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■難病のクローン病に羊膜由来の幹細胞を投与、11月にも治験開始へ 北大と兵庫医大 [健康ダイジェスト]

 大腸や小腸などの消化管に慢性の炎症が起きる難病のクローン病の患者に、胎児を包む羊膜から採取した幹細胞を投与する再生医療の臨床試験(治験)を、北海道大学と兵庫医科大学が11月にも開始します。
 薬が効かない患者の症状改善を期待しています。再生医療製品として5年後の製造販売承認を取得することを目指します。
 対象は、大腸に炎症があり、既存の薬が効かないクローン病の患者。北大病院で第三者が出産した際に提供された羊膜から、炎症を抑える作用がある「間葉系幹細胞」を抽出して培養し、北大、兵庫医大病院で患者に点滴します。2年間で最大12人に実施、投与1年後まで経過を見守ります。9月に、治験計画を北大の倫理委員会に申請します。
 北大の大西俊介准教授(消化器内科)の研究チームは、腸に炎症を起こしたラットに人の羊膜由来の間葉系幹細胞を注射したところ、炎症抑制などの効果を確認しました。
 羊膜由来の間葉系幹細胞は、妊婦の羊膜に存在する未分化の細胞で、筋肉、骨、軟骨、脂肪など間葉系に属するさまざまな細胞に分化する能力や自己複製の能力を持ち、免疫抑制作用があります。また、増殖性が高く、拒絶反応が起こりにくいため、他人に移植しやすく、羊膜は出産後不要となり倫理的にも問題となりにくいといった特長があります。
 大西准教授は、「羊膜には間葉系幹細胞が豊富にあり、効果が望める」と話しています。
 国立がん研究センター研究所の落谷孝広・分子細胞治療研究分野長は、「間葉系幹細胞が炎症を抑える仕組みには不明な点もあり、治験で明らかになるのを期待したい」と話しています。
 クローン病は、主に小腸や大腸に炎症や潰瘍が起きます。10歳代後半から30歳代前半に発症することが多く、国内患者は約4万人。原因は不明で根本的な治療法はありませんが、食生活の欧米化によって日本でも発症者数が増えていることから、食物中の物質や微生物が抗原となって異常反応を引き起こすことが原因の1つと考えられています。いわゆる難病として厚生労働省特定疾患に指定されており、申請すると医療費の補助が受けられます。

 2017年8月21日(月)

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■O157で埼玉県の5歳女児重体、2人も重症 総菜店のポテトサラダが原因 [健康ダイジェスト]

 埼玉県は21日、同県熊谷市のスーパー「食彩館マルシェ籠原店」に入る総菜店「でりしゃす籠原店」で買ったポテトサラダを食べた8人が腸管出血性大腸菌O157に感染し、うち女児(5歳)が溶血性尿毒症症候群(HUS)で意識不明の重体、男児(4歳)と女性(60歳)が重症になったと発表しました。
 現在も3人が入院中で、退院のめどは立っていません。
 埼玉県によると、ポテトサラダは、でりしゃす籠原店が県外の食品加工工場から仕入れ、ハムやリンゴを混ぜて販売していました。熊谷保健所は、同店を21日から3日間の営業停止処分としました。原因となった食材や、ポテトサラダの流通経路などを調べています。
 男児が入院した病院のある群馬県から14日、「群馬県内の医療機関に入院中の埼玉県内在住の患者からO157が検出された」と連絡があり、熊谷保健所が調べていました。
 7日に販売された「ハムいっぱいポテトサラダ」と、8日に販売された「リンゴいっぱいポテトサラダ」を食べた埼玉県内居住の4~60歳の8人(男性4人、女性4人)が腹痛や下痢などの症状を訴えたことがわかりました。うち7〜12歳の子供3人も下痢などの症状で一時入院しましたが、すでに退院しています。
 食彩館マルシェ籠原店と、でりしゃす籠原店を経営するフレッシュコーポレーション(群馬県太田市)によると、ほかの店舗で食中毒の訴えはありません。同社は、「発症された皆様とそのご家族の方々、また日ごろよりご利用いただいているお客様や関係者皆様に、多大なご迷惑とご心配をおかけいたしましたこと、心より深くお詫び申し上げます」とするコメントを発表しました。
 O157は、腸管出血性大腸菌の一種で、少量でも食中毒の原因となります。発熱や下痢、血便を引き起こし、溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症を併発して死亡することもあります。生または加熱が不十分な肉、野菜など幅広い食品で感染例があります。
 1982年、アメリカでハンバーガーによる集団食中毒が世界で初めて発生し、その後、世界各地で報告されました。日本では1990年、埼玉県浦和市(当時)の幼稚園で、井戸水汚染により2人が死亡したのが最初。1996年には全国で爆発的発生がみられ、特に大阪府堺市では小学校給食がO157に汚染したため、9000人以上が発症し、3人が死亡しました。

 2017年8月21日(月)

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