整形外科を受診することが勧められます。
変形性肘関節症の検査と診断と治療
整形外科の医師による診断では、肘の動きや痛みの部位の診察と、X線(レントゲン)検査を行います。X線検査では、ひじを前後方向と側方向から撮影し、関節軟骨の擦り減り、骨棘、関節内遊離体がないかなどを調べます。骨棘、関節内遊離体の位置、大きさなどを把握するには、CT(コンピューター断層撮影)検査が有用です。
また、手や指を筆や針で刺激して感覚障害の有無を調べ、肘部管症候群を鑑別します。握力測定を行って握力が低下していれば、肘部管症候群を起こしている可能性が高くなります。
整形外科の医師による治療では、まずは痛みに対して安静、ホットパックや電気治療などの理学療法、湿布や痛み止めの内服薬を用いた保存的治療を行います。
関節の動きが悪く、肘を曲げて口に手が届かない、トイレの始末ができないなど日常生活での支障がある場合には、直視下での切開または関節鏡を用いて、関節の動きをじゃましている関節内の骨棘、関節内遊離体の切除を行う関節形成術を行います。
変形と痛みが強い場合には、人工関節で関節を置き換える手術も行います。 神経の症状がある場合には、尺骨神経への圧迫を取り除く手術を行います。
手術後は、無理をすると再び変形性肘関節症が進行し出す場合もあるので、肘を酷使しないようにすることが大切です。また、肘の関節にかかる負担を軽くするために、事前に医師と相談の上、腕の筋力アップを図ったり、肘の動きをよくするための運動を積極的に行うことも大切です。
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■用語 変形性足関節症 [用語(へ)]
足首の関節の軟骨が擦り減ったり、骨の変形が生じたりする疾患
変形性足(そく)関節症とは、長年の使用による老化や、過度の負担、外傷などによって、足関節の軟骨が擦り減ったり、骨の変形が生じたりする疾患。
変形性関節症が足関節、すなわち足首の関節に起こったものですが、股(こ)関節や膝(しつ)関節に起こる変形性関節症に比べると、まれな疾患です。
関節の軟骨は、関節の骨の表面を覆っている厚さ2~7ミリ程度の層で、正常では透明感のある白色に輝いていて、表面は非常に滑らかですべすべしています。水を含んだスポンジのように、関節の水分を吸ったり出したりすることで、体重の負担を分散するクッションとして、その衝撃を軽くしています。また、関節軟骨同士の接触面は、摩擦による抵抗が非常に少なくなっています。関節軟骨の内容は、プロテオグリカン、コラーゲン、水からなっています。
しかし、中高年になると筋力が低下し、その筋力でカバーできない負担が継続的に掛かる仕事や、瞬間的に大きな負担がかかるスポーツなどで、関節軟骨が衝撃を吸収しきれなくなると傷んでしまいます。関節軟骨はその構造上、表面がいったん傷んでくると、元に戻りにくく、だんだん擦り減って悪くなる傾向があります。
変形性股関節症や変形性膝関節症の場合は老化で起きる割合が高いのですが、変形性足関節症の場合は老化によるものは1〜2割。大半は、過去の骨折や捻挫(ねんざ)などの外傷が原因となって、長い年月を経て徐々に足首の関節の軟骨に変形が生じ、障害が起こるものです。
足関節の骨折や捻挫の後の靱帯(じんたい)損傷、関節の不安定、関節面の不整、関節の中の骨片(こっぺん)、骨棘(こっきょく)と呼ばれる骨の突出、化膿(かのう)性関節炎、骨壊死(えし)などが原因となって起こることもあります。骨折や捻挫などの治療を中途半端にして放置しないことが、重要です。
症状としては、歩き始め、階段の昇降、長時間の歩行や立ち仕事の後に、足首の痛みが起こります。徐々に足首のはれや変形が起こり、動きが制限され、正座や坂道での歩行が不自由になります。
ひどくなると、足首の関節の軟骨が消失して、骨と骨が直接こすれ合うようになり、痛みや機能障害が増大していきます。片側の足首の関節だけに発症することもありますが、両側性のこともあります。
足首の関節の痛みやはれ、正座ができないなどの症状が長引くようであれば、変形性足関節症の可能性もありますので、整形外科の受診が勧められます。
変形性足関節症の検査と診断と治療
整形外科の医師による診断では、歩行状態、足関節の変形、はれや痛みの部位、動きなどの診察と、X線(レントゲン)検査を行います。X線検査では、軟骨が擦り減って足関節の間が狭くなっていたり、骨棘ができていたり、足関節の軟骨が完全になくなっていたりするのが確認されます。
整形外科の医師による治療では、まずは痛みに対して安静、足首への荷重を変えて痛みを軽減する足底装具、足関節サポーター、湿布、塗り薬、痛み止めの内服薬、温熱療法、理学療法などを用いた保存的治療を行います。
炎症と痛みを和らげるために、局所麻酔剤とステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)の関節内注射を行うこともあります。
進行を抑えるため、体重の増加を防ぐことや、足首に負担がかかる無理な運動を控えることも大切です。
足関節に重度の変形があり、歩行困難など日常生活に支障がある場合には、手術による治療が必要となります。手術では、原因や症状、年齢、性別、活動性などを考慮して、適切な術式を選択します。
足関節の中に擦り減った軟骨の骨片がある場合は、関節鏡という内視鏡を使って摘出します。捻挫を繰り返したことが原因の靱帯損傷によって、足関節がひどく不安定な場合は、足関節外側靱帯の再建術を行います。
また、主に若年の人に対しては、足関節の機能を温存する骨切り術や関節牽引(けんいん)形成術を行います。主に中年以降の人に対しては、長期にわたって痛みを確実に取り除く足関節固定術や人工足関節置換術を行います。
骨切り術では、斜めに足関節の骨を切り、広げた透き間に骨盤からの骨を移植します。足関節の安定性が得られ、痛みは軽減し、足首の動きが残ります。
関節牽引形成術では、創外固定器と呼ばれる器具を足に装着して牽引し、足関節の透き間を作ります。手術後は、器具を装着したまま、足首を動かす練習をすることで、足関節が再生する可能性があります。痛みも軽減することが多く、足首の動きも残ります。
足関節固定術では、痛んだ足関節の軟骨を削り、足関節が動かなくなるように固定します。痛みは軽快しますが、足首の動きがなくなります。
人工足関節置換術では、痛んだ足関節の軟骨を削り、人工の関節を挿入します。痛みが軽快し、足首の動きも残ります。しかし、骨の質が十分で、靭帯のバランスがよいなど、この手術ができる人はかなり限られています。
変形性足(そく)関節症とは、長年の使用による老化や、過度の負担、外傷などによって、足関節の軟骨が擦り減ったり、骨の変形が生じたりする疾患。
変形性関節症が足関節、すなわち足首の関節に起こったものですが、股(こ)関節や膝(しつ)関節に起こる変形性関節症に比べると、まれな疾患です。
関節の軟骨は、関節の骨の表面を覆っている厚さ2~7ミリ程度の層で、正常では透明感のある白色に輝いていて、表面は非常に滑らかですべすべしています。水を含んだスポンジのように、関節の水分を吸ったり出したりすることで、体重の負担を分散するクッションとして、その衝撃を軽くしています。また、関節軟骨同士の接触面は、摩擦による抵抗が非常に少なくなっています。関節軟骨の内容は、プロテオグリカン、コラーゲン、水からなっています。
しかし、中高年になると筋力が低下し、その筋力でカバーできない負担が継続的に掛かる仕事や、瞬間的に大きな負担がかかるスポーツなどで、関節軟骨が衝撃を吸収しきれなくなると傷んでしまいます。関節軟骨はその構造上、表面がいったん傷んでくると、元に戻りにくく、だんだん擦り減って悪くなる傾向があります。
変形性股関節症や変形性膝関節症の場合は老化で起きる割合が高いのですが、変形性足関節症の場合は老化によるものは1〜2割。大半は、過去の骨折や捻挫(ねんざ)などの外傷が原因となって、長い年月を経て徐々に足首の関節の軟骨に変形が生じ、障害が起こるものです。
足関節の骨折や捻挫の後の靱帯(じんたい)損傷、関節の不安定、関節面の不整、関節の中の骨片(こっぺん)、骨棘(こっきょく)と呼ばれる骨の突出、化膿(かのう)性関節炎、骨壊死(えし)などが原因となって起こることもあります。骨折や捻挫などの治療を中途半端にして放置しないことが、重要です。
症状としては、歩き始め、階段の昇降、長時間の歩行や立ち仕事の後に、足首の痛みが起こります。徐々に足首のはれや変形が起こり、動きが制限され、正座や坂道での歩行が不自由になります。
ひどくなると、足首の関節の軟骨が消失して、骨と骨が直接こすれ合うようになり、痛みや機能障害が増大していきます。片側の足首の関節だけに発症することもありますが、両側性のこともあります。
足首の関節の痛みやはれ、正座ができないなどの症状が長引くようであれば、変形性足関節症の可能性もありますので、整形外科の受診が勧められます。
変形性足関節症の検査と診断と治療
整形外科の医師による診断では、歩行状態、足関節の変形、はれや痛みの部位、動きなどの診察と、X線(レントゲン)検査を行います。X線検査では、軟骨が擦り減って足関節の間が狭くなっていたり、骨棘ができていたり、足関節の軟骨が完全になくなっていたりするのが確認されます。
整形外科の医師による治療では、まずは痛みに対して安静、足首への荷重を変えて痛みを軽減する足底装具、足関節サポーター、湿布、塗り薬、痛み止めの内服薬、温熱療法、理学療法などを用いた保存的治療を行います。
炎症と痛みを和らげるために、局所麻酔剤とステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)の関節内注射を行うこともあります。
進行を抑えるため、体重の増加を防ぐことや、足首に負担がかかる無理な運動を控えることも大切です。
足関節に重度の変形があり、歩行困難など日常生活に支障がある場合には、手術による治療が必要となります。手術では、原因や症状、年齢、性別、活動性などを考慮して、適切な術式を選択します。
足関節の中に擦り減った軟骨の骨片がある場合は、関節鏡という内視鏡を使って摘出します。捻挫を繰り返したことが原因の靱帯損傷によって、足関節がひどく不安定な場合は、足関節外側靱帯の再建術を行います。
また、主に若年の人に対しては、足関節の機能を温存する骨切り術や関節牽引(けんいん)形成術を行います。主に中年以降の人に対しては、長期にわたって痛みを確実に取り除く足関節固定術や人工足関節置換術を行います。
骨切り術では、斜めに足関節の骨を切り、広げた透き間に骨盤からの骨を移植します。足関節の安定性が得られ、痛みは軽減し、足首の動きが残ります。
関節牽引形成術では、創外固定器と呼ばれる器具を足に装着して牽引し、足関節の透き間を作ります。手術後は、器具を装着したまま、足首を動かす練習をすることで、足関節が再生する可能性があります。痛みも軽減することが多く、足首の動きも残ります。
足関節固定術では、痛んだ足関節の軟骨を削り、足関節が動かなくなるように固定します。痛みは軽快しますが、足首の動きがなくなります。
人工足関節置換術では、痛んだ足関節の軟骨を削り、人工の関節を挿入します。痛みが軽快し、足首の動きも残ります。しかし、骨の質が十分で、靭帯のバランスがよいなど、この手術ができる人はかなり限られています。
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