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■マダニ媒介の感染症SFTSの発症者64人 統計がある5年間で最多に [健康ダイジェスト]

 国立感染症研究所は、マダニが媒介する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を発症したという報告数が今月6日までに64人を数え、統計があるここ5年間で最も多くなっていることを公表しました。
 SFTSは主に、原因となるSFTSウイルスを持つマダニにかまれることで感染し、発熱や下痢などの症状が起きて、国内での致死率は約20%に上っています。
 国立感染症研究所によりますと、SFTSを発症したとして全国から寄せられた今年の報告数は、8月6日までに64人と、統計をとっているここ5年間で、最も多かった2014年の61人をすでに上回っていることがわかりました。
 都道府県別では、長崎県で10人と最も多く、次いで山口県と宮崎県で9人、鹿児島県で8人などと九州や中国地方で多く、西日本を中心に17府県から報告されています。このうち、大阪府と福井県では今年初めて患者が報告されました。
 報告数が最も多くなったことについて、国立感染症研究所の西條政幸部長は「SFTSへの認識が広がり、感染を疑うケースが増えたことが背景にあるとみられる。一方で、マダニが増えている可能性もあり、11月ころまでは草むらや林の中に入る時に長袖と長ズボンを着用するなど対策は十分にしてほしい」と話しています。
 SFTSとは主に、原因となるSFTSウイルスを持ったマダニにかまれることで感染します。SFTSは、6日から2週間の潜伏期間の後、発熱やせき、それにおう吐や下痢など、風邪のような症状が現れ、重症の場合は、血液中の血小板が減少して出血が止まらなくなったり、腎臓の機能が低下したりして死亡することがあるとされています。対症療法のみでワクチンなど有効な治療法はありません。
 感染を媒介するマダニはフタトゲチマダニやオウシマダニなどで、主に屋外の草むらや畑、森の中などに生息しており、農作業中や山の中を歩いている時にかまれることがあるとされています。食品に発生するコナダニや衣類や寝具に発生するヒョウヒダニなどの家庭にいるダニとは種類が異なり、こうしたダニでSFTSに感染することはありません。
 2011年に中国でウイルスが特定され、新しく見付かった感染症で、国内では2012年の秋に山口県内で死亡した女性が初めて確認された感染例で、その後、西日本を中心に毎年、患者が報告されています。
 国立感染症研究所によりますと、SFTSは西日本で認識が広がり医療機関で感染を疑うケースが増えたため、報告される件数が増加する傾向にあるということです。一方で、国立感染症研究所などの調査では、ウイルスを持ったマダニは青森県以南の東日本にもいることがわかっており、感染者が東日本にいないとはいい切れないとしています。
 また、マダニだけではなく、動物から人に感染したとみられる例もあります。昨年夏ごろに感染したとみられる野良猫にかみつかれた西日本在住の50歳代の女性がSFTSを発症して死亡した例が報告されており、国立感染症研究所はペットの犬や猫も感染しないよう気を付けてほしいとしています。

 2017年8月15日(火)

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■RSウイルス感染症の患者4934人で昨年の5倍に 夏に異例の流行入り [健康ダイジェスト]

 乳幼児に重い肺炎などを引き起こす一因になり、通常は冬を中心に流行する「RSウイルス感染症」の患者が大幅に増加し、7月31日から8月6日までの1週間の患者数が昨年同時期の約5倍となっていることが15日、国立感染症研究所の調べで明らかになりました。
 RSウイルス感染症は、発熱やせきなど風邪に似た呼吸器症状を起こす病気で、初めて感染した乳幼児や高齢者を中心に気管支炎や肺炎を起こしやすくなります。生後6カ月以内の乳児や早産児、慢性肺疾患や先天性心疾患などの基礎疾患を持っている乳幼児は重症化しやすいとされ、さらに生後4週未満では突然死(乳幼児突然死症候群)につながる無呼吸が起きやすく、注意が必要です。
 例年、秋から冬に患者が増え、夏期は患者が少ない状態が続いていましたが、近年、7月ころから増加傾向がみられるなど、流行の立ち上がりが早まってきている傾向がみられています。今年はすでに流行期に入っているとみられ、専門家は注意を呼び掛けています。
 全国約3000カ所の小児科定点医療機関からの報告によると、今年の7月31日から8月6日までの第31週の患者数は4934人で、昨年同時期の1082人を大幅に上回りました。
 都道府県別では、東京都(583人)、神奈川県(519人)、大阪府(400人)、福岡県(374人)など人口の多い大都市圏のほかに、岩手県(100人)や福島県(189人)、新潟県(152人)などで患者が目立ちました。
 RSウイルスの付いた物を触ったり、せき、くしゃみなどの飛まつを吸い込んだりして移ります。RSウイルス感染症は治療薬などがなく、予防が中心。
 国立感染症研究所の木村博一室長は、「今年は春から患者数が多かったが、今の水準を考えると、前倒しで流行が始まっていると考えられる。大都市圏でも、特定の保健所の管内で突出して多いところがあり、感染の拡大に注意が必要だ」として、マスクの着用や手洗いなどの対策を徹底するよう呼び掛けています。

 2017年8月15日(火)

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■保険外診療での、がん遺伝子治療でトラブル相次ぐ 学会が患者や家族に注意喚起 [健康ダイジェスト]

 がん細胞の増殖を防ぐとされる抑制遺伝子を注入する国内未承認の「がん遺伝子治療」を行うクリニックで、期待した効果を得られなかったとする患者側とのトラブルが相次いでいます。
 効果や安全性が立証されないまま、保険適用外の高額な自由診療で実施するクリニックが問題となっており、日本遺伝子細胞治療学会(東京都港区)が患者や家族に注意を喚起するとともに、国に対策を求めています。
 東京都内のクリニックでがん遺伝子治療を受け、その後に亡くなった男性患者の妻(49歳)は「生きられると喜んでいた夫は、裏切られた思いに突き落とされました」と話しています。男性は2014年6月、舌がんが再発し、入院先の大学病院で余命半年と告げられたといいます。息子が何か治療法はないかとインターネットで探し、クリニックを見付けました。面談した妻に、クリニックの院長(当時)は「ここで命が助かります。遺伝子が変異した状態では抗がん剤や放射線は効かないので、すぐに中止してください」などと説明しました。
 男性は大学病院での治療を中止。がんを抑える遺伝子が入っているとする点滴を8回受けましたが、大学病院での検査で、がんは逆に大きくなっていたことがわかりました。しかし、クリニックの院長はさらに点滴を促し、再点滴後に震えが止まらず、全身から汗が噴き出しました。疑念を持ち、それ以降の治療をやめましたが、すでに546万円の治療費を払っていました。その後、男性はがん専門病院に転院し、2014年9月に亡くなりました。
 2016年3月、妻は治療費や慰謝料など1150万円の損害賠償を求めて提訴し、クリニック側は訴えを全面的に受け入れました。「クリニックを見付けた息子や家族も傷付いた。同じ思いをする人が出ないように、正しい情報が行き渡ってほしい」と妻は訴えています。このクリニックはほかにも患者側との訴訟が2件ありましたが、いずれも和解しました。
 ほかにも多くのクリニックが、がん遺伝子治療の案内をホームページに掲載。東京都渋谷区のクリニックは、「代表的ながん抑制遺伝子であるp53、PTEN、p16とCDC6kdRNAを最も有効的なベクター(運び役)を用いて導入します。これらの治療タンパクは、点滴投与によって全身のがん細胞に効果を発揮します」と説明しています。
 日本遺伝子細胞治療学会には、がん遺伝子治療に関する相談が寄せられています。専門家などは、患者が治療に疑問を抱くとクリニックが治療費を返還することもあり、トラブルが表面化するのはごく一部とみています。
 日本遺伝子細胞治療学会の金田安史理事長は、「どのような治療が行われ、安全が確保されているのか不透明。有効性が立証されていない治療は制限されるべきだ」と話しています。
 がん遺伝子治療は、がん細胞の増殖を抑える遺伝子をベクター(運び役)となる体に無害なウイルスなどに入れて、体内に注入します。アメリカや中国、ロシア、フィリピンで医薬品として承認された遺伝子治療製剤はありますが、日本国内では千葉大学病院、九州大学病院、岡山大学病院などの研究機関で有効性を確認する臨床研究が進められている段階で、医薬品として承認された遺伝子治療製剤はありません。

 2017年8月15日(火)

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