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■群馬大病院の執刀医らの医療行為停止を要望へ 手術死の遺族らに謝罪なし [健康ダイジェスト]

 群馬大学医学部付属病院で手術後に患者が相次いで死亡した問題で、執刀医の須納瀬(すのせ)豊医師と、上司で旧第二外科診療科長の竹吉泉元教授による遺族への説明会が26日終了し、遺族会と弁護団が群馬県庁で記者会見しました。遺族会は「反省の色がない」とし、早ければ今週にも、2人に対し医療行為停止などの行政処分を求める要望書を厚生労働省に提出すると発表しました。
 説明会は7月30日に始まり、出席した8組の遺族に対する全体的な説明の後、計3日間で各遺族に対する個別説明が行われました。
 須納瀬医師(退職、懲戒解雇相当)や竹吉元教授(諭旨解雇)との直接の面会は、遺族と弁護団が求め続け、約2年越しで実現。そのこと自体は「高く評価する」としましたが、個々の診療行為や上司としての監督の在り方について明確な謝罪はなく、全体的な内容には「失望した」と遺族会代表が発言しています。
 遺族らによると、2人ともカルテの記載が不十分だったことだけは認めたものの、患者への説明や、 手術後の管理などには落ち度を認めず、当時の病院の体制ではできる限りの努力をしたという説明でした。
 弁護団の独自調査や日本外科学会による検証では、「手術が性急」「手術自体の意図が不明」などとした須納瀬医師の技術上の問題が指摘されていましたが、このことについては「元教授らはむしろ技術が高いという認識だった」と弁護団の梶浦明裕事務局長が発言しています。
 指摘されてきた問題点を認める姿勢がみられなかったことで、遺族会と弁護団は、「再発防止の観点から、行政処分を受けて再教育する必要がある」と判断しました。
 また、問題を認めて謝罪し、補償の意向を示している大学側とは今後、前向きに交渉を進めることを表明。刑事告訴についても、引き続き検討する意向を示しました。
 遺族会代表の30歳代男性は、「しっかりした謝罪があれば処分を求めたくはなかったが、執刀医や元教授の態度や発言から、そうせざるを得ないというのが遺族会の結論だ」と話しました。
 群馬大病院を巡っては、旧第二外科で肝臓の腹腔鏡(ふくくうきょう)手術を受けた患者8人が、術後約3カ月以内に死亡していたことが2014年に発覚しました。その後、肝臓や膵臓(すいぞう)の開腹手術でも、患者の死亡が相次いだことがわかり、外部有識者による事故調査委員会は昨年7月、カルテの記載や手術前のリスク評価などの不足を指摘し、診療体制が極めて脆弱(ぜいじゃく)だったなどとする報告書をまとめました。

 2017年8月28日(月)

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■成育医療研究センター、ES細胞で国内初の治験申請へ 肝臓病の乳児に移植 [健康ダイジェスト]

 国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)の研究チームが今年度、ES細胞(胚性幹細胞)から作製した肝細胞を、肝臓の病気の乳児に移植する医師主導の臨床試験(治験)を国に申請する方針であることが27日、明らかになりました。
 認められれば、再生医療で期待されてきたES細胞を使った国内初の臨床応用となり、2020年ころに再生医療用の肝細胞を製品化することを目指しています。
 ES細胞は、不妊治療で使われなかった受精卵の一部の細胞を取り出し、培養して作製します。無限に増える特徴を持ち、目的の細胞に変化させて患部に移植し、失った機能を回復させる再生医療に利用できます。
 治験は、生まれ付き肝臓で特定の酵素が働かないため、アンモニアが分解されず血中にたまる「高アンモニア血症」の乳児が対象。患者は国内で年間10人程度とみられ、意識障害や呼吸障害が起き、体重が6キロ程度になる生後3カ月以降なら肝臓移植で治療できる一方、その前に亡くなるケースがあります。
 成育医療研究センターの梅澤明弘研究所副所長や笠原群生(むれお)臓器移植センター長らは、作製済みのES細胞を正常な肝細胞に変え、生後数週間以内に数千万個を腹部から血管を通じて肝臓に送る計画。ES細胞由来の肝細胞がアンモニアを分解することで、容体を安定させ、数カ月後の肝臓移植につなげます。
 治験では、5人の乳児に実施し、血中のアンモニア濃度が適正に下がるか、肝細胞が肝臓に定着するかなどを調べます。肝細胞の製品化については、企業との連携を検討しています。
 ES細胞と同様にさまざまな細胞に変化できるiPS細胞(人工多能性幹細胞)は、人の皮膚や血液などの細胞に特殊な遺伝子を加えて作製します。受精卵を使わずに作製できるものの、品質にばらつきが出やすく選別が必要になります。
 海外では米英仏韓などで2010年以降、ES細胞を使う目の難病や糖尿病、脊髄損傷の治験が行われ、成育医療研究センターはES細胞のほうが安心して使えると判断し、これまでの研究の経験も踏まえ今回の治験を計画しました。倫理面などを審査する同センター内の審査委員会の承認は、すでに得ています。
 人間のES細胞は1998年にアメリカで初めて作製され、同じ万能細胞で2007年に日本で開発されたiPS細胞より長い歴史がありますが、国内では受精卵を使うことへの倫理的議論から、医療への応用は実施されていませんでした。成育医療研究センターの研究チームが治験を始めることで、これまで海外と比べて遅れてきたES細胞の再生医療への応用が大きな一歩を踏み出します。
 ES細胞を使う国内初の治験の計画に対し、小林英司・慶応大学特任教授(臓器再生医学)は、「製品化するには費用も課題となる。ES細胞を使っての効果などを分析し、さまざまな治療法の展開を考えていくことが重要」と話しています。

 2017年8月28日(月)

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■他人のiPS細胞の移植、遺伝子改変で拒絶反応回避に成功 京大が発表 [健康ダイジェスト]

 京都大学ウイルス・再生医科学研究所の河本宏教授(免疫学)らの研究チームは、他人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した組織を患者に移植する際に起こる拒絶反応を回避する手法を開発しました。iPS細胞の遺伝子を操作し、異物とみなして攻撃する免疫の働きを抑えます。
 備蓄したiPS細胞を利用した再生医療の進歩につながる研究成果で、論文がアメリカの科学誌「ステムセル・リポーツ」(電子版)に25日掲載されました。
 研究チームはiPS細胞から作った血管の細胞を使い、免疫細胞の一種で拒絶反応に関係するナチュラルキラー細胞(NK細胞)の働きを調べました。
 免疫細胞はタンパク質「HLA」を目印に自分の細胞と異物を見分けていますが、血管の細胞のHLAに「C1」と「C2」という遺伝子が含まれると、ナチュラルキラー細胞は異物と見なさないことがわかりました。C1だけだとナチュラルキラー細胞は攻撃しましたが、iPS細胞にC1、C2の両方を組み込むと、拒絶反応を回避できました。
 再生医療を受ける患者本人の細胞からiPS細胞を作製すると、拒絶反応は起きないものの、準備に時間がかかり費用もかさみます。このため、他人のiPS細胞を備蓄して必要な時に供給する体制づくりが進んでいます。現在はHLAのタイプを調べ、拒絶反応を起こしにくい特殊な免疫タイプの人から細胞の提供を受けています。
 河本教授は、「再生医療を進める上で大きな課題を解決できる一歩だ」と話しています。

 2017年8月28日(月)

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