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■iPS細胞で無精子症の雄マウスから子が誕生 京大が正常な精子を作製 [健康ダイジェスト]

 性染色体の異常で起きる「無精子症」の雄マウスのiPS細胞(人工多能性幹細胞)から精子を作り、通常の卵子と体外受精させて、異常のない子を誕生させることに成功したと、京都大学大学院医学研究科やイギリスの研究所などの共同研究チームが17日、発表しました。
 不妊の治療法開発の可能性を示す成果で、論文がアメリカの科学誌「サイエンス」オンライン版で公開されました。
 一般的に哺乳類の性染色体は2本で、雄がXY、雌がXXという型をしています。ただ、まれにXXYやXYYといった3本の性染色体を持つ雄が生まれ、精子が作れず、子供ができません。
 共同研究チームは今回、3本の性染色体を持つ無精子症の雄マウスを作製。この雄マウスからiPS細胞を作ると12%程度、余分な1本が抜け落ち、正常な性染色体XYを持った細胞ができたため、精子のもとになる生殖細胞に変化させました。
 この生殖細胞を、自身の精子は作れないようにした別の雄マウスの精巣に移植すると精子に変化し、通常の雌マウスの卵子と体外受精させると、子が誕生しました。生まれた子の性染色体は、通常の2本でした。
 さらに共同研究チームは、性染色体にXが一つ多く、男性の500~1000人に1人の割合で発症する「クラインフェルター症候群」の人から細胞を採取してiPS細胞にすると、数%の細胞で異常がなくなっていました。21番染色体に異常のあるダウン症の人の細胞からも、異常のないiPS細胞ができました。
 京都大学大学院医学研究科の斎藤通紀(みちのり)教授(細胞生物学)は、「iPS細胞の作製過程における細胞が初期化する段階で遺伝子全体にストレスがかかり、余分な染色体が欠落するのではないか。染色体や遺伝子異常が原因の不妊の治療法開発につながる可能性がある」としています。

 2017年8月19日(土)

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