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■新型コロナウイルス肺炎、中国の患者440人に増加 死者9人、重症102人 [健康ダイジェスト]

 中国で感染が拡大する新型のコロナウイルスによるとみられる肺炎について中国政府は、患者は440人に増え、死者は9人、症状が重い患者は102人に上ると発表しました。中国政府の専門家チームの医師も感染した疑いがあると伝えられ、医療従事者の感染の予防も課題になっています。
 中国の国家衛生健康委員会によりますと、21日までに感染が確認された患者は、武漢市を含む湖北省で375人、広東省で26人、北京市で10人、上海市で9人など合わせて440人に上り、前の日より100人以上増えています。このうち、死者は9人、症状が重い患者は102人に上るとしています。
 国家衛生健康委員会の李斌副主任は、感染拡大以来初めて開いた22日の記者会見で、「人から人への感染や医療従事者への感染が見られる」と述べ、「ウイルスは変異する可能性がある」として感染がさらに拡大するリスクがあると指摘しました。
 また、国営の中国中央テレビは中国政府の肺炎対策の専門家チームの一員で、武漢市を訪れた北京大学の男性医師1人も感染した疑いがあると伝えました。
 この医師は、2003年に新型肺炎「SARS」が流行した際にも第一線で対応に当たった医師だということです。
 国家衛生健康委員会の幹部は記者会見で、院内感染の予防措置に不十分な点があることを認め、今後、より厳格な対策をとっていく考えを示しました。
 中国では24日から旧正月の「春節」にあわせた大型連休が始まり、大勢の人が移動するだけに、中国政府は国を挙げて感染拡大の阻止に取り組むとしています。

 2020年1月22日(水)




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■新型コロナウイルス肺炎、タイで新たに2人が感染 タイ人は初めて [健康ダイジェスト]

 中国で新型のコロナウイルスによるものとみられる肺炎の感染が広がっている問題で、タイ保健省は22日、新たに2人の感染が国内で確認されたと発表しました。このうち1人は中国の武漢市を訪れていたタイ人の女性で、タイ人の感染が確認されたのは初めてです。
 タイ保健省によりますと、新たに感染が確認されたのは73歳のタイ人の女性と、68歳の中国人観光客の男性です。タイで感染が確認されたのはこれで4人となり、タイ人の感染が確認されたのは初めてです。
 タイ人の女性は昨年12月、中国の武漢市を訪れて、タイに帰国した後に発熱などの症状を訴えて1月15日に医療機関を受診し、検査の結果、22日までに新型のコロナウイルスに感染していることが確認されたということです。
 また、中国人観光客の男性は1月19日、武漢市から旅行でタイを訪れ、空港で発熱があったことから医療機関に搬送され、感染が確認されたということです。
 タイでは旧正月の大型連休の時期に中国人旅行客が増えることから、当局は空港での水際対策を徹底することにしています。

 2020年1月22日(水)




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■新型コロナウイルス肺炎、アメリカでも初の感染者確認 中国・武漢から帰国した男性 [健康ダイジェスト]

 中国で新型のコロナウイルスによるものとみられる肺炎の感染が広がっている問題で、アメリカの疾病対策センター(CDC)は21日、北西部ワシントン州に住む男性から新型のコロナウイルスが確認されたと発表しました。アメリカで感染が確認されるのは初めてで、CDCは検疫態勢を強化する空港を増やして、感染の拡大を防ぐとしています。
 CDCなどによりますと、アメリカ初の感染者となったのはワシントン州シアトル近郊在住の30歳代の男性。1月15日に中国・武漢市から帰国し、体調不良で医療機関を受診しました。
 その結果、症状や旅行歴などから新型コロナウイルスの感染が疑われたため、詳しく検査をしたところ、感染が確認されました。
 男性は現在、同州内の医療機関で隔離されて治療を受けており、状態は安定しているということです。
 CDCは旧正月の「春節」の連休にあわせて中国からの旅行客が増えるのを前に、ニューヨークやサンフランシスコ、ロサンゼルスの3つの空港に加えて、新たにシカゴとアトランタの空港でも中国からの乗客に対する検疫態勢を強化することにしています。

 2020年1月22日(水)




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■海の中で分解される新レジ袋を開発 半年以内に9割以上が水と二酸化炭素に [健康ダイジェスト]

 プラスチックごみによる海洋汚染が課題となる中、植物由来の樹脂で作られ、海の中でも分解されるレジ袋を愛媛県四国中央市の企業が新たに開発し、今年7月にも販売を始めることになりました。
 このレジ袋は四国中央市にある国内最大手のレジ袋メーカー「福助工業」が群馬大学と共同で開発し、サトウキビやトウモロコシなど植物由来の樹脂が原料に使われています。
 スーパーなどで配られる標準的なサイズで、重さ8キロの荷物を詰めて運べる強度を有し、海の中ではバクテリアによって180日以内に袋の9割以上が水と二酸化炭素に分解されます。
 素材の配合割合や成形加工に独自のノウハウが使われ、現在、ベルギーの認証機関に海洋生分解の製品として申請しています。
 認証されれば、海の中でも分解されるレジ袋としては世界で初めてだということです。
 早ければ、全国の小売店でレジ袋の有料化が義務付けられる7月にも販売を始めることにしており、価格は従来のレジ袋の7倍から10倍ほどしますが、すでに複数の企業から引き合いがあるということです。
 福助工業の大野輝幸・営業業務部長は、「海洋汚染対策に貢献し、経営面でも恩恵も受けられるのではないかと期待している」と話しています。

 2020年1月22日(水)




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■用語 サーモンパッチ [用語(さ)]

[黒ハート]新生児に多くみられ、額の中央、上まぶたなど顔の中央に近い部分に現れるあざ
 サーモンパッチとは、額の中央、上まぶた、上唇、鼻背など顔の中央に近い部分に現れる、紅鮭(べにざけ)の赤身に似た淡紅色ないし暗赤色のあざ。正中部母斑(ぼはん)とも呼ばれます。
 生まれた時からあり、多くは帯状や逆三角形の形をしており、平らで濃淡のむらは少なく、境界線は不明瞭です。新生児の20〜40パーセントに現れると見なされています。
 圧迫すると一時的に色が消えることが特徴で、新生児が力んだり、泣いたりすると、色が濃くなることがあります。
 生後6カ月くらいで薄くなり、上まぶたにあるサーモンパッチの大部分は、1歳ごろまでに自然に消失します。眉間(みけん)から額の中央、上唇にあるサーモンパッチの大部分も、1歳6カ月ごろまでに自然に消失します。
 しかし、眉間から額の中央にあるサーモンパッチは、まれに成人になっても残ります。成長とともに拡張した血管が自然に細かくなって目立たなくなっても、やはり力んだり泣いたり、飲酒したりすると赤く浮かび上がることがあるという人は、多いようです。
 サーモンパッチの原因は、皮膚の真皮表層での毛細血管の機能的拡張だとされています。毛細血管の内部の血液によって、皮膚の表面が淡紅色ないし暗赤色に見えます。
 このサーモンパッチが後頭部から頸(けい)部(うなじ)にかけてできた場合は、ウンナ母斑と呼ばれます。ウンナ母斑は消失するのに時間がややかかりますが、3歳ごろには半数が消えます。しかし、一生消えない場合もあります。
 1歳をすぎてもサーモンパッチが消えない場合は、念のため皮膚科の医師を受診することが勧められます。サーモンパッチが残っている成人で、どうしても気になる人も、治療を受けることが勧められます。
[黒ハート]サーモンパッチの検査と診断と治療
 皮膚科の医師は通常、見た目と経過から診断します。一般的には、サーモンパッチは自然に消えていく場合が多いので、治療せずに経過をみます。
 単に色調だけを自然経過よりも早期に淡くしたい場合には、パルス色素レーザー治療を行います。完全に消えず成人まで残る可能性があるもの、成人になっても残ったものは、露出部位のあざなので、パルス色素レーザー治療を行います。
 パルス色素レーザー治療は、傷を残さずに赤みを消退させることができます。術後に残った傷が目立ちますので、手術を行うことはありません。
 ウンナ母斑は、髪に隠れて目立たない部位に生じるので、ほとんど治療しません。成人まで残っていても、悪性になることはないため、大半は治療をしません。美容的に気になる場合には、パルス色素レーザー治療を行います。




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☐用語 アメーバ性肝膿瘍 [用語(あ)]

[喫茶店]赤痢アメーバが大腸から血行性に転移することにより、肝臓に膿瘍が形成される疾患
 アメーバ性肝膿瘍(のうよう)とは、経口的に侵入した赤痢アメーバという原虫が大腸より経門脈的に吸収されて肝臓に到達し、膿瘍が形成される疾患。
 アメーバ性肝膿瘍は、アメーバ赤痢(赤痢アメーバ症)の一つであり、そのうちの腸管外アメーバ症の一つでもあります。
 赤痢アメーバは人、サル、ネズミなどの大腸に寄生し、糞便(ふんべん)中にシスト(嚢子〔のうし〕)を排出します。このシストに汚染された飲食物を口から摂取することで、次の人へと感染します。急性期の感染者よりも、シストを排出する無症候性の感染者が感染源として重要です。ハエ、ゴキブリを介した感染も起こります。
 感染しても症状が現れるのは、5〜10パーセント程度。現れる場合の症状は、腸管アメーバ症(アメーバ性腸炎)と腸管外アメーバ症に大別されます。
 腸管アメーバ症は、下痢、粘血便、渋り腹、腸内にガスがたまって腹が膨れ上がる鼓腸、排便時の下腹部痛、不快感などの症状を伴う慢性腸管感染症であり、典型的にはイチゴゼリー状の粘血便を排出します。多くは、数日から数週間の間隔で増悪と寛解を繰り返します。
 盲腸から上行結腸にかけてと、S字結腸から直腸にかけての大腸に、潰瘍(かいよう)が好発します。まれに、肉芽腫(しゅ)性病変が形成されたり、潰瘍部が壊死性に穿孔(せんこう)したりすることもあります。
 一方、腸管外アメーバ症では、腸管部より赤痢アメーバが門脈という血管の血流に乗って肝臓に運ばれ、肝臓に膿瘍が形成されるアメーバ性肝膿瘍が最も高頻度にみられます。そのほか、皮膚、脳、肺に膿瘍が形成されることもあります。
 アメーバ赤痢全体の中で、アメーバ性肝膿瘍の占める割合は約30~40%で、成人男性に多くみられます。高熱、肝腫大、右季肋部(みぎきろくぶ)痛(右脇腹〔みぎわきばら〕の痛み)のほか、吐き気、嘔吐(おうと)、体重減少、寝汗、全身倦怠(けんたい)感などを伴います。膿瘍が破裂すると、腹膜や胸膜、心外膜にも病変が形成されます。
 しかし、実際にはケースごとにさまざまで、症状の軽いものもあれば、中には無症状で経過する場合もあります。粘血便や下痢、腹痛などの腸管症状を欠いたままアメーバ性肝膿瘍を形成することもあり、腸管症状は必ずしも合併するとは限りません。
[喫茶店]アメーバ性肝膿瘍の検査と診断と治療
 内科、感染症科の医師による診断は、肝膿瘍による発熱、右脇腹の痛みなどの症状の有無、経過に加えて、腸管アメーバ症の症状である粘血便や下痢、腹痛の有無についても確認します。また、海外渡航歴についても問診します。
 腹部超音波検査、腹部CT(コンピューター断層撮影)検査を行い、肝膿瘍の存在、また肝膿瘍の部位について、より詳細に確認します。
 右脇腹から針で肝膿瘍を刺して内容物を採取する穿刺(せんし)検査を行い、内容物の中に赤痢アメーバがいるかどうかを顕微鏡で調べます。検出率は50%前後ですが、アメーバ性肝膿瘍の内容物は無臭でアンチョビペースト状、あるいはチョコレート状と表現されることがあるため、診断に際しての参考となります。
 また、血液検査を行い、赤痢アメーバに対する血清アメーバ抗体があるかどうかを調べます。アメ−バ性肝膿瘍での血清アメ−バ抗体の陽性率は、95%以上と報告されています。
 内科、感染症科の医師による治療では、膿瘍液の特徴からアメーバ性肝膿瘍が疑われれば、直ちに抗原虫剤のメトロニダゾール(フラジール)やチニダゾールの投与を開始します。炎症所見、自覚症状などから治療効果を確認しますが、数日ごとに腹部超音波検査を行い肝膿瘍のサイズのチェックも行います。.
 肝膿瘍が破裂する危険性がある場合などでは、体外から細いチューブを肝膿瘍に入れて内容物を体外に排出する治療であるドレナージを開始します。
 炎症所見、自覚症状の消失、肝膿瘍の消失ないしは縮小をもって治療終了の目安とし、ドレナージチューブを抜去します。
 治療効果がみられない場合は、別の抗原虫剤のエメチンやクロロキンの使用も考慮します。汎発性腹膜炎症状を認めれば開腹術を行いますが、それ以外は外科的ドレナージを考慮しません。
 予防には、飲食物の加熱、手洗いの励行、適切な糞便処理が有効。また、シスト排出者との接触に注意する必要もあります。




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☐用語 有馬症候群 [用語(あ)]

[野球]乳児期早期より重度の発達遅滞、脳の奇形などを示す遺伝性疾患
 有馬症候群とは、乳児期早期より重度の発達の遅れ、脳の奇形などを示す遺伝性疾患。脳・眼・肝・腎(じん)症候群とも呼ばれます。 
 1971年に、国立精神・神経医療研究センターの有馬正高医師により世界で初めて報告されました。
 重度の運動発達の遅れと知的発達の遅れ、脳の奇形としての小脳虫部欠損、下部脳幹形成異常のほか、網膜の部分欠損に伴う先天性視覚障害、上まぶたが下がる眼瞼(がんけん)下垂、呼吸異常、進行性の重度の腎障害を示し、腎不全のため腎透析ないし腎移植を必要とします。
 有馬症候群はCEP290遺伝子と呼ばれる遺伝子異常を原因として発症し、常染色体劣性の遺伝形式をとります。日本においては難病指定を受けている疾患の一つであり、2014年の疫学調査で7人の患者がいることが報告されています。
 1種類の遺伝子に注目してみた時、人の細胞には2つ遺伝子が存在していますが、それぞれ1つずつ両親から遺伝子を引き継ぎます。有馬症候群の原因遺伝子であるCEP290遺伝子も、1つの細胞の中に2つ存在することになります。1つのCEP290遺伝子に異常があるだけでは、疾患を発症することはありません。
 しかし、両親がそれぞれ1つずつ異常なCEP290遺伝子を有する場合は、子供に異常なCEP290遺伝子が同時に伝播(でんぱ)する可能性があります。その結果、子供が2つのCEP290遺伝子異常を抱えることとなって、疾患を発症することになり、両親は疾患の保因者となります。常染色体劣性遺伝では、疾患が子供に伝わる可能性は、理論上25%であり、疾患の保因者となる可能性は50%です。
 CEP290遺伝子は、中心体や絨毛(じゅうもう)として知られる器官に関連して、重要な働きをしています。
 中心体は、細胞増殖の過程において1つの細胞が2つに分裂する際に、重要な役割を担っています。絨毛は、細胞の表面に出ている突起物のような構造をしており、細胞の動きや化学物質による情報伝達に関与する構造物です。特に情報伝達は多くの臓器に存在することが知られており、脳や指、腎臓などの形成に深く関与しています。
 CEP290遺伝子に異常が生じると、中心体や絨毛の働きが障害を受けることになり、各種臓器の形成が阻害されることになります。その結果として、有馬症候群で認めるような各種症状を引き起こすことになります。
 同じく絨毛に関与する遺伝子には、AHI1、NPHP1、NPHP6(CEP290)、MEM67などが知られており、これらの遺伝子に異常が生じると有馬症候群と類似した症状を引き起こします。全体を含めて、ジュベール症候群関連疾患という名前で知られています。2014年の疫学調査で、日本においては約100人のジュベール症候群関連疾患の患者がいることが報告されています。
[野球]有馬症候群の検査と診断と治療
 腎臓内科、内科、形成外科、脳神経外科などの医師による診断は、基本的には臨床症状を基盤として行い、各種の臓器障害の状況を評価するための検査を補助的に行うことがあります。
 頭部CT(コンピュータ断層撮影)検査やMRI(磁気共鳴画像撮影)検査では、小脳虫部が形成されていないことが確認されますし、生命活動において必須の部位である脳幹にも形成異常が生じることが観察されます。
 また、腎機能障害を評価するために、血液検査、尿検査を行います。腎臓CT検査やMRI検査、超音波検査で、腎臓に嚢胞(のうほう)が形成されていることを確認することもあります。腎臓の組織の一部を採取して顕微鏡で調べる腎生検において、腎臓の嚢胞を病理学的に認めることもあります。
 さらに、有馬症候群は網膜の異常を伴う疾患であることから、網膜電位検査を行うこともあります。
 腎臓内科、内科、形成外科、脳神経外科などの医師による治療では、現在のところ根本的な治療法は存在せず、症状に応じた対症療法が中心となります。
 腎障害が強く、幼少期に薄い尿が多量に出て、脱水、発熱という症状がみられる場合には、適切な水分補給、電解質の補正などが必要となります。腎不全が進んできたら、腹膜透析、人工透析、腎移植などを行うことが検討されます。未治療の場合には、小児期までに亡くなることがあります。
 年齢を重ねるにつれて、運動や知的な発達の遅れが明らかになってくるため、早期の段階からのリハビリテーションや療育を行います。
 また、目の異常では視覚認識ができませんので、危険を回避する環境を作ることが必要になることがあります。無呼吸、過呼吸といった呼吸異常をみることもあるため、人工呼吸管理が必要となることもあります。




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☐用語 疫痢 [用語(え)]

[魚座]日本人の小児にみられた細菌性赤痢の重症型
 疫痢とは、2歳から5歳ぐらいの小児にみられた細菌性赤痢の重症型。小児赤痢、小児劇症赤痢とも呼ばれます。
 赤痢菌が腸に感染することが原因で起こる小児の特殊な感染症で、1914年伊東祐彦により独立疾患とされ,1922年に旧伝染病予防法により法定伝染病として取り扱われるようになりました。
 赤痢菌が混入した食べ物や飲み物を食べたり飲んだりして感染し、1〜3日の潜伏期間の後、水のような下痢、激しい腹痛、嘔吐(おうと)といった通常の細菌性赤痢でもみられる典型的な胃腸炎症状で始まります。下痢は血便になることもあり、しばしば38度以上の高熱を伴います。 
 疫痢は胃腸にとどまらず、急激に進行し、心臓・脳・神経などにもダメージを与え、血圧低下、手足の冷え、顔面蒼白(そうはく)、けいれん、意識障害、昏睡(こんすい)、自家中毒症状などが現れ、やがて多臓器不全を起こします。早急に治療しなければ、多くは短時日で死亡していました。 経過が急で死亡率が高いことから、疾風(はやて)とも呼ばれました。
 どうして小児が赤痢菌に感染すると疫痢の症状を示すのかという本態については、ヒスタミン中毒説、体質説、副腎(ふくじん)皮質機能不全説、低カルシウム血症説などの諸説が出されました。
 しかし、これについては未解決のまま推移しているうちに、細菌性赤痢の発生減少に伴って、疫痢そのものが1964年以降発生がみられなくなりました。 




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☐用語 ボレリア感染症 [用語(ほ)]

[魚座]マダニなどにより媒介され、スピロヘータ科ボレリア属の細菌を病原体とする感染症
 ボレリア感染症とは、野ネズミや小鳥などを保菌動物とし、野生のマダニなどによ って媒介されるスピロヘータ科ボレリア属の細菌による感染症。
 このボレリア感染症として、ライム病と回帰熱が知られています。
 ライム病は、ヨーロッパからアジアまでの温暖な森林地帯、北アメリカの北東部、北中央部、太平洋沿岸地域で多く見られますが、世界中で発生がみられます。ヨーロッパで感染すると皮膚症状が、北アメリカで感染すると関節炎の症状が、目立ちます。日本では年間数十件の患者の報告があり、特に北海道での報告が多く東京都内でも報告があります。
 病原体は、スピロヘータ科ボレリア属のライム病ボレリアという、ひょろ長い形をした細菌です。ライム病ボレリアは数種類が確認されており、北アメリカでは主にボレリア・ブルグドルフェリ、ヨーロッパではボレリア・ブルグドルフェリのほか、ボレリア・ガリニ、ボレリア・アフゼリ、ボレリア・ババリエンシスが主な病原体となっています。日本では、ボレリア・ババリエンシス、ボレリア・ガリニが主な病原体となっています。
 これらのライム病ボレリアを保有した野生のマダニ科マダニ属のダニに刺されることによって、感染します。北アメリカにおいては主にスカプラリス・マダニ、ヨーロッパにおいてはリシナス・マダニが媒介し、日本ではシュルツェ・マダニが媒介するケースがほとんど。人から人へうつることは、ありません。
 潜伏期は3~32日間で、感染初期には、多くの場合、遊走性紅斑(こうはん)と呼ばれる特徴的な症状が出ます。これは、マダニに刺された部位に赤色の丘疹(きゅうしん)が生じ、次第に遠心状に、輪状の紅斑が広がっていくというものです。また、その際に、筋肉痛、関節痛、頭痛、発熱、悪寒、全身倦怠(けんたい)感などの症状を伴うことがあります。
 その後、病原体が血液によって全身に運ばれるのに伴い、重度の頭痛や首筋の硬直、刺された部位以外の発疹、関節痛や関節のはれ、筋肉痛、動悸(どうき)や不整脈、めまいや息切れ、神経痛、手足のしびれや痛み、脳や脊髄(せきずい)の炎症、記憶障害など多彩な症状が現れます。
 感染から数カ月ないし数年をへて重症化すると、皮膚症状や関節炎、脊髄脳炎などが悪化し死亡することがあります。また、治療が遅れると皮膚や関節などに後遺症が残ることがあります。
 日本では、ライム病は感染症法で全数把握対象の4類感染症に指定されており、診断した医師は直ちに保健所に届け出ることになっています。
 回帰熱は、野生のダニやシラミに媒介されることで発症する細菌感染症。再帰熱とも呼ばれます。
 回帰熱を発症すると、発熱期と無熱期を数回繰り返すことから、この疾患名が付けられました。回帰熱を引き起こす病原体は、スピロヘータ科ボレリア属のボレリア・レカレンチス、ボレリア・ミヤモトイ、ボレリア・ヘルムシーなどの細菌で、回帰熱ボレリアとも呼ばれます。
 回帰熱には、ダニが媒介してボレリア・レカレンチスやボレリア・ミヤモトイを病原体とするものと、シラミが媒介してボレリア・ミヤモトイやボレリア・ヘルムシーなどを病原体とするものがあります。
 ダニ媒介回帰熱は、アフリカ大陸、イベリア半島(特に地中海地域)、中央アジア、中東の一部、インド、中国、アメリカ大陸など非常に広い範囲で分布します。シラミ媒介回帰熱は、エチオピア、スーダン、南スーダン、ソマリアなどアフリカ大陸の高地、インド、南米アンデス山地などでみられます。
 日本では、海外で感染し帰国後に発症した数例を除き、過去数十年間、国内で回帰熱の患者の報告はありませんでしたが、近年の逆上り調査の結果、2011年以降に、北海道でボレリア・ミヤモトイ感染による回帰熱の患者2名が発生していたことが明らかになりました。
 日本では、回帰熱は感染症法で全数把握対象の4類感染症に指定されており、診断した医師は直ちに保健所に届け出ることになっています。
 回帰熱は、基本的にダニやシラミに刺されることを原因として発症します。人から人に直接感染することはありません。
 刺されてから約1〜2週間の潜伏期間をへて、病原体が血液中に存在して40℃以上の高熱が1週間ぐらい続き、その後一時的に細菌が減少して約1週間は熱がなく、再び発熱するといった発熱期と無熱期を複数回繰り返します。
 発熱期には、発熱以外に頭痛や筋肉痛、関節痛、悪寒、吐き気、結膜炎、点状出血、黄疸(おうだん)、肝臓や脾臓(ひぞう)の腫大(しゅだい)などが生じます。無熱期には、発汗、倦怠(けんたい)感がみられ、時に低血圧症や赤いぶつぶつとした発疹(はっしん)が発生することもあります。
 一般的には2回目以降の発熱期は短く、熱の程度も軽くなります。これを繰り返した後、最終的に解熱します。
 ただし、発熱期には、中枢神経障害として髄膜炎や脳出血、心筋炎、肺炎などを起こすこともあり、症状が重い場合には死に至ることもあります。妊婦が感染した場合は、低出生体重児や早産、自然流産のリスクが高まります。
 ダニ媒介回帰熱とシラミ媒介回帰熱の症状は似ていますが、一般にシラミ媒介回帰熱のほうがより重篤な症状を示します。致死率は、ダニ媒介回帰熱では10%以下ですが、シラミ媒介回帰熱では50%にまで達することがあります。
[魚座]ボレリア感染症の検査と診断と治療
 内科、皮膚科、感染症科、感染症内科などの医師によるライム病の診断は、典型的な症状、感染の機会の有無、さらに病原体あるいは病原体の遺伝子の検出、抗体検査に基づいて下します。 
 発症の数週間前に、流行地への旅行歴、もしくは野山や河川敷などでの活動歴があればライム病が疑われます。
 内科、皮膚科、感染症科、感染症内科などの医師による回帰熱の診断は、その特殊な熱型と、血液中の病原体ボレリア属の顕微鏡による検出によって、容易に回帰熱と確定できます。
 血液検査では、血液中の細菌量が比較的多い発熱期に採血し、血液を染色して顕微鏡で観察して病原体の特徴的な形態が見られるか調べます。ほかにも、抗原や遺伝子などを検出する蛍光抗体法(免疫蛍光法)やPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法など別の方法を選択することもあります。
 内科、皮膚科、感染症科、感染症内科などの医師によるライム病の治療は、ペニシリン系、テトラサイクリン系の抗生物質が有効で、近年はセフェム系抗生物質も用いられています。
 治療が遅れると重症化や後遺症が残る場合があるので、早期発見、早期治療が重要です。
 内科、皮膚科、感染症科、感染症内科などの医師による回帰熱の治療は、抗生物質を使用します。テトラサイクリン系の抗生物質が最も有効で、ストレプトマイシン、ペニシリンも効果がありますので、年齢などに応じて使用する抗生物質を決定します。
 ただし、抗生物質の初回投与後数時間以内に悪寒や震えが生じ、その後ショックから死亡に至ることもあるので、注意が必要です。この反応は、ダニ媒介回帰熱の場合は30〜40%、シラミ媒介回帰熱の場合は80〜90%の症例で生じるといわれています。
 ライム病、回帰熱が知られるボレリア感染症は、ワクチンによる予防対策を講じることができない疾患のため、病原体を保有するダニやシラミに刺されない対策を講じることが重要です。
 そのポイントは、森林作業や農作業、レジャーなどで、草むらややぶなどダニやシラミが多く生息する場所に入る時は、肌をできるだけ出さないように、長袖(ながそで)、長ズボン、帽子、手袋、足を完全に覆う靴などを着用することです。また、肌が出る部分には、人用の防虫スプレーを噴霧し、地面に直接寝転んだり、腰を下ろしたりしないように、敷物を敷きます。
 衣類にダニがついていることがあるので、森林や野山などから帰宅後は衣類を家の外で脱ぎ、すぐに入浴し体をよく洗って、新しい服に着替えます。
 万が一ダニ類に刺され、皮膚に吸着された時は、つぶしたり無理に引き抜こうとせず、入浴して体をよく洗って注意深く取り除くか、医療機関で処理してもらうことです。
 シラミが移ることを防ぐために、衣類や寝具、ヘアブラシなどの共有を避けます。




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☐用語 回帰熱 [用語(か)]

[山羊座]野生のダニやシラミが媒介する細菌感染症
 回帰熱とは、野生のダニやシラミに媒介されることで発症する細菌感染症。再帰熱とも呼ばれます。
 回帰熱を発症すると、発熱期と無熱期を数回繰り返すことから、この疾患名が付けられました。回帰熱を引き起こす病原体は、スピロヘータ科ボレリア属のボレリア・レカレンチス、ボレリア・ミヤモトイ、ボレリア・ヘルムシーなどの細菌で、回帰熱ボレリアとも呼ばれます。
 回帰熱には、ダニが媒介してボレリア・レカレンチスやボレリア・ミヤモトイを病原体とするものと、シラミが媒介してボレリア・ミヤモトイやボレリア・ヘルムシーなどを病原体とするものがあります。
 ダニ媒介回帰熱は、アフリカ大陸、イベリア半島(特に地中海地域)、中央アジア、中東の一部、インド、中国、アメリカ大陸など非常に広い範囲で分布します。シラミ媒介回帰熱は、エチオピア、スーダン、南スーダン、ソマリアなどアフリカ大陸の高地、インド、南米アンデス山地などでみられます。
 日本では、海外で感染し帰国後に発症した数例を除き、過去数十年間、国内で回帰熱の患者の報告はありませんでしたが、近年の逆上り調査の結果、2011年以降に、北海道でボレリア・ミヤモトイ感染による回帰熱の患者2名が発生していたことが明らかになりました。
 日本では、回帰熱は感染症法で全数把握対象の4類感染症に指定されており、診断した医師は直ちに保健所に届け出ることになっています。
 回帰熱は、基本的にダニやシラミに刺されることを原因として発症します。人から人に直接感染することはありません。
 刺されてから約1〜2週間の潜伏期間をへて、病原体が血液中に存在して40℃以上の高熱が1週間ぐらい続き、その後一時的に細菌が減少して約1週間は熱がなく、再び発熱するといった発熱期と無熱期を複数回繰り返します。
 発熱期には、発熱以外に頭痛や筋肉痛、関節痛、悪寒、吐き気、結膜炎、点状出血、黄疸(おうだん)、肝臓や脾臓(ひぞう)の腫大(しゅだい)などが生じます。無熱期には、発汗、倦怠(けんたい)感がみられ、時に低血圧症や赤いぶつぶつとした発疹(はっしん)が発生することもあります。
 一般的には2回目以降の発熱期は短く、熱の程度も軽くなります。これを繰り返した後、最終的に解熱します。
 ただし、発熱期には、中枢神経障害として髄膜炎や脳出血、心筋炎、肺炎などを起こすこともあり、症状が重い場合には死に至ることもあります。妊婦が感染した場合は、低出生体重児や早産、自然流産のリスクが高まります。
 ダニ媒介回帰熱とシラミ媒介回帰熱の症状は似ていますが、一般にシラミ媒介回帰熱のほうがより重篤な症状を示します。致死率は、ダニ媒介回帰熱では10%以下ですが、シラミ媒介回帰熱では50%にまで達することがあります。
[山羊座]回帰熱の検査と診断と治療
 内科、皮膚科、感染症科、感染症内科などの医師による診断では、その特殊な熱型と、血液中の病原体ボレリア属の顕微鏡による検出によって、容易に回帰熱と確定できます。
 血液検査では、血液中の細菌量が比較的多い発熱期に採血し、血液を染色して顕微鏡で観察して病原体の特徴的な形態が見られるか調べます。ほかにも、抗原や遺伝子などを検出する蛍光抗体法(免疫蛍光法)やPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法など別の方法を選択することもあります。
 内科、皮膚科、感染症科、感染症内科などの医師による治療では、抗生物質を使用します。テトラサイクリン系の抗生物質が最も有効で、ストレプトマイシン、ペニシリンも効果がありますので、年齢などに応じて使用する抗生物質を決定します。
 ただし、抗生物質の初回投与後数時間以内に悪寒や震えが生じ、その後ショックから死亡に至ることもあるので、注意が必要です。この反応は、ダニ媒介回帰熱の場合は30〜40%、シラミ媒介回帰熱の場合は80〜90%の症例で生じるといわれています。
 回帰熱はワクチンによる予防対策を講じることができない疾患のため、病原体を保有するダニやシラミに刺されない対策を講じることが重要です。
 そのポイントは、森林作業や農作業、レジャーなどで、草むらややぶなどダニやシラミが多く生息する場所に入る時は、肌をできるだけ出さないように、長袖(ながそで)、長ズボン、帽子、手袋、足を完全に覆う靴などを着用することです。
 また、肌が出る部分には、人用の防虫スプレーを噴霧し、地面に直接寝転んだり、腰を下ろしたりしないように、敷物を敷きます。
 衣類にダニがついていることがあるので、森林や野山などから帰宅後は衣類を家の外で脱ぎ、すぐに入浴し体をよく洗って、新しい服に着替えます。
 万が一ダニ類に刺され、皮膚に吸着された時は、つぶしたり無理に引き抜こうとせず、入浴して体をよく洗って注意深く取り除くか、医療機関で処理してもらうことです。
 シラミが移ることを防ぐために、衣類や寝具、ヘアブラシなどの共有を避けます。

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☐用語 アルミニウム中毒症 [用語(あ)]

[射手座]アルミニウムが骨や脳などに沈着することで起きる疾患
 アルミニウム中毒症とは、透析液中や経口アルミニウム製剤中のアルミニウムが骨や脳などに沈着することで起きる疾患。
 アルミニウムは現在まで必須(ひっす)性が証明されていない微量元素で、生体にとって有害元素に相当し、生体への蓄積による中毒が問題になります。
 アルミニウム中毒症の主なものには、アルミニウム骨症とアルミニウム脳症があります。
 アルミニウム骨症は、アルミニウムが骨に沈着して骨軟化症的な変化を生じ、骨折を起こしやすくなる疾患。腎(じん)不全に伴って起こる特有な骨の障害である腎性骨症の一つに、相当します。
 一方、アルミニウム脳症は、アルミニウムが脳に沈着して脳細胞に変性を生じ、言語障害や精神症状などが現れる疾患。
 自然界ではアルミニウムはいろいろな化合物の形態になっており、鉱物や土壌、水、空気、植物、動物などに含まれています。そして、食べ物や飲み物、水や空気などを通して、人間は毎日アルミニウムを摂取しています。また、食品添加物や医薬品、飲料水の浄化剤などにも、アルミニウムは広く使用されています。
 飲食物と一緒に体内に入ったアルミニウムは、約99パーセントが吸収されずにそのまま大便中に排出されることがわかっています。また、わずかに残ったぶんの大部分は腸管を通して吸収された後、腎臓を通って尿とともに排出されます。
 腎臓の機能が極端に低下して、正常な体の調節機能が働かなくなった腎不全の状態になると、水道水など日常生活の飲食物、アルミニウム製剤(消化性潰瘍〔かいよう〕剤、制酸剤など)から体内に取り込まれたアルミニウムは、腎機能の廃絶に伴って腎臓から排出できないために、体内に蓄積します。
 特に血液透析患者では、透析液中に含まれるアルミニウム、高リン血症に対するアルミニウム製剤(水酸化アルミニウムゲル)の投与、あるいは日常生活の飲食物から体内に取り込まれたアルミニウムが貯留し、アルミニウム中毒を招くことが、1970年代から知られていました。
 慢性腎不全では、腎臓におけるビタミンD活性化の代謝異常により、高リン血症、低カルシウム血症を引き起こします。そこで、腸管からのリン吸収を抑制する目的で、リン吸着剤が用いられます。従来、アルミニウム製剤(水酸化アルミニウムゲル)がリン吸着剤として広く使われてされてきましたが、長期投与によりアルミニウムが血液中、骨、肝臓、腎臓、肺臓、脳など広く体内に貯留し、アルミニウム中毒を引き起こす結果を招きました。
 現在では、透析患者へのアルミニウム製剤の投与禁止、透析液にはアルミニウムを除去した逆浸透水を使用するなどの対策がとられ、アルミニウム中毒は激減しました。
 アルミニウム中毒を起こし、体内に貯留したアルミニウムが骨に沈着すると、アルミニウム骨症となります。体内に貯留したアルミニウムが脳に沈着すると、アルミニウム脳症となります。
 アルミニウム骨症では、骨のカルシウム沈着部位(石灰化前線)へのアルミニウムの蓄積により、骨の石灰化障害を生じます。この骨の形成に必要不可欠な石灰化障害の結果、骨組織の基質要素の1つである類骨量が増加した状態である高度の骨軟化症を招きます。
 アルミニウム骨症を発症すると、体幹、膝(ひざ)や足などの四肢の広範囲に関節痛、骨痛がみられ、足腰の筋肉低下が起こり、歩行障害を引き起こします。骨折も起こしやすくなります。
 アルミニウム中毒を起こし、体内に貯留したアルミニウムが血液と脳の間にあって、血液中の物質を簡単には脳に通さない血液脳関門と呼ばれる組織を突破して、脳に沈着すると、アルミニウム脳症となります。
 アルミニウム脳症では、脳細胞が変性し、言語障害に始まり、幻覚や幻聴などの精神症状、記憶障害、意識障害、運動障害などが現れます。認知症が現れることもあります。半年くらいで死亡するケースが多くみられます。
[射手座]アルミニウム中毒症の検査と診断と治療
 泌尿器科の医師によるアルミニウム骨症の診断では、アルミニウム、カルシウムなどの血液検査や骨X線検査を行います。
 泌尿器科の医師によるアルミニウム脳症の診断では、アルミニウム、リン、カルシウムなどの血液検査を行います。
 泌尿器科の医師によるアルミニウム骨症の治療では、活性型ビタミンD3製剤の服用や、腎臓の機能低下時にアルミニウムを含んだ胃腸薬を避けることが有効です。活性型ビタミンD3を服用することは、骨の軟化による痛みや骨折を防ぐのに有効です。
 骨に沈着したアルミニウムは、キレート剤(金属封鎖剤)の一つのデフェロキサミンを筋肉注射、または点滴静脈注射によって投与して除去します。
 泌尿器科の医師によるアルミニウム脳症の治療では、腎臓の機能低下時にアルミニウムを含んだ胃腸薬を避けることが有効です。体内に入ったアルミニウムは、キレート剤(金属封鎖剤)の一つのデフェロキサミンを点滴静脈注射によって投与して除去します。
 治療中は、デフェロキサミンの投与による網膜障害、聴力障害、肺ムコール症の発生に注意します。

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☐用語 エボラ出血熱 [用語(え)]

[天秤座]エボラウイルスにより引き起こされる感染症
 エボラ出血熱とは、エボラウイルスにより引き起こされる感染症。エボラウイルスにより引き起こされる感染症患者が必ずしも出血症状を示すわけではないことから、国際的にエボラ出血熱に代わってエボラウイルス病とも呼ばれています。
 ラッサ熱、マールブルグ病、クリミア・コンゴ出血熱などとともに、ウイルス性出血熱の一疾患に分類されています。
 エボラ出血熱は、マールブルグウイルスとともにフィロウイルス科に分類されるエボラウイルスに感染することで、発症します。そのエボラウイルスは、コウモリなどの動物に生息しています。コウモリ、チンパンジー、ゴリラなどの感染した動物に接触することで、エボラウイルスは人間へとうつり、エボラ出血熱を発症すると考えられています。
 人から人への接触感染が起こることもあります。接触感染は、患者の血液や体液に、傷のある皮膚や体の粘膜が触れることで、感染が成立します。エボラウイルスに感染した患者の血液や、尿・唾液(だえき)・糞便(ふんべん)・吐物・精液などの体液には、ウイルスが排出されることが知られています。また、エボラウイルスが医療器具などに付着した場合、数時間から数日間は感染性を持ち続けることがわかっており、医療器具を介した感染も成立します。
 なお、エボラウイルスが空気感染することはありません。また、エボラ出血熱は、せきやくしゃみを介して人から人に飛沫(ひまつ)感染するインフルエンザなどの疾患とは異なり、簡単に人から伝播(でんぱ)する疾患ではありません。
 エボラウイルスに感染してから、ウイルスが体内で増殖して症状が出てくるまでには、2~21日程度、通常は7日程度の潜伏期間があります。この潜伏期間の後に突然の発熱を来すほか、悪寒(おかん)、頭痛、倦怠(けんたい)感、筋肉痛、嘔吐(おうと)、下痢などの症状も併発します。
 さらに症状が進行すると、肝臓や腎臓(じんぞう)、血液の凝固機能にも影響が及ぶようになり、皮膚、口の中、目、消化管などから出血を起こすようになります。ただし、すべてのエボラウイルス感染例で出血がみられるわけではありません。
 1976年6月末、アフリカ北東部に位置する南スーダン(旧スーダン)のヌザラという町の綿工場に勤める倉庫番の男性が出血熱様症状を示し、次いでほかの部署の男性2人も同様の症状で倒れました。これが初めてエボラ出血熱と認識された流行の幕開けでした。この3人の患者を源として家族内、病院内感染を通してエボラ出血熱の流行が拡大し、計284人がエボラ出血熱を発症して151人が死亡しました。
 その流行とは別に、1976年8月末にアフリカ中部に位置するコンゴ民主共和国(旧ザイール)北部のヤンブクで、教会学校に勤める助手の男性が出血熱の症状を示しました。その患者が収容されたヤンブク教会病院での治療・看護を通じて、大規模な流行が発生。計318人の同様の患者が発生し、280人が死亡しましたが、これもエボラウイルスによる出血熱であることが確認されました。これらが、初めて確認されたエボラ出血熱の流行です。
 ちなみにエボラの名は、ヤンブクの最初の男性患者の出身村を流れるザイール川支流のエボラ川に由来しています。
 その後、南スーダン、コンゴ民主共和国、象牙海岸で散発的なエボラ出血熱の流行が確認されていましたが、1995年にコンゴ民主共和国中央部のバンドゥンドゥン州キクウィトの総合病院を中心として、エボラ出血熱の大規模な流行が発生しました。その流行では、計315人が発症して244人が死亡しました。
 さらに、2014年3月には、アフリカ西部に位置するギニアでエボラ出血熱の流行が確認され、患者・感染者が国境を越えて移動することにより、隣国のリベリア、シエラレオネの3カ国を中心に過去最悪の規模で流行し、2016年1月にリベリアで終息するまでに2万8000人以上が発症し、世界全体で1万1300人以上が死亡しました。
 2018年8月には、コンゴ民主共和国北東部の北キブ州において、同国10回目の新たなエボラ出血熱の流行が発生し、2019年6月現在、感染者が疑い例を含めると2000人を超え、死者が1400人を超えています。また、隣国のウガンダでも、コンゴ民主共和国から飛び火したエボラ出血熱により2人の死者が出たことが確認されました。
[天秤座]エボラ出血熱の検査と診断と治療
 内科、感染症科、感染症内科の医師による診断では、エボラ出血熱が疑われる患者の血液を採取して、エボラウイルスの抗原や、エボラウイルスに対して特異的な抗体が存在するかどうかなどを調べます。血液だけではなく、のどから採取する咽頭(いんとう)ぬぐい液や尿も検体として用います。血液、体液などからウイルスを分離する検査法も重要な検査法ですが、通常1週間以上を要します。
 鑑別すべき疾患には、マラリア、デング熱、腸チフスなどがあります。エボラ出血熱の感染が発生している地域は、マラリア、デング熱などの流行地域でもあり、発熱、頭痛、筋肉痛などといったエボラ出血熱の初期症状がマラリア、腸チフスなどと似ていることから、鑑別が必要になります。
 内科、感染症科、感染症内科の医師による治療では、エボラウイルスそのものに対して科学的に治療効果が証明されている薬剤はないため、研究段階にあるいくつかの薬剤を投与しつつ、表面的な症状をやわらげる対症療法を行います。
 嘔吐、下痢などによって脱水や血圧の低下が起こった場合は、輸液を行います。電解質のバランスが狂った場合も、それぞれの成分を補正します。呼吸状態が悪くなった場合は呼吸管理、血圧が下がった場合は循環管理と、それぞれの症状をコントロールするための治療を行います。
 日本では、エボラ出血熱は感染症法において1類感染症に分類され、これらの患者の治療専用に設計されている病室に隔離して、治療を行います。
 また、診断した医師は、無症状病原体保有者、疑似症患者例も含めてエボラ出血熱の患者および感染症死亡者の死体を認めた際には、直ちに都道府県知事(実際的には保健所)に届け出ることが義務付けられています。
 エボラウイルスに感染しないための予防策を講じることも、重要になります。流行地域に赴く際には、コウモリやチンパンジーなどの野生動物に接触しないのはもちろん、調理状況のわからない肉類の摂取も避ける必要があります。また、葬儀で死者に対して接触する風習を持つ地域もありますが、こうした行為を避けることも大切です。
 感染拡大を予防するためにも、渡航歴や症状からエボラ出血熱が疑われる場合には、検疫所で申告したり地域の保健所に連絡することも大切です。
 ワクチンについては治療薬と同様で、一定の効果が期待できるものも開発されていますが、確実性のあるワクチンとして利用可能なものはありません。

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☐用語 黄熱 [用語(お)]

[天秤座]黄熱ウイルスにより引き起こされる感染症
 黄熱(おうねつ)とは、黄熱ウイルスにより引き起こされる感染症。黄熱病、黒吐(こくと)病とも呼ばれます。
 黄熱ウイルスは日本脳炎ウイルスと同様のフラビウイルスという仲間に分類され、人間以外にも猿や蚊の中でも生息することが可能であり、人は蚊に刺されることで病原体に感染します。
 主に媒介するネッタイシマカはアフリカおよび南アメリカの熱帯ないし亜熱帯地域に広く生息しており、同地域に一致して黄熱は流行しています。具体的には、アフリカは赤道南北それぞれ15度の緯度の範囲、南米においてはパナマから南緯15度までの地域で流行しています。
 ネッタイシマカに刺されて黄熱ウイルスに感染しても、多くの場合は症状が出現しません。しかし、感染後3〜6日ほどの潜伏期間をへて、症状を示す人もいます。その初発症状は高熱と頭痛であり、手足の痛み、腰痛、嘔吐(おうと)、正常よりも脈が遅くなる徐脈などが起こります。重症化することがなければ、3日程度の経過で症状は改善します。
 感染者のおよそ15%で重症化し、初発症状から改善したようにみえて、数時間から1日後に突然高熱が再燃します。高熱であっても、1分間に50回ほどの徐脈を示し、60~100回の通常より遅くなることが特徴です。特に肝臓と腎臓(じんぞう)に対する障害が強く、典型的な症状としては、黄疸(おうだん)、鼻や口、目、皮膚、消化管からの出血、蛋白(たんぱく)尿の3つを挙げることができます。
 黄疸とは、皮膚や眼球が黄色を示すようになる状態であり、このことから黄熱と呼ばれます。黄疸、出血、蛋白尿の3症状が現れるようになると、黒色の嘔吐、無尿、心不全、肝性昏睡(こんすい)などに陥り、1週間から10日までに亡くなる場合があります。
 世界保健機関(WHO) の推定によると、1990年代の初めから、全世界で毎年3万人の死亡者を伴う20万人の黄熱患者が発生し、そのうち90%はアフリカで発生しています。ブラジルでは、2017年7月1日から2018年2月15日までに、死亡者118人を含む409人の黄熱の確定患者が出ました。これは、2016年から2017年の同じ時期に報告された死亡者166人を含む532人の黄熱の確定患者よりも少なくなっています。
 日本での黄熱の扱いとしては、感染症法にて4類感染症に指定されており、患者を診断した医師から保健所への届け出が義務付けられている全数把握対象疾患となっています。これによると、日本での発症例は認めていませんが、海外の流行地域に赴く際には注意が必要です。「黄熱に感染する危険のある国」の情報は、厚生労働省検疫所が適時情報を流しています。
 黄熱に対してはワクチンによる予防接種が可能であり、入国に際して予防接種証明書の提示が義務付けられている場合もあります。黄熱ワクチンはどの医療施設でも接種可能というものではないため、黄熱の流行地域へ渡航する際は時間的な猶予を持って対応することが必要で、渡航の10日前までに予防接種を受けることが推奨されています。接種者の95%以上で、10日目以後10年以上にわたり中和抗体が保持されます。
 なお、細菌学者の野口英世が黄熱の研究中に感染し、西アフリカのガーナで1928年に死亡したことは有名です。
[天秤座]黄熱の検査と診断と治療
 内科、感染症科の医師による予備的診断は、症状、渡航地域と渡航日、渡航中の活動に基づいて行います。検査室診断では、血液検査を行い、血液から黄熱ウイルスやその特徴的な遺伝子を検出すること、あるいは特異的な抗体を検出することで確定します。
 また、合併症の有無を評価します。肝臓と腎臓に障害を起こすことが多く、これらの評価が重要です。肝臓に関連して黄疸の原因となるビリルビン(胆汁色素)が高くなり、消化管出血の原因となる血液の止血にかかわる凝固機能にも異常を伴います。黄熱では蛋白尿を認めることもあるため、尿検査にてこれを確認することもあります。
 さらに、黄熱の流行地域でのほかの感染症も含めて、広く鑑別を行います。鑑別を要する疾患は、ウイルス性出血熱であるエボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、ラッサ熱、マールブルグ病、南米出血熱などのほか、ワイル病、回帰熱、急性ウイルス性肝炎、マラリア、レプトスピラ症です。
 内科、感染症科の医師による治療では、黄熱に特化した抗ウイルス薬がないため、症状に応じた対症療法を主体にします。肝不全、腎不全に対する治療が中心となり、腎不全に対しては人工透析を行うことがあります。
 出血傾向を引き起こす血液の凝固異常に対しては、新鮮凍結血漿(けっしょう)や赤血球などの輸血を行います。高熱を伴うことから、熱に対しての対応も重要になります。

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☐用語 エーラス・ダンロス症候群 [用語(あ行)]

[乙女座]皮膚、関節が過伸展し、結合組織がもろくなる遺伝性の疾患
 エーラス・ダンロス症候群とは、皮膚や骨、血管、さまざまな臓器などを支持する結合組織が脆弱(ぜいじゃく)になる遺伝性の疾患。
 原因や症状、遺伝形式の違いに基づき、複数の病型に分類されています。1998年の世界保健機関(WHO) の国際疾病分類では古典型、関節可動性高進型、血管型、後側湾(こうそくわん)型、多関節弛緩(しかん)型、皮膚脆弱型の6つの病型とその他の病型に分類されていましたが、2017年に改定されて13病型になりました。
 従来は非常にまれな疾患と見なされていたものの、最近では、すべての病型を合わせると、世界的にみて5000人に1人程度の有病率であると推定されています。
 エーラス・ダンロス症候群は遺伝子の変異によって起こる疾患で、発症に関連する原因遺伝子が複数報告されています。例えば、病型の1つである古典型については、COL5A1やCOL5A2といったⅤ型コラーゲン遺伝子上における異常が認められています。
 ほとんどの病型が、コラーゲン生成にかかわる遺伝子の異常、もしくはコラーゲンの成熟に必須の酵素生成にかかわわる遺伝子の異常で起こります。コラーゲンは、体を構成している全蛋白(たんぱく)質の30%を占めている重要な構成成分で、さまざまな結合組織に強度と弾力性を与える働きをしているため、遺伝子に異常が起こることで、コラーゲンや結合組織の強度や構造を保つためのさまざまな成分の生合成が阻害され、その結果、エーラス・ダンロス症候群が引き起こされると考えられます。
 ほとんどの病型で共通して認められる症状としては、関節の過伸展性、皮膚の過伸展性、結合組織の脆弱性が挙げられます。関節を支える靭帯(じんたい)などの結合組織がもろくなることから、関節は正常な可動域を超えて動き、脱臼(だっきゅう)しやすくなります。皮膚は健常な人と比べて非常に伸びやすく、感触は柔らかで滑らか、もろくて傷が付きやすい、できた傷も治りにくいといった特徴が認められます。
 また、コラーゲンには多くの種類があり、結合組織によりその構成や代謝が異なるために、各病型においては特徴的な症状が現れ、程度には個人差があります。
 病型にもよりますが、エーラス・ダンロス症候群で問題となる症状の1つは、血管がもろくなることです。特に血管型では、易(い)出血性であざができやすいほか、動脈解離や動脈破裂、外傷による出血、腸管や子宮などの内臓破裂が起きることがあり、予防や早期の適切な対応が必要になります。
 エーラス・ダンロス症候群に気付いた際は、皮膚科、皮膚泌尿器科、小児科、整形外科、形成外科、循環器科、遺伝科を受診します。
[乙女座]エーラス・ダンロス症候群の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科、小児科、整形外科、形成外科、循環器科、遺伝科の医師による診断では、特徴的な臨床症状や病歴、家族歴から疾患の可能性を考え、さらにいずれの型に該当するか、将来どんな合併症が起こり得るかを特殊な検査で検討します。
 ほとんどの病型で共通して認められる関節症状や皮膚症状に関しては、関節の可動性や皮膚の過伸展性、委縮性瘢痕(はんこん)などの有無を調べます。皮膚組織の一部を採取する皮膚生検、採取した細胞や尿の成分を調べる検査などを行う場合もあります。心血管超音波(エコー)検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査、骨のX線(レントゲン)検査などの画像検査も検討されます。
 また、コラーゲンの生成や成熟に重要な蛋白質や酵素にかかわる遺伝子異常が複数見付かっていることから、一部の病型では遺伝子解析により、遺伝子に異常がないかどうかを調べる場合もあります。
 皮膚科、皮膚泌尿器科、小児科、整形外科、形成外科、循環器科、遺伝科の医師による治療では、エーラス・ダンロス症候群自体に対する治療法はまだないため、それぞれの症状に応じた対症療法が中心となります。痛みが強い場合には鎮痛剤、血管がもろくなる場合は血圧を下げる薬の処方が検討されます。
 また、関節や皮膚、血管が脆弱であることから、激しい運動を避ける、サポーターを装着するといった予防も重要です。病型によって症状や経過が異なるので、正確な診断と適切な管理が必要となります。
 例えば血管型の場合には、動脈解離、動脈瘤(りゅう)、動脈破裂、腸管破裂、妊娠時の子宮破裂といった重篤な合併症を来す恐れもあるため、予防のための生活管理、専門医による定期的なフォローが必要です。体に負担のかかる検査や手術は、なるべく避けます。
 予後は、血管型以外は良好です。

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☐用語 気象病 [用語(き)]

[雨]気象の変化が原因で症状が出現したり、悪化したりする一連の疾患
 気象病とは、気象の変化や一定の気象条件下で、症状が出現したり、悪化したりする一連の疾患。
 体調不良、気分の落ち込み、頭痛、めまい、関節痛、古傷の痛みなどの症状が代表的で、患者数は増加傾向にあり、1000万人以上が悩んでいるとの推計もあります。
 主な原因は、気温や湿度ではなく、気圧の変化です。飛行機に乗ったり、エレベーターで移動したりすると、耳がおかしく感じることがあります。耳の鼓膜の奥には、気圧の変化を感じる内耳という器官があり、脳は内耳から伝わった情報を基に、周囲の環境に体を順応させようとします。
 しかし、内耳のセンサーが敏感に反応しすぎると、わずかな気圧の変化でも脳に過剰な情報が伝わってしまいます。この結果、自律神経が乱れて、体にさまざまな変調が起きます。
 自律神経のうち交感神経が活発になると痛みを感じ、副交感神経が活発になるとだるくなったり眠くなったりします。心臓発作やぜんそくなどの持病が悪化する恐れもあり、軽く考えるのは禁物です。
 気圧の変化が急なほど、気象病の症状が強く出現します。中には気圧が上昇する時に症状を訴える人もいますが、多くの人が症状を訴えるのは気圧が低下する時です。
 特に気象病の症状が出やすい季節は、雨をもたらす低気圧が定期的に通過する春や秋、梅雨時、そして台風が日本付近に接近する晩夏から秋にかけて。冬に低気圧が日本の南岸を通過すると、太平洋側に雪が降ることがありますが、この時に症状を訴える人もいます。
[雨]気象病の治療と予防
 耳鼻科、神経内科、あるいは気象病外来/天気痛外来の医師による治療では、気象病の予兆であるめまいが出るタイミングで、抗めまい薬を服用することが効果的です。抗めまい薬には、内耳のリンパ液の循環をよくする働きがあり、内耳の状態を整えて、内耳のセンサーが敏感に反応するのを抑えます。
 抗めまい薬と同様の「ジフェニドール」などの成分が入った乗り物酔い止め薬を服用するのも効果があります。乗り物酔い止め薬は、薬局などで市販されています。
 漢方薬を使う場合もあります。五苓散(ごれいさん)には、気圧の低下で体内に貯留する水分の循環をよくする作用があり、抗めまい薬と似た効果があります。抑肝散(よくかんさん) には、神経の高ぶりを抑えたりする作用があります。
 気象病の改善に効くとされるツボも、手や足にあります。
 ただ、抗めまい薬などで気象病の元になる持病までは治らず、それぞれの持病に対応した治療が必要なことはいうまでもありません。
 普段から内耳のリンパ液の循環をよくしておけば、自律神経が整い、気象病の予防や改善につながります。その点で、マッサージも有効で、両耳を軽くつまんで、上下横に5秒ずつ引っ張ったり、耳を横に引っ張りながら後ろに回したりします。
 また、家庭用の気圧計などを使って、毎日の天気、気圧、体調の変化を記録し、気象病の症状がいつ出るのかを予測すれば、あらかじめ薬で対処できます。地域ごとに気象病に注意すべきタイミングをスマートフォンなどで知らせてくれるアプリもあります。
 自律神経を整えるためには、十分な睡眠、適度な運動も不可欠で、規則正しい生活を心掛けます。

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☐用語 自己免疫性溶血性貧血 [用語(し)]

[蟹座]赤血球に結合する自己抗体ができて、赤血球の寿命が著しく短縮し、貧血を来す疾患
 自己免疫性溶血性貧血とは、自身の赤血球膜上の抗原に結合する自己抗体ができて、赤血球が異常に早く破壊されて起こる貧血。
 自己抗体は自分の体の成分に対する抗体で、本来は細菌などから体を守るために抗体は作られ、自分の体に対しては作られませんが、自己免疫疾患と呼ばれる一連の疾患では、自己抗体が出現し赤血球をまるで異物であるかのように攻撃します。
 赤血球に自己抗体が結合し、補体と共同して血管内で赤血球を破壊するものと、自己抗体や補体を介して主に脾臓(ひぞう)で破壊されるものがあります。
 この自己抗体による赤血球の破壊は、突然起こることもあれば、ゆっくりと進行することもあります。人によっては、このような破壊がしばらくすると止まることがあります。また、赤血球の破壊が止まらず、慢性化する人もいます。
 自己免疫性溶血性貧血には、いろいろな病型があり、原因もさまざまです。主な病型は2種類あり、37度の正常体温付近で抗体の結合が強いものを温式自己免疫性溶血性貧血、正常体温以下の特に4度で抗体の結合が強いものを冷式自己免疫性溶血性貧血と呼びます。
 自己免疫性溶血性貧血の発症者は全国で1300~1700人を数え、1年間に数百人程度の新たな発症者が発生していると推定されています。このうち、温式自己免疫性溶血性貧血の発症者が9割を占め、冷式自己免疫性溶血性貧血の発症者は1割です。
 子供から高齢者までの幅広い年齢で、発症します。温式自己免疫性溶血性貧血は、小児期に1つの小さなピークがあるほか、10~30歳の若年層、50歳以後に増加し70歳代がピークの老年層に多くみられます。若年層では女性が優位で、老年層では男女差は認められません。
 原因は自分の赤血球膜上の抗原と反応する自己抗体ができることによるのですが、なぜ抗原抗体反応が起こるのかはまだ明らかではありません。膠原(こうげん)病などの自己免疫疾患の患者や、リンパ腫(しゅ)などの悪性腫瘍(しゅよう)の患者で、この自己免疫性溶血性貧血がみられることがあります。また、マイコプラズマ肺炎の患者にも、冷式自己免疫性溶血性貧血がみられることがあります。
 疾患の発症に、遺伝性はありません。
 特に赤血球の破壊が軽度で緩やかに進む場合は、症状がみられないことがあります。それ以外では、主な症状は貧血によるもので、だるさ、動悸(どうき)、息切れ、めまい、頭痛、顔面蒼白などが現れます。
 赤血球の破壊が重度な場合や急速な場合は、血液の中にヘモグロビン(血色素)の分解産物であるビリルビンがたまるため、白目の部分や肌が黄色く見える軽い黄疸(おうだん)がみられることもあり、腹部に不快感や膨満感を覚えたりします。脾臓がはれたり、濃い色を示すヘモグロビン尿がみられることもあります。慢性に経過すると胆石症を合併することも知られています。
 冷式自己免疫性溶血性貧血では、手や足が冷たくなったり、青みがかったりすることがあります。冷式自己免疫性溶血性貧血のうちのまれなタイプである発作性寒冷血色素尿症では、気温の低下、冷水の飲用や洗顔・手洗いなど、寒気にさらされる部分が小さくても赤血球が破壊されることがあり、背中や脚に激しい痛みが生じたり、頭痛、嘔吐(おうと)、下痢がみられることもあります。暗褐色を示すヘモグロビン尿がみられることもあります。
 原因が別の疾患によるものであれば、リンパ節のはれや圧痛、発熱など、原因になっている基礎疾患の症状が主に現れることがあります。
[蟹座]自己免疫性溶血性貧血の検査と診断と治療
 小児科、内科、血液内科などの医師による診断では、 血液検査を行って、貧血であることを確認し、自己免疫反応の原因を特定します。
 血液検査で未熟な赤血球(網状赤血球)の数が増加していれば、赤血球の破壊が進んでいることが疑われます。あるいは、血液検査から、ビリルビンが増加し、ハプトグロビンという蛋白(たんぱく)質が減少していることがわかる場合もあります。
 原因として自己免疫性溶血性貧血の診断が確定するのは、血液検査で特定の抗体の量が多いことが確認された場合で、このような抗体は、赤血球に付着している抗体、または血液の液体成分に含まれる抗体のいずれかです。赤血球を破壊する自己免疫反応の原因を突き止めるため、そのほかの検査を行うこともあります。
 小児科、内科、血液内科などの医師による治療では、副腎(ふくじん)皮質ステロイドホルモン薬の服用が有効です。最初に高用量の服用から始め、数週間ないし数カ月かけて徐々に減量していきます。
 赤血球を破壊している臓器である脾臓の手術による摘出や、免疫抑制薬の服用も補助的な手段として行われます。赤血球の破壊が激しく貧血が強い場合は、輸血が必要になる時もありますが、輸血は貧血の原因を治療するものではなく、一時的な対症療法にすぎません。
 冷式自己免疫性溶血性貧血では、寒さを避け保温に努めることが重要な治療法となります。保温に配慮した服装や寝具を利用するように気を付け、室温に注意し、手足や顔の露出部分が寒気にさらされないように注意を払います。時に免疫抑制薬が有用なこともあります。
 また、別の疾患に合併して起きている時は、原因になっている基礎疾患の治療によりよくなることがあります。
 症状が軽い場合や赤血球の破壊速度が遅くなっている場合は、自然経過で治癒することがあります。多くの症例は、中~長期間の薬物治療が必要となります。治療によって疾患の活動性が抑えられれば、 正常な日常生活が送れます。
 なお、ほかの自己免疫疾患やリンパ腫などの疾患を合併していない温式自己免疫性溶血性貧血の場合は、診断から5年後の生存率は約80%、10年後は約70%です。しかし、高齢者では予後不良です。

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